「土の時代」から「風の時代」へ
最近パラダイムシフトを象徴する「風の時代」という言葉を耳にすることが増えてきた。元来、西洋占星術で用いられる専門用語だが、一般にも周知されつつある。西洋占星術では変化の時を示唆するという木星と土星との大接近が、黄道十二星座のどこで起こるかによって火、水、土、風の4つの時代に区分しているが、各時代は約200年余り継続したのち、次の時代へと移っていく。2020年12月、占星術的には風の時代に入ったという。以前の「土の時代」は18世紀末の産業革命後に始まったとされる。土の時代には、目に見える形あるものが重視されたのに対し、風の時代では風が目に見えないように、知識や情報などの形のないもの、そしてそれを伝え、共有することなどが重要とされている。
いかに薄いかではなく、いかに心地いいか。
今、我々のライフスタイルや価値観の変化が急速に進行していることを感じずにはいられない。デジタルコミュニケーションの進化、SDGsという言葉に象徴されるサステナブルなあり方やエシカル、多様性などへの意識の高まり……。重厚長大で力を誇示し合った土の時代的な価値観を見直し、フレキシブルで個々のあり方を尊重するような風の時代へとパラダイムシフトが進んでいるのだ。そして、時間というものの意味や捉え方も変化し始めた。誰もが大きな同じゴールを目指して時間を費やすのではなく、個々の充足感を大切にしながら、互いに尊重し合えるような時の在り方が浸透しつつある。そんな時代の“時”を刻む腕時計はどうあるべきか? 新しい「エコ・ドライブ ワン」は、それに対するシチズンからのひとつの回答と言っていい。
世界を驚愕させた厚さ1㎜のムーブメント
シチズンは1976年に世界初のアナログ式光発電腕時計を開発して以来、そのパイオニアとして長年にわたり独自の光発電駆動技術「エコ・ドライブ」を進化・熟成させてきた。40周年のアニバーサリーを迎えた2016年、シチズンは満を持して「エコ・ドライブ ワン」を発表した。
ムーブメントの厚さは、たったの1㎜。この極薄の世界に85ものパーツが緻密に組み込まれた。動力源となるローター、発電したパワーを蓄える二次電池、コイル、ソーラーセル、IC回路など主要パーツのほぼすべての部品を薄型化。十分な耐久性を持たせるために新たに設計したほか、ひとつのパーツに複数の役割を担わせるなど革新的な構造が開発された。この驚くべきCal.8826は、厚わずか2.98㎜という超薄型ケースに搭載されヴェールを脱いだ。サーメットやバインダレス超硬合金などの先進素材を用い、薄さを一層強調するシャープでモダンなデザインも印象的だった。世界の時計関係者がその技術力に目を見張り、たちまち称賛へと変わった。以降、この1㎜厚の世界最薄キャリバー(アナログ式光発電ムーブメントとして。2021年12月現在)を搭載した「エコ・ドライブ ワン」は、シチズンのひとつのフラッグシップとなってデザインや素材のバリエーションを広げ、進化を続けている。
これまでは厚さ1㎜のムーブメントというアドバンテージを生かすことをスタート地点として商品開発がなされてきたが、同時にシチズンは「薄さとは何か?」という問いに正面から向き合ってきた。そして「薄さとは美しさであり、軽さであり、快適さである」というメッセージを発してきた。自己目的化した技術開発では意味がない。「エコ・ドライブ ワン」には、着用者の快適さや満足感のために厚さ1㎜のキャリバーをどう用いるべきかという発想が込められている。
充実感のある時間を刻む大人のための時計
巷で、いわゆるデカ厚と呼ばれる時計が幅を利かせるようになって久しい。オン/オフのシームレス化が加速し、ビジネスウェアのカジュアル化が進むなかで、ダイバーズウォッチに代表されるスポーティなモデルをスーツやジャケットスタイルに合わせることにもはや抵抗感はあまりないだろう。ただ忘れてはならないのは、それは本来、わかっていて“あえて外す”洒落者のあり方だということだ。正統な着こなしや、それに合わせるにふさわしい時計とはいかなるものか? しばしば“型破り”と“型無し”との違いが指摘される。本来の「型」を知ってあえて破るのが前者であり、最初からあるべき姿を知らない無知な振る舞いが後者だ。知的な大人にとって型を知ることは必要不可欠な教養と言っても過言ではない。
オーセンティックなスーツスタイルのシャツの袖にスマートに収まり、ときおりチラリとのぞく薄型の時計。これこそが本来のあるべき姿だ。袖口に収まり切らない時計は、クールに映らないことが少なくないことを知っておくべきだろう。薄型のエレガントな時計はネクタイを締める、靴を履くなど、日常のなかにある何気ない仕草やシーンでも、着用する人の姿に凛とした品格を与えるものだ。そして何より着用する人自身の心地よさこそが重要だ。自分の肌と一体になったような至福のつけ心地は、自分の時間を大切に刻む満足感に繋がる。「エコ・ドライブ ワン」は、まさにそんな大人のニーズに応えるモデルなのだ。
「薄さとは何か?」に真摯に向き合った成果
これまでのコレクションでは、薄さを追求するためにシンプルさを極めた2針仕様がラインナップされてきたが、新しい「エコ・ドライブ ワン」では、初めて6時位置にスモールセコンドが搭載されたことにまず注目したい。
デイリーユースを考えた場合、秒針付きの時計を求める声は多い。時計然とした佇まいや作動を常に確認できること、また場合によっては秒単位での計測のためにも秒針の存在は看過できない。これを実現するため、Cal.8845は従来よりも多い89パーツからなる。にもかかわらず、厚さ1㎜が堅持されているところにシチズンのプライドが垣間見える。エクステリアに目を向けてみると、オーセンティックな時計らしい顔つきが印象深い。直径36.6㎜という控えめで上品なサイズ感。シチズン独自の表面硬化技術デュラテクトが施され、傷つきにくいステンレススティールケースの側面には柔和な曲面が取り入れられ、これまでのような直線的なモダンさとはひと味違ったクラシカルな味わいを漂わせる。ケースバックも手首にフィットしやすいように緩やかなアールを描いている。
インデックスは繊細なラインやファセット面による複雑な構成を持ち、シャープな輝きを放つ。小ぶりなサイズ感に合わせてスモールセコンドのインデックスはやや短めとし、全体の調和が図られている点も見逃せない。時・分針には鏡面仕上げと砂地艶消し仕上げのふたつの処理を施し、どんな角度からでも時刻を読み取りやすくしている。ケースの厚さは4.5mm。つけ心地や時計としての佇まいを重視することからスタートし、従来のコレクションよりもあえてやや厚みを持たせることによって、この時計ならではの存在感が確立された。
新作「エコ・ドライブ ワン」3つの選択肢
新作の「エコ・ドライブ ワン」には、3モデルがラインナップされている。まずデュラテクトピンクが施され、プレステージ感のあるピンクゴールドカラーケースのRef.AQ5012-14A。本作ではダイヤルに日本の伝統工芸「土佐和紙典具帖紙」を採用した。光の透過性が高く、光発電上のメリットもさることながら、和紙ならではの落ち着いた雰囲気と個性的なテイストが絶妙に融合されている。繊細な繊維が絡み合う土佐和紙ダイヤルは、オーセンティックなスタイルに和紙特有の柔らかな質感が醸し出すエレガントな印象を纏わせる。
デュラテクトプラチナを施したシルバーカラーのケースにブラックフェイスをあわせたRef.AQ5010-01Eは、ストイックな精悍さが際立つ1本だ。ダイヤルの裏面にヘアライン仕上げを施し、表面は透明度の高い光沢仕上げとすることで独特なニュアンスの黒が表現されている。そしてシチズンフラッグシップストアとシチズン プレミアムドアーズのみで販売される特定店限定80本のモデルがRef.AQ5010-01Lだ。デュラテクトプラチナを施したケースにサンレイ仕上げが美しいブルーダイヤルをフィーチャーした。ケースバックには限定モデルならではのシリアルナンバーも刻印。ダークブルーの交換用ワニ革ストラップも付属する。自分の時間を大切に生きる人こそが輝きを増す風の時代。「エコ・ドライブワン」を選ぶことは、自分らしいライフスタイルを充実させることになるだろう。
シチズン エコ・ドライブ ワン「至福の着け心地」体感キャンペーン
薄さ1mmの光発電ムーブメントを搭載した「エコ・ドライブ ワン」に、至福のつけ心地と気品あるデザインが魅力の新商品が登場。2022年3月10日(木)から 2022年4月10日(日)の期間中に店頭でフェア対象商品(AQ5012-14A、AQ5010-01E、AQ5010-01Lのいずれか)をご試着されたお客様に、オリジナルノベルティを進呈。プレゼントは無くなり次第終了となるため、購入を検討しているなら早めの決断を。
新作「エコ・ドライブ ワン」ギャラリー
Photos:Tetsuya Niikura(SIGNO) Styled: Eiji Ishikawa(TRS) Hair&Make:Ken Yoshimura Model:Hiroshi Fujii(donna) Words:Yasushi Matsuami