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先週、私はルナンにあるペテルマン・ベダの工房を訪れた。ローザンヌでの取材へ向かう途中、午前中に少し時間があったので、時差ボケを解消するために寝る代わりに何か有意義なことをしようと思ったのだ。そして実際、それは私を幸せな気分にしてくれることでもあった。
ガエル・ペテルマン氏とフロリアン・ベダ氏と過ごす時間は、いつも楽しい。私は独立時計師という存在を評価するうえで、その人柄をとても重視している。彼らは単に作品だけでなく、その人自身にも共感し、応援したくなるアーティストだと思うからだ。私は顧客ではないものの、不思議とふたりとは同じ感覚を共有しているように感じる。
そして今回の訪問にはもうひとつの楽しみがあった。日本のアワーグラス銀座向けに発表された新作、Ref.1826をついに実際に見ることができたのだ。そして、その時計は実に見事だった。
もちろん、このモデル名は誤植ではない。2025年に発表された比較的新しいRef.1825が38mmケースを採用していたのに対し、新たな2モデルは36mmへとサイズダウンされている。素材はホワイトゴールドとローズゴールドだ。
実のところ、彼らは当初から36mmケースで使用することを想定してCal.233を設計していた。しかし、市場がまだそのサイズを受け入れる準備ができていないと感じていたという。結果として、それはグローバル市場にはやや早すぎたかもしれないが、ある特定の市場にとっては完璧なタイミングだった。その市場とは日本である。
実物を見ると、その違いは想像以上に大きい。そして、それは近年のペテルマン・ベダの時計全般にも当てはまることだ。
ペテルマン・ベダというブランドの歩みは実に興味深い。ブランドの出発点となったのは、一見するとシンプルでありながら技術的には極めて複雑なデッドビートセコンド搭載モデルだった。その後には驚異的な複雑機構を備えたスプリットセコンドクロノグラフを発表。そして今、彼らはこれまでで最もシンプルな時計にたどり着いた。
スプリットセコンドクロノグラフのような複雑機構(そもそもデッドビートセコンドも決して単純な時計ではない)から、洗練された三針時計へと移行することは、ある意味で正反対の挑戦と言える。
最初の2モデルは控えめな方法で技術力を示していたが、セミオープンのセクターダイヤルによって、その個性が視覚的にもある程度表現されていた。
しかし制約が増えれば増えるほど、独立系ブランドによる三針時計というジャンルがすでに飽和状態にあるという事実と向き合わなければならない。
私が常に自問するのはシンプルなことだ。「この時計は、それ自体の魅力だけで成立しているだろうか?」。私の答えはイエスだ。1825も、そして新しい1826もそうである。ただし、その魅力は即座に伝わるものではなく、ゆっくりと時間をかけて感じられる、実に控えめなものだ。
初めて時計工房を訪れるたび、私はいつも同じ感覚を覚える。「本当に存在していたんだな」。もちろん当たり前のことだ。時計はどこかで作られている。しかし実際に職人たちが作業台に向かい、黙々と仕事をしている姿を見ると、その実感は一気に増す。
ペテルマン・ベダは外部サプライヤーから部品を調達している。そのため、ルナンの工房にCNC加工機や放電加工機が並んでいるわけではない。
私が訪れた日は連休明けだったこともあり、スタッフの数は少なかった。しかし創業者のふたりにもそれぞれ専用の作業台があり、私が到着したときには最後のスプリットセコンドクロノグラフの組み立てや、新しい三針モデルの作業を進めていた。
ガエル・ペテルマン氏が見せてくれたサイドプロジェクトのひとつは、コート・ド・ジュネーブ用の新しい機械だった。中国製の安価な部品を活用して製作しているという。従来の機械は数万スイスフランすることも珍しくないが、この新しい機械は3000スイスフラン(約60万円)以下で製作できるそうだ。さらに彼は、その設計図をオンラインで公開し、誰でも製作できるようにしたいと考えている。
コート・ド・ジュネーブ仕上げのための古い機械。
新たに導入された機械。
オリジナルの1825は、クラシカルなデザインを好む人々にとって非常に魅力的な時計だった。
近年、多くの独立時計師が三針時計を手がけている。これは驚くべきことではない。デザイン面でも価格面でも、最も幅広い顧客層にアピールできるからだ。
なかには、ありとあらゆる仕上げ技法を見せるオープンダイヤルを特徴とするブランドもある。しかし将来性を感じさせるのは、むしろより伝統的なアプローチを採るブランドたちだ。
従来の1825は、38mm径、厚さ10.15mmというサイズだった。厚さが10mmを超えるとドレスウォッチとしては少々野暮ったく聞こえるかもしれないが、それでも十分に上品な範囲に収まっており、装着感も優れていた。
そして1826は、厚さをそのままに36mmへとサイズダウンしている。腕に載せたときの印象の違いは決して大きくないが、私のような手首周り7.25インチの体格でも非常によく馴染んでいた。
36mmの新作1826のバリエーションのひとつ。
もうひとつの1826はホワイトゴールド製だ。.
比較のためにオリジナルの1825。
オリジナルの1825のセクターダイヤルは、フランケ装飾とシャンルヴェエナメルを組み合わせることで、ドレスウォッチらしい表情のなかにわずかなカジュアルさを加えていた。
ダイヤルは引き続きオリバー・ヴォーシェが手がけているが、1826では細部が見直されている。ダイヤルプレートにはホワイトゴールドまたはローズゴールドを使用。ブラックのグラン・フーエナメルとアイボリーホワイトのグラン・フーエナメルを組み合わせている。ロゴや分目盛り、秒目盛りはプリント仕上げだ。
なお、写真で気になる部分があったとしても、掲載されているものはプロトタイプであることを付け加えておきたい。
もちろん、このようなダイヤルは美しい。しかし率直に言えば、似たようなダイヤルを作るブランドはほかにもあり、価格ももっと抑えられるだろう。
この時計の価格を支えているのは、自社製Cal.233ムーブメントと、それをここまで美しく仕上げるために費やされる膨大な手作業である。そこには、フィリップ・デュフォーが『シンプリシティ』を設計する際に着想を得たVZSSムーブメントにも通じる、ある種のヴィンテージ的な視点が感じられる。
伝統的な表側のデザインと同様に、ムーブメントにはブランド独自設計による大型のフリースプラングテンプを採用。市場で一般的に見られるものとは明らかに異なる形状で、振動数は1万8000振動/時。さらにブレゲヒゲゼンマイを備える。
対称性、あるいはそれに近いレイアウトは、この世代の時計師たちに人気がある。Cal.233は完全な左右対称ではない。しかし、その構造には不思議な魅力がある。ベル型のオープンワークブリッジから香箱の大きなルビーへと視線が自然に導かれ、ムーブメント全体を見渡したくなるのだ。
同じことはスワンネックレギュレーターにも言える。フリースプラングテンプを採用している以上、実用面ではやや重複した存在とも言えるが、それでも魅力的なディテールであることに変わりはない。地板にはジャーマンシルバー、輪列にはゴールドを採用。パワーリザーブは56時間だ。
ブランドが特に誇りとしているのは、その仕上げレベルである。ほぼすべての鏡面加工可能な面にブラックポリッシュが施され、面取りも見事だ。テンプ受けのエンドキャップやアンクルブリッジの大きなブラックポリッシュ面は、ムーブメント内でさらに強い存在感を放っている。
唯一の批評を挙げるなら、この価格帯ではこれほど高い仕上げレベルはもはや当然と見なされることだろう。だからこそ、ブランドがこれほど興味深いデザインを生み出したことに価値がある。
ブランドが特に誇りとしているのは、その仕上げレベルである。ほぼすべての鏡面加工可能な面にブラックポリッシュが施され、面取りも見事だ。テンプ受けのエンドキャップやアンクルブリッジの大きなブラックポリッシュ面は、ムーブメント内でさらに強い存在感を放っている。
唯一の批評を挙げるなら、この価格帯ではこれほど高い仕上げレベルはもはや当然と見なされることだろう。だからこそ、ブランドがこれほど興味深いデザインを生み出したことに価値がある。
個人的には、新しい1826の視覚的な改良を取り入れた1825が理想かもしれない。しかし、そのような時計は存在しない。一方で1826は、ペテルマン・ベダとザ アワーグラス ジャパンが自分たちの市場を深く理解していることを示している。シンプルな三針時計は今や世界中で人気を集めている。しかし、その美しさを最初に理解したのは、おそらく日本だった。
パテック フィリップ Ref.96から、後年Ref.3796にシースルーバックが採用されたこと(その背景には日本市場の存在が大きかった)、さらにはフィリップ・デュフォーの『シンプリシティ』に対する早期からの熱狂まで。この時計へとつながる系譜は明確に見て取れる。
価格は9万6000スイスフラン(記事公開時点で約1920万円)。単体で見れば強気な設定に感じられるかもしれない。しかし、それはペテルマン・ベダの仕事の質と少量生産体制を反映したものでもある。
小規模なチームゆえ固定費は低い。しかし、スイス北部の大手サプライチェーンから大量の部品供給を受ける多くのブランドとは異なり、ペテルマン・ベダは少量ロットで部品を調達しなければならない。これは部品単価の上昇を意味する。限られた人数で、より多くの工程を担わなければならないのだ。
それでも彼らは非常に完成度の高い時計を生み出している。そして同時に、将来へ向けた独自のデザイン言語を着実に築き上げているのである。
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