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Introducing ゼニス G.F.J. “Double Signed” with Naoya Hida & Co.日本を代表する独立系ブランドとの10本限定コラボレーション(編集部撮り下ろし)

ゼニスが創業160周年モデルとして復活させたG.F.J.に、新たな展開。独立系時計師との協業によって名キャリバー135を再解釈する“Double Signed”プロジェクト。その記念すべき第1弾を飾るのは、日本を代表する独立系ブランド、Naoya Hida & Co.だ。

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クイック解説

ゼニスが新たなコラボレーションプログラム“Double Signed”を始動しました。その第1弾として、日本の独立系時計ブランドであるNaoya Hida & Co.とのダブルネームモデル、ゼニス G.F.J. Double Signed with Naoya Hida & Co.が発表されました。

 本作は、ゼニス創業160周年を記念して2025年に誕生した新コレクション“G.F.J.”をベースにした特別仕様です。創業者ジョルジュ・ファーブル=ジャコ(Georges Favre-Jacot)のイニシャルを冠するこのコレクションは、1950年代の天文台クロノメーターコンクールで圧倒的な成績を残した伝説的な手巻きムーブメント、キャリバー135を現代に復活させたことで大きな注目を集めました。

左からオリジナルのキャリバー135、2022年に発表されたキャリバー135 オプセルヴァトワール、そして2025年に創業160周年のタイミングで復活したG.F.J.。

 興味深いのは、この時計が単発のコラボレーションとして企画されたわけではないことです。ゼニスのチーフ・プロダクト・オフィサーを務めるロマン・マリエッタ氏によれば、G.F.J.の最初のプロトタイプが完成した時点で、「この時計をプラットフォームにして、尊敬する時計メーカーたちと何かできないか」と考え始めていたといいます。その背景には、2022年にカリ・ヴティライネン氏とともにキャリバー135を復活させたプロジェクトの存在もありました。そして、その新たなプログラム“Double Signed”の最初のパートナーとして選ばれたのがNaoya Hida & Co.だったのです。

飛田直哉氏がキャリバー135と出合うきっかけとなった書籍。

 実はマリエッタ氏が2024年に東京のアトリエを訪れた際の目的は、コラボレーションの相談ではありませんでした。「飛田さんの時計を買うためだったんです」。そう笑いながら振り返るマリエッタ氏は、以前からNaoya Hida & Co.の熱心なファンだったそうです。アトリエの棚に並ぶクロノメトリー関連の書籍や、飛田氏の豊富な知識に触れ、両者はすぐに意気投合したといいます。

 一方、Naoya Hida & Co.創業者の飛田直哉氏にとっても、キャリバー135は特別な存在でした。1996年にクロノメーターに関する書籍を手にし、それを読み漁るなかでこのムーブメントに出会い、大きなテンプをゆっくりと振動させながら高精度を実現するこのムーブメントの設計思想に強く惹かれたといいます。約30年後、そのムーブメントを搭載した時計を自らの解釈でデザインすることになるとは、当時は想像もしなかったでしょう。

 そうして誕生したG.F.J. Double Signed with Naoya Hida & Co.のケースは直径39mmのプラチナ製。厚さは10.5mm、ラグ・トゥ・ラグは45.75mmです。内部には現代版のCal.135を搭載し、約72時間のパワーリザーブとハック(秒針停止)機構を備えます。振動数は1万8000振動/時(2.5Hz)で、COSC認定に加え日差±2秒以内という高精度を実現。基本的にゼニスのG.F.J.モデルからスペックの変更はありません。

 最大の特徴はダイヤルにあります。素材はNaoya Hida & Co.でも採用されているアルゲンティウムシルバー製。3・9・12時位置のアラビア数字には彫金師・加納圭介氏による手彫りのエングレービングと青漆仕上げが施されています。

 また、柔らかな曲線を描く時・分針はNaoya Hida & Co.のType 2を思わせる意匠で、ソリッドゴールドから削り出されたのち手作業で仕上げられています。ストラップも姫路黒桟革、京都製レザー、カイハラデニムの3本が付属し、日本のクラフツマンシップを随所に感じさせます。

 価格は1189万1000円(税込)。世界限定10本で、すでに完売しています。


ファースト・インプレッション

最初にこの時計を見たのは、飛田氏のアトリエで他のNaoya Hida & Co.の時計と並んでいる状態でした。正直に言うと、ひと目ではゼニスとのコラボレーションモデルだと気づきませんでした。視覚的な印象を大きく左右するダイヤルと針がNaoya Hida & Co.によるものだからです。しかし、12時位置に配されたゼニスのロゴが目に入った瞬間、この時計の正体に気づきます。そして裏返してキャリバー135を見たとき、「なるほど、これは飛田さんが手掛けたG.F.J.なのだ」と妙に納得してしまいました。

 もちろんケースやムーブメントはG.F.J.そのもの。しかしダイヤルが変わるだけで、時計の印象はここまで変わるのかと驚かされました。アルゲンティウムシルバーの柔らかな表情に、手彫りのアラビア数字と青漆による深いブルー。既存のG.F.J.とは大きく印象が異なる一方で、不思議なほど違和感はありません。クラシックなスモールセコンドウォッチだからこそ成立したコラボレーションのようにも感じられます。本作で特に興味深いのは、両ブランドが互いを尊重しながらデザインをまとめ上げた点です。

 取材中、ロマン・マリエッタ氏は「両ブランドのロゴには、それぞれ欠けている要素がある」と教えてくれました。ゼニスのロゴからは象徴的なスターが取り払われ、一方でNaoya Hida & Co.のロゴからは“TOKYO”の文字が省かれています。どちらかのブランドを強く主張するのではなく、双方が少しずつ引き算をすることで、ひとつのダイヤルのなかで自然に共存しようとしたのです。

確かにゼニスのスターとTOKYOの文字が入るとダイヤルは煩雑に感じられただろう。

Naoya Hida & Co.のダイヤルとして初めて“SWISS MADE”が刻まれた。極小サイズのため、この部分はレーザー加工で表現されている。

 ロマン氏と飛田氏によれば、今回のプロジェクトでは常に「バランス」が重要なテーマだったといいます。その思想はロゴだけではありません。実はスモールセコンドのサイズについても両者のあいだで議論があったそうです。飛田氏は当初、より大きなスモールセコンドを提案していましたが、ゼニス側にはムーブメントや組み立て工程上の制約がありました。結果として現在のサイズに落ち着いたものの、そうしたやり取りを知ると、この時計が単なるブランド名を並べたコラボレーションではないことがよくわかります。

 また、今回の組み合わせが自然に感じられるのは、G.F.J.とNaoya Hida & Co.がもともと同じ時代に源流を持っているからかもしれません。キャリバー135が最も輝いたのは1950年代。そして飛田氏が手がけるType 1やType 2もまた、1930〜50年代の機械式時計の黄金期を現代的に解釈したコレクションです。ロマン氏が特にType 2を気に入っていたという話も、そう考えると納得できます。両者は異なるブランドでありながら、同じ時代の時計づくりに魅力を感じているのです。

 結果として完成したこの時計は、ゼニスでもなく、かといってNaoya Hida & Co.そのものでもありません。両者の個性がぶつかり合うのではなく、静かに重なっているように感じられます。

 そして興味深いのは、これが終着点ではなく始まりだということです。ロマン氏によれば、“Double Signed”は今後も継続していく構想だといいます。そう考えると本作は単なる10本限定の特別仕様ではありません。未来に向けたコラボレーションシリーズの出発点であり、その基準点となる1本です。

 キャリバー135に魅せられた飛田直哉氏と、その歴史を現代に蘇らせたゼニス。その両者が交差したからこそ生まれたこの時計は、Double Signedという新たな物語の始まりとして記憶されることになるでしょう。

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基本情報

ブランド: ゼニス(Zenith)
モデル名: G.F.J. Double Signed with Naoya Hida & Co.
型番: Ref. 40.1865-2.0135/01.C220

直径: 39mm
厚さ: 10.5mm
ラグ・トゥ・ラグ: 45.75mm
ケース素材: プラチナ
文字盤色: シルバー
インデックス: 3・9・12時のインデックスは手彫りした後、ブルー漆で仕上げられている
夜光: なし
防水性能: 5気圧防水
ストラップ/ブレスレット:  姫路黒桟革、京都製国産牛革、カイハラデニム製ストラップ(3本付属)/プラチナ製ピンバックル付き


ムーブメント情報

キャリバー: Cal.135
機構: 時・分表示、スモールセコンド
パワーリザーブ: 約72時間
巻き上げ方式: 手巻き
振動数: 1万8000振動/毎時(2.5Hz)
クロノメーター認定: COSC認定
追加情報:ブレゲヒゲゼンマイ、ハック(秒針停止)機構


価格 & 発売時期

価格: 1189万1000円(税込)
発売時期: 完売
限定: 世界限定10本

詳細は、ゼニス公式サイトへ。