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俳優としてだけでなく司会者・キャスターとしても幅広く活躍する谷原章介氏。彼は料理やゴルフ、サーフィン、クルマ、古着など多趣味なことでも知られているが、時計収集もそのひとつ。取材にあたり、圧倒されるほど膨大な時計コレクションを拝見することができたが、今回は彼が好きな時計の傾向、そしてそのコレクション遍歴についてのエピソードを披露してもらうべく、泣く泣く紹介する時計を絞ることになった。そうはいっても、その数なんと40本以上。実に多種多様な時計が並ぶが、それは彼の時計趣味が広く浅いということを意味するものでは決してない。時計収集へかける情熱が生半可なものでないことは、動画を見てもらえれば一目瞭然である。
ご本人が所有していた時計そのものではないが、写真は谷原氏が本格的に時計に興味を持つきっかけとなったラドー スターライナー。ラドーの代表作のひとつで、左右の文字盤の色が違うツートンダイヤルが特徴的だ。画像提供:ラドー。
谷原氏が自身で時計を買い始めたのは、モデルを始めた二十歳前後のころ。なかでもその最初のきっかけとして、今でもよく覚えているというのが、雑誌で見たというラドーのスターライナーだ。その雑誌に販売広告を掲載していた神奈川県川崎市にあるヴィンテージ・アンティーク時計専門店、スイートロードで時計を購入した谷原氏。その後も同店との縁は長く続き、同店との関係はその後の彼の時計収集に欠かすことのできない重要なものになっていく。
谷原氏のコレクションを俯瞰的に見ていると、IWCやホイヤー、ベル&ロスといったスポーティな時計が数多く見られる一方、パテック フィリップに象徴されるようにドレスウォッチまで幅広く並んでいる。だが、いわゆる王道や定番とはひと味違った個性的なモデルが多いのが印象的である。彼は人気のモデルは自分が所有しなくてもいいのだと軽く笑い飛ばし、王道や定番からは少し外れるものの、適性な価格で購入できる時計が好きなのだと話す。そんな時計のセレクトについて、自分はひねくれ者だと揶揄するが、彼の時計コレクションからは、膨大な知識と購入体験に基づいた一朝一夕では得がたい審美眼、そして時計への並々ならぬ時計愛を感じることができた。
IWC ドッペルクロノグラフ Ref.IW3713-19
谷原氏にとって時計収集の原点とも言うべき1本がこの時計、IWCのドッペルクロノグラフだ。2本のクロノグラフ秒針によりスプリットタイムやラップタイムを計測できるスプリットセコンドクロノグラフを搭載するモデルで、完全に工業化された、あるいは“大量生産された”最初のスプリットセコンドとして知られている。
手に入れるきっかけとなったのは前出のスイートロード。ラドーのスターライナーを購入したことを機に同店へ足繁く通うようになった谷原氏は、若手スタッフたちとの時計談義を重ねるなかで時計の世界にのめり込んでいった。そしていつしかモデルの仕事の傍ら、スイートロードが出店する時計の催事を手伝うようになる。
IWCに心引かれはじめていた当時の谷原氏は、手伝いで参加していた時計の催事会場で、とあるショップがこの時計を並べているのを見つけた。気になったものの、一括で買うほどのお金がなかった谷原氏に手を差し伸べてくれたのが、スイートロード創業者でオーナーであった中村昌義氏(故人)だった。中村氏に購入資金を立て替えてもらい、同氏へ毎月お金を払う形で手に入れたという思い出の時計である。23、4歳の頃に購入したこのドッペルクロノグラフは、谷原氏が好きな時計の要素がギュッと凝縮されたお気に入りであると同時に、決して手放すことのできない思い出の時計のひとつとなったという。
ホイヤー ハラマ&レガッタ
写真左がハラマ、右がレガッタ。
1977年のカタログに初めて掲載されたハラマ。3モデルがラインナップされており、谷原氏の個体はツートンケースにブラックダイヤルを合わせたRef.110.225である。画像提供:タグ・ホイヤー。
谷原氏のコレクションでは実にさまざまなブランド、モデルを見ることができるが、なかでもひと際目を引くのがタグ(TAG=Techniques d'Avant Garde)グループに買収される以前、“ホイヤー時代”の時計たちだ。ホイヤーの時計をコレクションをするきっかけとなったのはレガッタ。これはヨットレースのために開発されたモデルで、12時位置に5つの窓が開いており、これはレースで5分ごとに鳴らされる号砲のタイミングを計るための表示機能、レガッタタイマーになっている。通常は黒の状態だが、2時位置のスタートボタンを押すとすべての色が青に変わり、そこから1分ごとに小窓の色がひとつずつオレンジへと変わり、すべてがオレンジになると今度は同じようにひとつずつ青へと変わっていく。ひとつの窓が1分を表しているため、計10分の計測が可能というユニークな時計である。谷原氏はこの個性的なレガッタタイマー、そして“タグ”が付かないホイヤーネームに引かれて購入したという。
ほかにもホイヤー時代のモデルを数多く購入したという谷原氏。クルマ好きであることも相まって、ホイヤーがかつて手がけていたモーターレーシングやサーキットと関係の深い名前をサブネームに持つコレクションをいくつも所有している。特に、このハラマについては彼の時計収集へかける情熱を表すユニークな入手エピソードが明かされた。彼は一体、このハラマをどのように手に入れたのか? その詳細は動画のなかで語られているので、ぜひともチェックして欲しい。
ホイヤー Ref.844
ホイヤー Ref.844コレクション。上段左からRef.844(844-1とも。カセドラル針、24時間表記あり)、Ref.844(メルセデス針、24時間表記なし)、Ref.844-2(1000&AUTOMATIC表記なし)。Ref.844-3(Ref.980.005とも。オレンジダイヤル)。下段左からRef.844-3(1000&AUTOMATIC表記あり)、Ref.844-4(デイデイト表示)、Ref.844-5(初のタグ・ホイヤーロゴ)。
※Ref.844コレクションはディテールの異なる仕様がさまざま散見されるため、正確な分類が判然としておらず、その分類には諸説ある。
谷原氏の並々ならぬ時計に対する探究心、そしてコレクション熱を象徴するのがかつてのホイヤーがてがけたダイバーズウォッチ、Ref.844だ。これはブランドの歴史において重要な役割を果たしたコレクションでもあり、Ref.844は1984年から正式に1000シリーズ(当初は関係者による通称だった)と命名され、そしてその後の“タグ”時代にはタグ・ホイヤー 1000シリーズとなる。この1000シリーズは1500、2000、3000、4000、そして6000シリーズとさまざま派生モデルを生み出すベースとなったが、現行ダイバーズウォッチコレクションのアクアレーサーも、さかのぼればこのRef.844コレクションがその原点となっている。
Ref.844(自動巻きムーブメントタイプ。クォーツタイプとしてRef.8440があった)が初めてホイヤーのカタログに登場したのは1979年。初期モデルは、他ブランドの時計も手がけていたフランスのG・モニン(Georges Monnin)社との委託契約によって製造されていた。そのため、初期モデルはムーブメントもフランス製で、ダイヤルの表記もフランス語表記であった。24時間表記(通常の1から12のインデックスの内側に13から24の数字を配置)とカテドラル針を備えていたが、この特徴は初期モデル以降は見られなくなり、針のデザインもその後1980年代から1990年代にかけていわゆる“メルセデス”針のデザインに置き換えられることになる。Ref.844は、実はディテールの違いによって細かな分類がなされており、谷原氏はそのほとんどをコレクションしている。なかでも特に珍しいのが、デイデイト表示を備えたRef.844-4。公式サイトでもその存在について触れられているが、画像は掲載されていない。谷原氏は画像で見たことはあったものの実際の時計を見る機会はほぼなく、長年追い求めた末、ようやく7年前ほど前に入手することができたという。
1984年に登場したホイヤー スーパープロフェッショナル(840.006)。Ref.844とは異なる外観を有する1000m防水のハイスペックモデル。本機はすぐに“TAG HEUER”ロゴが入ることになるが、谷原氏所有の個体は希少なホイヤー表記だ。
写真はすべてタグ・ホイヤー スーパー プロフェッショナル 1000M(840.006 PVD)。3本とも同じモデルなのだが、このPVD仕様は500本限定のかなり珍しいモデルと言われており、谷原氏は市場で見つけるたびに買い足してきたという。
上に掲載したホイヤー スーパープロフェッショナル、そしてタグ・ホイヤー スーパー プロフェッショナル 1000Mも実はかなりのレアモデルだ。特に後者にはRef.843.006というプロダクションモデルと、1989年にアメリカのセキュリティ・ディフェンス・システムズ(Security Defense Systems)社と提携して500本限定で作られた初期のプロトタイプモデルの2種類が存在しているが、谷原氏の個体はいずれもRef.840.006のリファレンスを持つプロトタイプモデルである。
ダイバーズウォッチ&ミリタリーウォッチ
左からロンジン レジェンドダイバー Ref.7494-2、ブランパン フィフティ ファゾムス MIL-SPEC 1、IWC GST ディープワン Ref.3527。
ここまでに紹介したコレクションからもうかがえるが、谷原氏はいわゆる“スポーツモデル”タイプのクロノグラフやダイバーズウォッチを中心に時計を収集してきた。ホイヤーのRef.844もまさにそうだが、そのセレクトがロレックスのサブマリーナーや、オメガのシーマスター300など、王道ではないところがいかにも同氏らしい。
ブランパン フィフティ ファゾムス MIL-SPEC 1は、1960年代後半の最終モデルでデイト表示が付いた珍しいタイプ。状態もきわめて良好で、水分の侵入によって色が変化するモイスチャーインジケーターもキレイに残っている。IWCのダイバーズウォッチもスタンダードなアクアタイマーではない。機械式水深計機構を備えたGST ディープワン Ref.3527だ。IWCの開発チームが総力を挙げて完成させた高性能ダイバーズウォッチだったが、開発に5年もの歳月を要したこと、構造が非常に複雑で組み立て工程にも手間がかかってしまいコストがかさんでしまったことから予定していた500本の製造を待たずに生産を終了してしまったという伝説的なモデルである。
そしてロンジン レジェンドダイバー Ref.7494-2。これは谷原氏が20代の頃から憧れ続けてようやく手にすることができたという逸品。これまでなかなか出合うことができなかったそうだが、一昨年になって購入することができたという。実に30年ほどの時を経てようやく谷原氏のコレクションの一部になり、その感動もひとしおのようだ。
左から、ホイヤー A.M.I. 3H Ref.510.543、ポルシェデザイン UAE AIR FORCE 3H Ref.7177、ポルシェデザイン by オルフィナ クロノグラフ1(7750搭載モデル)、ポルシェデザイン by IWC オーシャBUND Ref.3509
ホイヤーのクロノグラフやIWC(特にポルシェデザイン by IWC)の時計をコレクションするなかで次第にハマっていったというミリタリーウォッチにも谷原氏らしい審美眼が光る。本企画の実施に際して事前の打ち合わせのなかで、実は大量のホイヤーのクロノグラフやポルシェデザイン by IWCのコレクションを見せていただいた。そのなかでも特に珍しいモデルとしてピックアップしたのが上の4本である。
たとえば、ポルシェデザイン by IWCのオーシャンBUND。これはIWCが民間用のオーシャン2000でのノウハウをもとに作った軍用のダイバーズウォッチで、それぞれ異なる特殊任務にあたるコンバットスイマー、アタックダイバー、マインダイバー向けにクォーツ式、機械式、完全防磁仕様の機械式の計3種類のオーシャンBUNDが開発された。ここで取り上げたモデルは特殊部隊のアタックダイバーに支給されたRef.3509で、搭載されたムーブメントは自動巻きのCal.37521。クォーツのCal.2250Qが搭載されたRef3314-01、Ref3319-01よりも数は少ないとされている。
文字盤にトリチウムを表す3H(三重水素)表記が入った時計はほかにもある。ホイヤー A.M.I. 3H Ref.510.543とポルシェデザイン UAE AIR FORCE 3H Ref.7177だ。これはどちらも空軍向けのクロノグラフで、前者はイタリア空軍(Aeronautica Militare Italiana)用、後者はアラブ首長国連邦空軍(United Arab Emirates Air Force)用である。ポルシェデザイン by オルフィナ クロノグラフ1(7750搭載モデル)は一見するとミリタリーモデルには見えないが、こちらは名作映画『トップガン』のなかでトム・クルーズが身につけていたと言われている時計と同タイプのモデルだ。だが、これは本来の姿ではない。誰がつけていた時計なのか、なぜこのような姿なのか? それは動画のなかで谷原氏が語っているので、ぜひ自身の目でその理由を確かめて欲しい。
左から、IWC ヨットクラブ Ⅱとゴルフクラブ。
左からベル&ロス by SINN ミリタリー クロノグラフ M2、スペース2 GMT、スペース1、スペース2、そして103。
谷原氏のコレクションの範囲の広さは本当に底が知れないほど多岐にわたる。著名なラグジュアリースポーツウォッチはひと通りカバーしているが、なかでも特に好きだというのがジェラルド・ジェンタがてがけたとされるモデルである。谷原氏が“クラブ3兄弟”と呼ぶIWCのヨットクラブ、ゴルフクラブ、そしてポロクラブの3モデルは、時計好きでも知る人ぞ知る存在だ。残念ながら、ポロクラブだけはまだ手に入れられておらずウィッシュリスト入りしているそうだ。ちなみにこの“クラブ3兄弟”ではクォーツモデルが少なくないのだが、谷原氏所有の個体は機械式である。
まさかこんなにもたくさんの個体を見ることができるとは想像もしていなかったのが、ベル&ロス by SINNだ。ベル&ロスは1992年に設立されたが、1994年に最初のコレクションとして発表されたのが、このベル&ロス by ジン。ベル&ロスによるデザインを、ジンのオリジナルモデルをベースに表現したもので、その名のとおり、ダイヤルにはBELL & ROSSのロゴとby SINNの文字が入っており、1997年ごろまで製造されていたと言われる。タグ・ホイヤーのスーパー プロフェッショナル 1000M(840.006 PVD)同様、谷原氏は見つけるたびに買い足していたといい、実は同じモデルをいくつも所有している。
IWC パイロット・ウォッチ・マークXII ネイビーダイヤル Ref.9241
珍しい金無垢ケースのIWC パイロット・ウォッチ・マークXII。
年齢を重ねるなかで、20代の頃にはそれほど興味がなかったというゴールドの時計もコレクションに加わるようになった。このIWCのパイロット・ウォッチ・マークXIIもそのひとつなのだが、この時計、実はちょっとしたレアモデルだ。金無垢のマークXIIはブラックダイヤルしか作られていないというのが一般的な認識なのだが、これは通常はプラチナモデルでしか採用されないはずのネイビーダイヤルを備えている。では、ユーザーが勝手にカスタムしたものなのかというとそうではない。これはロサンゼルスにあるとあるディーラーが販売していたもので、谷原氏によれば、顧客の要望を受けたディーラーがIWCの正式な許可を得て作られたリファレンスだそうだ。
そして、コレクションのなかでひときわ存在感を放っていたのが、このオメガのスピードマスター プロフェッショナルだ。金無垢のスピードマスター プロフェッショナルといえば、近年だと人類初の月面着陸50年周年を記念して金無垢製の特注モデルを再現した2019年の復刻モデルがあるが、これは復刻版ではない。アポロ11号の月面着陸を記念し、スピードマスター初のゴールドモデルとして発売された希少なオリジナルモデルそのもの。1969年から1973年にかけて1014本製造されたうちの1本だ。長年探し求めていたが、スイートロード時代からの付き合いで谷原氏の友人でもある杉田氏(現在は御徒町にあるヴィンテージウォッチショップ、セレクトのオーナー)が、かつて谷原氏が欲しいと言っていた言葉を覚えていて見つけ出してきてくれたという。購入の際に一瞬尻込みしたそうだが、購入をして本当によかったと、谷原氏も目を細める。
オメガ スピードマスター プロフェッショナル アポロ11号月面着陸記念 Ref.BA145.022-69。
ケースバックには販売時に貼られていたブルーの保護フィルムがそのまま残る極上のコンディション。
パテック フィリップ ゴンドーロ Ref.5014J&カラトラバ
パテック フィリップ ゴンドーロ Ref.5014J。
本機は谷原氏が初めて購入したパテック フィリップだという、小振り(縦横27mm)なゴンドーロのRef.5014Jである。これまで紹介してきたコレクションとは毛色のまったく異なるドレスウォッチであるが、それもそのはず、パテック フィリップの時計は40代になって買い集めるようになったそうだ。年齢を重ねて訪れる場所、着る服が変わっていったことで、時計に対する気持ちも変化。最近は情報番組に出演することも影響して、もっぱらこうした小振りなドレスウォッチを身につけることがほとんどだという。
かつては憧れこそすれ、自身には縁がないものと考えていたパテック フィリップの時計を持つことでその魅力に開眼し、今では多くのパテック フィリップをコレクションする。しかしながら根っからのコレクターなのだろう、そのコレクションも実に1本筋が通っている。現代の大振りなカラトラバではなく、3桁から主に3000番台の小振りなカラトラバが中心だ。
左から、パテック フィリップ 3796D ティファニーWネーム。3796、3796D、ゴンドーロ 5014J、96、3796R、5096。
取材当日につけていたのは、ジャガー・ルクルトのレベルソ。金無垢ケースにブレスレット仕様だが、シンプルな2針でサイズも小振りなため、とても上品な印象だ。Photograph by Keita Takahashi
ジラール・ペルゴ オリンピコ クロノグラフ Ref.9075-AF
実に数多くのコレクションを披露していただいたが、最後にこの時計を紹介したい。ジラール・ペルゴ オリンピコ クロノグラフ Ref.9075-AFである。ジラール・ペルゴはオリンピックの開催に合わせて定期的にそれを記念したオリンピココレクションをリリースしてきた。オリンピコは1950年代に始まった、あるいは1968年のメキシコシティ オリンピックから始まったものだとその起源には諸説ある。最初に作られたのが正確にいつなのかは今も議論が続いているが、いずれにせよ、この時計は1960年代後半(実はかつてのHODINKEE SHOPでも扱っていた時期があり、その際に同じ仕様の個体は1968年製とされていた)、初期のオリンピコである。
確かに数が少ない珍しいモデルではあるが、誰しもが興味を引かれるレアモデルというわけでもない。そんな時計を、なぜ本稿の締めくくりとして紹介したのか。それは谷原氏が時計のコレクションについて語ってくれたコメントがとても印象的だったからだ。
時計って、人気があって高いからいいとかそういうことではないと思うんです。その人の琴線に触れていいと思った時計、刺さった時計。それがその人にとって本当にいい時計なんだと思います。
– 谷原章介コロナ禍以降の過熱気味な市場では、高額で入手困難な時計こそが正義という風潮があったことは否めない。もちろん、そうした時計が素晴らしいものであるということに異論はないが、果たしてそれだけが“いい時計”だろうか? その答えは、谷原氏の言葉がすべてを物語っていると思う。今回のTalking Watchesは、そんな当たり前だが忘れてはならない大切なことに改めて気づかされた。時計という趣味はもっと自由でいいのだ。
そうそう、冒頭でもお伝えしているが、今回の谷原氏のコレクションは絞りに絞ったごく一部だ。またいつか、HODINKEEでその素晴らしいコレクションを紹介できる日を期待して欲しい。
HODINKEE本国版編集長、ジェームズ・ステイシー(James Stacey)と時計談義に華を咲かせて無邪気に笑う谷原氏。実に楽しそうだ。Photograph by Keita Takahashi
衣装協力
ブルゾン8万1400円、パンツ4万7300円/ともにタリアトーレ(トレメッツオ 03-5464-1158)シャツ45100円/プラシーデ(エイチジェイエム 03-6434-0885)シューズ11万8800円/フラテッリ ジャコメッティ(ウイリー www.wheelieltd.jp)
Styled by Tadamasa Murakami Hair&Make by Mayumi Matsuzawa
Video by Michiko Takio, Yosuke Sato, Nobuchika Furuya Sound Record by Saburo Saito (Paradrift Inc. ) Video Direction & Edit by Marin Kanii Video Produce by Yuki Sato Edit & Text by Kyosuke Sato
クレジット表記のない写真はすべて、Photographs by Tetsuya Niikura