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研鑽の半世紀、結実する美学。ザ・シチズンが証明するエコ・ドライブの深化

シチズン独自の光発電「エコ・ドライブ」が今年50周年を迎えたことを祝し、ザ・シチズンから限定モデルが登場。天然和紙を用いた千歳緑と呼ばれるグリーンの文字盤は、半世紀にわたる技術革新、そこから生み出されたエコ・ドライブの思想を雄弁に語る。 #PR

ザ・シチズンは、これまでもさまざまな和紙文字盤を採用したエコ・ドライブ搭載モデルを発表してきた。昨年の誕生30周年には、日本の四季折々の風雅に富んだ多彩な和紙文字盤が登場したことも記憶に新しい。そして今回発表されたエコ・ドライブ50周年限定モデル、AQ4091-56Wでは、これまでにないグリーンの和紙文字盤を採用した。今回目指した色味である“千歳緑”は、年間を通して変わらぬ松の緑が象徴する長寿や永久不変に由来する伝統色である。同時にその色は新芽の息吹も思わせ、清新な生命力に溢れる。それは尽きることのない光をエネルギーとして時を刻み、つねに革新を続けるエコ・ドライブにふさわしい。

 近年ではスイスブランドでも、ソーラーパワーを活用した時計を導入し始めている。この注目の技術にいまから半世紀前、いち早く取り組んだのがシチズンだ。1970年代、オイルショックによってエネルギー問題は喫緊の課題になった。そこでシチズンは無公害なクリーンエネルギーである太陽光に着目し、定期的なバッテリー交換を要さず、環境にも負荷の低い時計を目指して光発電技術に着手した。そして1976年に、世界初のアナログ式光発電時計であるクリストロン ソーラーセルを発売する。以来シチズンは光発電時計の先駆になったのである。先進技術をお家芸とする国産時計で同技術は各社がしのぎを削る分野だ。とくにシチズンは絶え間ない研究開発により徹底した低消費電力化を進め、室内光でも発電する光発電で、時計の本質である実用機能や審美性を高めていった。それはICやモーターも含めてムーブメントを自社開発することができる強みであり、1990年代にこれをエコ・ドライブと命名したのも先見の明だろう。そして同技術はザ・シチズンに搭載されるにあたり、基幹技術としてさらに磨きをかけていくことになる。

 ザ・シチズンは年差±5秒を誇る高精度クォーツを搭載し、さらに業界初の10年間無償保証を掲げて1995年に発表されたシチズンを牽引するブランドである。コンセプトは「共に一緒に生きていくこと」。それはまさに「市民に愛され、市民に貢献する」という理念に基づくシチズンの企業哲学の回帰であり、ザ・シチズンの名こそふさわしい。だがたとえ採用するクォーツが高精度や長期保証の対象であっても、バッテリー交換を免れることはできない。これを解決するため、2011年に登場したのがAQ1000-58Eだ。搭載するムーブメントCal.A010は、ザ・シチズンに搭載されるにあたって年差±5秒という高精度を光発電クォーツで初めて実現した。加えて同作は、パーペチュアルカレンダー機構による正確なカレンダー表示、そしてエコ・ドライブの充電量表示を設けることで、極めて実用性に富むモデルへと仕上がった。先進技術を秘めながらも、機能美漂うベーシックな正統派デザインもザ・シチズンならではの帰結である。

2011年にザ・シチズンとしてエコ・ドライブを初めて搭載したAQ1000-58E。

2015年の発表後、ザ・シチズンのエコ・ドライブモデルの心臓となってきたCal.A060。

 シチズンの開発陣には「知的探求心」のような信念が根底にある。それは、これまでにはない独自性や革新性、新規性を追求し、連綿とした流れのなかで終始するのではなく、そこに何か新しいエッセンスを入れられないかを常に考え、挑戦するという志だ。この知的探求心によってエコ・ドライブも次なる扉を開いた。それが2017年に発表されたAQ4024-53Yである。搭載されたCal.A060はより安定した精度を獲得するために水晶振動子を6カ月寝かせて特性を見極める、1日に1440回、0.1℃刻みで温度を測定して補正を行うなどの取り組みにより、年差±5秒の高精度クォーツムーブメントとして大きな進化を果たした。さらに並行して、少ない光量でも駆動が可能となる低消費電力化も推し進められた。このことは、ザ・シチズンにおけるその後の文字盤表現に大きく寄与することになる。

 加えて、さらなる可能性を求めて文字盤素材を研究するなか、障子など古来より光を取り込むために用いられた和紙にシチズンは着目した。それも当初は、より美しい白を追求するうえで行き着いた素材だったという。従来の樹脂文字盤にはない天然素材の風合いに加え、とくに薄さと丈夫さを併せ持つことから日本三大和紙である土佐和紙に出合う。もちろんそれを文字盤に求められる薄さや精度で均一に仕上げることは並大抵ではない。それでも熟練の和紙職人との長期に及ぶ協業と開発の結果、文字盤に初採用し、日本の伝統工芸と先端技術を融合したエコ・ドライブの新たな世界を創出したのだ。

土佐和紙を文字盤に使用するという、過去に類を見ない美的表現がとられたAQ4024-53Y。


ハイエンドラインとして、新作でさらなる深化を見せた美的表現

新作AQ4091-56Wは、和紙文字盤では初のグリーンを採用した。たとえば藍染の文字盤はザ・シチズンではすっかりお馴染みになっているが、緑を単一で染める天然染料は存在しない。そこで色材の三原色のうち、青と黄を組み合わせることで開発は進められた。黄の染料素材として選んだのが伊吹刈安(いぶきかりやす)だ。これはイネ科ススキ族の多年草で、古くから黄色に染める材料として活用されてきた。刈安の名も刈りやすい草を意味し、とくに近江の伊吹山周辺の刈安は、平安時代の書物「延喜式」にも記載されている由緒ある染料素材であり、美しい発色は着物などに用いられ、雅な京文化を支えてきたのである。染色においては、まず黄に染めたのち、藍染めで定着させるというプロセスをとる。これを担ったのは、これまでザ・シチズンの藍染め和紙文字盤を手がけてきた徳島県の工房、渡邉健太氏率いる「Watanabe’s」だ。だが彼らにとっても、藍染めと草木染めを組み合わせるのは初めての挑戦だった。発色のコントロールは難しく、とくに草木染めの黄は褪せやすい。より鮮やかな発色を促す媒染剤を厳選するなど試行錯誤を重ねた。それでも思い通りの黄色になるまで2〜3回の染色と乾燥を繰り返す。これも工房に草木染めの経験者がいたことから、その知見とこれまで培ってきた藍染めのノウハウによって実現した技巧だ。着想から実現には約2年を費やし、素材選定に半年、色出しに1年以上をかけた。染める時間や気候条件もあるため、データ取りにも試作を重ね、量産できる再現性の安定に辿り着くのにも時間がかかったという。

 完成した千歳緑の文字盤は、美しい発色はもとより、染めを幾重に施しても和紙の耐久性は変わらず、厚みも均一を保っている。とはいえ色が濃くなることで透過率は下がるため、染めの工程ごとに透過率のチェックは欠かせなかった。さらにここで本領を発揮したのがエコ・ドライブ独自の低消費電力技術だ。先にも述べたように、シチズンは精度の向上と合わせて低消費電力化にも取り組み続けてきた。これにより少ない電力でも動作でき、必要な発電量も少なくてすむ。結果、文字板を透過させる光の必要量を減らすことが可能となったのだ。千歳緑の深みのある緑は、ここまで半世紀続いてきたエコ・ドライブの技術に支えられている。

 一方、千歳緑の美しさや風合いを際立たせるべく、デザイナーは文字盤を囲む外周の見返しリングの調色にも取り組んだ。本来、和紙による発色とメタルを下地にした塗装では、発色のニュアンスを一致させることは不可能に近い。これを違和感なくまとめ、リングは光を受けることで伊吹刈安の黄が反射し、うっすら浮かび上がるのである。ザ・シチズンの象徴であるイーグルマークと年差±5秒の高精度を具現化する秒針にあしらった同系色のゴールドも、巧みなカラースキームだ。さらに鏡面の幅や面の角度、反射の違いでどう見えるかなど全体のバランスを整えつつ、細部はより突き詰められている。革新的な技術を内蔵しながらも、その端正を突き詰めた審美性は、初めて年差±5秒の高精度を掲げて登場した初代ザ・シチズン、CTZ57-0523から変わっていない。

 美しさはもちろんだが、藍染めは染めることで繊維が丈夫になり、夏は紫外線を遮断し、冬は保温性を発揮する。海水にも強く、抗菌作用もあり、そうした日常的な実用性から人々に愛された。伊吹刈安にしても、平安時代から朝廷に献上されるほどの美しい色合いを有するだけでなく、手に入れやすいことに加え、草木染めのなかでは色落ちしにくく、長持ちすることで広く重宝された。まさに藍染めと伊吹刈安は、実用性と審美性を併せ持つ日本の伝統的な技術と素材であり、ザ・シチズンの目指すエコ・ドライブのあり方にも呼応する。それは、定期的なバッテリー交換が不要という光発電の特性で終わるのではなく、高精度を志向し、耐衝撃性や耐磁性、パーペチュアルカレンダーなどの搭載により実用性を突き詰めること。いうなればそれこそが時計の本質であり、美しさということだ。ザ・シチズンのエコ・ドライブはその理想により近づき、50周年を迎えたエコ・ドライブがあらためて浮き彫りにしたのはザ・シチズンという思想にほかならない。


ソーラーパワーウォッチの新時代、その源流にあるエコ・ドライブとザ・シチズン

スイスブランドがいまソーラーパワーに注目する背景には、次世代を担うミレニアムやZ世代において環境や社会問題への関心とともに、サステナブルの意識が高まっていることがある。ソーラーパワーは未来の高級時計にふさわしい技術になりうるか。その問いを追ううえで、ザ・シチズンはひとつの試金石となり得る。開発現場では、エコ・ドライブをまだまだ完成とは見ておらず、常に可能性を探し続けているという。ザ・シチズンが美しさや品位をより上げる方向に重点を置く一方で、薄さ1mmの極薄や1回の充電で365日動き続ける長寿命など開発のベクトルは多彩に広がる。さらに言えば、現在多くのスイスブランドがソーラーパワームーブメントの供給先として選んでいるのは、シチズンウオッチグループ傘下のラ・ジュー・ペレである。自社として、高級機としての光発電時計を模索し、その技術を世界へと広げ続ける。そんなシチズンが進むその先に、どんな未来の時計が生まれるのか。考えただけでも楽しくなるではないか。

The CITIZEN AQ4091-56W
46万2000円(税込)
スーパーチタニウム™(デュラテクトプラチナ)製ケース、三つ折れプッシュ式バックル付きバンド。デュアル球面サファイアガラス(クラリティ・コーティング)。年差±5秒高精度エコ・ドライブムーブメントA060、パーペチュアルカレンダー機能、衝撃検知機能、針自動補正機能、時差設定機能、充電量表示機能、充電警告機能、過充電防止機能搭載。直径40mm、厚さ12.2mm(設計値)。耐ニッケルアレルギー、JIS1種耐磁、10気圧防水。世界限定650本

Photos:Tetsuya Niikura Styled:​Eiji Ishikawa(TRS) Words:Mitsuru Shibata