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我々が知っていること
ちょっとしたマジックを見てみよう。いえ、『ダークナイト』のジョーカーが披露するような手品ではなく、ミンが新作29.06 “ピープショー”で仕掛けた、かなりクールなトリックのことだ。下の写真に映る時計は見た目が明らかに異なるが、変わったのは針の向きだけなのだ。昨年の秋、ミン・テイン(Ming Thein)氏が本作を見せてくれた時、彼がリューズを回した瞬間に何が起きているのかすぐ理解できた。もしその場にいたなら、あなたにも(57.04 “アイリス”のような)多層カラーシフトコーティングを施したギヨシェダイヤルが針の動きに合わせてゆっくりと浮かび上がり、やがて見えなくなっていく。鮮やかに輝いていたダイヤルが、漆黒へ変わっていく。さて、どういう仕組みかわかるだろうか?
これは半分ひっかけ問題のようなものだ。というのも、この針は実際には針ではないからである。代わりに使われているのは、針の形にスーパールミノバX1を充填した偏光サファイアディスクだ。2枚のサファイアは線偏光処理されており、2枚の偏光方向が揃うと(重なっているとき、あるいは真反対に位置するとき)、偏光板が光を通す。その結果、カラーシフト加工が施された金属製ディスクを見ることができる。しかし針が回転していくにつれ、見えるダイヤル面積は徐々に減少していき、2枚のディスクが90度の位置関係になると、ダイヤルは完全な黒へと変わる。仕組みを理解してしまえば意外とシンプルだが、実物で見るとその効果はかなり鮮烈だ。
こうした機構を収めるのは29シリーズのケースであり、57シリーズよりも抑制の効いたデザインだ。ケース素材は軽量なグレード5チタンで、サイズは40mm×厚さ11.8mm、ラグ幅は22mm。防水性能は50mだ。
ケース内部にはシュワルツ・エチエンヌ製の第2世代キャリバー、ミン専用のASE 200.M1が搭載。マイクロローター式のムーブメントだが、通常仕様のCal.ASE 200よりもブリッジを大胆にスケルトン加工しており、ダイヤモンドカットによるアングラージュと、よりマットな仕上げが特徴となっている。香箱もスケルトン化されており、主ゼンマイの巻き上げ具合からパワーリザーブをおおまかに読み取ることができる。パワーリザーブは約86時間だ。
本作は、ミンの公式サイトおよび正規販売店を通じて販売される。限定数は50本で、価格は2万2000スイスフラン(日本円で約440万円)だ。
我々の考え
これはかなり巧妙なダイヤル仕掛けだ。カメラに偏光フィルターを装着していたおかげで、その“トリック”には比較的すぐ気づくことができたが、それでこの時計への興味が削がれることはなかった。むしろ面白いのは、この変化が約15分かけてゆっくり進行する点だ。もし秒針のように高速で回転していたら、かなり落ち着かない印象になっていたはずだが、実際にはそうではない。これはゆっくりと繊細に、しかし確実に感じ取れる変化なのだ。一方、モデル名については正直あまり好みではない。もっとも、それは単に自分が真面目すぎて、こういう遊び心を素直に楽しめないだけなのかもしれない。
価格について言えば、ミンが単なる標準仕様のシュワルツ・エチエンヌ製ムーブメントを使わなかった点で評価したい。ブランドはキャリバーをスケルトン加工し、さらに高いレベルで仕上げるために追加の手間を惜しまなかった。比較対象として思い浮かぶのは、同じキャリバーを搭載していたシュワルツ・エチエンヌ×カリ・ヴティライネンのコラボモデルくらいだ。しかしそれは本作ほど複雑な仕上げではなく、それでも2020年時点で2万9500スイスフラン(スイスVAT込み/当時のレートで約340万円)だった。そう考えると、本作は価格に対してかなり説得力のある1本に思える。
基本情報
ブランド: ミン(Ming)
モデル名: 29.06 “ピープショー”(29.06 "Peep Show")
直径: 40mm
厚さ: 11.8mm
ケース素材: グレード5チタン
文字盤: 多層カラーシフトコーティングを施した、CNC加工によるギヨシェダイヤル
夜光: スーパールミノバX1を充填した偏光サファイア製のハンドディスク
防水性能: 50m
ストラップ/ブレスレット: ジャン・ルソーによるペルロン調のカーフレザーストラップ、アルカンターラ製ライニング。カーブ型クイックリリース用のバネ棒と、マイクロアジャスト機構を搭載したフライングブレードタックバックル付き
ムーブメント情報
キャリバー: ミン専用のシュワルツ・エチエンヌ製ASE 200.M1
機能: 時・分表示
直径: 30mm
厚さ: 5.6mm
パワーリザーブ: 86時間
巻き上げ方式: タングステン製マイクロローターによる両方向自動巻き
振動数: 2万1600振動/時
石数: 29石
クロノメーター認定: なし
追加情報: ダイヤモンドカットによるアングラージュ仕上げを施したブリッジと、“階段状”ローターガード
価格&発売時期
価格: 2万2000スイスフラン(日本円で約440万円)
発売: ミンの公式サイトおよび正規販売店にて
限定: あり、50本限定
詳しくはこちらをご覧ください。
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