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MRG-B2100D-2AJR 縹色ダイヤルで纏う、凛と美

タフネスをベースに、決して壊れない時計として1983年に登場して以来、腕時計の概念を覆し続けてきたG-SHOCK。その進化は現代においても、樹脂からメタルへ、さらにデジタルからアナログ表示へと表現を変えながら続いている。今回は最高級ラインであるMR-Gにおいて、日本古来の青である“縹色(はなだいろ)”を取り入れた。伝統と先進による“和のハイテク時計”という独特の世界観が、時計愛好家のあいだで静かに広まりつつある。 #PR

G-SHOCKの進化するクラフトマンシップを今いちど深く伝えるための試みとして、去る1月16日、ISHIDA表参道にて「ISHIDA Presents G-SHOCK ✕ HODINKEE.jpナイト in 表参道」が開催された。チタンに代表される先進的な素材と精緻な加工技術が光るケース加工を採り入れながら、ときには日本の伝統工芸を組み合わせるなど、MR-Gはエクストリームかつラグジュアリーな独特のポジションを築き上げてきた。その直近のブレイクスルーともいうべきシリーズが、MRG-B2100だ。電波受信やBluetooth®︎通信機能などを備えたソーラー発電駆動のモデルでありながら、従来のG-SHOCKの常識を打ち破る完全アナログ3針表示のアイコニックな時計で、軽量かつアレルギーフリーのチタン合金をケースのみならずバンドにまで採用する。

 その魅力を伝える場として、最新作から希少な限定モデルまでが揃うG-SHOCKコンセプトショップ『EDGE』を擁するISHIDA表参道は、まさに最適の舞台だった。この夜、スーパーGTでグッドスマイル・レーシングのメルセデスAMG GT3を駆るドライバーにして、EDIFICEアンバサダーを務める谷口信輝氏と、HODINKEE Japan編集長である関口 優のクロストークテーマは、この日発売されたばかりのMRG-B2100D-2AJRだった。G-SHOCKのハイエンドを担うMRG-B2100シリーズの最新作にして、これまでのモデルと大きく趣が異なる。

 それにしてもなぜMRG-B2100、引いてはMR-Gは、数十万円の価格を正当化しうる時計となったのか?  

 MR-Gを高級腕時計の文脈に引き上げたモデルのひとつが、2022年3月に発表されたMRG-B5000B-1JRだ。G-SHOCKにおいて特別な意味を持つ初号機ことDW-5000C、射出成形により作られたその複雑な形状の樹脂製ケースを25のチタンパーツに細分化したうえで研磨を施すことで、ブランドの伝統と工業的な美しさを高い次元で結実した名機である。そして2024年には、8角形ベゼルを特徴とするGA-2100をMR-GとしてリファインしたMRG-B2100シリーズを発表。オリジナルの樹脂モデルに見られるデザインコードを忠実に受け継ぎつつ、27点ものチタンパーツによって緻密に組み上げられたケースとマルチガードストラクチャー構造、そして完全アナログ表示による美的表現の完成によって、MR-Gの哲学をさらに高みへと引き上げてみせた。そのときに生まれた、日本の木造建築の伝統工法である組物(くみもの)をイメージし、桁(けた)状の穴から光を通す独自の文字盤構造は、新作のMRG-B2100D-2AJRにも受け継がれている。

(左)2019年に発表された、GA-2100-1AJF。(右)2024年にMR-Gのラインに加わった、MRG-B2100B-1AJR。

 そしてMR-G-B2100D-2AJRでは、日本古来の伝統色である“縹色(はなだいろ)”がその格子状文字盤に採用された。柔和で落ち着いた雰囲気を持ち、光や角度によって表情が変化する澄んだ青は、これまでのモデルとは明らかに趣が異なる。初期のMRG-B2100に見られるブラックや青墨など発色の強いモデルから、一転して穏やかな色合いと和風の静けさを湛えたモデルが登場したその背景には、企画者のどのような思いがあるのだろう。


縹色の実現により深まる、静けさに満ちた美

「過去2年は、G-SHOCKらしい力強さを表現するために、ブラックや青墨といった主張の強い色を取り入れてきました。しかし今回発表するMRG-B2100の新作は、逆にシルバーケースに映える色という観点から、これまでとはまったく異なる趣の文字盤色に挑戦したいという思いから企画が始まっています。その発想を形にするにあたり、着想源となったのが、MR-Gを組み立てているマザーファクトリーがある山形、その山間にそびえる東北最古の五重塔です。木組みの文字盤に日本の伝統色を使用する、というストーリーはそこから生まれました」

 そう語るのは、2年前からMR-Gの商品企画を担当する佐藤貴康氏だ。当初、輝きの強いシルバー色のベゼルやケースに映えるダイヤルカラーとして、縹色以外にも日本の伝統色からいくつか候補が挙がっていたという。

 同じくアナログ針を持つMR-Gのレギュラーシリーズを振り返ってみると、日本の伝統工芸とのコラボレーションを活発に行なっているMRG-B2000などのようなクロノグラフモデルが中心であり、サブダイヤルやその他の要素を文字盤上に設けたメカニカルなものが多い印象である。しかし2024年に発表されたMRG-B2100B-1AJRでは、計時用の3針と機能表示の小針のみという、潔いアナログフェイスへと踏み込んだ。文字盤のスペースが広がり、余白が生まれたことで、ブランドはタフソーラー駆動に必要な光の透過性と高い質感を両立させた“木組格子”文字盤を新たに開発。高級機としての文脈のなかで、G-SHOCKにおけるフルアナログモデルの在り方を明確に提示してみせた。

 「ユニークかつ、時計業界のトレンドを取り込んだ面白い色味も選択可能でした。ただ現段階では、レギュラーモデルとして息の長い色を選ぶべきだと考えたんです。加えて量産化という視点もあり、品質を安定させやすいブルー系に落ち着きました。ただし問題は、どんなブルーにするか。その議論の糸口になったのが、先ほども触れた平安時代から続く東北の五重塔でした。そこで夜明けから朝にかけて現れる朝霞の色を、文字盤に落とし込もうという結論に至りました」

 そうして採用された縹色ダイヤルは、これまでの黒や青墨よりも目に見えて淡く、しかし荘厳な美しさを備えたものとなった。

左から、MRG-B2100B-1AJR、MRG-B2100D-1AJR、新作のMRG-B2100D-2AJR(縹色)とMRG-B2100R-2AJR(青墨)。

 「文字盤の素材には樹脂を使用しています。木組格子状に射出成形した文字盤の表面に蒸気化させた金属で薄膜を形成し、金属調の色味を生み出しているのです。薄膜であるほどエッジはよりシャープに際立ち、質感も高く保てます。これは本作に限らず、MRG-B2100の全モデルに採用されている技術です」と佐藤氏は説明する。

 今回の縹色についても、処理そのものの難しさは従来のブラックなどと大きく変わらないという。しかし難所となったのが、淡い色調ゆえに顕在化する“重なり”の調整だった。「文字盤は、受光発電部を覆う下文字盤、木組のような穴を穿った立体的な上文字盤、さらにインデックスパーツを備える見切り枠という、立体的な3層構成になっています。これら3つを組み上げた際の色合いや質感のバランス調整がMRG-B2100の要になるのですが、縹色は従来モデルより淡いため、下文字盤の色味がはっきり見えてきます。コントラストが強すぎると、本作で狙った色調の世界観がうまく表現できない。加えて、ソーラーセルに光がきちんと届き、受光発電が機能するかどうかも含めて見極める必要があります。そうした理由から、本作では特に試作を重ねました」という。

 とはいえ、MR-Gに限らずデザインや製作の現場には、色味を引き出すためのレシピやノウハウがすでに蓄積されている。経験に裏打ちされた狙いを定め、縹色にふさわしい青を導き出すうえで、理想的な蒸着膜の厚みや構成、薄膜層への光の当たり方をコントロールすることは、もともと自家薬籠中のものだったようだ。

 かくして、凛とした青に彩られた文字盤が完成した。そして次に、見た目だけでなく触感の面でもエッジを際立たせつつ、指当たりはやさしく整えられたチタンケース&ブレスレットの本体を手に取ってみる。すると、122gにまで突き詰めたという軽やかな手応えと、指のあいだからこぼれ落ちそうなほどしなやかなブレスレットの駒に驚かされる。それでいて手首に載せると、重さの中心が裏蓋側へすっと収まり、重量バランスがきれいに整うような、タイトで安定した装着感が得られる。加飾に頼らない高級感、日本独自の木造建築にまで遡れる構造美が、まさに眼前と手元へ迫ってくる。

 「サブダイヤルなど要素が多いクロノグラフと比べると、3針モデルでは文字盤の質感が勝負どころとなります。そこで私たちはMRG-B2100の開発が始まった際、大事な柱は何かと考えたんです。まずはG-SHOCKらしいタフネスデザイン。2本目が、タフネスデザインから導かれる構造や機能そのもの。そして3本目となるのが、チタンのような先進素材の採用です。機能性は制約ではなく構造美の素でもあり、職人技も求められるところ。強さと美しさの融合という点で、通常シリーズのG-SHOCKとMR-Gは大きく異なります。それに金属は電波を遮断する素材が多くて、電波通信やBluetooth®︎通信機能の搭載もあり、金属素材の文字盤を用いることはそもそも考えませんでした。金属加工では作り込めない造形や質感を、むしろナノ加工で作り込めること自体が、ほかにはないカシオ独自の財産ですから」

 こうして結実したMRG-B2100D-2AJRは、MR-Gが合理の積み重ねとして磨き上げてきた工業的な美観に、より日本的で詩的な表現が重なったモデルとなった。

 ここまで見てきたように、本作の縹色は単なる色替えではない。構造と素材、そして機能要件に根差した選択の帰結である。なぜこのデザインで、なぜこの機能を備えているのか。その必然を支える背景が語れるかどうかが、時計を単なるプロダクトから一段上の存在へ押し上げるのだ。そして本作にはその土台がある。G-SHOCKの原点から続くデザインと、ものづくりの系譜。挑戦とブレイクスルーを繰り返し、制約すら設計の推進力へ変えてきたブランドの時間。そして、その積み重ねが生んだ技術資産である。今回採用された縹色のストーリーは、MRG-B2100を高級機たらしめるためだけの装飾ではない。むしろ、すでに備わっていた上質な物語へより多くの人の視線を導くための“入口”だ。長く、広く受け入れられるであろう静かな青が、MRG-B2100、引いてはMR-Gの設計思想の輪郭を鮮明に浮かび上がらせる。


日本を代表する時計として、クリエイションは研ぎ澄まされていく

MRG-B2100D-2AJR 縹色の“青”について、HODINKEE Japan編集長・関口とのクロストークのなかで、谷口氏は第一印象としてこう述べた。

 「この新作は文字盤の繊細な色合いの青が美しいですね。色合いも爽やかで、高級感がある。MR-Gって見た目の重厚感とは裏腹に着用感は軽くて、ゴルフの打ちっぱなし練習をする時にも気軽に着けていけるんです。一方で、見る人が見れば通常のG-SHOCKとはまったく異なる存在感を放つアイテムで、装いにもクラス感が生まれる。なので、時計に合わせて今日はジャケットを選んできました(笑)」

 その谷口氏のコメントに対し、関口は以下のように応じた。

「僕はオリジナルの2100が出た時も本当に衝撃を受けたんですが、MRG-B2100ではチタン外装でフォルムの再現を追求した点が素晴らしいですね。あと特に本作においては、縹色。光の反射具合で変わる繊細な色彩表現は、カシオじゃないと実現できないこだわりだと思います。技術の進化を感じます」

 対話は盛り上がり、メイド・イン・ジャパンならではの機能美と審美性がハイレベルで両立されたこと、MR-G-B2100D-2AJRの新しい魅力がある点で、両者の見立ては一致した。

 1996年、伊部菊雄氏率いるチームによって生まれたMR-Gは、「壊れない金属製の時計」という夢を具現化したプロダクトであり、今年で30周年という節目を迎える。当時、樹脂モデルがカジュアルな価格で手に入る状況のなかで、G-SHOCKに数万円というプライシングを与えることには賛否も少なくなかった。だがカシオは、自らが思い描く高級機のあり方を手放さず、継続的に磨き上げてきた。

 カシオ曰く、すでにG-SHOCKのカルチャーが根付いているアメリカなどでも、MR-Gという存在が少しずつ“発見”されつつあるという。これは、道具としてのG-SHOCKが評価される段階を越え、その背景にある日本のものづくり、そして職人技や技術の蓄積そのものが価値として受け止められるフェーズへ、世界的に移行しつつあることを示している。

 MRG-B2100D-2AJRは、30周年という大台に達しながらも、長く愛される時計をつくるために革新と挑戦を止めない——そのG-SHOCKの姿勢を、あらためて可視化する1本なのである。

MRG-B2100D-2AJR
57万3500円(税込)
コバリオン製ベゼルパーツ、64チタン製ケース、DAT55G製ブレスレット(それぞれにチタンカーバイト処理)、タイトロック機能付き中留。スマートフォンリンク、タフソーラー、標準電波受信機能(マルチバンド6)、フルオートカレンダー、パワーセービング機能、針位置自動補正機能、LEDライト(スーパーイルミネーター、残照機能付き)。直径44.4mm、厚さ13.6mm。耐衝撃構造、JIS1種耐磁、20気圧防水。


ISHIDA Presents G-SHOCK ✕ HODINKEE.jpナイト in 表参道の様子はこちら

Photos:Jun Udagawa, Cedric Diradourian Styled:​Eiji Ishikawa(TRS) Words:Kazuhiro Nanyo