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Hands-On シチズン×セコンド/セコンド ツヨサを実機レビュー

真に優れたコラボレーションの事例研究。

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コラボレーションは、現代の時計業界における製品サイクルの確立された一部となっている。新作モデルが登場し、カラーバリエーションが追加され、場合によっては複雑機構が追加され、そして最終的にコラボレーションモデルが展開される。多くの場合、それは予測可能な流れのなかで、創造的な逸脱として位置づけられる。シチズン×セコンド/セコンド ツヨサで、シチズンはこの流れに乗った。しかしそのやり方は、どこか見慣れていながらも、わずかに定石を外したような感覚がある。

The Citizen Tsuyosa seconde/seconde/

 コラボレーションというものは、決して完全に予想できるものではない。とはいえ、本当に優れたコラボレーションは、あまりにも自然に調和しているため、むしろ意外性を感じないことが多い。コレクションに新鮮さを与える役割を果たす一方で、多くのコラボレーションは、本当の意味で異なる視点が交差していないようにも思える。

 むしろ、ブランドが既に温めているアイデアを外部の視点から優しく導き、少し型破りなアイデアが受け入れられるかどうかを試しているように感じられることもある。こうしたアイデアは、ブランドがのちに洗練させ、メインコレクションに取り入れるための初期段階の表現に過ぎない場合があまりにも多い。そのため、限定モデルは一種の実験場のようなものであり、コレクターは意識的か無意識的かにかかわらず、そのプロセスに加担していると言えるだろう。

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 そのダイナミクスは、どこか空虚さを感じることもある。かつて限定的だと位置づけられていたものが、すぐに通常展開の一部へ組み込まれてしまうからだ。だからこそ、今回のセコンド/セコンドとのコラボレーションは、異彩を放っている。なぜならコラボレーション作品において、独自の解釈と完全なオリジナル性を兼ね備えた作品を一貫して生み出している人物がいるとすれば、それはセコンド/セコンドのロマリック・アンドレ(Romaric Andr)氏だからだ。そして、彼の最新作のひとつがシチズン ツヨサだ。

The Citizen Tsuyosa seconde/seconde/
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 ツヨサは、一体型ブレスレットブームのピークだった2022年に初めて登場し、クラシックなデザインと手頃な価格の絶妙なバランスによって瞬く間に広く称賛された。500ドル未満という価格で、シチズンは一体型のスティールブレスレットと普遍的に魅力的なデザインを備えた40mmの自動巻き時計を世に送り出した。これはコレクション歴の長短を問わず、あらゆるコレクターにとって魅力的な外観であった。

 時を経て、新しいダイヤルカラーや刷新されたブレスレットデザイン、スモールセコンド機能、そしてより小さな37mmサイズが追加され、ラインナップは拡大していったが、その根底にある魅力は変わらなかった。ツヨサは、機械的・美的な面での限界を押し広げることを目的としているのではなく、日常使いのできる、バランスの取れた親しみやすい時計を提供することに本質がある。そしてまさにその明確な目的意識こそが、アンドレ氏にとってツヨサをこれほど優れたキャンバスたらしめているのだ。

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 今回のコラボウォッチで、セコンド/セコンドは40mmモデルをベースとして採用している。ケース厚は11.8mmで、ラグ・トゥ・ラグは44.8mm。そしてレトロな雰囲気をたっぷりと盛り込んだデザインに仕​​上げた。たとえこれまでツヨサを試着したことがなくても、そのトノー型ケースのようなサイズ感の時計を身に着けた経験はあるはずだ。

 自然につながる3連の一体型ブレスレットによって、この時計のデザイン、言うなればキャンバス全体はスタイル面でもサイズ面でも、きわめて使いやすい中間的ポジションに収まっている。特筆すべきは、その抜群の装着感だろう。そして今回、完全に刷新されたダイヤルによって、さらにその魅力は増している。

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 多くのセコンド/セコンドのプロジェクトと同様に、今これは表面的な変更にとどまるものではない。このモデルでは分針が主役となり、ピクセルアートで描かれた刀へと再構築されている。このアイデアは、日本のレトロゲームに見られるビジュアル言語を直接参照したものであると同時に、ヴィンテージウォッチ用の遊び心のある交換用針を販売していたロマリック・アンドレ氏の活動初期へのオマージュにもなっている。

 このツヨサの時計をより進化させているのは、針がダイヤルのデザインと一体化している点だ。各インデックスが切り刻まれたように見え、まるで時間の経過そのものがダイヤルを物理的に切り裂いていったかのように見える。鋭利な刃先が5分ごとにインデックスを切ることで、この時計が伝えようとしているメッセージが象徴的に表現されている。このコンセプトはダイヤルにとどまらず、ケースバックには“Being smaller has never stopped Minutes from slicing Hours into pieces(小さいからといって、“分”が時間を刻むことを止めたことは一度もない)”というメッセージが刻まれ、ブレスレットの留め金にも同様の視覚的な表現を反映した繊細な切り込みが施されている。

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 このアプローチは、セコンド/セコンドがこれまで展開してきた幅広い作品群にも一貫して表れている。そこでは多種多様な時計が、明確に彼自身の作家性を感じさせる形で再解釈されてきた。例えばクリストファー・ウォードとのコラボモデル、ザ・トゥエルブ・スネークでは、ごく一般的な一体型ブレスレットのスポーツウォッチを初期モバイルゲームを思わせるピクセル調の世界へと変貌させた。そこには“Hiss Made(ヒス・メイド)”といった冗談めいたディテールまで盛り込まれていた。同様にイエマとの仕事では、伝統的なスタイルのレガッタタイマーにグラフィティ風の要素を加えている。これらのプロジェクトに共通しているのは、単なるユーモアではない。そこには批評性のようなものがある。時計デザインの慣習を否定するのではなく、それに疑問を投げかけるアプローチだ。

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 ここでは機械的な複雑さは必ずしも重要ではない。むしろそれを追求してしまうと、この時計のコンセプトの明快さが薄れてしまうだろう。そもそもこれは、高度な複雑機構を誇示するための時計ではない。そして7万3700円(税込)という価格を考えれば、皆さんもその点は予想していただろう。だからこそ搭載されるCal.8210は全く問題なく、むしろ適切な選択だと言える。自動巻き、約42時間のパワーリザーブ、そして毎時2万1600振動を備えている。

 時として、このような時計は奇抜で表現力豊かなアイデアにこだわりすぎて、本来の目的を見失ってしまうことがある。しかしセコンド/セコンドとのコラボレーションの魅力は、まさにそうならない点にある。そこには、ノスタルジーと創造性が絶妙なバランスで存在しており、決してギミックに陥っていない。だからこそ、このリリースはウォッチメイキングにおけるコラボレーションというより広い文脈のなかで、特別な意味を持つものとなっている。

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 真のコラボレーションとは単なる目新しさではなく、異なるふたつの視点が交差したときに生まれる、ある種の緊張感にこそ本質がある。時計業界の外に目を向ければ、その魅力的な例は、より幅広い文化的なパートナーシップから生まれている。例えばヴァージル・アブローがナイキと手を組んだとき、生まれたのは単なる既存デザインのバリエーションではなかった。そこでは、構造そのものが美学の一部として再定義されていた。

 またルイ・ヴィトンとシュプリームのコラボレーションは、本来対極にあるふたつの存在が共通項を見出した瞬間だった。さらにキス(Kith)とウィルソンのコラボレーションも、単なるダブルネーム入りのプロダクトではなかった。そこではテニスの伝統をライフスタイルの視点から捉え直し、コートカルチャーとストリートウェアの言語を融合させた、統一されたデザインシステムへと昇華されていたのである。

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 これらの事例に共通しているのは、両者が本質的な貢献をしなければ実現しなかったという点だ。そして、その原則は今回のコラボモデルにも当てはまっている。それには懐かしさを感じさせながらも、見る者を引きつけ続けるユーモアも備わっている。そしてコラボレーションが予測可能なものになりがちな現代において、本作を際立たせているのは、まさにその意図的な姿勢だ。

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