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Introducing スプリットが新作GMTとともに米国市場へ進出(編集部撮り下ろし)

英国を拠点とする同ブランドの新作GMTモデルは、1本販売されるごとにミュージケアーズへ寄付される取り組みを採用。

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我々が知っていること

スプリットというブランドをこれまで聞いたことがなかったとしても、それは決して珍しいことではない。同ブランドはこれまで米国では展開されていなかったが、私がこのブランドを知るきっかけになったのは“In The Skies”と名付けられたクロノグラフだった。このモデルは独自のセラミックとポリマーを融合した素材、Ceramod+を使用し、ケース全体が発光するユニークな仕様だった。2053ドル(日本円で約33万円)のこのモデルは楽しく、興味深い新奇性のあるモデルであり、IWCのビッグ・パイロット・ウォッチ・パーペチュアル・カレンダー セラリューム®よりも手頃な価格設定だった(公平を期すために言っておくと、両者は全く異なるコンセプトだ)。そして今回、発光仕様ではない同素材を使用したGMTモデルが、比較的手ごろな価格帯で米国市場にも投入される。

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 しかし、スプリットにとって時計は物語のほんの一部に過ぎない。ブランドの共同創業者であるエドワード・マルグリス(Edward Margulies)氏は、英国を拠点とするスイス時計卸売業者の名門一家の3代目。父のマーカス・マルグリス(Marcus Margulies)氏は、史上屈指ともいわれるオーデマ ピゲのコレクションを築いた著名なコレクターとして知られ、そのコレクションの多くは現在のミュゼ アトリエ オーデマ ピゲの礎となっている。エドワードは父と同じ道を歩むため、19歳でスイスへ移り、時計業界で研鑽を積んだ。

 プレスリリースでは、長年抱え続けた心の傷を隠すために笑顔を装ってきたと語っているが、ニューヨーク・タイムズ紙のインタビューでは、さらに踏み込んだ過去を明かしている。長年にわたってメンタルヘルスの問題に苦しみ、カウンセリングや抗うつ薬など一般的な治療を続けたものの、身体的な健康まで悪化し、鎮痛薬としてフェンタニルを処方されたという。彼はニューヨーク・タイムズ紙の取材で、こう振り返っている。「気がつけば5年が経ち、ほとんどヘロイン中毒のような状態になっていました。夕食のテーブルで眠り込んでしまうほどでした」

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レンダリング画像では提供された画像とは異なり、緑色はより鮮やかで、海泡のような色味は少ない。Photo courtesy Split

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Rendering courtesy Split

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Rendering courtesy Split

 さらに彼はタイムズ紙に対し、治療を終えて回復期に入った時、自分に残っていたのはメンタルヘルスと時計だったと語った。だからこそ今回ここで紹介する時計について、彼のバックグラウンドを説明しておくことが重要なのだ(例えば彼は時刻を7時23分に設定するのが好きだと言っているが、これは、通常よく使われる10時10分の“スマイル”とは対照的な針の形を描く)。どうやら長年の習慣を変えるのは難しいらしく、私はうっかり8時23分に設定してしまったが、同じように“しかめ面”の形にはなっている。また同ブランドには、さらに音楽という要素も加わっている。もう一人の共同創設者であるダラ・アムジャディ(Dara Amjadi)氏は、ミュージシャンからコンサルタントに転身した人物だ。個人的な事情もあって、ブランドストーリーに私は強く心を動かされた。

 今回発表された新作は、シンプルにGMTと呼ばれる。ランナップは、音楽史における重要な土地の近くに流れる川から着想を得た4色で展開される。ミシシッピ・デルタをイメージしたデルタブルー(ブルースの父、サン・ハウスを聴くのがおすすめだ)、ハドソン川をイメージしたハドソン(ニューヨークで結成されたバンド、ラモーンズ)、バーミンガム近郊を流れるレア川にちなんだレア(ブラック・サバスやELOがぴったり)、そしてウェストボーンには、ザ・クラッシュが欠かせない。ケースはすべて、セラミック、ポリマー、ナイロンを組み合わせた独自素材のCeramod+を採用。サイズは直径40mm×厚さ12.9mmだ。

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 ケースは興味深い特性を持つ。どこかラバーのような弾力を感じる質感があり、装着されるFKMラバーストラップの質感とも見事に調和している。ダイヤルには24時間表示が内側に配されており、その配色はケース素材を引き立てるカラーコンビネーションとなっている。私が実際に手にしたのはデルタブルーだが、これはまさにぴったりだった。というのも私はデルタ・ブルースを弾くために特別に仕立てられた、スロットヘッド付き12フレット仕様のマーティン・カスタムショップ製00-18を所有しているからだ。これはシンカーマホガニー、アディロンダック・スプルース、そして1933年仕様のアンバートーン・サンバースト仕上げを採用している。そのほかのカラーバリエーションは上の写真のとおりだが、グリーンモデルについては、掲載写真ではレンダリング画像よりもややアクアブルー寄りに見える。夜光もごく控えめに施されているが、暗所での視認性が特別良いとは言えない。

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 内部には、独立して時針を設定できる“フライヤー”GMTである自動巻きムーブメントのミヨタ9075を搭載。ブランドとミヨタは、これを“トゥルーGMT”と呼んでいるが、ジェームズと私は同様に、GMTに求める機能は人それぞれであり、どれが“真の”GMTであるかは関係ないため、この表現は適切ではないと考えている。とはいえ私はこのスタイルが好きだ。特に夏休みに暖かい南国へ旅行し、現地時間へ素早く合わせたいようなシーンで役立つかもしれない。パワーリザーブ約42時間で、振動数2万8800振動/時のムーブメントにはほとんど手を加えていないようだ。なお私が実機で確認したサンプルにはまだ、ケースバックに星の装飾があしらわれていなかったが、下の写真では確認できる。

Photo courtesy Split.

Rendering courtesy Split.

 本作は980ドル(日本円で約15万9000円)で、各色250本限定だ。ブランドのモットーは“変化の時”であり、スプリットは時計が1本売れるごとに、ミュージケアーズ(MusiCares)との提携を通じて1本販売されるごとに、1時間分のセラピー費用を拠出し、若者のメンタルヘルスケアへのアクセスを支援するという。


我々の考え
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 実際に手に取ってみると、スプリット GMTをとても気に入った。もちろん、細かな不満がないわけではない。たとえばGMT機構を“真の”GMTと呼んでいることや、プッシャーが存在せずリューズしかないにもかかわらず、ブランドのウェブサイトでは“シングルプッシャーGMT”と表現している点などは気になった。それでもこの価格帯を考えれば十分に魅力的な1本であり、しかも意義ある活動を支援できるという点にも価値を感じる。ミヨタ 9075を搭載した他ブランドのGMTも、おおむね同程度の価格帯で販売されているため、その点も納得感がある。堅苦しすぎず、重厚感もなく、それでいてしっかりとした品質であることも好印象だ。装着感については、スペックから想像していたよりも少し厚みを感じた。その理由はケースではなく、ストラップがケース側では厚く、そこから徐々に薄くなっているため、一体型のブレスレットのような感覚になっているからだろう。

 正直、寄付が付随するからという理由だけで時計を買う人は、必ずしも多くないと思う。寄付をしたいだけなら、直接寄付すればいい話だからだ。しかしミュージケアーズと提携したスプリットチームには、改めて敬意を表したい。音楽好き、ミュージシャン、そして長年にわたりメンタルヘルスや薬物依存に苦しんだ多くの人を知り、そして失ってきた私にとって、この活動は特別なものだ。確かに多くのブランドが寄付をしているが、寄付額や寄付先について曖昧な表現を使う場合も少なくない。その点、ミュージケアーズは心から支持できる団体だと思う。そして何より、この時計そのものが魅力的だ。

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基本情報

ブランド: スプリット(Split)
モデル名: GMT

直径: 40mm
厚さ: 12.9mm
ケース素材: 独自の複合素材であるCeramod+(カラーごとに異なる仕様)
文字盤色: モデルごとに異なる多彩なバリエーション
インデックス: アプライド
夜光: あり、しかし仕様は非公表
防水性能: 100m
ストラップ/ブレスレット: 幅19mmのラバーストラップ

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ムーブメント情報

キャリバー: ミヨタ 9075
機能: 時・分表示、センターセコンド、日付表示、“フライヤー”GMT
パワーリザーブ: 42時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時
クロノメーター認定: なし


価格&発売時期

価格: 980ドル(日本円で約15万9000円)―1本販売されるごと、ミュージケアーズを通じて1時間分のセラピー費用が寄付される
発売: 発売中
限定: あり、各モデル250本限定

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