時計愛好家にとって、限定という響きは特別だ。ましてやそこに魅力的なシナジーがあればなおさらだ。
「和光」は、服部時計店(現セイコーグループ株式会社)の小売部門の業務を継承する形で1947年4月に設立された。とりわけ銀座4丁目にある「銀座・和光本店」は、まさに銀座のショーウィンドウであり、国内外の一流品を扱う名店として親しまれている。この和光本店は、高級時計の販売でも長い歴史があり、スイスの高級時計ブランドはもちろんのこと、1階と2階にある「グランドセイコーフラッグシップブティック 銀座」では人気モデルから希少なハイエンドモデルまで、幅広く取り扱っている。
こういった時計に対する一流の審美眼から生まれたのが、「グランドセイコー和光限定モデル」だ。
ジュエラーである和光が、ダイヤルで表現するダイヤモンドの輝きとは
リング56万1000円(税込)/和光
和光という店の銀座の地で研ぎ澄ませてきた審美眼と、世界的に評判の高いグランドセイコーの技術とデザインの融合は他にはない魅力となっており、春と秋に1モデルずつ発売される限定モデルは、発売後すぐに完売してしまうほどの人気を誇る。
今秋の限定モデルでは、ダイヤモンドの輝きからインスピレーションを得ており、ジュエラーとしての歴史も長い和光ならではのダイヤル表現が既に話題になっている。
特に、注目すべき輝きを持った、日本で和光だけがルースの買付を許されているダイヤモンドがある。そのダイヤモンドとは、1999年にニューヨークで生まれた「アショカダイヤモンド」のこと。ニューヨークの宝石商ウィリアム・ゴールドバーグが考案したカット方法で、特殊なファセットパターンの組み合わせから放たれる2種類の異なる輝きが最大の魅力。その複雑かつ繊細で華麗なきらめきから、絶大な権力を誇った古代インドの王にちなんで「アショカ」と命名された。
グランドセイコー エレガンスコレクション 和光限定モデル SBGJ291 110万円 10月9日発売、70本限定
SSケース、39.5mm径、メカニカル自動巻(手巻つき)Cal.9S86搭載、日常生活防水
リング(上)47万3000円、リング(下)39万6000円(すべて税込)/すべて和光
この特別なダイヤモンドと和光の絆は、「命のビザ」で知られる外交官・杉原千畝氏の子孫がつないだ縁によってはじまる。その絆の証として、アショカダイヤモンドは、日本では和光だけが直接の買い付けを許されている。
もちろん人と人とのつながりだけで、貴重なダイヤモンドを仕入れることはできない。和光は、前身の服部時計店時代から海外のジュエリーを販売している長い歴史がある。そして銀座の地にふさわしいエレガントなデザインのオリジナルジュエリーを制作してきた歴史も評価されたのだ。
今でも和光ではオリジナルジュエリーの制作に力を入れているが、中でも企画・デザイン・クラフツマンシップのすべてで情熱を注ぐのがアショカダイヤモンドを使ったシリーズであり、フォーマルからドレスダウン、カジュアルまで、幅広いシーンに合う多彩なコレクションを展開している。アショカダイヤモンドを代表する和光のジュエリーは、和光の美意識の表れであり、それだけ特別なもの。だからこそ今回、グランドセイコーに投影したいと考えたのだ。
ピアス 124万3000円、ブレスレット 85万8000円、リング 47万3000円(すべて税込)/すべて和光
和光だけで毎年味わえる限定モデルのテイストとは
イヤーカフ 49万600円、リング 39万6000円、ネックレス 187万円、バングル 187万円(すべて税込)/すべて和光
和光限定モデルが始まったのは2002年から。生産本数は数本から多くても30本程度という希少性の高さも相まって、時計愛好家を中心に話題となった。そして人気の高まりとともに2020年ごろから生産本数を増やし、現在の製造本数は70本前後。それでも即完売という事態が続いている。
人気の定番モデルをベースに和光らしいダイヤル表現を加えるのが特徴で、2022年には時計塔90年を記念して本館の外壁に使用される御影石を表現したシャンパンゴールドのダイヤルのモデルを発表。ちなみに今年の春モデルは梅雨の時期に、店内からウインドウ越しに見える銀座の街が、ブルーグリーンに染まって見える様子をダイヤルで表現した。
そして今秋に発売される限定モデル「グランドセイコー エレガンスコレクション 和光限定モデル SBGJ291」は、精緻な型打ちパターンのダイヤル装飾で、華やかに輝くダイヤモンドの美しさを表現。放射状に広がるパターンは光のあたり方で濃淡を変え、ペールグレー色を上品に演出している。それはまるで時を刻むジュエリーのようだ。
リング 39万6000円(税込)/和光
ピンブローチ 29万7000円、リング 56万1000円(すべて税込)/すべて和光
文字盤上で圧倒的に表現される、ダイヤモンドを思わせるきらめき
上質なジュエリーのように腕元を華やがせる「グランドセイコー エレガンスコレクション 和光限定モデル」は、メンズ用のGMTウォッチをベースとしている。
GSロゴやGMT針、24時間表示のインデックスにゴールドカラーを取り入れ、華やかなアクセントとしているのも、ジュエラーらしい美意識の表れだ。端正なラウンドケースは39.5㎜径ながら、女性の腕元にもきれいに馴染む。パールホワイトカラーのクロコダイルストラップも付属するので、一本の時計をパートナー同士で共有するシェアウォッチとしても楽しめるだろう。
これまでの和光限定モデルは、男性目線の時計が多かった。しかし今回の限定であるSBGJ291は、ジェンダーの枠を広げ、多くの人から愛される時計に仕上がっている。もちろん時計に合わせてアショカダイヤモンドのジュエリーを取り入れるのも楽しいだろう。そういった新しい魅力に触れるのも醍醐味と言える。
10月9〜22日 銀座・和光 グランドセイコー ウオッチコレクションでは、最新モデルも多数揃う
(左)グランドセイコー エボリューション9コレクション SLGW007 134万2000円(税込) 10月10日発売
SSケース、38.6mm径、メカニカル手巻Cal.9SA4搭載、日常生活用防水
(中)グランドセイコー ヘリテージコレクション SLGA030 792万円(税込) 10月10日発売
18KPGケース、40mm径、スプリングドライブ自動巻(手巻つき)Cal.9RA2搭載、日常生活用強化防水
(右)グランドセイコー SLGC006 302万5000円(税込) 10月10日発売、世界限定300本(うち国内200本)
ブライトチタン(一部18KPG)ケース、43.2mm径、メカニカル自動巻(手巻つき)Cal.9SC5搭載、日常生活用強化防水
「グランドセイコー エレガンスコレクション 和光限定モデル」は、9月10日(水)より予約を開始しており、10月9日(木)より販売が始まる。それに合わせて10月9日〜22日まで開催される「銀座・和光 グランドセイコー ウオッチコレクション」では、既に話題を集めている特別な新作ウォッチも販売される。
グランドセイコー Ref.SLGW007(左)は、手巻メカニカルハイビートムーブメントCal.9SA4を搭載する薄型のドレスウォッチ。月夜に照らされる白樺の様子を、ネイビーのダイヤルで表現している。グランドセイコー Ref.SLGA030(中)は、ピンクゴールド製のケースやブレスレットを用いたラグジュアリーなモデル。繊細に表現したブラウンのグラデーションダイヤルも美しい。そしてグランドセイコー Ref.SLGC006(右)は、自動巻メカニカルハイビートクロノグラフムーブメント「テンタグラフ」搭載の限定モデルで、岩手山に昇る朝日をイメージしたカラーリングが特徴だ。
いすれのモデルも、希少性が高く人気を集めるだろう。こういった特別なグランドセイコーに出会えるのも、銀座・和光本店の魅力。時計愛好家であれば、必ず足を運びたい。
Words: Tetsuo Shinoda Photos:Tetsuya Niikura Styling: Eiji Ishikawa(TRS)