クロノスイスは、ブランドのアイデンティティであるモダン・メカニカルを体現するパルスコレクションから、独自のGMT表示を与えた新作のパルス GMT エナメル スカイ ゴールドとパルス GMT シルバー ギョーシェを発表した。本作のルーツとなるのは、1999年に登場し、文字盤上の水平レギュレーター表示で時計界を驚かせた伝説的モデル「トラ(Tora)」である。
本作は、中央に配された分針と秒針を軸に、3時位置にホームタイム(12時間計)、9時位置に第2時間帯(24時間計)を水平に並べた独自のレギュレーターGMTレイアウトを継承。ラインナップは2種類で、世界限定50本のエナメル スカイ ゴールドは、5Nゴールドケース製で手作業によるギヨシェ彫りと金箔を施したパイヨンエナメル文字盤を融合したラグジュアリーな1本。一方、より現代的でソリッドな魅力を放つのが、世界限定200本のパルス GMT シルバー ギョーシェだ。こちらは軽量かつ高強度のグレード5チタンケースを纏い、文字盤中央に2種類のパターンを組み合わせた立体的なギヨシェ彫りを施している。いずれもラ・ジュー・ペレ社と共同開発したクロノスイス専用キャリバーであるC.6002を搭載し、一体型ブレスレットが組み合わされている。
現代的な一体型ブレスレットウォッチとして登場したパルス GMTであるが、クロノスイスを特徴づける意匠として、創業者ゲルト・R・ラング氏が愛したオニオンリューズやベゼルのコインエッジといったクラシックなディテールをしっかりと踏襲。ヘリテージを宿しながら、洗練されたケースと一体型ブレスレットを備えたコンテンポラリーなスタイルを実現している。パルス GMT エナメル スカイ ゴールドは7月より1980万円にて販売予定、パルス GMT シルバー ギョーシェは418万円(ともに税込)にてすでに展開されている。
1983年、クォーツ危機の真っただ中において機械式時計の復権を愚直に信じたゲルト・R・ラング氏によって設立されたクロノスイス。かつて時計工房の基準時計として使われていたレイアウトを腕時計に落とし込んだレギュレーター機構は、ブランドの代名詞となったが、1999年に登場した「Tora(ギリシャ語で“今”の意)」は、そこに実用的な旅の機能を持ち込んだエポックメイキングな存在だった。ブランドが紡いできたこの水平レギュレーターという意匠が、パルス GMTで見事な進化を遂げていることに強いインパクトを受けた。
また、独特なGMT表示を特徴とする一方で、ゴールドとチタンモデルをそれぞれに個性の違う文字盤で仕上げたことも興味深い。アイコニックなオニオンリューズを囲むように隆起したリューズガードや、幅広に仕上げられたベゼル淵のコインエッジなど、一見すると独特なケースデザインだが、文字盤に施された伝統的技法が全体のデザインを破綻させず程よいモダンさに抑えている。ゴールドモデルに用いられるパイヨンエナメルは、手動旋盤によるギヨシェの上に半透明のブルーエナメルを重ね、さらに極薄の金箔をエナメル層の内部に封じ込めることで、まるでガラスの中に星々が浮いているかのような幻想的な夜空を思わせる。
一方で、僕がよりクロノスイスの“現在地”を強く感じたのが、チタンを纏ったシルバー ギョーシェである。文字盤中央に施された2種類の幾何学的なギョーシェ模様は、ニッケル・ガルバニックコーティングによるシルバーの陰影によって、極めて建築的な奥行きを見せる。スッと伸びた線が強調される放射状のパターンは、長い直線を均質に描くことが難しいとされるギヨシェにおいて、確かな技術力を感じさせる。サテンとサンドブラストで緻密に仕上げられたグレード5チタンケースの質感と相まって、実に軽快でシャープな印象だ。
クラシックから引用したヘリテージを宿しながら、これほどまでに洗練されたケース一体型ブレスレットのスタイルに着地させた手腕は見事だ。伝統工芸を単なるノスタルジーに終わらせず、現代の建築的な魅力へと昇華させる──それこそが、現在のクロノスイスが突き進むモダン・メカニカルの進むべき道なのだろう。
さらに、今年のクロノスイスはもう一つの至高の限定作として、ケース全面に息を呑むような手彫り彫金を施したネオ デジター クロノスを発表し、ブランドが持つ工芸芸術の極致を提示した。
ネオ デジターは、2005年にラング氏が企画した、針を持たない「ア・ギシェ(窓表示)」スタイルのデジタル時計をルーツに持ち、2025年に限定リバイバルして人気を博した。本作はさらにそれを発展させ、ルツェルンのアトリエで熟練の職人が数週間をかけて彫り上げた古代ギリシャの時の神「クロノス」の意匠を5Nゴールドケースに纏っている。クロノスが砂時計を手に持つ姿が、特徴的な角形ケースをキャンバスとして描かれ、まるでアートピースのような仕上がりである。
ジャンピングアワーを搭載した手巻きキャリバー C.85757の緻密さと、古典的な装飾芸術が融合したこのタイムピースは、世界限定33本という極めて希少なマスターピースだ。1452万円(税込予価)にて、7月に発売予定となっている。
基本情報
ブランド: クロノスイス
モデル名: パルス GMT エナメル スカイ ゴールド、パルス GMT シルバー ギョーシェ
型番:CH-4221REM-GRBL、CH-4223TM-GR
直径: 41mm
厚さ: 13mm
ケース素材: 5Nローズゴールド、グレード5チタン
文字盤色: ブルー、シルバー
インデックス: アラビア数字
夜光: なし
防水性能: 10気圧防水
ストラップ/ブレスレット:5Nローズゴールド、もしくはグレード5チタン製ブレスレット
ムーブメント情報
キャリバー: C.6002
機構: 分、秒表示、3時位置:ローカルタイム(短針)カウンター、9時位置:GMT機能/24時間計(第2時間帯表示)
パワーリザーブ: 約55時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 29
クロノメーター認定: なし
価格 & 発売時期
価格: 1980万円(CH-4221REM-GRBL)、418万円(CH-4223TM-GR/ともに税込)
発売時期: 7月予定(CH-4221REM-GRBL)、販売中(CH-4223TM-GR)
限定:50本(CH-4221REM-GRBL)、200本(CH-4223TM-GR)
詳細は、クロノスイス公式サイトへ。
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