大空を飛ぶ解放感に比して、それを支える時計には非常に大きな負荷がかかる。激しい振動や計器の発する磁気、厳しい温度差など、時計は過酷な環境に晒される。一方、そうした環境下においても一瞬で表示を読み取ることができる優れた視認性も確保しなければならない。ロンジン スピリットは、こうした要件に挑み続けたヘリテージに技術革新とモダニティで磨きをかけたニューコレクションだ。
大空の世界を切り開いたパイオニアと共に
1919年に国際航空連盟に公式認定されたロンジンは、高精度で信頼性の高い航空用機器や、ナビゲーションに欠かせないGMTシグナルと針を正確に一致させる機構を開発した。代表作アワーアングル・ウォッチも航空史におけるマイルストーンとして名高い。こうした実績から、多くの先駆者が空への挑戦のパートナーとして連れ立った。この二人もそうだ。アメリア・イアハートは1932年に女性で初めて大西洋の単独横断飛行を果たした。14時間56分の飛行時間を刻んだのがロンジンのクロノグラフ。そして大富豪で知られたハワード・ヒューズは、1938年に最速の世界一周飛行を達成した。航行時間だけでなく、ロンジンが開発した恒星時を計測するシデログラフを搭載し、正確な測定にあたったのだ。ロンジンの技術の革新性と信頼性は、机上ではなく、まさに機上で研ぎ澄まされたのである。
抱き続けた憧憬はリバイバルに留まらない
ロンジン スピリットは、これまで培ってきた航空時計のヘリテージを現代に受け継ぐ。ダイヤルに際立つ数字フォントや大型のリューズは航行時の実用性を想起させ、かつてロンジンが搭載キャリバーの最高位を示した五つ星を誇らしげに掲げるのだ。だが、それらは決して単なるリバイバルに留まらない。技術革新と共に、現代のライフスタイルに合わせ、細部まで進化を遂げた。ロンジンが創業時から採用するロゴマーク「翼の砂時計」には、未来へと羽ばたく革新を意味する翼と、過去から現在へと培われてきた伝統を象徴する砂時計が記されている。この両者の融合こそ、ブランドの時計づくりの哲学であり、時代を超えて貫かれている、その証でもあるのだ。
コンテンポラリーなパイロットウォッチにふさわしく、マットブラックのダイヤルにレザーストラップを備えたベーシックなモデル以外にも、コレクションでは個性豊かなバリエーションを揃える。ダイヤルカラーは、表面をグレインで仕上げたシックなシルバーと美しいサンレイ仕上げの精悍なブルーがあり、いずれも針やインデックスにはスーパールミノバを施す。それぞれのカラーに合わせたダークブラウン、ライトブラウン、ブルーのレザーストラップ、またはステンレススティール(SS)ブレスレットを装備する。いずれもパイロットウォッチの躍動感と機能美に溢れ、シーンを問わず、長く愛用できるだろう。
その歴史は常に精度と機能の追求と共に
ブランド名は、1867年にサンティミエの通称「Es Longines(細長い野原)」と呼ばれる地に自社工場を設立したことに由来する。そして、この工場で初のムーブメントを生み出し、技術は急速に発展を遂げた。1888年には初のクロノメーター“Cal.21.59”と“Cal.21.60” を発表。その技術力を世に知らしめる一方、高い精度と機能、信頼性から航空機のコックピットクロックも数多く手がけた。そうした伝統を受け継ぐムーブメントがロンジン スピリットに搭載されたL888.4とL688.4だ。いずれも先進素材であるシリコン製ヒゲゼンマイを採用し、COSC認定クロノメーターの高精度を誇る。3針が64時間、クロノグラフは60時間というロングパワーリザーブも、週末をまたぐような現代的な使い勝手に合う。技術の系譜に則り、今も変わることなく、進化し続けているのだ。
シンプルな3針とデザインを共有しつつ、さらにコックピットの計器を思わせるクロノグラフも同時に登場した。ケース右サイドの上下に備えたクロノグラフのスタート、ストップ/リセットのプッシュボタンに加え、左サイドには日付調整用プッシュボタンを装備する。クロノグラフの積算針にはいずれも赤を用い、多針でも視認性を損なうことはない。また、ダイヤル外周のフランジリングを別体化し、ダイヤルとのスロープを設け、メリハリを付けるといった細部の入念な仕上げも美しい。伝統的なパイロットウォッチのデザインをベースにしつつ、その機能美を抽出し、よりスタイリッシュなテイストでまとめたスポーティなクロノグラフだ。
ロンジン スピリット ギャラリー
なお、コレクションには、インターチェンジャブルシステムを搭載し、付属するSSブレスレットとレザーストラップ、レザー製NATOストラップを専用工具を使うことなく容易に交換できる「プレミアムモデル(税抜価格で32万9000円。3針モデルのみ)」もラインナップされる。
航空史の発展を腕元で支えたレガシーにリスペクトを捧げつつ、さらにその先へと進む。ロンジン スピリットには、そんな不変のパイオニア精神が貫かれている。
ロンジン スピリットについての詳細は、以下のボタンから確認いただきたい。
Photos:Tetsuya Nikura(SIGNO) Styling: Eiji Ishikawa(TRS) Words:Mitsuru Shibata