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Bring a Loupe オーデマ ピゲ VZ SSC、ジラール・ペルゴ “プレイボーイ”、そしてそのほかの注目モデル

今市場に出ている掘り出し物のヴィンテージウォッチをお届けしよう。

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Bring A Loupeへおかえりなさい。早朝から、サマータイムの影響で時計や体内時計の調整が必要になっているが、その事実から気を紛らわせるために興味深い時計をいくつかご紹介しよう。

 毎回、注目に値する時計をいくつか見つけるものの、数百語を費やすほどではないかもしれないものもある。また、今後パテック フィリップ Ref.3940を自分で購入することはないと思う一方で、それらを過度なまでに称賛し、美しいと感じている。今回紹介するのは、多くの個体よりも歴史的な重みが感じられる一品だ(同じオークションにロレックス プリンスも出品されているが、避けたほうが賢明と思われる)。おなじみのグッドウィルには、ほぼ間違いなく17石のゼニス エル・プリメロを搭載したモバード デイトロン HS360が出品されている。確かに多少の摩耗は見られるものの、ダイヤル、針、ベゼルはすべて素晴らしく、ケースは未研磨だ。そして稼働することが確認されている(ただし、31石と記載されている)。

 これまでの記録を振り返ると、前回のスピードマスター チュートニックは1100ポンド(日本円で約23万円)で、ロレックスのゴールド“ボンベ”は5400ドル(当時のレート約85万円)、ホイヤー カレラは4000ユーロ(日本円で約73万円)で落札された。F.P.ジュルヌ エレガントは、最終的な高額入札者を待っている状態だ。


見事なオーデマ ピゲ VZ SSC

 20年以上前、父が祖父が所有していたバンパー式の金メッキを施したティソを修理してくれて、“着けて気に入るか試してごらん”と言った。私はそれを受け取り、当時夢中になっていたこと(自転車、ランニング、友人と遊ぶこと)をしながら身に着けていた。しかし1週間後に父に電話をして壊れたことを伝えると、彼は「壊れるはずがない、メンテナンスしたばかりだ」と言う。時計を持って行って実際に機能していないことを見せると、父は何をしたのかと尋ねた。私が自転車やランニングの話をすると、父は首を横に振ってため息をつき、地下室へ降りて再び修理に取り掛かった。それがドレスウォッチを着けたほとんど最後の記憶となった。またこの経験によって、私はドレスウォッチを大切に扱えるほど繊細な人間ではないという罪悪感にも似た恐怖を抱くことになった。まるで『二十日鼠と人間』に登場するレニーのように、悪気なく時計を壊してしまったのだ。そして時間というものは二度と戻らないし、この個体はThe Arrow of Timeで確認できる。

AP VZSSC

 少し前置きが長くなったが、1946年製のこのオーデマ ピゲは、本来なら私が自然と引かれるようなモデルではない。しかし友人のマーク・カウズラリッチが教えてくれたあと、何度もこの時計のページを開いてしまう自分がいた。

 この時計にすっかり魅了されてしまった最大の理由は、それがVZ SSCムーブメントを搭載しているということだ。そのムーブメントが何なのか、なぜ重要なのかを直感的に知らなくても問題はない。しかし時計好きであれば、このムーブメントの系統を搭載した時計に一度は垂涎したことがあるはずだ。J.B.チャンピオンが所有していた天文台パテック? 2015年にベン・クライマーが称賛したオーデマ ピゲ Ref.5516は? どちらも同じムーブメントがベースとなっている。もう少し現代的なところで言えば、いつかフィリップ・デュフォー シンプリシティを所有したい(あるいは、せめて試着だけでも!)と夢見るだろう。ほら、見て欲しい

AP VZSSC

 しかし伝説的なムーブメントに引かれるタイプではないならば、この時計のケースがジャンヌレ(Jeanneret)製であるという事実、そして裏蓋に刻まれたハンマーヘッド型の“166”という刻印に引かれるかもしれない。スイスのケースホールマークにまつわる難解な知識について語る資格は私にはないが、マルクス・シームス(Marcus Siems)氏やゴールドアンマー(Goldammer)氏は、ジャンヌレ製のケースについて次のように述べている。「ジャンヌレ製のケースにはふたつの主な軌跡があります。斜めに落ちるラグを備えた複雑なクロノグラフ(ユニバーサル・ジュネーブ)と、フーデッドラグを備えたアール・デコ様式のドレッシーなモデル(ヴァシュロン・コンスタンタン)。どちらの場合も、ラグの精巧な作りは注目すべき特徴です」

AP VZSSC
AP VZSSC

 ラグについて少し強調して記すので、読者の皆さんは、出品されているオーデマ ピゲの写真をもう一度見て欲しい。あれらは並外れたラグだ(ダイヤル派かラグ派かというジョークは好きなだけ挟んでくれて構わない)。そしてこの時計は、この構成で販売されたことが確認されている3本のうちの1本だ。時計に関するほかのあらゆることと同様に、ラグは(a)文字どおり小さく、社会に適応した一般人にとっては見過ごしやすい要素である一方、(b)気になるタイプの人にとっては、馬鹿げたほどきわめて重要な要素だ。そしてもちろん、この個体は信じられないほど美しいダイヤルを持つ。どういうわけかムーブメントとケースの次に、時計のなかで最も重要でない要素のように感じられるが、この時計の簡素なシンプルさと美しさを考えるとそれは間違いだ。

 3万8000ユーロ(日本円で約690万円)で販売されているこの時計は、確かに安くはないが、それに見合うだけの価値がある。ドレスウォッチを適切に扱う適性がないと自分に言い聞かせて、この時計への幻想を断ち切ろうと思う。


ジラール・ペルゴ Ref. 9034 “プレイボーイ”または“ムーンウォッチ”

 読者の皆さんはもうお気づきだろうが、私の好みはオークション、それも特に小規模なオークションにある。これは必要に迫られてのことだが、私が入手した素晴らしい時計のほとんどは、ほかの人が目を向けていない場所で探したか、写真が悪く説明も不十分なものにあえてリスクを取った結果である。

Girard Perregeaux ref. 9034 "Playboy"

 ジラール・ペルゴ Ref.9034 “ムーンウォッチ” または “プレイボーイ”(何と呼ぼうと自由だが)との最初の出会いも、そのような場所だった。いくつか出品された際に比較的安価で入手できたのだが、これは単純に楽しかった。ダイヤルを除けば、1960年代の数ある時計と基本的には同じで、ユニークな魅力があった。これまでに数本所有してきたが、どれも数ヵ月以上持っていたことはない。魅力的ではあるものの、これらがいくらで売れているかを考えると、今回紹介するのには少し躊躇してしまう。

 ここで私たちは“価格に見合うか(worth)”と“そもそもの価値は何か(value)”という、厄介な領域に足を踏み入れることになり、その深淵をどう渡ればよいのかさえわからない。言うまでもなく、時計の最終的な価値は、誰かが支払う金額でしかない。しかしRef.9034のこの仕様(あるいは“ルーレット”仕様)に対して支払われる、目を疑うようなプレミアム価格には困惑させられる。ダイヤルを除けば、Ref.9034はどこにでもある標準的なスイス製のタイムオンリーウォッチに過ぎない。このモデルはGP 12.3を搭載しているが、優れたムーブメントではあるものの、特別秀でているわけではない。私はケースのラグが少し短くずんぐりしていると感じたが、それ以外は完全にありきたりなものだ。言い換えれば、至極真っ当なタイムオンリーウォッチなのである。

Girard Perregeaux ref. 9034 "Playboy"

 このRef.9034は執筆時点で368ドル(日本円で約5万8000円)だが、最終的にはもっと高くなるだろうと予想している。状態はよく、最終的な価格が跳ね上がる可能性が高い。このケースの汚れ具合から、手を加えられていないことが推測される(おそらく、ステンレススティール/SS製のケースに見られる汚れはすべて単なる汚れだろう)。

 傷ついた風防を数分磨けば、その下にあるハンドペイントのダイヤルが、きわめて素晴らしい状態であることが明らかになるだろう。リューズは(正しく)刻印がなく、裏蓋にも傷はない。おそらく一度も開けられたことがないはずだ。もし1000ドル(日本円で約15万8000円)以下に留まるなら100%追いかけたくなるところだが、そんな時代はとうに過ぎ去った。もしこのタイムオンリーウォッチのジラール・ペルゴがいまひとつ心に刺さらなかったとしても、私が数えきれないほど見返しているこちらの時計を添えておく。これもまた注意深く見守っていくつもりだ。


スポーツウェイズのスキンダイバー

 ジェームズ・ステイシーの記事を読みながら、何度頷いたことか(ベンやジェームズの記事のリンクを貼ってご機嫌取りをするつもりはない。ただ、多くの読者と同じようにHODINKEEの記事が私に大きな影響を与えてくれたことを伝えたい)。ダイバーズウォッチはクロノグラフほど必要ではないし、本物のダイバーズウォッチの魅力を完全には理解できていないだろうが、私は昔からスキンダイバーに夢中だった。具体的には、ジェームズが書いたようなタイプのスキンダイバーだ。必ずしもシルヴァーナ(Silvana)である必要はないが、実用的でシンプルな37mm前後のケースと、すっきりした両方向回転ベゼルを備えたものがよい。私はずっとそのような時計が大好きだ。

Diver

 数週間前に紹介したシーボード ヨット クロノグラフと同様、今回取り上げる時計は、小規模で業界特化型の企業が自社の時計を作ることができた時代に製造されたものだ。この場合、その会社とはスポーツウェイズで、(もしあなたが実際にダイバーなら)興味深く実用的なダイビング器材を数多く手がけていたメーカーだ。水域を楽しむといっても20フィート(約6m)も潜らない私のような人間にとって、“革命的なシングルホースの2段階レギュレーター”に驚かされることはないだろうが、スポーツウェイズのマリナー(Mariner)については100%支持する。

Diver
Diver
Diver

 eBayに出品されている個体は(3月8日に396ドル/当時のレートで約6万2000円で落札)、全体的に素晴らしく、オリジナルに近いコンディションに見える。ケースは完全にポリッシュ仕上げだが、当時はそれほど珍しいことではなかった(アクアスター 63も同様だった)。ダイヤルと針は素晴らしく、夜光の抜けも見当たらない。確かに傷はあるし、リューズはどこかでひどくぶつけた形跡がある。黒いベゼルのほうがかっこいいと思うかもしれないが(1962年のカタログ写真が示すとおり、SS製ベゼルが正しい)、ここ1週間でeBayに登場した時計のなかでは、間違いなく最も手に入れやすく、楽しいものだろう。いくらで売れるかは誰にもわからない。価格は数百ドルの範囲に留まるだろうから、そのデータポイントはあまり参考にならない。あなたが手に入れるのは、楽しくて興味深い3針スキンダイバーであり、どこに着けて行っても、間違いなくその部屋で唯一の存在になるはずだ。


ボックス付きのグライシン エアマン 314.050

 グライシン エアマンは、もはや説明不要だろう。70年以上の歴史を持ち、宇宙飛行士のピート・コンラッド(Pete Conrad)氏がジェミニ5号で着用していた。同社は現在も存続しており、かなり忠実な現代の復刻版を含め、数多くの名作を製造し続けている

Glycine

 エアマンは初期のパイロットウォッチのひとつだったことを考えると、着用者が基準時と時計を同期させるために秒針停止機構(ハック機能)が必要だったことは驚きではないだろう。このコンプリケーションを生み出すために用いられた最も賢明な解決策のひとつだと私が常々考えているのが、リューズを引き出した際にダイヤルの上部、2時と4時のあいだに小さなワイヤーが飛び出し、それを使って手動で秒針を止める仕組みだ。出品情報では、このハック機能が現在も動作するかどうかは明記されていない。

Glycine

 この時計は着け心地がとてもよい。だが、経験したことがない方のために言っておくと、私の時計人生で最も頭を抱えた経験のひとつは、24時間ダイヤルの時計を着けることだった。これは何よりも好みとスタイルの範疇にあることだが、24時間ダイヤルでは針の位置において“12時が6時のように見える”ことに慣れるのには苦労した。もしあなたがエキゾチックなものを好み、時計のワイルドな側面を歩むことに抵抗がないなら、まったく問題ではないだろう。しかし私のような人間は、どうしても慣れることができなかった。奇妙なことに、だからといって別の個体への欲求が薄れることはないのだが、実際に使ってみれば、おそらく少し気が変になってしまうことだろう。

Glycine

 出品されている個体(翻訳時点で573ドル/日本円で約9万円)は、決して完璧ではない。リューズはどこかの時点で交換された可能性が高いし(本来はクロスハッチ加工であるべきだ)、ベゼルにペイントされた数字はほとんど摩耗している。ダイヤルにはふたつの夜光の欠片が浮遊しており、針と夜光ドットの夜光は無傷に見えるだけに、これは奇妙だ。しかし時計が収納されていたオリジナルの木箱が付属しており、これは決して悪くない。リストには現在稼働中で日付変更も可能だが、メンテナンスを推奨すると記載されており、この時計を手に入れれば、地元の時計師と仲良くなるチャンスがまたひとつ増えるということでもある。