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オーデマ ピゲの年初の新作プレリリースを受け取ったとき、すぐに目に留まったものが3本あった。まず、最も注目を集めた、新コレクションの第1弾となるネオ フレーム ジャンピングアワーだった。次に、度肝を抜くような懐中時計であり、これも大きな話題を呼んだ(私が複雑な懐中時計について言及せずにはいられない性格だということもあるが)。しかし最も実用的かつ意義深いリリースを挙げるとすれば、それは自社製ムーブメントを搭載した新作、38mmのロイヤル オーク クロノグラフだろう。
多くの時計師が語るように、新たなクロノグラフムーブメントを製作することは、ウォッチメイキングにおいて最も困難な挑戦のひとつだ。ブランドが2022年にロイヤル オーク クロノグラフをアップデートした際、41mmのステンレススティール(SS)製のモデルには、2021年に登場した新しい自社製フライバッククロノグラフムーブメントが搭載された。これは歓迎すべき進化だった。インダイヤルの配置とバランスが改善されるなど審美的な変化をもたらしただけでなく、1998年の登場から長らく現役だったCal.2385(フレデリック・ピゲ/Frédéric PiguetのCal.1185をベースとしたもの)に取って代わったからだ。新しいムーブメントは大型化してケースにぴったりと収まり、バランスブリッジ、フリースプラングテンプ、2万8800振動/時へと引き上げられた振動数、そしてフライバック機構に加えて70時間のパワーリザーブを備えていた。この垂直クラッチ式のクロノグラフムーブメントは堅牢なコラムホイール機構を採用しており、問題も少なかった。
しかしその導入の陰で、38mmのロイヤル オーク クロノグラフは取り残された形となっていた。Cal.1185が引き続き採用されていたが、これには欠点がないわけではなかった。クロノグラフの針飛びやスモールセコンドの不具合、全体的な信頼性の問題が指摘されることがあり、コラムホイールの交換を余儀なくされるケースも少なくなかった。今回、新たな自社製ムーブメント Cal.6401が搭載されたことで、オーデマ ピゲのチーフ インダストリアル オフィサーであるルーカス・ラッジ(Lucas Raggi)氏によれば、信頼性とパフォーマンスは大幅に向上したと言う。これは喜ばしい進展だ。
ロイヤル オーク クロノグラフは、同ブランドのカタログのなかでも最もバランスの取れた時計のひとつであり、デザイン的にも過去のモデルよりはるかに洗練されている。そしておそらく最も重要なのは、その高い信頼性が、より幅広い手首のサイズで享受できるようになったことだ。もっとも、現時点での選択肢は3つに限られている(ブルーダイヤルのSS製モデル、グレーダイヤルにゴールドのインダイヤルを組み合わせたピンクゴールド/PG製モデル、そして同じくPG製でサンディブラウンのダイヤルとダイヤモンドベゼルを備えたモデル)。私は3本すべてを実見したが、ここでは価格面でも日常使いのしやすさでも、多くの人が引かれるであろうSS製のモデルに焦点を当てたい。
ダイヤルは、この新しいモデルのために再設計された。インダイヤルはセンターからわずかに外側に配置され、12時間積算計と30分積算計の位置が入れ替わり、水平のセンターラインよりも少し高い位置に収まっている。これは新しいロレックス デイトナといったいくつかの時計で見られるディテールだが、あまり気づかれないことが多い。ナイトブルー、クラウド50のプチタペストリーダイヤルは、今なおロイヤル オークの真髄を象徴する表現だ。同色のスネイル仕上げを施したインダイヤルは、個人的な好みでもある。ゴールドモデルに見られるコントラストの効いたインダイヤルは、すでに大胆なデザインとケース素材に対して、少し主張が強すぎると感じられるからだ。デイト窓については常に賛否が分かれるところだが、私はこのモデルに関してはまったく気にならない。我々がどれほどデイト表示を嫌おうとも、ブランド側はデイト付きの時計がそうでないものよりはるかに売れることを知っているのだ。
時計を裏返すと、サファイアクリスタルのシースルーバックが採用されており、新しいCal.6401と象徴的なフォルムのゴールド製オートマチックローターを眺めることができる。ムーブメントのサイズを最小限に抑えるため、フライバック機能は省かれており、その結果、構造は著しくシンプルになった。これは視覚的にも明らかだが、機能面での損失がある一方で、前身モデルと比較して効率性は大幅に向上している。パワーリザーブは55時間(前回のリファレンスより15時間延長)で、2万8800振動/時で駆動する。ムーブメント自体は前作よりも厚く、幅広くなっているが(厚さ5.7mm対5.5mm、直径27mm対26.2mm)、時計全体の厚みはシースルーバックを採用しながらもわずか0.1mmの増加に留まっている。これはケースエンジニアリングにおけるひとつの成果と言えるだろう。
かつてのフレデリック・ピゲ製キャリバーは、特にクロノグラフ機能の長期的な耐久性に関して不満の声が上がることがあった。新しいコラムホイールは、フライバック機能を備えたCal.4401よりも合理化されているように見える。ラッジ氏は、コラムホイールは必要に応じてひとつのまとまりとして交換されることに変わりはないが、問題が発生する可能性は大幅に低減されたと述べている。CEOのイラリア・レスタ(Ilaria Resta)氏も、信頼性や人間工学を考慮することが優先事項であることを強調した。仕上げに関しては、独立系ブランドやショパールのL.U.Cコレクションに匹敵するほどではないにせよ、この価格帯のクロノグラフとしては力強いものであり、旧キャリバーからは明らかにステップアップしている。
厚みが0.1mm増したことについて触れたが、直径38mm×厚さ11.1mmというサイズ感はきわめて合理的だ。ロレックス デイトナ(11.9mm)と比較しても実際にはかなり薄い(デイトナほどの防水性能はないが)。私が見たロイヤル オーク クロノグラフのサンプルは、私の7.25インチ(約18.4cm)の手首に合わせて調整されていなかったため、リンクがひとつかふたつ足りなかったが、それでもその着け心地のよさは容易に想像できた。デイトナでは少しマイナス要素だと感じているねじ込み式のクロノグラフプッシャーも、ここではデザインに完璧に統合されているため、私にはしっくりくる。新しいムーブメントの影響でプッシャーの間隔もわずかに広がっているが、実用性に影響を与えるほどではないと思う。
サイズに関しては、最終的には個人の好みの問題になる。“小さすぎる”と言う前に、“自分にとって”はどうなのかという点を忘れないで欲しい。私は背が高いこともあり、周囲(そしてその母親たちにまで)から「大きい時計を着けられるんだから、そうすべきだ」と言われることへの反動からか、普段は小さめの時計を好む傾向がある。だが、今回に限っては周囲の意見が正しいのかもしれない。写真を見返し、装着感を思い返してみると、私には41mmのほうが似合うだろうと思う。とはいえこのリリースの最も素晴らしい点は、腕の細いコレクターたちによりふさわしい38mmという選択肢が提示されたことだ。価格は594万円(税込)で、現在も販売されている前作モデルよりもわずか3.6%高いだけである。
オーデマ ピゲ ロイヤル オーク クロノグラフ 38mmの詳細はこちらをご覧ください。
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