2005年のコレクション・デビュー以来、エレガントなデザインを追求し、かつ高い性能を備えたタイムピースを次々と繰り出しているロンジン マスターコレクション。そのラインナップはシンプルな3針モデルをはじめ、クロノグラフやアニュアルカレンダーなど実に多彩だ。そして2019年8月、このマスターコレクションにムーンフェイズ機構を備えたモデルが加わった。これまでのラインナップと同様の上品なたたずまいは、間違いなく、長きにわたって愛用できる1本となる。
伝統とエレガンスがロンジンの本質
チャールズ・A・リンドバーグ 。
サンティミエにあった当時の本社社屋。
そもそもロンジンは、1832年にスイスのサンティミエで創業したブランドだ。1867年には自社工場を完成させて時計製造の効率化を図り、以後、ここで生み出された多くのムーブメントが高い精度を実現し、数々の万国博覧会で賞を獲得。加えて、さまざまなスポーツ計時の礎となった計時システムの開発や、世界初となるフライバック機構の開発、チャールズ・A・リンドバーグのアイデアである航空航法機能を搭載した腕時計「アワーアングル ウォッチ」の製品化など、絶えず性能の高さをアピールしてきた。また一方では、1954年に発表されたコンクエスト ラインを筆頭に、エレガントでタイムレスなデザインのモデルをリリースし、多くの人々に愛され続けている。つまり、ロンジンは「伝統」と「性能」「エレガンス」をテーマに時計を製造してきたブランドであり、そんなロンジンのアイデンティティを結実させて2005年に誕生したのがマスターコレクションなのだ。伝統である機械式ムーブメントをすべてのモデルに搭載し、その表情はいつの時代でも変わることのないエレガントな雰囲気。そしてどのモデルも高い性能を備え、手にしたすべての人に確かな満足感を与えてくれる。
現在のロンジン本社。
40mmと42mmで展開される新ムーンフェイズ
3針ムーブメントをベースとして新キャリバー L899を搭載。スラリとした秒針は視認性が高く、運針も美しい。ムーンフェイズは上品に主張している。
中央から左側がSSブレスモデル、右側が アリゲーター ストラップモデル。それぞれ左に40mm、右に42mmを並べて比較した。
そんなブランドのアイデンティティを集約させたコレクションだからこそ、ムーンフェイズは待望のモデルだった。なぜなら、ムーンフェイズは機械式時計の伝統的な機構のひとつであり、エレガントなルックスを昇華させるアクセントになるのだから──。ダイヤルの6時位置に搭載されたムーンフェイズは、カレンダーも搭載しながらマスターコレクションの上品なデザインに調和するシンプルな表示。特にブルーサンレイダイヤルのモデルでは、一面の闇夜のなかで月相が微かに光り輝いているような、なんとも幻想的な風景を想起させるほど。このムーンフェイズを搭載した新しいマスターコレクションは、ケース径40mmと42mmの2サイズ展開。40mmモデルは腕に載せたときのバランスが良く、デイリーに使用するにはモアベターなサイズだ。しかし一方の42mmモデルも、ゆったりとしたダイヤルレイアウトによってマスターコレクションならではのエレガンスが強調されている。些細な違いだが、どちらを手にするかを悩ませてくれるのも、魅力のある証と言えるだろう。
HODINKEE Japan編集長がHANDS-ONレポート
40mmサイズをアリゲーターストラップで着用。Dバックルも標準装備されている。 必要十分な作りで、バックルにはロゴの刻印も。
40mmのSSブレス仕様。サテンとポリッシュの仕上げ分けがされている。非常に優秀な作りのブレスで、手首に吸い付くようなフィット感だ。
40mmと42mm、果たしてどちらを選択するのが正しいのか、これがこの新しいムーンフェイズで最も大きな悩みになるだろう。単純にデザインを比較した場合、僕の好みとしてはダイヤルの余白の少ない40mmの方が凝縮感があって好きだ。では装着感はどうだろうということで、今回、ブルーダイヤルの40mm・レザーストラップモデルを1ヶ月にわたって使用する機会に恵まれた。
使い始めてまず感じたことは、視認性がとにかく高いということだ。バーインデックスとダイヤルの際までスラリと伸びた針とのコンビネーションにより、たとえ瞬間的にしかダイヤルに目をやらなくても時間を読み取ることが容易だった(普段、筆者はクロノグラフを好んで着けることが多いのだが、瞬間的な視認性という意味では全く別次元の快適さだった)。発色の良いブルー文字盤はサンレイ仕上げが施されており、太陽光の下や室内の照明下など多くの環境で色の表情が変わるのが楽しい。屋外の少し柔らかい自然光下において、やや深めなネイビーに発色するのが、僕としては一番好みだった。
さて、装着感は20cmの手首の僕にとって40mmサイズはかなりちょうど良かった。特に、1日だけブレスレットタイプを着用した日にその思いを強くした。手首に吸い付くような滑らかな作りのSSブレスは、その装着感の高さゆえ、かえって時計本体のフィット感まで際立たせたように思う。本機は、顔こそドレス寄りだがラグは程よい長さでドレススタイルに寄りすぎていないのがその大きな理由だろう。コンサバなスーツスタイルにはもちろん馴染むが、より現代的なジャケパンスタイル、もっと言うとブレスレットモデルならば流行りの機能性スーツなどにもマッチすると感じた。
また、42mmモデルを選択したとしても致命的にフィット感が損なわれることはないだろうが、このフィット感を味わった後では僕の選択は40mm一択である。ケースサイズもストラップの仕様も、購入前に試して自分に合うサイズを選択することを強くお勧めする。
42mm(左)と40mm(右)のサイズ比較。42mmはかなり余裕のあるデザインで、40mmは余白の少なさから針やムーンフェイズがより際立っている。
ロンジン マスターコレクション ムーンフェイズ ギャラリー
L2.909.4.78.6
27万9000円(税抜)
特徴的なバーリーコーン文字盤にアラビアインデックスを組み合わせた、広い場面で使える一本。ムーンフェイズが最も強調されるバリエーションだ。SS、自動巻き、Cal.L899、ケース径40mm、3気圧防水、SSブレス。
L2.919.4.92.6
28万9000円 (税抜)
多彩な美しい光沢を放つブルーのサンレイダイヤルにバーインデックスをセット。シンプルかつモダンな印象を与えるデザインだ。SS、自動巻き、Cal.L899、ケース径42mm、3気圧防水、SSブレス。
L2.909.4.51.7
27万9000円 (税抜)
シックな黒ダイヤルにはローマンインデックスが用いられ、よりエレガンスを強調。ドレッシーなナイトシーンに映える一本だ。SS、自動巻き、Cal.L899、ケース径40mm、3気圧防水、アリゲーターストラップ。
ロンジン マスターコレクション ギャラリー
L2.738.4.51.7
44万4000円 (税抜)
12時位置に曜日、右側に日付、6時位置に秒、左側に24時間形式の第二時間帯表示を設けた、4レトログラード機構搭載モデル。SS、自動巻き、Cal.L707、ケース径41mm、3気圧防水、アリゲーターストラップ。
L2.673.4.92.6
38万1000円 (税抜)
12時位置の月・曜日表示に加え、ポインターデイトも装備したトリプルカレンダー。クロノグラフとムーンフェイズも装備する。SS、自動巻き、Cal.L687、ケース径40mm、3気圧防水、SSブレスレット。
L2.759.4.51.6
34万3000円 (税抜)
60秒計、30分計、12時間計のインダイヤルをレイアウトした3カウンタークロノグラフ。ローマンインデックスによってエレガンスを強調。SS、自動巻き、Cal.L688、ケース径42mm、3気圧防水、SSブレスレット。
L2.708.4.78.6
26万7000円 (税抜)
ダイヤルの6時位置にパワーリザーブ表示をレイアウト。クラシカルなインジケーターがデザインのアクセントになっている。SS、自動巻き、Cal.L602、ケース径38.5mm、3気圧防水、SSブレスレット。
L2.910.4.78.3
27万6000円 (税抜)
月・日を表示するアニュアルカレンダーを搭載。バーリーコーン模様に組み合わせられたブルーのリーフ針がアクセントに。SS、自動巻き、Cal.L897、ケース径40mm、3気圧防水、アリゲーターストラップ。
L2.793.4.92.0
23万8000円 (税抜)
シンプルさを極めたデイト付き3針モデル。ブルーのサンレイダイヤルにバーインデックスとリーフ針を用いたスマートな1本。SS、自動巻き、Cal.L888、ケース径40mm、3気圧防水、アリゲーターストラップ。
マスターコレクションについてより詳細は、以下のボタンからご確認ください。
Photos:Tetsuya Nikura(SIGNO) Words:Yuzo Takeishi