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腕時計の基本形がラウンドであることに異論はない。しかし、もしあなたがいつもと違う自分や個性の表現を求めているのなら、選ぶべきはスクエアウォッチかもしれない。
直線と角を持つシェイプは輪郭がくっきり見え、時計の形そのものが印象に残りやすい。正方形でも長方形でも、その四角い輪郭が手元にきっぱりした表情をつくり、ラウンドとは違う見え方を生む。
今回のEditors’ Picksでは、HODINKEE Japanの女性エディターがそうしたスクエア系のレディスウォッチを8本紹介。なお今回の選定にあたり、厳密なスクエア(正方形)に限らずレクタンギュラー(長方形)のモデルも含めている。デザインの強さや背景にあるストーリーを軸に、いま改めて挙げておきたいモデルを見ていこう。
カルティエ サントス ドゥ カルティエ
女性に人気なカルティエのスクエアウォッチと言えば、タンクを思い浮かべる人が多いだろう。けれど今回は、サントス ドゥ カルティエも選択肢に入れて欲しい。同モデルのルーツになったサントスコレクションは、飛行家アルベルト・サントス=デュモン(Alberto Santos-Dumont)の“飛行中に手元で時刻を確認したい”という願いを叶えるため、3代目当主1904年にルイ・カルティエがつくり上げた世界初のメンズ用腕時計。また、アルベルト・サントス=デュモンはブラジルのコーヒー農園主の家に生まれ、裕福な家庭で育ってきた。そういった由来を知ると、実用のために生まれた時計なのにジュエリーのように品よく見える理由にも納得がいく。この実用と気品のバランスがあるからこそ、サントスはハンサムさと上品さを同時に楽しめるのだろう。
今回紹介するサントス ドゥ カルティエは、1978年のサントス ガルベをルーツに持つ現行サントスに加わったスモールサイズ。端正なスクエアケースとビス留めのベゼルは、サントスコレクションのアイコンそのものだ。着用すると、小ぶりながら手首に心地よい重みがある。特にステンレス×ゴールドのコンビモデルは、手持ちのジュエリーの色を選ばず毎日の服にも合わせやすい。さらにスモールモデルにもインターチェンジブルシステムが搭載されており、カルティエの豊富な交換ストラップを気軽に組み合わせられるのもうれしい。
男性に愛されてきたマスキュリンなムードをそのまま受け継ぎながら、スモールモデルは女性の手首でも無理なく楽しめる1本だと思う。時計としての堅実な背景に、どこか工業的な美しさのあるケースデザインと仕上げが重なることで、身に着けたときに自分の好みがきちんと手元に表れる。その感じが、私にはとても魅力的に映る。
価格は166万3200円(税込)。詳しくはこちらから。
シャネル プルミエール リボン
1987年に誕生したシャネル初のウォッチコレクション、プルミエール。香水シャネル N°5のボトルストッパーに着想を得た八角形ケースと、艶やかなブラックダイヤルというアイコンを持つモデルである。プルミエール リボンはプルミエールの凛としたブラック×ゴールドのムードに、ストラップがやわらかさを足す。
注目したいのは、ベルベットタッチに仕上げたブラックラバー ストラップ。素材はラバーなのに表面にベルベット仕上げを施しているため、布地のようにしっとりとなめらかで落ち着いている。これは本当に美しく、私は心奪われている。ベルベットというものはいつも乙女心をくすぐるが、それを時計にまとわせるというのはクチュールメゾンであるシャネルならではの美意識なのだろう。このストラップは手首に大人っぽい雰囲気を足してくれ、ブラックダイヤルやゴールドのケースをきれいに引き立ててくれる。ツートンのコントラストも甘くなりすぎないのがいい。シャネルらしいモード感を保ちながら、日常でも気負わず取り入れられるところに、このモデルのよさがあると思う。
価格は90万7500円(税込)。詳しくはこちらから。
エルメス ケープコッド PM 31mm
©HERMÈS
エルメスの時計のなかでも、レザーやジュエリーの気配がいちばん自然に表れるのがケープコッドだ。1991年にアンリ・ドリニー(Henri d’Origny)氏が、シェーヌ・ダンクル(船の錨の鎖をモチーフにしたメゾンのアイコニックなジュエリーコレクション)から着想を得て生み出したこのモデルは、端正なスクエアにやわらかな丸みを重ねたケース形状が特徴で、堅すぎないのにきちんと見える。この絶妙なバランスこそエルメスらしく、普段の服でも自然に上品に見せてくれる。
ケープコッドのよさは、余白のあるダイヤルにもある。モデル名の由来でもあるケープコッドの海辺のリゾートのような、肩の力が抜けた上質さがこの時計の魅力だ。ストラップの色使いもエルメスの強みで、今回紹介するコンクリートのような淡いグレーのベトンをはじめ、深いグリーンのヴェール・シプレスやグレーとベージュの中間色のエトゥープなど、絶妙なニュアンスカラーがそろう。さらに2重巻きストラップのドゥブルトゥールを選べば、レザーが2周するぶん手元に存在感が足されてアクセサリー感覚で着けられる。今回紹介するモデルは、シルバーオパラインのダイヤルにセンターフレームと水平ラインが入る仕様だ。日常の装いに、整ったムードとさりげない遊びを足してくれるだろう。
価格は55万7700円(税込)。詳しくはこちらから。
ロンジン ドルチェヴィータ
ロンジンは190年以上の歴史があるウォッチブランド。なかでも心引かれるのは、アメリア・イアハート(Amelia Earhart)のように空へ挑んだ女性たちの手首を支えてきた歴史があること。そんなロンジンが女性のために日常で使いやすいスクエアウォッチとして提案するのが、イタリア語で甘美な生活を意味するドルチェヴィータだ。
ドルチェヴィータは、角を落とした長方形ケースに直線的なラインが重なり、やわらかさとシャープな雰囲気が同居する。まるでそのデザインは、ブランドが掲げる“Elegance is an attitude(エレガンスを身に纏う)”という哲学、そしてその長い歴史が映し出されているようで、エレガンスとは飾るためだけのものではなく、自分の意志や姿勢として表れるものだと教えてくれる。本作は17.7×27mmの小ぶりなサイズにダイヤモンドをあしらった仕様だが、ほかにもサイズや素材のバリエーションが豊富なので、選ぶのもたのしい。ドルチェヴィータは優美さと、凛とした芯の強さを兼ね備えたい人に、静かに寄り添ってくれるだろう。
価格は41万8000円(税込)。詳しくはこちらから。
フレデリック・コンスタント クラシック マンシェット
1988年創業のフレデリック・コンスタントは、スイス・ジュネーブを拠点に手の届くラグジュアリーを掲げ、クラシカルな時計をつくり続けてきたブランドだ。なかでも、一体型の7連ブレスレットにスクエアケースを持つカフウォッチ、マンシェットは2000年代初頭に登場し、2025年にクラシック マンシェットとして約20年ぶりに帰ってきたモデルである。
久々の復活にとどまらず、当時のムードを残しながら今の装いに溶け込めるよう再解釈されている点に心をつかまれた。スティールブレスレットからスクエアケースへと途切れなく連なり、クル・ド・パリ装飾に似たブレスが手元で細かく光を跳ね返すさまは、時計というよりジュエリーに近い。
さらにマラカイトの天然石ダイヤルがいい。ストーンの表情に個体差があるので選ぶ行為そのものが楽しく、手に入れた瞬間から自分の1本になっていく感覚がある。25.7×20mmの小ぶりなサイズにクォーツを搭載するのも、時計をジュエリー感覚で楽しむうえで理にかなっている。その日の服や気分に合わせて手元を仕上げるアクセサリーのように使えて、装いの一部としてすっとなじむのだ。
価格は33万円(税込)。詳しくはこちらから。
ジャガー・ルクルト レベルソ・クラシック・オリジン
ジャガー・ルクルトのレベルソは、スイスのジュウ渓谷で190年以上時計づくりを続けてきたマニュファクチュールが育てあげた代表作であり、なかでもレベルソ・クラシック・オリジンは1931年のオリジナルと同じ小さなケースサイズが生きたモデルだ。ケース上下のゴドロン装飾と側面(ブランカード)のまっすぐな縦ラインがつくる、アール・デコのシルエットが特徴である。
このモデルを推したい大きな理由が、ルクルトとしては少し珍しい自社製クォーツを積んでいる点だ。機械式で展開されることの多いレベルソのなかで、女性向けはクォーツが中心になるが、その実用性がとてもいい。リューズ操作や巻き上げを気にせず使えるので、ネイルをしている自分はストレスを感じない。しかもクォーツまで自社製というのがルクルトらしい真面目さで、価格も機械式より手ごろになるぶんレベルソの世界への入口としても優秀だ。
レベルソ・クラシック・オリジンはとにかく薄く端正で、手首が細い人にも収まりがいい。ブルースティール針とシルバーダイヤルの組み合わせはクラシックだが、中央のギヨシェと外周のサテン仕上げのコントラストがあるおかげで、ただのおとなしい時計に終わらない。
またレベルソならではのくるりと反転する仕掛けもいい。この無地の反転ケースバックには、イニシャルや記念日、好きなモチーフのエングレービングを入れることができる。ラッカーで色を足すこともできるので、たとえばイニシャルや夫婦の記念日などに合わせて、自分だけのレベルソに仕上げられるのだ。こういう自由度があるから、手に入れて終わりではなく、使いながら自分仕様にしていけるところもこの時計のポイントだと思う。
価格は87万5600円(税込)。詳しくはこちらから。
ティソ ラブリースクエア
ティソ ラブリー スクエアを選んだのは、スクエアウォッチの最初の1本として、これ以上しっくりくる存在はなかなかないと思ったからだ。ティソは精度の高い時計づくりによってスポーツ計時の分野で活躍した歴史がある。6万円台(シルバーカラーであれば5万円台)という手ごろなプライスであってもその背景が支えているから、“ちゃんとした時計を選んだ”という手応えがある。
ケースはポリッシュとサテンを使い分けた仕上げで、価格以上に質感がよく見える。20×20mmのスクエアケースはヴィンテージのレディスウォッチを思わせるサイズ感。ボックス型の風防はミラネーゼブレスレットと相まって、手元に控えめなきらめきをつくってくれる。サイズは小さいのに、印象はきちんと残るスクエアなのだ。
いつものラウンドケースとは違うかたちを試してみたいとき、スクエアは気になる存在だと思う。ラブリー スクエアはその入口を驚くほど低くしてくれる。手が届くという踏み切りやすさに加えて、20mmの小さなスクエアと2針ダイヤルの潔さが、思いの外使い勝手がいい。むしろ新しい定番として手首に収まる。だからこそスクエアに踏み出す最初の一歩として、自信を持ってすすめたいモデルだ。
価格は6万7100円(税込)。詳しくはこちらから。
ノモス グラスヒュッテ テトラ 27
ノモス グラスヒュッテは、すっきりしたデザインと自社製ムーブメントにこだわって時計を作るジャーマンウォッチブランド。なかでもテトラは、定番のなかでも少し個性派のコレクションだ。長方形の時計がエレガンスをまっすぐ伝えるものだとしたら、正方形は形そのもののおもしろさを楽しむためのもの。テトラは、レクタンギュラーのタンクやレベルソとは違う角度で、真四角の楽しさを日常に引き寄せてくれる。
ケース径27.5mmというスペックだけ見ると小ぶりに感じるが、スクエアはレクタンギュラーより面積が広いぶん、手もとでしっかり存在感を放つ。それでいて、約6.1mmという薄さによって女性の細い手首に自然になじむ。白銀仕上げのダイヤルとブルースティール針は清潔感があり、きちんとした場にも休日のカジュアルにも自然に寄り添う。そのうえスモールセコンドまで正方形で揃えていて、ちょっとしたユニークさも楽しめる。
1分刻みのミニッツスケールは実用的で、時間をきちんと読み取りやすいのもうれしい点だ。さらにこのテトラ 27がおもしろいのは、27.5mmサイズのコンパクトなケースに、手巻きの自社製アルファキャリバーをきれいに収めながら約43時間のパワーリザーブを確保しているところにある。小型の手巻き時計は動力が控えめになりがちだが、日常使いでは十分すぎるほど頼もしい。しかもノモスはムーブメントだけでなくヒゲゼンマイまで自社で手がける数少ないブランドで、その中身の本気をこの価格帯で味わえるのは大きな魅力だ。
価格は36万9600円(税込)。詳しくはこちらから。
Photographs by Yuki Matsumoto, Nahoko Omura
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