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WHAT ENDURES, EVOLVED ルイ・ヴィトンがエスカルで示す“旅時計”の現在地

Sponsored by Louis Vuitton


目的地へ急ぐだけが旅ではない。ルイ・ヴィトンのエスカルは、移動のさなかに宿る時間の余白を、ワールドタイムとGMTというふたつの“旅時計”で静かに、そして鮮やかに映し出す。メゾンのDNAと高級時計づくりが重なる、現在地をたどる。

 エスカル(escale)とは、経由地や乗り継ぎのこと。出発地でも目的地でもない旅の途中、空間や時間の余白を思わせる。それにしても旅にまつわるフランス語には、Eで始まるものが多い。エスカルと似た“途中”を指すエタップ(étape)もあるが、少し事務的だ。エクスキュルジョン(excursion)は近場の外出で、エスカパッド(escapade)やエヴァジオン(évasion)では日常から逃れるニュアンスが強くなる。そのなかでエスカルだけは、逃避でも到達でもなく、移動のさなかにある一瞬を静かに抱えている。旅の本質が目的地に着くことではなく、時差や距離をまたぎながら動き続ける時間そのものにあるとしたら? すると、ルイ・ヴィトンにおけるエスカルの絶妙さが見えてくる。2026年はエスカルコレクションからワールドタイマーとGMT、異なるふたつのトラベルウォッチが発表された。ルイ・ヴィトンが示し続ける旅のエスプリへ、もう始まっている終わりなき旅へお連れしよう。


旅で流れる、豊かな時間と確かな美意識世界24都市の時間を示す異色のワールドタイム

本特集はHODINKEE Magazine Japan Edition Vol.12に掲載されています。

2024年に登場したシンプルな3針モデルの印象が強いルイ・ヴィトンのエスカルだが、意外にもワールドタイム機能を搭載したモデルの初出は2014年、12年前のデビュー作にさかのぼる。近年、ルイ・ヴィトンウォッチコレクションのマニュファクチュールであるジュネーブ近郊のラ・ファブリク・デュ・タン ルイ・ヴィトンから送り出されたモデルには、伝統の職人技、つまりオートマタやエナメル、彫金といったメティエダールやサヴォアフェールに彩られたタイムピースが多かった。だが今年はクラフツマンシップ的側面とハイエンドな時計づくりの伝統、さらにはメゾンのDNAである“旅”を、コレクションのなかで見事に重ね合わせている。それが2026年登場のエスカル ワールドタイム(ならびにフライング トゥールビヨン)、そしてエスカル ツインゾーンだ。

 前者は昼夜を分けた24時間表示の文字盤の上に、世界中の都市名がタイムゾーンごとに整然と並べられている点で、オリジナル同様に古典的なワールドタイマーのコードに則っている。ただし本作は都市名表示までブルー文字盤に近しいトーンとすることで目になじみよく、万国旗のようにカラフルなエナメルの図象は一新されている。これらは各都市をイメージしているが、国旗ではない。例えば東京には桜色が、北京には紫とゴールドが、ニューヨークには空色に刺さるようにレンガ色が用いられる。色彩こそ具象的だが、幾何学的もしくは抽象画のような図柄は、ルイ・ヴィトンが長年用いてきた花や星、ダミエといった意匠をもほうふつとさせる。

(左)エスカル ワールドタイム フライング トゥールビヨン 3894万円、(右)エスカル ワールドタイム 1540万円

 ルイ・ヴィトンがあらためて旅というテーマに向き合い、エスカルに再注力した背景を、ラ・ファブリク・デュ・タン ルイ・ヴィトンでアーティスティック・ディレクターを務めるマチュー・エジ氏は、こう語る。

 「2026年に向けてエスカルを再び取り上げたのは、ルイ・ヴィトンの核となるアイデンティティへの再接続を意識したからです。それはエスカルの原点とメゾンのDNAを、機能としての時計製造とルイ・ヴィトンの“旅のエスプリ”をシームレスに融合することでした」

 そう聞くと懐古的であるようだが新作から受ける印象は新鮮だ。エナメル画は、色や層ごとに窯焼きを要する。ひとつひとつの図柄の精緻さを思えば、極細の筆で丁寧に仕上げられた手仕事と手間の圧倒的なクオリティと総量に息をのむ。

左は2014年に登場した初代のエスカルワールドタイムこと41mm径ケースのRef.Q5EK00で、時・分表示はディスクで行う。右は2015年に発表された同モデルで39mm径、長短針による時・分表示に変わり、24都市表示も時計回りに東から西へと改められていた。

 「動き続ける世界と、そこをキャンバスとするデザイン。これがエスカルという物語の原点です。それをいまの基準に高めることはすなわち、ラ・ファブリク・デュ・タン ルイ・ヴィトンにおいて新たな自社製ムーブメントを開発し、メティエダールをさらに進化させることでした。24都市の旗はひとりの職人の手描きによるもので、このモデルの視覚的遺産の一部。結果として、このコレクション特有の時代を超える精神性を強く打ち出せたと思います」

 時を刻む機能と、ワールドタイムという空間の広がりや詩情が交じり合うタイムピース。その意味で、文字盤の中央にトゥールビヨン・エスケープメントが大胆にのぞく、エスカル ワールドタイム フライング トゥールビヨンは視線をさらに引き付けてやまない。

 「ワールドタイムとは常に、“動くこと”を象徴します。その中心にフライング・トゥールビヨンを組み込むことで、そのエネルギー、鼓動は強調されます。詩情と機能を対比させるのではなく、旅に内在するダイナミズムそのもの、文字盤上に凝縮され広がる世界が、モノグラム・フラワーのトゥールビヨンの精緻な動きによって命を吹き込まれるのです。そうして機能とアートの双方が深く共鳴する、強烈に情緒的なつながり、それこそが旅というテーマに収斂(しゅうれん)していくのです」

 そこに示されるのは時間も空間も超えて続く旅のエスプリなのだ。


第2時間帯表示をより精緻に追求 美しくも実用的な旅時計

ジャンピングアワー機構を備えたエスカル ワールドタイムでは新たにCal.LFT VO 12.01を、そしてフライング トゥールビヨンではLFTVO 05.01という同じく新開発のキャリバーを投入したルイ・ヴィトン。これらと同時に3つ目のムーブメントとして、Cal.LFT VO 15.01を採用して発表された野心作がエスカル ツインゾーンだ。いわゆるデュアルタイム表示を可能とした時計だが、ホームタイム表示に加えて30分もしくは15分刻みで時差のタイムゾーン表示にも対応するという、きわめて特異な機能を備えている。“旅の達人”たるルイ・ヴィトンの面目躍如といえるタイムピースだ。

(左)エスカル ツインゾーン ダイヤモンド 3734万5000円、(右)エスカル ツインゾーン 941万6000円

 側面がサテン仕上げのラウンドケースに八角形のリューズ、そしてトランクの金具を思わせるリベット留めのラグを持つ外装は、ワールドタイムの2本と共通する。それらと様相が大きく異なるのは、文字盤である。まずリベット留めの意匠による12・3・6・9時のインデックス部分には、分目盛りを載せたオパーリン仕上げのフランジに対してサンバースト仕上げが施され、緯度経度も引かれた球体を四方から支えるように配されている。その球体を地球に見立てるなら、ケースは旅の記憶を収める小さなトランクのようだ。手首の上に置かれた世界。その詩的な縮図には、時計を単なる計時の道具ではなく、旅の物語を携えるものとして扱うルイ・ヴィトンの感性がにじむ。そこには、「マルティエ(malletier、スーツケース造りの職人)」に端を発するメゾンらしさも息づいている。

 なお、北極にあたる12時位置の小窓は昼夜表示だが、エスカル ツインゾーンはリューズ操作によってスケルトン針を展開することができる。しかも通常のGMT機能と異なり、スケルトン針は時針だけでなく分針まで独立して調整することが可能で、30分や45分といった時差があるタイムゾーンをも表示できる。もちろん一般的な1時間ごとのタイムゾーンに移動するのであれば、ホームタイム使用時と同じように分針だけ通常針の下に隠しておけばいい。いわばデザインでも機能の点でもまったく無駄のないそぎ落とされた軽快さを有し、それでいて旅の携えに資するアイテムであるところに、ルイ・ヴィトンというメゾンが創り出す時計の存在理由がある。先述のマチュー・エジ氏はエスカル ツインゾーンのアプローチについて、次のように話す。

 「実は15分単位のオフセット時差を持つ地域は世界に11あります。これらを従来のGMT時計が考慮していないギャップは当然、意識しました。いつの時代にも、旅行者にとって真に無理のない機能性を提供することが私たちのアプローチですから。同時にそれは多様性とリスペクトの話でもあります。同一軸に2組の長短針を配し、分針を独立して調整可能にする設計によって、地球上の全35のタイムゾーン表示が可能になりました。ただし機能的に完璧なだけでなく、ユーザーに煩雑と感じさせないトラベル・コンプリケーション時計の可能性を拡張することが私たちの目標でした。そうした機能的なエレガンスこそが、エスカルというコレクションにふさわしいと考えています」

 ちなみにローズゴールドモデルの球体部は、プラチナケースのハイジュエリー版では星がちりばめられたようなアベンチュリンダイヤルに替えられる。その周囲のフランジには合計2.15カラットとなる120石のバゲットダイヤモンド、さらにベゼルとケース側面には合計7.15カラット、170石の同じくバゲットダイヤモンドによって、まばゆいばかりに縁取られている。かくして旅という芸術は、一段と高められたのだ。

Words:Kazuhiro Nanyo Photographs:Jun Udagawa Styled:Hidetoshi Nakato (TRS)