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クイック解説
リューズとストップ/リセットボタンがケース12時側に設けられたクロノグラフは、牛の頭のように見えることから“ブルヘッド”の愛称を持つ。このスタイルを採用したクロノグラフは1970年代にさまざまなブランドで作られたが、特によく知られているのは、1969年にオメガがリリースしたシーマスター ブルヘッドだろう。海外ではその名で親しまれているが、日本での愛称は異なり、ツノが生えているように見えることから“ツノクロノ”と呼ばれている。
シチズンは自社初の本格クロノグラフとして、1973年の「クロノグラフ チャレンジタイマー」にこのスタイルを取り入れた。ヴィンテージ好きのあいだでは、この時計を見ればすぐにシチズンとわかるほど、同社にとってアイコニックなモデルとなっており、過去にもこの時計に着想を得たモデルがいくつか販売されている。2004年に海外でのみ販売されたプロマスター エコ・ドライブ ツノ クロノグラフ レーサー(AV0070-57L)、記憶に新しいところでは2018年にシチズン100周年記念モデルとして登場したAV0077-82Eがある。スタイルこそオリジナルに着想を得たものだが、スポーツウォッチのプロマスターがベースのためサイズは大きく、ケースは立体的でエッジの効いたデザインとなっている。
「オリジナルに近いスタイルで復刻してくれたらいいのに……」 そう思っていた人は少なくないだろう。この度、クロノグラフ チャレンジタイマーのもつスタイルを限りなく再現したモデルが、TSUNO CHRONO(ツノクロノ)の名とともにシチズンコレクション レコードレーベルでついに復刻を果たした。
それが上に掲載した2モデルだ。ケースの12時側にリューズとプッシュボタンをもつアイコニックなデザインはまさに当時のチャレンジタイマーそのまま。滑らかなカーブを描く流線型のケースやシャープなベゼル、レトロな印象を醸し出すオレンジ色のクロノグラフ針、小振りな38mmのケースサイズなど、その完成度は極めて高い。
人気ショップが別注した限定モデルも同時にリリース
2つのスタンダードモデルに加えて、同時に有名セレクトショップや時計店とコラボレーションした別注モデルもリリースされる。別注をかけたのはJOURNAL STANDARD、BEAMS、BEAUTY&YOUTH、オンタイム・ムーヴ、そしてレッドモンキーの5つのショップ。BEAMSのみ2本を揃え、計6つのショップ別注モデルがラインナップされている。
すべてのモデルが10月発売開始の予定だが、これに先立ち、8月1日から先行予約を実施するとのこと。なお、各モデルで販売店舗が異なるため、ページ最下部の価格&発売時期の情報を確認の上、問い合わせて欲しい。
ファースト・インプレッション
先日、シチズンのプレスルームにお邪魔した際に見せてもらった復刻版ツノクロノのサンプルを見て、筆者は「おぉっ!」と、つい声をあげてしまった。クロノグラフ チャレンジタイマーの存在は知っていたが、まるでオリジナルモデルのような外観の時計が出てきたからだ。思わず声が漏れてしまうほど再現度の高い今回の復刻モデル。2つのスタンダードモデルに加えて、JOURNAL STANDARDの別注モデルを含めたリアルな着用感と筆者の好み、そして気になったところまで包み隠さずお伝えしていく。
まず最初に目を引いたのが、その大きさだ。ずいぶん小振りに見えたが、それもそのはず。ケースは40mmを切る38mm。このサイズはオリジナルと同じだ。
また、その丸みを帯びたフォルムも印象的だった。現代の時計の場合、工業用機械で磨きやすい形状に加工される傾向にあるため、エッジが効いたものが多い。しかし、復刻版ではオリジナルに見られたような丸みがケースに与えられた。
プレス向け資料によれば、量産向けに加工がしやすいことは重視せず、オリジナルで採用された手仕上げのヘアライン、カーブ部分でヘアラインが重なって見えるようなつくりにこだわったらしい。手仕上げによるものではないが、機械加工でもハンドメイド風の質感が出るように設計したといい、現代の時計にはあまり見られないシャープなベゼルとぽてっとした丸いケースフォルムが組み合わされている。
マットな質感のダイヤルに一段下がったインダイヤル、そしてアプライドのインデックスとオリジナルの雰囲気を出しつつ、価格の割につくりはそれほどチープな感じはしない。ブレスレットがカジュアルウォッチによく見られるスライドアジャスターつきのものだが、時計のレトロな雰囲気とマッチしていた。
オリジナルは機械式で、復刻版はクォーツ式だ。ムーブメントが異なる点はオリジナルが好きな人には残念なポイントかもしれないが、機械式モデルであれば値ごろ感のある価格には収まらなかったと思うし、サイズもきっと40mmを超えていたに違いない。そう考えると、筆者個人としてはクォーツでの復刻でよかったと思っている。
厚みのあるケースデザインだが、ブレスレットはケース下側につく構造。薄いブレスレットと相まって腕にしっかりとフィットして着け心地はいい。また、小振りなサイズでもケースの存在感がしっかりと感じられるのも好きなポイントだ。
個人的に気になったのは、オリジナルに最も雰囲気が近いパンダダイヤルモデル。そしてもうひとつは、レッドモンキーモデルだ。先日、ダニー・ミルトンが執筆した記事「映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』でブラッド・ピットが着けた時計は70年代のシチズン」でも取り上げているが、よりレトロな雰囲気が強調された非常に魅力的な1本だと思う。
スタンダードモデルと各別注モデルを合わせると、全部で8モデルもの魅力的な選択肢が用意されたが、正直に言うと、気になる点がある。それはダイヤル外周のインデックスとフランジ部分に施された目盛りだ。
まず、ダイヤル外周のインデックスはすべて60分刻みだが、オリジナルは2万8800振動/時で駆動する機械式ムーブメントに合わせて、より細かな目盛りが設けられていた。復刻版はクォーツなので必要ないかもしれないが、オリジナルのような目盛りの入れ方でもよかったのではないかと思う。
そしてフランジ部分。基本的には5分間隔でアラビア数字が60までプリントされている。オリジナルにも同様のものはあるが、よく見かけるのはタキメーター表示のものだ。個人的にはいかにもクロノグラフらしいタキメーター表示が好みである。実は復刻版でもJOURNAL STANDARDモデルとレッドモンキーモデルではタキメーター表示を採用しているので、選ぶ際のチェックポイントに加えてみて欲しい。
基本情報
ブランド: シチズン(Citizen)
モデル名: シチズンコレクション レコードレーベル ツノクロノ
型番: AN3660-81L、AN3660-81A(スタンダードモデル)、AN3661-62E(JOURNAL STANDARDモデル)、AN3660-90A、AN3663-67P(BEAMSモデル)、AN3665-61E(BEAUTY&YOUTHモデル)、AN3665-70W(オンタイム・ムーヴモデル)、AN3663-08P(レッドモンキーモデル)
直径: 38mm
厚さ: 11.7mm(設計値)
ケース素材: ステンレススティール
文字盤色: ネイビー&ホワイト(スタンダードモデル)、リバースパンダ(JOURNAL STANDARDモデル)、シルバー&ゴールド(BEAMSモデル)、ブラック(BEAUTY&YOUTHモデル)、グリーン(オンタイム・ムーヴモデル)、ゴールドパンダ(レッドモンキーモデル)
インデックス: アプライドバー
夜光: 時・分針とインデックスに蓄光塗料
防水性能: 5気圧
ストラップ/ブレスレット: SS製ブレスレット、レッドモンキーモデルのみハンドメイドのカーフストラップ
ムーブメント情報
キャリバー: 0510
機能: 時・分表示、3時位置にスモールセコンド、クロノグラフ(6時位置に12時間積算計、9時位置に60分積算計、センターにクロノグラフ秒針)、4時と5時の間に日付表示
駆動方式: クォーツ
価格 & 発売時期
価格: 通常のSSケースは2万6400円、カラーIP加工ケースは2万8600円、レッドモンキーモデルのみ3万9600円。すべて税込。
発売時期: 2021年10月予定(8月1日から各店で予約受付開始)
限定: あり。スタンダードモデルは限定ではない通常モデル、各別注モデルは数量限定モデル。限定本数は情報がわかり次第アップデート。
スタンダードモデルの詳細は、シチズン時計公式サイトをクリック。それ以外のモデルについては、各店へ問い合わせを。
JOURNAL STANDARDモデル:JOURNAL STANDARD表参道 ☎︎03-6418-7961
BEAMSモデル:ビームス 原宿 ☎︎03-3470-3947
BEAUTY&YOUTHモデル:ビューティ&ユース ユナイテッドアローズ 渋谷公園通り店 ☎︎03-5428-1893
オンタイム・ムーヴモデル:オンタイム・ムーヴ渋谷ロフト店 ☎︎03-5458-3076
レッドモンキーモデル:レッドモンキーお問い合わせ窓口 info@redmonkey.co.jp