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ウッドダイヤルウォッチは、私が“1970年代に生じた奇妙なデザイン”と称するカテゴリーに属している。
私にはディスコ文化の全盛期を美化しすぎるきらいがあり、フランス人の祖母の神経を逆撫でしている。祖母は先日、電話でこう言っていた。「ああマライカ、70年代はファッションにとって最悪の時代だったわ。ひどく人工的で、とてもダサい。全然シックじゃないわ。ひどいものよ!」と。
さて、おばあちゃん。今回は私たちの意見が食い違っていることについて、全面的に肯定せざるを得ない。私は、積み重ねたゴールドのジュエリー、キラキラしたスパンデックス生地、不格好な台座が付いたシューズ、そして巨大なベルボトムパンツを愛している。そして、木製のアイテムもだ。それこそ、これでもか! というくらいに。
ウッドアクセサリーは、70年代のボヘミアンスタイルに属するものだ。ジョン・トラボルタが『サタデー・ナイト・フィーバー(原題:Saturday Night Fever)』で、白いスリーピーススーツを纏ってディスコボールの下で踊っている姿よりも、布に包まって土くさい装飾品に覆われ、毛羽立ったラグの上に寝転びながらパフォーマンスをするミック・ジャガーに近い。イヴ・サンローランのミューズであり、ボヘミアンファッションの偉大な立役者でもあったルル・ドゥ・ラ・ファレーズの象徴的なスタイルもであった。私の知る限り、ルルはウッドウォッチはしていない。しかし、巨大な木のイヤリングやビーズを身につけ、バングルを半貴石やエナメル、ロッククリスタルのペンダントと重ねづけしていた。彼女は、枯れ木でもスタイリッシュに演出できることを証明したのだ。そして今日、ウッドダイヤルウォッチをどのように身につけるかを考えるとき、ルルの存在はインスピレーションの源となっている。
ウッドダイヤルウォッチは、素材としてはアーシーでボヘミアンな雰囲気を演出するものだ。だが、そのフォルムは大胆で、ときに奇抜にすら思える。そして、そう、優れた製品はすべて本物の木材から作られている。
1970年代において最高とされるウッドダイヤルウォッチは、あらゆる意味でレトロだ。しかしだからといって、話を70年代1本に絞ってしまうと不公平だろう。1960年代には奇抜でありながらエレガントなウッドダイヤルが製造されていたし、1980年代にもかなり派手なものが作られていた。その後も2000年代に製造が始まったパテック フィリップの寄木細工のダイヤルに至るまで、さまざまなバリエーションが生み出されている。
しかし1970年代は、オーデマ ピゲによる美しいストーンダイヤルや槌目のゴールドブレスから、オメガによる三角形の“トリニダード(Trinidad)”ケース、有機的なグリマデザインの時計まで、形と素材の両方でさまざまな試みが行われた黄金時代として知られている。ウッドウォッチにおいても、理想的な時代であった。
これらの奇抜な時計は特定の時代に生まれ、今ではミッドセンチュリーから70年代後半にかけてのデザインの象徴となっている。だが、当初はノスタルジックなものではなかった。今でいうMB&Fやウルベルクと同様に、未来志向のプロダクトであったのだ。
タイガーアイやラピス、オニキスのような華やかさは、ウッドダイヤルに感じないというのが正直なところだ。それゆえに、ストーンダイヤルのように木製のものが流行ることはなかったのかもしれない。以下に挙げる20世紀のウッドダイヤルウォッチは、バールウッドのデイデイトやデイトジャストを除いて極めて異質であり、多くのブランドが今日目指しているクラシック志向とはまったく対照的なものだ。クラシックなデザインとはそれが作られた時代を超えて評価されるものであり、そのようなタイムレスな製品ならば長期にわたって売れ続けるというのも道理だ。しかし、なかには時代を超越した個性的なデザインを好む人もいる。
これらウッドウォッチは、ニッチなコレクターカテゴリーに属することは間違いない。だが、見ていて楽しいし、創造性に満ちあふれていた自由な時代を想起させる。
ロレックス(Rolex)
永遠に愛される存在であるロレックス デイデイトは、1956年にブランドのフラッグシップモデルとして登場し、現在までに極めて希少価値の高いダイヤルバリエーションを数多く生み出してきた。70年代初頭には光沢のあるエナメルのステラダイヤルが現れ、ラピスやオニキスといった半貴石を使用したダイヤルも登場した。だが、さらに特殊なバリエーションとして、ウッドダイヤルが存在していたのだ。
4桁リファレンスの初期ウッドダイヤル デイデイト(1.8倍サイクロップレンズ付きプラスチック製プレキシクリスタル使用)は、通称セコイアウッドダイヤルと呼ばれる。木目模様は直線的で、マットな質感の仕上げが施された文字盤の質はあまりよくなかった。また、リファレンスの4桁目はベゼルのパターンを示している。Ref.1802ならスムースベゼル、Ref.1803はフルーテッドベゼル、Ref.1807はバークベゼル、といった具合だ。これらの時計はすべて1973年ごろに製造され、Cal.1556が搭載されていた。
Ref.1807のベゼルとブレスレットのセンターリンクに施されたバークフィニッシュ(樹皮仕上げ)は、1970年代前半にロレックスが初めて採用した仕上げの1種だ。実際に木材を使用していないものの、樹皮を模したこの装飾はウッドダイヤルと組み合わせたときに特に効果的であった。
1970年代後半に生産された5つのシリアルナンバーを持つデイデイト(サファイアクリスタル風防)のウッドダイヤルには、バーチウッド、マホガニー、そしてウォールナットの3種類の木材を使用していた。これらはラッカーを塗布した上にプリントを施すことで、文字の視認性を高めていた。このシリーズには、クイックセット機能を備えたCal.3055が搭載されている。
この世代のウッドダイヤル デイデイトはしばしばバールウッドとも呼ばれるが、バールが後発のウッドダイヤルにも存在する特定の木目を指すという点から理論的には間違っていない。しかし、バールを木の一種(バーチやウォールナットなどのような)だと勘違いしてはいけない。バールは木の外側にできる成長物で、それが木目に影響し、独特の節ができるのだ。
一般的にバールダイヤルは、素材としての密度と割れにくさから、それまでの無塗装の木目の細いセコイア材に取って代わったと思われている。しかし個人的には、バールの木目はよりリッチで特別な印象があり、とても魅力的だ。同素材の家具はアール・デコの時代に流行し、ご存じのとおり1970年代に復活した。ちなみに私はリサーチ中、バール材を使用したミロ・ボーマンの家具の沼にハマってしまった。今、バール材のクレデンザ(キャビネット)が欲しくて仕方がない……、おっと危ない!
以下は、ウッドダイヤル デイデイトの興味深いバリエーションだ。オイスタークォーツ Ref.19018にはソリッドウッドダイヤルのほかに“ウッドルーレット”と呼ばれるダイヤモンドパターンのバリエーションがあり、オイスタークォーツ デイデイト Ref.19028にはブレスレットとベゼルにピラミッドパターンのクル・ド・パリ装飾が施されている(写真はないが)。
デイトジャストには1979年ごろに生産されたRef.16018、Ref.16019をはじめ、ウッドダイヤルを持つモデルも存在している。また、レディ デイトジャストのRef.6917とRef.69278も70年代後半から登場していた。
ロレックス チェリーニ(Rolex Cellinis)
ロレックスはチェリーニでもウッドダイヤルを相当数作っていた。六角形のトノー型であるRef.4122のマホガニーダイヤルはモデルによって異なるが、約28×30〜35mmのサイズ感で、葉巻を吸いながらバックギャモンをする貴族がロンドンのグルーチョクラブにつけていくような雰囲気だ。
最近少し復活してきたように思われるマイダス チェリーニには、ウッドダイヤルのバリエーションも生産されていた。Ref.4126(下の写真)は18KのYGケースに埋もれたウォールナットダイヤルを備え、ベゼルにはホブネイル柄の加工が施されている。
また、ウッドダイヤルのチェリーニにはRef.4127もあり、マホガニーバールダイヤルとピラミッドモチーフベゼルを備えている。この長方形型ケースのチェリーニのサイズは33×24mmで、1976年ごろに製造されたものだ。
ジェンタがデザインした八角形のチェリーニ Ref.4350はマホガニーダイヤルを備えており、ダイヤモンドをセットしたRef.4651と同様に、予想外のヒットを飛ばした製品となっている。どちらもイエローゴールドのケースとブレスレットが魅力的なモデルだ。これらは、実に70年代らしいユニークな形状のドレスウォッチである。
カルティエ タンク オーガニック(Cartier Tank Organic)
“マスト以前”のタンクであるカルティエ タンク オーガニック Ref.20611(ミディアム)とRef.21611(ジャンボ)は、70年代半ばにカルティエ ロンドンとカルティエ ニューヨークの両店でパリサンドル・デ・リオと呼ばれる珍しいブラジリアンローズウッドを使用して製造された。この時計は木製のサイドパネルとそれに合わせた木目調の文字盤を持ち、イエローゴールドのメッキが施されたケースにゴールドのローマンインデックス、ゴールドのバトン針を特徴としていた。
タンク オーガニックはカルティエにとって極めて型破りなデザインであり、カルティエが長年にわたって(特にカルティエ ロンドンのジャン=ジャック・カルティエのもとで)作ってきた非常に珍しい形状のモデルのひとつにもかかわらず、今なお傑出した存在感を放っている。
この非常に参考になるフォーラムの投稿によると、カルティエのオーガニックラインは1975年から76年までの短い期間だけ存在していた。1976年に3社のうち最後の会社が買収され、カルティエが現在のようにひとつの大きな組織になったときに突然廃止されたとのことだ。
ロンドンを拠点とする時計ディーラー、アレックス・スティーブンス(@alexstevesvintage)の好意で試着する機会を得たが、プラスチックケースゆえの反射から、写真を撮るのは困難を極めた。
この時計は、約3000本しか製造されなかったと考えられている。加えて、木製のパネルが露出しており文字盤も十分に保護されていないため、気候によるひび割れや収縮、膨張が起こりやすい。このような壊れやすいモデルを維持するのは難しく、原型を留めているものはほとんどないと思われる。
ハミルトン シャーウッド オートマティック コレクション(Hamilton Sherwood Automatic collection)
1892年にペンシルベニア州で創業し、1969年に生産の大半をスイスに移したアメリカの時計メーカー、ハミルトンは、60年代から70年代にかけての急進的な時計デザインの分野で大きな役割を果たした。データラインTM-5903やオデッセイ2001(キューブリック監督の代表作のために作られたオリジナルのプロトタイプは、製品化されなかったことで有名)、QED LED、そしてクロノマチック フォンテーヌブローなど、同社は宇宙開発時代をイメージした無数のデザインを生み出している。
家具、ファッション、自動車などの未来的なデザインとともに、天然素材もミッドセンチュリーのインテリアにおいては大きく取り上げられており、それは一部の時計ブランドのデザインコンセプトにも浸透していたようだ。1950年代後半から1960年代前半にかけて、ハミルトンはリチャード・アービブ設計のフライトIIとペイサー エレクトリックをウッドダイヤルで試作した。これがきっかけとなり、のちにシャーウッド オートマチック コレクションとしていくつかのウッドダイヤルのバリエーションが生産されるようになった。ケースは14金、文字盤はメキシコ産のマホガニー材で作られていた。
ブローバ アキュトロン “ウッディ”(Bulova Accutron ‘Woody’)
ハミルトンと同じくアメリカの時計会社であるブローバは、1973年にベゼルとメタルブレスレットに木材を象嵌したアキュトロンを製造している(下の写真)。“ウッディ”はデイデイト機能を搭載しており、Bulova 2182と記されたアキュトロン製の音叉ムーブメントを備えていた。
この時計は私にとって魅力的なものだ。アキュトロンのような宇宙的なものと、木材のような有機的な素材との対比は、まったく理にかなっていない。だが、床を低くしたリビングルームや、大都市で行われるフォンデュなどもまた、実に意味がないものだろう。
この時計は、レトロなキッチンの装飾品のようにも見える。木製のインサートはリノリウムの床材を彷彿とさせる。もしかしたら、ブレスレットを付けずに4倍の大きさにして、キッチンの壁に飾ったほうがいいかもしれない。
モバード ゼニス ウッドダイヤル(Movado Zenith Wood Dial)
1970年に製造されたモバードとゼニスのダブルネームウォッチで、ゼニスの自社製自動巻きキャリバーである2572PCを搭載している。この時計が製造された当時、モバードとゼニスの両ブランドは同じ持ち株会社(モバード・ゼニス・モンディアグループ)に属していた。1969年のモンディア、ゼニス、モバードの合併後、ゼニスはモバードのムーブメント(特にCal.405とCal.408)を頻繁に使用するようになり、モバードはゼニスのムーブメントのなかでも特にエル・プリメロ(Cal.PHC3019)を使用していた。
当時、ゼニスはアメリカに本社を置くゼニスラジオカンパニーとのあいだで商標権に関する問題に直面していた。この問題を回避するため、彼らはエル・プリメロムーブメントをアメリカで販売するために、モバードというブランド名(文字盤に両方の名前が表示されることもある)を使用したのだ。
この時計は、ブローバほどスペースエイジ的ではない。ローマ数字の表記からは、ある程度の古典主義を保持しようとする試みのようなものが感じられる。また、この文字盤の木材は、北カリフォルニアのヒッピー風でありながら退屈なキッチン家具のカタログ風ではない、よりトーンダウンした自然な雰囲気を漂わせている。
グッチ(Gucci)
最後に、私の個人的なお気に入りである木製のグッチを紹介しよう。そう、確かに文字盤は木製ではないが、この時計は称賛に値する。マッカーサーエボニーウッドとYGの金無垢で構成されており、バックル式の留め具と手巻きムーブメントを搭載している。このケースはカルティエと同じケースメーカーが作ったといううわさを、とある人のInstagramで見たことがある。まだ真相の究明中なので、どうか引用はしないで欲しい。
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