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Hands-On オメガ コンステレーション 第5世代の新たなメンズモデルから3機種を徹底レビュー

今年1月に発表された新たなメンズ・コンステレーションは、非スポーツモデルとして、ブレスレット・ウォッチの最適解かもしれない。

コンステレーションといえば、1952年にローンチされたコレクションで、オメガの代名詞たるスピードマスターよりも5年も前に登場した時計である。同社の中でも長寿コレクションの1つであるコンステレーションは、実はいち早く最新技術が導入されたり、新たなキャリバーが搭載されたりする指折りの名モデルだ。最近では、1万5000ガウスもの耐磁性をもつ自社製Cal.8900を備えて登場した、グローブマスターなどが好例だろう。

 この程アップデートされた新作は本誌でも既に取り上げているが、一見、最近時計業界では発表ラッシュとなっている一体型ブレスレットであり、特に目新しさがないように映るかもしれない。しかしながら、ディテールをつぶさに紐解くと、他社にはマネできない比類なきモデルとなっている。


39mmと36mm。絶妙にモダナイズされたサイズ

 まず注目したいのが、今回展開されるサイズである。SS、SSとセドナゴールドにSSと18KYGのコンビモデル、フルのセドナゴールドと18KYGがラインナップされ、それぞれに39と36mmが用意される。トータル39種類という多彩なレファレンスは圧巻で、オメガの大ブランドたる所以であるが、この絶妙なサイズ展開には時計メーカーとしての勘の良さを感じる。第4世代のコンステレーションは38と35mmがラインナップされていたが、それをモダンなサイズ感とするべくわずか1mmのアップデートを図ってきた。
 時計界の全体的な小サイズ化の流れにあって、コレクションとしてはサイズアップをしたことになるのだが、僕はこれを絶妙なサイズだと思っている。39mmは、大きくなく小さすぎもしないサイズであり、一般的な腕の太さの男性ならばしっくりくる人が多いだろう。実はこのサイズでブレスレットウォッチを探すと、選択肢の少なさに驚くはずだ。圧倒的に40〜42mmのものが多く、日本人男性としては持て余してしまうケースが想像される。特にコンステレーションを候補に挙げるような方はビジネスユースも想定されているだろうから、袖口に合わないサイズの時計は具合が悪いと思う。僕がすぐに思い浮かぶ例としては、チューダーのブラックベイ フィフティ-エイトが39mmのブレスレットウォッチだが、あちらはよりスポーティなダイバーズタイプで若干個性が異なっている。

 さて一方で36mmだが、メンズでラインナップされること自体が珍しいサイズである。ただし、日本の時計愛好家には、このくらいのサイズのメンズモデルをヴィンテージウォッチから発掘しているという人も少なくない。そもそも日本人の細腕には、36mm程度がぴったりのサイズと考える人もいる。そういうニーズにも応えるのがオメガの役割ということなのだろう。

 しかしながら、先代機から1mmのサイズアップを図った理由としては、より現代的なサイズ感への微調整というところだろう。最近ブライトリングが35mmのナビタイマーを発表したが、主にレディスという位置づけだったし、世界的には35mm以下はレディスウォッチに分類されるのが主流なのだ。

 いずれにせよ、この36mmはメンズ向けに作られたモデルであり、先代より細くシェイプされたベゼルなど華やかなディテールに、微かに香る無骨さは男性の腕にこそふさわしいと思う。

 さて、前述の2サイズ展開であるが、実はこれを実現できるブランドはそう多くない。問題となるのは搭載するムーブメントのサイズであるが、39mm以下の時計では概ね26mm前後のものが採用される。合致するサイズのムーブメントとしては、ETA2892ベースのもの(25.6mm)が模範解答となりそうだが、供給打ち切りの問題は大きな懸念材料になるだろう(セリタのSW300を用いるという判断もあるにはある)。今年3月に、ムーブメント会社のケニッシがスイスブランド・ノルケインと協業して26mmサイズのキャリバーを開発したと報じたが、各社が熱視線を注いでいる状況だ。
 

 オメガにおいて、このサイズ展開を可能にしているのは、レディスウォッチやケースの分厚いダイバーズウォッチにも搭載される自社製Cal.8800(ゴールドモデルは8801;ローターとブリッジにゴールドが配される)である。2016年に登場した直径26mmという小型サイズのムーブメントであり、冒頭で紹介したCal.8900同様、1万5000ガウスの耐磁性をもちクロノメーターまで取得するマスター コーアクシャル認定を受けたハイクオリティ・キャリバーである。

 Cal.8800は、これら両サイズ共に同じものが搭載される。とすれば、どちらのサイズにするか迷った場合、純粋に大きさで判断するしかないわけだ。最近のニーズからするとより需要が高いのは39mmの方だろうが、僕個人としては36mmがしっくりきている。それはおそらく、この時計がもつドレッシーな個性のせいだろう。

 ブレスレットウォッチでも、スポーツモデルであれば39mmの存在感が欲しくなるだろうし、そのほうがディテールも堪能できる。特徴ある文字盤を備えたモデルであれば、なおさら大きめのディスプレイが好ましく思えるだろう。だが、個人的には、このコンステレーションはシャツのカフスから覗かせたいような時計なのである。ベゼルに配された4つの爪やブレスレットのリンクが、静かに主張してくれると容易に思い浮かぶ。その密やかさは、断然36mmの方に備わっていると思う。

 また、"密やかな主張"という意味では、ブレスレットのリンク部分に顕著に表れている。コマと同じ幅の筒状のリンクなのは先代から同じだが、本機では両端の直径(太さ)を小さくしたことで、リンクがコマの間から浮き出てきているような視覚的効果が追加されたのだ。着け心地の面では、コマのエッジがより深く滑らかに面取りされたことで、着け手だけにその高品位な質感をしっかりと伝えてくれる。

 サイズ、ムーブメント、外装とつぶさに見てきたが、これほどのバリューが詰め込まれた時計が、SS仕様のブレスレットモデルで65万円(税抜)だ。はっきり言って、これほどのコストバリューを提供している時計は稀有である。特に、最新世代のブレスレットはより上位の価格帯を凌駕するほどの出来栄えと言っていいだろう。100万円アンダーで手に入る、ブレスレット・ウォッチの最適解がここにある。

 また、既に述べたとおり、本機はスポーツモデルとは言い難く、ドレス寄りの魅力を備えた時計である。それは、コンステレーション=星座という名のコレクション名が示すように、随所から星のような煌めきを発してくれる。

 本稿ではブレスレット・ウォッチとしてのコンステレーションに言及が偏ってしまったが、レザーストラップ仕様ならば紛うことなきドレスウォッチとして使えるだろう。幅広いラインナップから自分に最適なものを選択できることも魅力のひとつなので、満足のいく1本を見つけることができるはずだ。

ムーブメント情報

キャリバー: Cal.8800/8801
機能: 時、分、秒、日付
パワーリザーブ: 55時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 3.5Hz(2万5200振動/時)
石数: 35
クロノメーター認定: あり、スイス連邦計量・認定局METASによるマスター クロノメーター認定
追加情報: コーアクシャル エスケープメント、フリースプラングテンプ、Si14シリコン製ヒゲゼンマイ、5年保証

価格&発売時期

価格: 記事内で紹介した黒ダイヤルのSSブレスモデル(36mm)65万円、18KYG×SSモデル(36mm)113万円、グレーダイヤルのSS×ストラップモデル (39mm)63万円(全て税抜)
発売時期: 発売中

より詳細を知りたい方は、オメガの公式サイトをご覧ください。