シチズンにとって未来は切り開くものであり、そのスタート地点に立ち、つねに挑戦を続けてきた。そしていま、生活や価値観の変容とともに、これまで以上に自分と向き合う新たな時代が始まっている。この新たな「Series 8」が刻むのはまさにそうした新世代の時間だ。力強さや艶やかさなど異なるコンセプトの個性豊かな3機種8モデルを揃え、オンオフを問わず、あらゆるシーンに溶け込む。それは日常により深い充足感をもたらしてくれる。
日常をアップデートする
「Series 8」は、もともとは2008年にデビューしたコレクション。“引き算の美意識”をデザインコンセプトに、都市のライフシーンにおいて躍動する男たちの腕元を飾った。時代は移り変わり、その存在はむしろいま求められているのかもしれない。「シンプルかつモダンに。飾るのではなくそぎ落とす」というテーマを掲げ一新されたスタイリングは、直線と曲線をバランスさせたシャープな面からなるケースが特徴だ。初代のコンセプトを継承しつつ、スタイリッシュな魅力を強くアピールする。さらにJIS保証水準が定めた16000A/mの第2種耐磁を新たに備えることで、パソコンやスマートフォンといった周囲のデジタル機器が発する磁気からの影響を防ぐ。機械式時計の実用性を担保し、オフィスやリモートワークでも頼りになる相棒だ。そして今後さらに進むデジタル社会におけるアナログの共存と魅力の可能性をより広げることだろう。ブランドネームの“8”は“∞(無限)”を意味し、まさにその真価を象徴するのだ。
ケースとブレスレットが一体化したデザインには、SSならではのタフネスな硬質感が漂う。だがそこに無骨さを感じさせないのは、高度な切削技術を駆使したわずかな歪みやラインの甘さも許さぬ高精度と、あえて粗目で仕上げたヘアライン加工との絶妙なコンビネーションによる。研ぎ澄まされた「870 メカニカル」のインダストリアルデザインはシンプルなようでいて、ベゼルは別体の2ピース構造を採用し、異なるミラーの仕上げやカラーリングを用いることで洗練されたモダニティが浮かび上がるのだ。その力強い印象にも関わらず、腕によく馴染むことにも驚くことだろう。ケース厚は10.9㎜に抑え、可動域の広いブレスレットによって高いフィット感をもたらす。心地よい装着感は、終日着けていてもストレスを感じることもない。それは日常をともに過ごす道具にとって不可欠な要件であると同時に、たとえ見ることができなくとも、そこに注がれた圧倒的な技術と情熱を実感するのである。
デジタルの渦で感じるアナログの質感と信頼性
技術革新を続けるデジタル社会と新たな日常の訪れによって、現代のライフスタイルは大きく変わった。だがどれほど優れたバーチャル体験やオンラインでつながっていても、そこで得られる満足や温もり、共感はリアルには到底及ばない。だからこそアナログの価値が見直されているむきもある。レコードやフィルムカメラ、万年筆も然り。とくに時計は、生活を司る大切な道具として機械式を手にしたい。 「Series 8」はそんな気持ちに応えてくれる。シーンやファッションを選ばないモダンスポーティなデザインは、オンとオフの境があいまいになっている日常にも馴染み、つねに身につけることでそこに刻む針の動きは自身と同化し、見るたびに信頼感と余裕を与えてくれる。ゼンマイを巻くことで時計に命を吹き込み、ときには時刻を合わせる手間もまた道具を使いこなす楽しみだ。それは効率を最優先するデジタルとは対極にある、暮らしを大切にする心の豊かさである。
Series 8のフィーリングに宿るLess is Moreの美意識
「Series 8」のもうひとつのデザインバリエーションが「830メカニカル」だ。まるでボルトのヘッドを思わせる八角形のケースに都会的なモダニティが伝わってくる。リューズガードは、ケースと統一したラインをあえて別体構造にし、ケースのフォルムをよりシャープに際立たせている。そして目を引くのが文字盤だ。これは、通常の金属文字盤の上にM.O.P.(白蝶貝)を重ね、さらに格子状の金属プレートで覆った3層構造を採用する。プリント装飾とは異なり、奥行きある立体感に加え、M.O.P.が光を受けて美しい光彩を見せる。シリコンウェハーのようなハイテク感とともに、滑らかなカーブを描くセミフラットの風防を備え、男の艶っぽさを演出するのだ。よりカジュアルにつけこなせるスタイルは、同じブランドであっても「870メカニカル」とはコンセプトが異なり、ブレスレットも専用設計にこだわった。その多様性はまさに現代を映し出している。
Series 8 ラインナップギャラリー
Photos:Akira Maeda(MAETTICO) Styled:Eiji Ishikawa(TRS) Hair&Make:Ken Yoshimura Model:KOU Words:Mitsuru Shibata
〇撮影協力
自転車 MATE X 250 33万円/MATE. BIKE(MATE. BIKE TOKYO 03-6277-3987)
〇衣装協力
Hero Image:ジャケット5万600円、シャツ2万5300円共に/トラディショナル ウェザーウエア(トラディショナル ウェザーウエア 青山店 03-6418-5712)、スタイリング 2:トレーナー1万7600円、パンツ3万6300円共に/トラディショナル ウェザーウエア(トラディショナル ウェザーウエア 青山店 03-6418-5712)、ショルダーバック14万800円/J&Mデヴィットソン(J&Mデヴィットソン 青山店 03-6427-1810)