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Auctions マルトー&カンパニーの“Heat Wave”オークション―個性的なインディペンデントブランドと、知られざる時計師たちに注目

高額な有名ブランドの時計も並ぶ一方で、ほとんどの人が聞いたことのないブランドもいくつかある。それらはとても優れているだけに残念だ。

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昨年、我々はマルトー&カンパニーの立ち上げについて取り上げた。それは独立系時計師に焦点を当てた新しく、小規模なオークションハウスで、需要が高まっている時計師のためにオークションハウスが何ができるか(そして彼らの視点から考えたとき本当にすべきことは何か)について、新たな視点からアプローチしている。ヨーロッパやイギリスでは、作品が2次流通市場で取引される際、アーティストは販売手数料の一部を受け取る権利がある。最近では10万ドル(日本円で約1500万円)の時計が2次流通市場で100万ドル(日本円で約1億5000万円)に達することもあり、オリジナルの製作者が1セントも受け取れないことを考えると、この仕組みは公平に感じられる。そしてマルトーでは、落札価格に加算される20%の手数料のうち、時計師には3%が還元される。

 先日、マルトー&カンパニーが最新のオークションカタログを公開し、6月10日から6月17日まで入札を受け付けている(オンラインのみ)。今回も素晴らしい時計が数多く出品されているが、なかでもOnlyWatchコラボレーションモデルの再登場、ユニークなヴィアネイ・ハルター、そしてユニークなカリ・ヴティライネン レギュレーター デシマルリピーターに注目したい。またこれまでオークションに登場した回数がごくわずかな時計師たちの作品も数多く含まれており、私はそのいくつかを実際に見る機会があった。だがまずは比較的手の届きやすい価格で落札される可能性のある2本、バルチック×スペースワンのコラボモデルと、ファーラン・マリの時計から取り上げたい。

 DMで寄せられた反響を見る限り、バルチック×スペースワンのコラボモデルは、今年最も注目を集めたお手ごろ価格の時計のひとつと言えるだろう。マルトー&カンパニーは、量産モデルには採用されなかった“グラッテ(gratté)”と呼ばれる手作業によるテクスチャー仕上げを施したセコンド・マジュールのユニークピースを出品。ケースバックの刻印も異なり、プロトタイプであることを示している。推定落札価格は3000〜6000スイスフラン(日本円で約60万~120万円)とされているが、実際にはもっと高値になる気がしている。

 同じことは、オークションの最初のロットであるユニークなツートンのテラコッタダイヤルを備えたファーラン・マリの“プロトタイプ” メカクォーツ クロノグラフにも言えるだろう。500〜1000スイスフラン(日本円で約10万~20万円)という推定落札価格は、むしろ低すぎるように感じる。そのほか比較的手が届きやすい選択肢としては、きわめて人気の高い大塚ローテックやクロノトウキョウ、ラヴァンチュールの時計、さらにオーストラリアの時計師ニコラス・ハッコ(Nicholas Hacko)氏による“ティマスカス(Timascus)”ムーブメントを使用したユニークピースも出品されている。

 すでに上記で写真は掲載しているので、再びオークションのハイエンド側へ話を戻し、ヴティライネンのレギュレーター デシマルリピーター紹介したい。4Nイエローゴールド製ケースに、セミオープンワーク仕様のダイヤルを組み合わせたこのユニークピースは、ヴティライネン作品のなかでも最も興味深い時計のひとつだと思う。というのも彼が持つヴィンテージウォッチ修復に対する愛情と経験、そして独立時計師としての象徴的な仕事が融合しているからだ。ムーブメントはルイ=エリゼ・ピゲ製エボーシュをベースとしており、3本のまっすぐなフィンガーブリッジを見ればすぐにそれとわかる。推定落札価格は30万〜60万スイスフラン(日本円で約6000万~1億2000万円)。またヴティライネンのより手ごろな選択肢として、ユニークなスティール製の28SCも出品されている。

 個人的にうれしい驚きだったのは、ドゥ・ベトゥーンとウルベルクによるコラボモデル “ムーン サテライト”が再び登場したことだ。この時計はOnly Watch 2019のために製作されたものだった。コラボレーション作品というのは、ともするとどこか噛み合わず、無理やり感のあるものになりがちだ。しかしムーン サテライトは異なり、表側にはひと目でウルベルクとわかる表示機構を残しつつ、ケースバック側にはドゥ・ベトゥーン特有のヒンジ式ラグとシグネチャーのブリッジデザインが加えられている。確かにやや大ぶりではあるが、Only Watch 2019では30万スイスフラン(日本円で約6000万円)で落札されたこの時計にもう一度挑戦したいと思う人にとって、それが購入の妨げになるとは思わない。今回の予想落札価格は14万〜28万スイスフラン(日本円で約2800万~5600万円)だ。

Vianney Halter
Vianney Halter

 正直に言うと、初期のインディペンデントウォッチ収集家たちのあいだで圧倒的な存在感を放っていたものの、私はこれまでヴィアネイ・ハルター アンティコアにあまり興味がなかった。しかし今回このトーン・オン・トーン仕様のユニークピースを実際に見たことで、ようやく腑に落ちた。これは本当にクールな時計だ。装着感もよく、そして大塚ローテックの作品にも通じる源流のような印象を受けた。推定落札価格は10万〜20万スイスフラン(日本円で約2000万~4000万円)と高額だが、本当に驚くほど魅力的なパーペチュアルカレンダーだ。そしてこれだけでは物足りないという方には、ローラン・フェリエのトゥールビヨンも出品されている。こちらはリューズのプッシャーを押すことで秘密のシャッターが開き、ジュネーブの風景が現れる仕掛けになっている。

 最後になるが、ぜひ触れておきたかったのが、おそらく多くの人にとってまだなじみの薄い2人の時計師、フランスのパスカル・コヨン(Pascal Coyon)氏と中国のチェン・グオビャオ(Qian GuoBiao)氏だ。インディペンデントウォッチ界隈を熱心に追っている人なら、これらの名前に聞き覚えがあるかもしれない。しかし今回その両者に、まだ爆発的な人気は得ていない少量生産の独立時計師たちとして会えたのはとても嬉しかった。

Pascal Coyon
Pascal Coyon

 コヨン氏によるパスカル・コヨン シリーズIIは、グオビャオ氏の時計に比べるとより伝統的なデザインで、セクターダイヤルとスモールセコンド表示という構成だが、東アラビア数字を用いることで独自のひねりが加えられている。ケースはスティール製で、正面から見ても美しいが、真価を発揮するのは裏側だ。ムーブメントは素晴らしく、仕上げの細部にまでこだわり、3つの湾曲したフィンガーブリッジを備えた構造は、ヴィンテージウォッチ愛好家である私の心を強く引き付ける。また正真正銘のクロノメーターであり、ブザンソン天文台の認定証も付属。推定落札価格は2万4000~4万8000スイスフラン(日本円で約480万~970万円)で、コヨン氏による最も魅力的なダイヤルのひとつを手に入れる絶好の機会だ。

 グオビャオ氏は、おそらく最も独創的なアプローチの持ち主だろう。彼の作品には、フランスとスイスのインスピレーションが融合していることが感じられる。今回出品されるのは、彼の2作目となるフェイシング ザ スカイ2.0のプロトタイプN.00で、12本限定生産された。推定落札価格は1万8000スイスフランから3万6000スイスフラン(日本円で約360万~730万円)だ。

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マルトー&カンパニーの“Heat Wave”オークションの詳細についてはこちらから。

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