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Hands-On パネライ ルミノール 8デイズ “Brunito Steel”を実機レビュー

Watches & Wondersで発表された44mmのPAM01733は、近年のルミノールのなかで最もお気に入りのモデルかもしれない。

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Photos by TanTan Wang

Watches & Wondersで発表された新作のなかで、パネライが私のお気に入りの時計リストにランクインするのは久しぶりだ。しかし今年4月に初めて実物を目にして以来、私を含め編集部内で繰り返し話題に上っているモデルが1本ある。それはパネライ独自の仕上げを施した“ブルニートスティール(Brunito Steel)”製のケースを採用したRef.PAM01733のルミノール 8デイズだ。

PAM07133 Lay Flat
PAM07133 Crown Side Case
PAM07133 Clasp

 率直に言えば、このブルニートスティール仕様のケースは、ルミノールコレクションにおけるダメージジーンズのような存在だ。44mmのスティールケースにはブラックPVDコーティングを施したあと、職人が手作業でサテン仕上げを加え、独特の風合いを生み出している。通常であれば、ブラックPVDは使い込むうちに摩耗して下地が現れることが弱点とされるが、本作ではその性質を逆手に取り、ベースのスティールが持つ明るいシルバーカラーとブラックPVDの濃淡が織りなすモノトーンのグラデーションによって、長年使い込まれた金属のような風合いを表現している。この仕上げはケース全体に施されており、ラグの内側からケースバック、そしてルミノールを象徴する特徴的なリューズガードにまで及ぶ。もちろん、ストラップのバックルにも同じ加工が施されている。

 またすべて手作業で仕上げられるため、サテン仕上げや色褪せ具合には微妙な違いがあり、一本ごとに異なる表情を持つ。私はまだ実物を1本しか見ていないので、個体差がどれほどあるのかは断言できない。さらにこのモデル最大の魅力はこうした外観にあるが、ルミノールが備えるダイバーズウォッチとしての性能は見た目だけではない。300m防水をしっかりと備え、さらに組み立て後のすべての個体について、公称防水性能を25%上回る水圧試験を実施することで、防水性能を保証している。

PAM07133 Dial Small Seconds Macro
PAM07133 Wristshot Facing Arm
PAM07133 Dial Closeup, Straight Aligned

 ブルニートスティール製ケースには、(現行ルミノールとしては)かなり印象的なダイヤルが組み合わされている。コレクションに多く採用されているサンレイ仕上げではなく、PAM01733ではケースの色調に合わせたアンスラサイトカラーのサーキュラーサテン仕上げ(こちらも手作業による)を採用。ベゼルのサテン仕上げが放射状に広がるパターンであるのに対し、ダイヤルは異なるパターンであり、両者のコントラストが視覚的なアクセントとなっている。サンドイッチダイヤルは奥行きを強調し、サテン仕上げを施したダイヤルプレートの下に、ベージュカラーのスーパールミノバを塗布したディスクが配されている。こうした経年変化風の夜光塗料は好みが分かれるところだろう。実際、私はいわゆる"フォティーナ(人工的な経年加工)"はあまり好みではない。しかしこのモデルに関しては、よく機能していると感じた。美観という点では、夜光塗料やダイヤル上のテキストの温かみのある色調が、金属ケースの無機質さに対して必要不可欠なコントラストを生み出しているだけでなく、ゴールドトーンの針が全体のデザインに統一感を与えている。

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 6時位置の上には"8 Giorni"と大きく記され、イタリア語表記でムーブメントの8日間パワーリザーブを強調している。ケースを裏返すと、ブルニートスティール製のケースバックリングが大きなシースルーバックを囲んでいる。内部に搭載されている手巻き式ムーブメント Cal.P.5000は2万1600振動/時で駆動し、直列接続されたふたつの香箱のおかげで長いパワーリザーブを維持している。巨大なムーブメントプレートからはテンプや香箱のクリック音など、内部機構の一部が見えるようになっているが、このムーブメントは、装飾性よりも実用性を重視した非常にシンプルな仕上げとなっている。また本作は私が知るパネライのなかでシースルーバックではなく、ソリッドケースバックのほうが似合う1本だと思う。そのほうがこのモデル最大の見どころであるブルニートスティールの質感を、より存分に楽しめたはずだからだ。

PAM07133 Caseback Full
PAM07133 Balance Wheel macro
PAM07133 Crown Guard Macro

 しかし着用してしまえばケースバックがシースルーかどうかは、それほど重要ではない。そもそも私がこの時計に引かれた理由は、何よりもデザインそのものにあるからだ。44mmというケースサイズは大きく、いかにもパネライらしい存在感を放つ。だがルミノールとしては最大サイズではない。最大は47mmモデルで、ブランドの歴史に忠実なサイズとはいえ、現代ではよほど手首の太い人でなければ大きすぎると感じるだろう。実際、このブルニートスティール仕様の44mmケースも私の手首にはやや大きい。それでもほかの人が着けている姿を見るたびに、“自分にも似合えばいいのに”と思わされるほど魅力的だ。ケースとダイヤルの組み合わせは本当に見事で、とりわけ自然光の下では、この独特の仕上げが驚くほど美しく映える。

 ある意味で、この新しい仕上げは無骨で男性的なオーバーサイズケースであるルミノールに、ほどよい柔らかさを与えている。ケースエッジのフェードしたような表情が、現代的な時計とヴィンテージらしい味わいを絶妙なバランスで融合させている。一方で気になるのは、このブルニートスティールの仕上げが長期的にどのように変化していくのか、そして実際の使用による傷や摩耗は、現在のような風合いを維持できるのかという点だ。なぜなら摩耗痕は均一でまとまりのあるものではないからだ。

PAM07133 Wrist Shot Crown Interaction

 PAM01733の価格は168万3000円(税込)であり、多くのコレクターにとって最大の難点となるだろう。近年、各ブランドが次々と斬新なモデルを発売し、価格帯もますます高騰しているなかで、かつては財布にも時計にも余裕があった時代を懐かしむコレクター層にとっては、まさに高すぎる価格設定だろう。

 さらにこのモデルは、通常のスティールケース仕様であるルミノール 8デイズ PAM00915と比べても大幅な価格差がある。121万円(税込)のPAM00915には今回のようなケースが採用されていたり、ダイヤルへ手作業でサテン仕上げが施されていたりしていないが、皮肉なことにこちらはソリッドケースバックを採用している。果たしてこの外装の違いは、この価格差に見合う価値はあるのだろうか。理屈で考えれば答えは“ノー”だ。しかし正直なところ、心は“イエス”と答えている。私はこのモデルを、ここ数年で最も魅力を感じたルミノールだと思う。特に、私の従来の時計デザインに対する感覚を覆す点が素晴らしいのだ。私はコーティングケースも、暖色系の夜光塗料もあまり好みではない。だが本作のようにそれらすべてをブルニートスティールという仕上げのもとで見事にまとめ上げたその完成度には本当に驚かされた。

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