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Talking Watches Number_i 神宮寺勇太さんの珠玉のロレックスコレクションと、相棒としてのカシオウォッチ

「自分がまず手にして、説得力を持ちたい」。真摯な想いを抱き、時計収集を続ける神宮寺勇太さん。その眼差しはアーティストのそれではなく、シリアスな時計愛好家そのものだった。

Number_iの神宮寺勇太さんはシリアスに自分の時計コレクションと向き合う愛好家だ。彼の趣味は時計に留まらず、バイク、クルマ、ヴィンテージデニムやウェアに、最近ではオーディオまでその興味の幅を広げている。本日12月3日発売のHODINKEE Magazine Japan Edition vol.11では12Pにわたる特集企画と特別版の表紙にも登場し、趣味や仕事の世界観を存分に語ってくれた。

 さらに、なんと動画企画であるTalking Watchesにも快く登場いただいた! 正直彼がこうした動画インタビューで趣味の時計について語ることはほとんどない機会だと思われる。超多忙な仕事の合間を縫って顔を出しているという時計のオフ会の面々から影響を受け集まったという現在のコレクションから、ヴィンテージロレックスを中心に、思いあふれる8本を厳選。時計の個体としても非常に珍しく、一見の価値ありという品ばかりなのでぜひご覧いただきたい。


神宮寺勇太さんのヴィンテージロレックスコレクション
ロレックス エクスプローラー Ref.1016 ティファニーサイン(1981年頃)

 神宮寺さんが初めてヴィンテージの世界に足を踏み入れるきっかけとなった、ロレックス エクスプローラー。23歳の頃に手に入れたという本機は、同モデルの第3世代にあたるRef.1016だ。高校生の頃から憧れ続けていたデイトナ “ポール・ニューマン”への想いは捨てきれなかったものの、いきなりヴィンテージウォッチを愛し抜けるのか確認したいとの考えから大定番かつ、現行モデルともそこまでデザイン的な差がない本機を選択したそうだ。

 そうは言っても、6時位置のティファニーサインにこだわりが光る。探し始めてから1年かかってようやく巡り合えたという本機は、1980年代に見られたRef.1016のバリエーションで、マットダイヤルに移行したのちのマーク3と呼ばれる仕様だ(ちなみにマーク3ダイヤルは1974〜76年頃、および1984年~1989年頃に見られた仕様で夜光がより黄色がかった傾向にある。詳細はこちらの記事へ)。

ロレックス デイトジャスト サンダーバード Ref.6609(1957年頃)

 珍しいゴールドケースのデイトジャストは、ブリックブレスレットを備えたフルゴールド仕様。当時、オーダーされたブレスレットだと思われるものだ。さらに、エンボスされたスケールが特徴的な両方向回転ベゼルを備えたサンダーバードであるところに、自身を“天邪鬼”と評する神宮寺さんの個性を感じる。当時、オニキスダイヤルのデイデイトやデイトジャストを探していたところ、周囲で流行りすぎていると感じた矢先にこのミラーダイヤルを備えたゴールドモデルと出合い、コレクションに加えることを決めたという。

 デイトジャストの中でも初期リファレンスである6609は、まだバタフライローターを採用していたCal.1065を搭載。アルファハンドにくさび型インデックスという構成も、この時期の特徴的なディテールとして挙げられる。なお、デイトジャストのゴールドケースはフラッシュフィットとの接合部分の形状がSSとは異なる。

ロレックス クロノグラフ Ref.2508(1930年代)

 デイトナが誕生する前、プレ・デイトナよりもさらに時代をさかのぼった1930年代のクロノグラフ。内部にはバルジュー製Cal.22を搭載した、ロレックスとしては珍しい非防水の手巻きクロノグラフである。スナップバックで気密性も皆無に等しく現在では、まともなコンディションの個体を見つけることはかなり難しい。初期モデルにはオーバル型のプッシャーが採用されたが、本機は後期の角形プッシャーモデル。35と37mmのケースバリエーションが見られた。

 こうした個体も日常使いしているそうで、当初、梅雨時期に着けたところガラス内にくもりを発生させてしまった失敗を経て、ヴィンテージウォッチとの付き合い方を学んだそう。非常に多くのダイヤルバリエーションが存在する2508だが、若干ブラウンに経年変化した黒文字盤に特に引かれていると語ってくれた。ロレックスの中でも特にデイトナを愛する神宮寺さんは、その原点的存在であることに魅力を感じ、オリジンを手にしてみたい、と購入を決めたそうだ。 

ロレックス トリプルカレンダー オイスタークロノグラフ “キリー” Ref.6036(1953年頃)

 2024年に購入したという通称“キリー”は、前期型のRef.6036をチョイス。そもそも市場に出てくることが極めて珍しいリファレンスで、伝説的スキーヤーであるジャン=クロード・キリーが愛用したことからその愛称で親しまれている。ロレックスとスポーツ選手との関わりにおいて黎明期とも言える時代を伝えるこのモデルは、2ピース構造を採用し内部にはバルジュー製Cal.72C(Cal.72にトリプルカレンダーモジュールを加えたもの)を搭載。初期モデルにだけ見られる、スクエア型の埋め込みインデックスも希少性をさらに高めている。後期型のRef.6236からは3ピース構造へと変更され、ケースいっぱいにベゼルが拡大されたよりスポーティな仕様となる。

 ご覧の通りトリプルカレンダーを搭載する本機は、36mmの小ぶりなケースであることから8と10時位置のコレクターがストローク確保のために飛び出した構造となっている。10時位置では、曜日と月の調整が可能で、半押しで月が全押しで両方が送られる。そのため、まず曜日を正しく合わせたのちに改めて月の設定をする手順を踏む必要がある。8時位置ではポインターデイトの設定が可能だ。

 オフ会の先輩勢からも驚かれたというこの選択は、神宮寺さんのヴィンテージ沼へのハマり方を加速させることになる。元々はよりスポーティな印象を持っていたRef.6236が気になっていたが、とある展示会で本機と出合い、惚れ込んでしまったそう。手にして以来、意中の時計の“引き”がより強くなったようで、すぐさま次に紹介するRef.6239と巡りあうことになる。

本人による私服スタイリングで登場いただき、嬉々としてコレクションについて語ってくれた。首元のクロムハーツ×ミキモトによるパールとクロスモチーフのネックレスは、クラシックと新しいもののミックスを謳歌する彼の感性を象徴しているようだった。

ロレックス コスモグラフ デイトナ “ポール・ニューマン” Ref.6239(1963年)

 10年以上思い焦がれ、30歳になったら手に入れようと思っていたという“ポール・ニューマン”。ずっと続けていた“デイトナ貯金”のペースを上回る勢いで昨今の価格高騰が発生したため、たまらず2024年に入手したそう。元々はRef.6263に焦がれていたものの、ポール・ニューマン本人が所有した構成と同じ本機を選択。プラベゼルによりスポットが当たりがちな中、実はステンレスベゼルの方がセクシーではないか?との思いから選んだそう。ここでも天邪鬼的な個性が発揮されるのだ。楽曲製作などが重なりキャリアの中でもかなり多忙な年となった2024年、アルバム製作のご褒美的意味合いも込めて購入した宝物だ。

 ロレックス “ポール・ニューマン”についての詳細な解説は、こちらの記事に譲るが、初期の手巻きデイトナに見られるポンププッシャーとバルジュー製Cal.722が特徴。赤巻きのエキゾチックダイヤルは1960年代半ばから、通常のダイヤルと並行して生産されたものの人気がなく短命に終わったことから逆説的に希少性が高まった。真偽の程は定かでないが、後年、ポール・ニューマン本人がイタリアの雑誌の表紙を飾ったことから人気に火がついたというが…。こうしたミステリーもその人気を高める要因と言えるだろう。

ロレックス サブマリーナー “ジェームズ・ボンド” Ref.6538(1950年代後半)

 本機はコレクションの中では最も新しい1本。当初、エクスプローラーと迷ってサイズ的に大きいからと断念したサブマリーナーだったが、“キリー”“ポール・ニューマン”と伝説的人物に由来するモデルを連続して手にしたことから、“ボンド”の存在が気になり始めたという。

 本機は、サブマリーナーの第2世代にあたり1955〜59年頃に製造されたもので、まだリューズガードがなくビッグクラウンと呼ばれる大きなリューズが特徴だ。このコレクションとして初めてクロノメーター化されたリファレンスでもあり、ダイヤル上の表記にクロノメーター表記がないものも存在する。神宮寺さんが所有する個体は4ラインと呼ばれるクロノメーターモデルだが、経年変化で印字がかすれて2ラインのようにも見えるところがユニークである。

 ショーン・コネリー演じるジェームズ・ボンドが映画『007/ドクター・ノオ』で身に着けたとされるのがこのRef.6538で、神宮寺さんは劇中さながらにツールのように使いたいという想いで購入したそうだ。そのため、あえてコンディションがそこまで良いものではなく、やれた感じの質感を求めて選んだという。古着にも愛着を持ち、自分流に着こなす彼らしいセレクトだ。


ツールウォッチとして身に着けるカシオウォッチ
カシオ コレクション F-91W-1JH

 神宮寺勇太は、単なるヴィンテージウォッチ愛好家ではない。時刻をスマホでは確認せず、常に腕時計を身に着けるという彼は、趣味のバイクや仕事のダンスをする際に時計を必要とした。その強い味方としているのがカシオ製の時計たちだ。複数の所有モデルの中から相棒として選んだのは、カシオ スタンダードの大定番で世界中で最も売れているともされるF-91Wだ。

 機能のために削ぎ落とされたフォルムは非常に軽量で、ダンスレッスンの際に重宝するそうだ。その重量はわずか21g。そこにバックライトやストップウォッチ、アラームなど多機能を満載するあたり、カシオの企業努力が凝縮された1本である。

G-SHOCK G-001-2CJF “ジェイソン”(1994年)

 ヴィンテージアイテムを夜な夜な“ディグる”ことも趣味のひとつだという神宮寺さん。古いハーレーのパーツを眺めて過ごすこともあれば、G-SHOCKをオークションサイトで探すこともあるそう。本機は最近落札したモデルだが、1994年当時のデッドストックの個体を発見した。撮影時は電池が切れてしまっていたが、こうしたものをメンテナンスして着けることも楽しんでいるという。

 この時代のG-SHOCKは樹脂パーツの宿命で加水分解が進んでいるものが多いが、奇跡的な保管状態のものを入手できた。いわゆる“ジェイソン”モデルは、初期にはイエローが登場し、このブルー基調のものは第2弾。ブルー好きな神宮寺さんらしいセレクトだ。

Profile:神宮寺勇太(じんぐうじゆうた)。1997年10月30日生まれ、千葉県出身。2024年、Number_iとしてデビュー。多くのブランドの広告塔も務める。2ndフルアルバム「No.Ⅱ」が発売中。詳細はTOBE公式サイトへ。

Video by Kazune Yahikozawa (Paradrift Inc.)、Sound Record by Saburo Saito (Paradrift Inc. )、Video Direction and Edit by Marin Kanii、Video Produce by Yuki Sato、Photos by Yusuke Mutagami(Watches)