trophy slideshow-left slideshow-right chevron-right chevron-light chevron-light play play-outline external-arrow pointer hodinkee-shop hodinkee-shop share-arrow share show-more-arrow watch101-hotspot instagram nav dropdown-arrow full-article-view read-more-arrow close close email facebook h image-centric-view newletter-icon pinterest search-light search thumbnail-view twitter view-image checkmark triangle-down chevron-right-circle chevron-right-circle-white lock shop live events conversation watch plus plus-circle camera comments download x heart comment default-watch-avatar overflow check-circle right-white right-black comment-bubble instagram speech-bubble shopping-bag
Play

Hands-On 【2026年】カシオのスタンダードライン、上半期に発表された全ラインナップを紹介

軽く、扱いやすく、気兼ねなく使える。そんなカシオのスタンダードウォッチはいまや日用品であると同時に、装いのなかで選ぶ時計にもなっている。2026年上半期の6本から、その現在地を見ていきたい。

複雑なメカニズムや手の込んだ仕上げに惹かれる一方で、毎日の生活にすっと入り込み、過度に意識せずライトに使える時計にもまた別の魅力がある。カシオが1970年代から積み重ねてきたスタンダードウォッチの系譜は、そうした日常側の時計の魅力をもっともわかりやすく示してきた。現在のカシオ クラシックやカシオ コレクションにも、その感覚はしっかりと受け継がれている。しかし近年のスタンダードラインを見ていると、そうした実用的な面での強さに加えて、ファッションアイテムとして手首での見え方そのものが改めて評価されてきていることに気が付く。2025年6月に韓国・ソウルのアックジョンにオープンしたカシオストア 島山などは、そんなあり方を強く後押しするものだ。カフェが併設された店舗はウッドを基調とした温かみのある内装となっており、時計店であると同時にライフスタイルを提案する場所にもなっている。

 また、SNSを見ていてもさまざまな着こなしにカシオが取り入れられている様子が見て取れ、黒い樹脂製のシンプルなデジタルウォッチをあえてクリーンな服装に合わせて“抜け”として使用したり、小振りなメタル風ウォッチをアクセサリー感覚で身に着けたりしているようだ。カシオのスタンダードは日用品でありながら、ファッションのなかで選ばれる時計にもなっている。

 今回は、2026年上半期に発表されたカシオ コレクション、カシオ クラシックの全6モデルを紹介したい。いずれもカシオらしい軽さや扱いやすさを備えながら、素材、サイズ、表示形式、仕上げによって手首での印象は大きく異なる。HODINKEE Japan編集長・関口と僕との対談動画も併せて、デザインの観点からもユニークな進化を続けるカシオ スタンダードラインの世界をチェックして欲しい。


カシオ コレクション MQ-24DA

まず初めに取り上げるのは、カシオ コレクションよりMQ-24DAだ。愛好家に限らず、時計の購入を検討したことがあるならば誰もが一度は目にしたことがあるであろうアナログウォッチ、MQ-24の系譜に連なるモデルである。オリジナルは樹脂製のケースとバンドを備えた究極のベーシックウォッチだが、本作はそのケースにクロムメッキ仕上げを施すことで、まるでメタルウォッチのような外観に仕上げた。そこにステンレススティール(SS)製のメタルバンドを取り付けているため、全体に統一感があり、洗練された印象となっている。メタル無垢ではないがゆえの軽快さと、一見して樹脂ケースとは感じさせにくい表面処理の組み合わせが面白い。サイズはケース径が38.8mm、厚さが7.8mmとなっている。

 MQ-24DAの印象を大きく変えているのが、文字盤のカラーリングである。本作ではグリーンやブルーといったサンレイ仕上げが施されたダイヤルが揃い、これまでのストイックなMQ-24にはなかった適度な華やかさをプラスしている。一方で、少し強めにテーパードがかかったサテン仕上げのSS製ブレスレットは、少しドレッシーな印象を放つ。普遍的なアナログデザインのDNAを受け継ぎつつ、オフの日のカジュアルアップにも貢献してくれそうだ。

左がMQ-24。1987年に登場した、ロングセラーモデルである。

 ちなみに、MQ-24が持つ一切の無駄を省いたデザインの裏には、G-SHOCKの生みの親である伊部菊雄氏の存在がある。G-SHOCKブーム到来前にスタンダードラインの製造チームへ異動した氏が、「10年後も普遍的に愛されるデザインとは何か」を突き詰め、機能をそのまま形にしたいという哲学のもとに行き着いたのが、このアナログモデルのベースなのだ。ロゴ以外の主張がなく、いい意味でそっけない外観こそが、考え抜かれた究極の実用品であることの証左である。


カシオ クラシック AQ-240E

1995年に発表されたAQ-230。

AQ-240Eは、アナログ針とデジタル表示をひとつのフェイスに収めたアナデジモデルだ。このモデルのベースにあるのは、1995年のAQ-230(ちなみに、このモデルも伊部菊雄氏によるもの)から受け継がれるシンプルな角型デザインである。しかしAQ-230系にあった電子機器的なシャープさは、四隅を丸めたケースとカーブを帯びたベゼルトップによって和らいでおり、そこに淡いダイヤルカラーが加わることで、服との相性まで含めて楽しめるアナデジに仕上がっている。樹脂製のケースには前述のMQ-24DAと同じくクロムメッキ仕上げが施され、バンドはSS製。ケースサイズは40.9×35.8mm、厚さ8.1mm、重さ51gで、MQ-24DAよりひと回り大きいものの、依然として時計としては極薄の部類に入る。袖口への収まりもいい。

サーモンピンクモデルのダイヤルはマットな仕上げ。

アイスブルーモデルにはサンレイが施されている。

 6時位置の小窓には、デュアルタイムやストップウォッチ、アラームといった実用機能がデジタル表示としてまとめられている。針とインデックスの視認性を邪魔せず表示部を下側に集約したことで、ダイヤル上半分にはゆとりが生まれた。これがまたいっそう、ダイヤルのカラーや仕上げの違いを強調しているように見える。

 本作はAQ-230系から続くアナデジの構成を、カーブを帯びたケースと淡いカラーで今らしい感覚へ引き寄せた、と捉えるのがいいだろう。ジャケットやシャツの袖口に入れても硬くなりすぎず、カジュアルな装いに合わせれば少しクラシックな表情を足してくれる。懐かしさと新しさの境目にある、6本のなかでも特にレトロモダンを感じさせる一本だ。


カシオ クラシック A159WEVJ

A159WEVJは、山形カシオで製造されるA159をベースにしたMADE IN JAPANモデルである。ケースサイズは36.8×33.2mm、厚さ8.5mmで重さ45g。小振りなメタルデジタル時計として、腕元で収まりのいいプロポーションだ。ケースは樹脂製で、SS製のメタルバンドが組み合わせられている。ガラスは無機ガラス、電池寿命は約7年。実用時計としての基本は、しっかり担保されている。

 そのうえで、フェイスには日本の伝統文様である青海波(せいがいは)があしらわれる。濃藍、またはグレーのカラーリングに、蒸着処理と印刷を組み合わせたダイヤル。裏蓋にはカタカナで“カシオ”(本来はアルファベット)の表記が入り、このモデルだけのスペシャルパッケージも付属する。

左が、ベースとなったA159。スタンダードライン唯一のジャパンメイドである。

 青海波は、同心円状の弧が連なり、波がどこまでも続いていくように見える文様だ。A159WEVJにおいては柄そのものの強さを押し出すのではなく、濃藍やグレーのフェイスに重ねられたときの奥行きを生み出すことに貢献している。近くで見れば連続する青海波の模様が浮かび上がるが、手首で普段目にする距離では、シルバーケースにカラーフェイスを合わせたスタイリッシュなメタルデジタルとして収まりがいい。日本をモチーフにした時計には、海外のユーザー向けに尖ったデザインも多いイメージだが、本作は実に身に着けやすいパッケージにまとまっている。日本的な意匠を前面に押し出すのではなく、A159の見慣れたデジタルフェイスに、見る距離によって表情が変わるさりげない装飾性を重ねているのだ。


カシオ クラシック A140WE

A140WEでまず目につくのは、液晶表示そのものの大きさではなく、そのまわりに広く取られたサンレイ仕上げの面である。時刻表示は中央にコンパクトに収まり、外周へ向かってメタリックな余白が広がる。いわゆるテレビスクリーン型のダイヤルだが、情報量を増やして機能感を強めるのではなく、表示部と外周のコントラストによって、フェイス全体をひとつの装飾面として見せている。

 そこに組み合わされるのが、細かなコマを連ねた多列タイプのメタルバンドだ。バンドの光は大きな面で強く反射するのではなく、コマごとに細かくきらめく。また、従来のモデルでは文字盤を埋める機能表示が印象的であったが、本作は余白を生かした別ベクトルのデザインとなっている。細かなコマを連ねた多列タイプのメタルバンドも文字盤のサンレイ同様に光を拾うため、腕元では液晶の情報よりも、フェイスとバンドがつくる金属的なまとまりが先に目に入る。39×36.8mm、厚さ10.4mm、重さ60gというここまでのなかではひと回り大きいサイズ感も含めて、A140WEはデジタルウォッチの実用性を残しながら、外装で見せるモデルだと言える。

 液晶の読み取りは、あくまでカシオのデジタルらしく明快に行える。時刻表示は中央に整理され、ストップウォッチやアラーム、オートカレンダーといった基本機能も備える。ただ、袖口からのぞいたときに先に印象に残るのは機能の多さではなく、サンレイの面と細かく反射するバンドが描き出す装飾性である。デジタルウォッチの手軽さを保ちながら、今回紹介するユニセックスモデル(LA670WES以外)のなかではそのひと回り大きめのサイズ感から、特にブレスレットに近い感覚で金属感を足せる時計となっている。


カシオ コレクション W-738H

W-738Hは、ここまでのメタル調のモデルとは明確に方向が違う。ケース、バンドともに樹脂製で、直径47mm、厚さは13.5mmである。それにもかかわらず重さは43gに収まっている。大振りな見た目に対する軽さは、ストラップまで樹脂であつらえられたデジタルウォッチならではの恩恵だろう。アクティブなシーンで取り入れるなら、こういう時計が嬉しい。

 機能面ではバイブレーションアラームに加え、時刻アラームや時報、タイマー機能、加えて10気圧防水に約10年の電池寿命、LEDバックライトまでも備える。いかにもカシオらしい、多機能な時計だ。そしてデザイン上の特徴もまた、その実用性をかたちで表すものである。大きな液晶はシンプルに時刻を読み取りやすく、フロント下部に配置されたLIGHTボタンも、日常的な使い勝手と結びついている。

イージータッチの文脈にある、W-87H-1VH。フロントには大きなライトボタンが配されている。

 特にLIGHTボタンは、この時計の顔を決めるもっとも重要な要素だ。スマートさを優先してサイドに目立たずに収めるのではなく、前面下部の目立つ箇所にしっかり置くことで、道具としてのわかりやすさがそのままデザインになる。暗所でグローブを着けたまま操作をするようなときには、このボタンの位置とサイズが大きなアドバンテージになるだろう。そしてこの時計のルーツは、まさにそんな用途のために作られたものである。元となるのは、1990年に登場したイージータッチと称されるモデル。開発者は、当時伊部氏と日々スタンダードラインの企画に勤しんでいた衣笠 裕氏であった。このモデルは氏が考えた“10年後も愛されるモデル”のひとつの答えであり、結果として形を変えながら今日まで意匠は引き継がれている。

 装いのなかで見るなら、W-738Hは装いに馴染ませるというより、あえてツール感を押し出して使いたい時計だ。47×42.8mmの樹脂ケース、大型液晶、そしてフロント下部の押しやすさを重視したLIGHTボタンはいずれも実用から導かれた要素であり、それがそのまま手首でキャラクターとなってくれる。ナイロンジャケットやワークウェアとの相性はもちろんだが、クリーンなシャツやジャケットに合わせたときにも、少しだけテックな違和感が加わる。6本のなかで、機能が外観の個性として最も素直に表れているのがW-738Hである。


カシオ クラシック LA670WES

今回紹介する6本のなかで、唯一のレディースモデルである。この時計で見るべきはサイズ感そのものよりも、デジタル表示を備えたケースがメタルバンドの流れをほとんど断ち切らないように見えるデザイン性にある。ケースは径が30.3mmで厚さ7.3mm、重さ32gと、当たり前だが今回紹介する6本のなかで最も小さく軽い。ただし、その効果は単に“控えめに見える”というだけではない。液晶ガラスにブレスやケースと同色の蒸着処理を施し、フェイス上の印字や表示まわりのコントラストを抑えることで、ケースからバンドまでがワントーンでひとつながりに見える。1988年の登場以来続くLA670シリーズらしい小型デジタルでありながら、手首では細い金属のラインのなかに時刻表示が収まっているような見え方になる。

 手元で見ると、この薄さと軽さがよりはっきり効いてくる。時計が手首の上に乗るというより、手首の線に沿うように収まり、袖口のなかにも自然に隠れる。ジュエリーと重ねても時計だけが強く主張しにくく、アクセサリーの延長として扱いやすい。蒸着もミラーのように輝いており、装飾性も高い。カシオ クラシックらしいデジタルウォッチの実用性を保ちながら、見え方としてはかなり装身具に近い。本来レディース向けのモデルではあるが、昨今の風潮を踏まえると、メンズがバングルやブレスレットと合わせて身に着けても面白い時計である。

2026年上半期の6本を見ていると、カシオのスタンダードウォッチは実用時計としての輪郭を変えないまま、手首での表現の幅を少しずつ広げていることがわかる。時刻を読む、気兼ねなく使える、日常のなかで自然に身に着けられる。そうした基本はどのモデルにも共通している。だが、樹脂ケースにクロムメッキを施してメタルウォッチのように見せてみたり、フェイスの色、バンドの質感が変わるだけで同じカシオでも服との距離感は大きく変わる。必要十分な日用品でありながら、着こなしのなかで選ぶ楽しさも備えているのだ。昨今のカシオ コレクション、カシオ クラシックの面白さは、その軽やかな両立にある。

Photographs by Yusuke Mutagami, Nahoko Omura

Videographer: Yu Nakajima Camera Assistant: Yazaki Ken, Yuma Maehara Video Director and Editor: Kanii Marin Video Producer: Yuki Sato