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The Measure of Less 高杉真宙と探る、ピアジェ創業の地に息づく薄型づくりの流儀

一昨年、創業150周年を迎えたピアジェは、マニュファクチュールとハイジュエラーというふたつの顔を持つ。その相乗効果が生み出す独自のウォッチメイキングでは、とくに薄型技術の先駆として名高い。メゾン発祥の地で今も変わることなく、薄さの追求を続ける理由とは何か。幅広い役柄を演じ、演技派として注目を集める若手俳優、高杉真宙さんとともにその世界を探る。

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時計とは、時という無形の概念を可視化するものだ。そしてそれは、演じることを通してひとりの人格を生み出す役者とも通じ合うのかもしれない。150年以上の歴史あるマニュファクチュール、ピアジェとの邂逅は、俳優・高杉真宙の感性を触発する。そして演技への妥協のない姿勢と、求道的とも言える薄さを極めるメゾンの精神とが共鳴するのである。

高杉 真宙
1996年生まれ、福岡県出身。小学6年生の時にスカウトされ芸能界入りし、2009年に舞台で俳優デビュー。2013年の「仮面ライダー鎧武/ガイム」で注目を集める。その後、映画「散歩する侵略者」などで高い評価を得るなど、確かな演技力で活躍。近年の出演作に、映画「東京リベンジャーズ2」、「架空の犬と嘘をつく猫」、NHK大河ドラマ「光る君へ」、ドラマ「ザ・ロイヤルファミリー」などがある。


ラ・コート・オ・フェに宿る、“必要以上”を目指す精神

 ピアジェには自らの道を極めんとする強い意志を感じてならない。マニュファクチュールとハイジュエラーという異なる顔面を持っていても、底流にはそんな求道心が貫かれている。萌芽は創業時からすでにあったと言えるだろう。その歴史は1874年にスイスのジュラ山脈に位置するラ・コート・オ・フェで始まった。

 ヌーシャテルやラ・ショー・ド・フォン、ル・ロックルといったスイス時計製造の中心地とも離れ、“妖精の丘”と呼ばれるほどの静かな山間の村だったが、冬季の農閑期には時計製造が行なわれていた。そこでわずか19歳で工房を構えた初代ジョルジュ=エドワール・ピアジェは、とくにムーブメントのパーツ製造に勤しみ、雪に閉ざされた村で作業に没頭した。やがて技術は認められ、パーツ製造から重要なムーブメントサプライヤーに発展。さらにクロックや懐中時計を手がけ、1943年に一族の名をブランド名に新たなスタートを切ったのだった。

 1957年にわずか2mmという薄型の手巻きCal.9Pを発表。1960年には2.3mmの世界最薄の自動巻きCal.12Pを開発し、さらにクォーツでも薄さを極め、薄型技術のパイオニアとしてその名を世界に知らしめた。そこにはマニュファクチュールならではの総合力が注がれたのは言うまでもない。そして貫かれたのは作り手の一意専心だ。

 “常に必要以上に良いものをつくる”。これは創業からのピアジェ家の家訓であり、限界への飽くなき挑戦が薄型技術に結実したと言えるだろう。育んだのは、ほかならぬラ・コート・オ・フェの地であり、厳しい自然環境に向き合い、静謐のなか、独自の技術をさらなる高みへと極めていった。それは今も変わることはなく、創業の地から離れることはない。

 しかしたとえ修験道のような精神性があったとしても、その一徹はけっして時計師の自己満足や単なる記録への挑戦ではなかった。あくまでも実用機能を求め、唯一無二の薄さを生かすことで理想とする時計装飾や高級時計を追求したのである。そこには非常に明晰な論理と合理性があり、それが現在のピアジェを築いているのだ。


ジュエラーの繊細さと、時計の芯。銀座本店で知るピアジェ ポロ

 ピアジェ 銀座本店を訪れた高杉真宙さんは、優美なメゾンの世界観に目を輝かせた。そして店内に展示された歴代アーカイブや壁面の広告ポスターを熱心に見つめて言う。「ピアジェには、どちらかというとジュエリーのイメージが強かったのですが、こうして見ると時計が先だったのですね。これは発見です。それでもジュエリーと時計が乖離するのではなく、間にある繊細さが伝わります」と語る。その腕に着けられているのはピアジェ ポロ スケルトンだ。「本当にピタッとはまっているような感じで、着けている感覚がないというか。多分、薄さもありますし、軽さが理由なのでしょうね。自分との一体感を着けた瞬間にすぐ感じられ、いい時計だなと実感します」

左からピアジェ ポロ スケルトン セラミック、ピアジェ ポロ スケルトン ブルー、ピアジェ ポロ パーペチュアルカレンダー ウルトラシン。

 

 1979年に登場したピアジェ ポロの初代はブレスレットウォッチという発想からケースとブレスレットを一体化し、フルゴールドで作られた。それでも薄さによって重さを抑え、ジュエラーのノウハウを生かして心地よい装着感を実現した。それは当時主流だったラグジュアリースポーツウォッチとは一線を画した、時計というよりもブレスレットに近い存在であり、高杉さんも「時代におもねらない意思を感じます」と感嘆する。

 ピアジェ ポロで初めて採用されたスケルトンに「無意識にくすぐられますね」と笑う。「男子なら誰もが歯車に弱いと思いませんか。しかもこんなに小さな歯車が前面に出て動いている。それを見ることができるおもしろさがあって、規則正しく一定に動くものを見ていると気持ちもすごく落ち着きます」

 メカニズムやその動作を楽しめることに加え、構成するパーツひとつひとつが美しく仕上げられ、表出するにふさわしい美観を備える。「薄いこともあって見えているものがすべてじゃないですか。心臓部もわかるし、隠すことなくすべてを露にしているところに、寄り添いたくなるような愛着が湧きます。裏からは、本当にいろいろな歯車が見られて、一般的な時計ではこれほどのものはないので感動ですね」

 薄型時計は、ムーブメントのパーツそのものから薄さを追求し、細心の注意を払って製造し、さらに組み上げなければならない。ケース製造やケーシングも然り。まさにマニュファクチュールでなければ実現できない究極のミニマリズムである。さらにこの美学を際立たせるのが、1970年代以降メゾンが手がけ、あのマイルス・デイヴィスも愛したスケルトンスタイルだ。「話を聞いていくと、もっともっと知りたくなりますね」と高杉さん。そんな知的好奇心をかき立てる奥深さがピアジェ ポロ スケルトンにはあるのだろう。中味を見せるという点では、自分の内なる感情を表現する俳優という仕事にも通じるのかもしれない。

 「そうかもしれないですね、さらけ出すという部分では。自分自身を見られる瞬間はそう多くないですけども」と反芻する。“見せる”美学のスケルトンに対し、“見せない”美学と言えるのがピアジェ ポロ パーペチュアルカレンダーだ。8.5mm厚の薄型ケースに永久カレンダー機構を内蔵する。「この薄さにそれだけの複雑な技術を納めるとはすごい。スケルトンに比べると約2mm増しているそうですが、数字以上に着けやすく感じます」

 優れた装着感にはショートラグなどジュエラーで培ってきたノウハウが生かされている。さらに注目したのが着脱式ブレスレットだ。ストラップとも容易に交換でき、用途や気分に合わせて異なるスタイルが楽しめる。これも永久カレンダーという複雑機構を気負うことなく日常的に使い、醍醐味を十分に味わうための仕様だ。

 ピアジェにとっていかなる技術革新も実用性を前提にする。とくに普段使いのラグジュアリースポーツウォッチを標榜するピアジェ ポロ スケルトンでは、セラミックをメゾンで初採用した。軽量かつ耐傷性に優れた先進素材に加え、防水性も従来の3気圧から5気圧に向上し、よりモダンなスタイルと実用機能を併せ持つ。「全然印象が変わりますね。このなかでも一番男っぽい。それでいてすごく軽い。僕にとってのピアジェのイメージも大きく変わりました」と高まるメゾンへの関心を語った。


必要以上を目指す者たちへ。俳優とメゾンの共鳴

 伝統的なスイス時計の技術において、薄型化は常に大きな挑戦だった。それは、専用のムーブメントとケースの開発製造、組立という高度なマニュファクチュール技術を要し、その証として歴史ある名門ブランドはいずれも薄型時計を手がけている。なかでもピアジェは、薄型ムーブメントを自社だけでなく、エボーシュとして他社にも供給し、信頼性への高い評価とともに技術は抜きん出る。

 高杉さんはあらためてピアジェへの疑問を投げ掛けた。薄さを追求した理由とは何だったのか。それは技術を見せるためか、着けやすさを求めてなのか。明確な回答は難しい。だがその根底にあったのはやはり絶えず必要以上の最高を目指すという精神だったに違いない。その研鑽を続けるラ・コート・オ・フェの工房は、4代目のイヴ・ピアジェでさえ子どもの頃、入ることを許されなかった神聖な空気が漂っていたと伝えられる。そうした“必要以上を目指す”情熱について高杉さんは言う。

 「僕の場合は、不安だから必要以上にやりたい、という感覚ですね。演ずるうえで不安があるなら、もっとやっておかないといけないという意識です」

 妥協することなく、人事を尽くし、自らの道を切り開く。それは、ピアジェの理念とも共通する矜持である。


ピアジェ ポロギャラリー
  

Photos:Akira Maeda(MAETTICO) Styled:Daisuke Araki Hair&Make:Sayaka Tsutsumi Words:Mitsuru Shibata 

シャツ 4万6200円、パンツ 4万9500円/ともにHEUGN(IDEAS ☎︎03-6869-4279)、中に着たニット 4万9500円、肩に掛けたカーディガン 5万6100円/ともにJOHN SMEDLEY(LEA MILLS & CO. ☎︎03-6277-5715)