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Auctions ジュネーブ2026年春季オークション大プレビュー:フィリップスとアンティコルムから開幕(パート1/編集部撮り下ろし)

フィリップスでは引き続き高額商品が注目を集め、ハイエンド市場のトレンドが見て取れる。対してアンティコルムでは、お買い得品を探してみよう。


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Photos by Mark Kauzlarich

ジュネーブ春季オークションの時期がやってきた。ここは年間で最も高額なロットが出品され、年間最大級のロットが集まり、市場の方向性を占う重要な舞台だ。とはいえ、香港(開催時期は前後することもある)やニューヨーク(シーズンを締めくくる)で注目ロットが登場しないというわけではない。以前取り上げたサザビーズの香港オークションは、驚くほど素晴らしい結果で幕を閉じた。特にカルティエは軒並み高値をつけ、最終的な総売上は5287万5885ドル(日本円で約82億円)となり、これまでの記録を1000万ドル(日本円で約15億円)以上も上回った。

 数々の驚異的な記録と結果が生まれ、約200万ドル(記録/日本円で約3億1000万円)のロンドンで製作されたカルティエ クラッシュ、75万ドル(日本円で約1億1700万円)という驚きの価格をつけたロンドン製タンク アシメトリック、95万ドル(日本円で約1億4000万円)と100万ドルに迫る高値で落札されたスケルトン仕様のベニュワールが含まれる。これには、ユニークなパテック フィリップ シングルプッシュボタン・クロノグラフの196万ドル(日本円で約3億円)、“ジョン・プレイヤー・スペシャル”デイトナの150万ドル(日本円で約2億3000万円)といった落札額は含まれていないのだから、まさに驚異的な結果と言えるだろう。ホワイトゴールド(WG)製のA.ランゲ&ゾーネ トゥールビヨン“プール・ル・メリット”は130万ドル(日本円で約2億円)で落札されたが、わずか2年前には、この3分の1の価格で1年近くも市場に出回っていたものもあったため、これは驚くべきことだ。ここで疑問が湧いてくる。カルティエの熱狂的な価格は長期的に維持されるのだろうか、それとも最初のオークション期間の一時的な興奮に過ぎなかったのだろうか? 私としては後者だと思うが、そもそもなぜこのような価格になったのか、多くの疑問が残る。

 ほかの結果を確認すると、モナコ・レジェンド・オークションでは出品されたロットの98.3%が落札され、総売上は2647万1620ユーロ(日本円で約48億9000万円)に達した。主な高額落札品にはユニークなドレ(ゴールドカラー)ダイヤルのパテック フィリップ “パデローネ” Ref.3448が210万6000ユーロ(日本円で約3億8000万円)、ユニークなプラチナ製のロレックスコスモグラフ デイトナが188万ユーロ(日本円で約3億4000万円)、そして私が感銘を受けた、3本のみ製造されたカルティエ タンク ア ギシェが39万ユーロ(日本円で約7200万円)で落札されたことが挙げられる。ユニークな編み込みデザインのカルティエ ペブルは13万6500ユーロ(日本円で約2500万円)ときわめて好調だったが、それ以外では、カルティエの結果がサザビーズほど熱狂的だったとは言えないだろう。我々はフィリップスの最近の成功と、これから登場する注目ロットについてもすでに取り上げてきた。しかし今シーズンは大規模なオークションが目白押しのため、プレビューを2回に分け、次はクリスティーズとサザビーズを取り上げる。

 フィリップスのトップロットに並ぶ1000万〜1500万ドル(日本円で約15億〜23億円)の時計に手が届かないとしても、各カタログに目を通す価値は十分にある。そこで今回は、我々もその内容を掘り下げて見ていきたい。紹介せずにはいられない重要な時計が数多く含まれている場合、ほかより深く取り上げるオークションもあるだろう。なお、いくつかの懐中時計を意図的に省いていることに気づくかもしれない。それらについては、いずれ改めて記事で取り上げたいと思っているが、まずはぜひ自身の目でカタログを見て欲しい(本当に見応えがある)。それでは前置きはこのくらいにして、オークションプレビューのパート1を始めよう。


フィリップス ロット225―5月9日・10日

 フィリップスは以前、パテック フィリップのポリクロームクロワゾネエナメルを配置した重要なワールドタイム Ref.2523について触れたが、今春フィリップスで出品されるもうひとつの超高額ロットが、希少なハンドクラフトのパテック フィリップ スカイムーン・トゥールビヨン Ref.6002G-010だ。伝統的なスイス時計というよりは、アメリカ南西部の手彫りシルバーを彷彿とさせる。またフロントダイヤル(両面ダイヤルウォッチであるため)には、クロワゾネとシャンルヴェ エナメルが施されている。私の記憶では、この仕様がオークションに出品されたのは2019年の一度きりで、その際は240万ドル(当時のレートで約2億6000万円)で落札された。今回の推定落札価格は200万〜400万スイスフラン(日本円で約4億~8億円)だ。

 もちろん、ロレックスからも興味深くマニアックなモデルが出品されている。ロレックス市場は少し落ち着いてきたように感じる。ポール・ニューマン デイトナも(ありがたいことに)以前ほど人々を熱狂させなくなったが、それでもクールなロレックスはいくつか存在する。きわめて状態の良いステンレススティール製のRef.6062 トリプルカレンダーは多くの関心を集めるだろう(推定落札価格50万~100万スイスフラン/日本円で約1億~2億円)。しかし個人的には、このイエローゴールド(YG)製の“ジャン=クロード・キリー Ref.6036(推定落札価格50万~100万スイスフラン/日本円で約1億~2億円)のほうが好みだ。ネリー・リチャードが手がけた“ドラゴン”エナメルダイヤルの素晴らしいRef.6085も同様だ。

 このダイヤルの別仕様であるRef.6100は、昨秋サザビーズで175万ドル(当時のレートで約2億7000万円)で落札された。今回の推定落札価格は50万~100万スイスフラン(日本円で約1億~2億円)だ。実物を見ない限り、両者を比較するのは難しいが、私の理解ではRef.6100のほうが希少性が高い。そしてこれらの時計が、かつてのオークションの王様であったシャンパンカラーの“ポール・ニューマン”デイトナ(推定落札価格35万~70万スイスフラン/日本円で約7000万~1億4000万円)よりも高い推定落札価格をつけられていることは、私にとって嬉しいことだ。友人をからかうために、SS製のデイデイト(そう、実際に存在するのだ)を買うのもいいだろう。

 懐中時計は無視すると約束したが、ひとつだけ例外的に取り上げるとすれば、このアガシでなければならない。おそらく今年(あるいはここ数年で)最も歴史的に重要なロットだろう。この時計は、第2次世界大戦における連合国の勝利を記念して、シャルル・ド・ゴール将軍に“ヴィクトリーウォッチ”として贈られたものだ。

 1945年のクリスマス、4つの時計が連合国の代表に贈呈された。このプロジェクトは秘密裏に進められ、ルイ・コティエ自身もその一翼を担い、有名なシュテルン兄弟(ご存知ない方のために説明すると、パテック フィリップを所有する一族だ)がダイヤルの製作を担当した。紹介する時計は、ジャンヌ・ダルクの肖像と、ロレーヌ十字(レジスタンス運動における自由フランスの象徴)の形をした時針が特徴だ。ケースバックには地球儀を囲むように“勝利(Victory)”を意味する“V”の文字が刻まれ、縁には彫刻が施されている。

Agassiz
Agassiz

 ハリー・S・トルーマン大統領の時計には自由の女神が描かれ、時針はオリーブの枝の形をしていた。ヨシフ・スターリンの時計には製鉄所の前に立つ労働者が描かれ、時針は共産主義の五芒星があしらわれていた。ウィンストン・チャーチルの時計には、(英国の守護聖人である)聖ジョージがドラゴンを退治する様子が描かれ、時針は三叉槍だった。どうやって市場に戻ってきたのかはわからないが、推定落札価格は30万~60万スイスフラン(日本円で約6000万~1億2000万円)で、フランスの美術館が手に入れてくれることを願っている。信じられないほど感動的で重要な時計であり、驚くほど完璧に近い状態だ。

 だがここ半年から1年のオークションシーンにおける最大の話題は、F.P.ジュルヌの動向だった。長年、限られたコレクターのあいだで玄人好みのブランドであったジュルヌは、今やロケットのように急騰した。フランシス・フォード・コッポラの時計が1075万ドル(当時のレートで約16億7000万円)で落札されたことはさておき、F.P.ジュルヌのクォーツ時計が2次流通市場で16万ドル(日本円で約2500万円)もするという事実は、率直に言って、少々異常事態だ。しかしフィリップスのオークションに出品されるいくつかのモデルは、その高価格を正当化できるものだと思う。

Resonance
Tourbillon
Resonance
https://www.phillips.com/detail/f.p.-journe/227497

F.P.ジュルヌ “ルテニウム” トゥールビヨン、99個限定生産のうちの98番目。推定落札価格は30万~60万スイスフラン(日本円で約6000万~1億2000万円)。

 クロノメーター・ア・レゾナンス “スースクリプション No.18”は、おそらく私が最も好きなレゾナンス スースクリプションの構成であり、ブランド史上最も好きな時計だ。プラチナとピンクゴールド(PG)のツートンケースを持つこのモデルは5本製造され、2本は18KPG製のダイヤル、3本は写真のようなWG製のダイヤルを備えている。推定落札価格は45万~90万スイスフラン(日本円で約9000万~1億8000万円)で、前述のロレックス Ref.6062よりも高い評価を受けるのも納得できる。

 同じ推定落札価格で、クロノメーター・ア・レゾナンス “ピサ”エディション(製造本数は3本ではなく5本と、希少性はやや劣る)も人気を集めているようで、それも理解できる。ハイエンドなジュルヌのコレクターなら、真鍮製ムーブメントの時計は必須だろう。これはジュルヌが作りたかった(しかし当時は資金的に作れなかった)ゴールド製ムーブメントに先立つものだ。真鍮製ムーブメントを搭載した38mmのトゥールビヨン・スヴラン・ア・ルモントワール・デガリテの推定落札価格は35万~70万スイスフラン(日本円で約7000万~1億4000万円)だ。一方、友人が思い出させてくれたように、ルテニウム トゥールビヨンはそれほど珍しいものではないが(結局99本も作られたのだ)、フィリップスは99本中の98番を30万~60万スイスフラン(日本円で約6000万~1億2000万円)の推定落札価格で出品している。ダイヤルには多少ムラのある経年変化が見られるが、それを魅力的だと感じる人もいるかもしれない。

Roger Smith
Akrivia
Naissance d'Une Montre 1 (N°1/11)
Naissance d'Une Montre 1 (N°1/11)

 しかし私が注目しているのは、それが市場に与えた影響だ。(少し落ち着いたがデュフールへの関心、そしてスミスやここ数年のレジェップ・レジェピへの関心にも後押しされて)独立時計師によるウォッチメイキングへの一般的な認知度と関心が高まっていることである。例えば、フィリップスは市場に初めて登場するロジャー・スミス シリーズ3を出品している。これは本当にゴージャスで、私の手首にもよくフィットする。そしてこれまでに製造されたPG仕様はわずか5本しかない。

 推定落札価格は30万~60万スイスフラン(日本円で約6000万~1億2000万円)で、オーナーはインディペンデントウォッチ市場の熱狂を見て今が売り時だと考えたのだろう。少し上の価格帯にはアクリヴィア AK-06がある。レジェップ・レジェピに夢中になったコレクターたちが“持つべきアクリヴィア”と見なしている時計だ(おそらく最もシンプルで手に入れやすいからだろう)。クロノメーター コンテンポランよりもエレガントさには欠けるが、それでも素晴らしい仕上げが施されており、推定落札価格は35万~70万スイスフラン(日本円で約7000万~1億4000万円)だ。さらに高価なのが、フェルディナント・ベルトゥー ネソンス ドゥンヌ モントル1(No.1/11)だ。グルーベル・フォルセイ、フィリップ・デュフォー、ミシェル・ブーランジェのコラボレーションから生まれたこの時計は、ネソンス ドゥンヌ モントルのプロジェクトだけでなく、グルーベル・フォルセイのハンドメイドシリーズにもインスピレーションを与えた。

Theo Auffret

テオ・オフレ ジヴェルニーのプロトタイプ。

Theo Auffret
Theo Auffret
Theo Auffret

 小規模生産のブランドや若い工房の独立時計師もこの市場に参入している。私の知る限り、テオ・オフレはまだジヴェルニーモデルの製品版を正式にリリースしていないが、SS製のプロトタイプが出品されている。実物を見たが、個人的にはオフレのトゥールビヨンに惹かれるものの、このモデルも伝統的なスタイルで作られた非常に良い3針時計だった。

 レイアウトにはフランスとイギリスの様式が融合したシンプルさがあり、美しい面取りと、彼の師であるジャン=バティスト・ビオ(Jean-Baptiste Viot)氏のクロノメーター・ア・パリから受け継いだ珍しいシャルボネージュ仕上げが施されている。より創造的でユニークな時計としては、ルドヴィック・バルアー×アトリエ ブランデニエ アップサイドダウン “ケル・オマール・エティル?”(Ludovic Ballouard X Atelier Blandenier Upside Down "Quel Homard Est Il?)や、レデラー インヴェルト “プロトタイプ00”もチェックしてみて欲しい。

AP 5503
AP 5503
AP 5503

 最後になったが、今シーズンのオークションで私のお気に入りの時計は、マルチカラーのSS製と14KPGを使用したオーデマ ピゲ トリプルカレンダー ムーンフェイズ Ref.5503だ。これはこれまでに製造されたわずか5本のうちの1本で(このムーブメントが使用されたのは20本)、最後に売却されたのは2015年で、重要で著名なコレクションに加わった。正直なところ、二度と日の目を見ることはないと思っていたが(少なくとも売りに出されることは)、もし私に有り余るほどのお金があれば、もうこの時計を着けているだろう。美しいティアドロップ型のSS製ラグ、PGのアクセントを備えた大ぶりで大胆なダイヤル、そしてその希少性から、40万~80万スイスフラン(日本円で約8000万~1億6000万円)の価値は十分にある。そしてもうひとつ、超希少なトリプルカレンダーウォッチとして、この18KPG製のヴァシュロン・コンスタンタン “チョコレート”もチェックして欲しい。確かに希少性は劣るが(47本)、ほかのブランドに比べてあまり注目されてこなかった重要な時計であり、注目に値する。


アンティコルム ロット672―5月9日・10日

 もしお買い得品を探しているなら、やはりアンティコルムだろう。カタログを埋め尽くす、きわめて奇妙な時計が672点も出品されているのだ。最近のブライトリングやピアジェ、手ごろなカルティエやロレックス、あるいは無名の懐中時計(なかにはゴージャスなエナメルが施されたものもあるが)が欲しいなら、アンティコルムのカタログをくまなく探してみるといい。また本当に素晴らしい隠れた逸品や、目玉ロットも数多く存在する。 

Patek 3700

Photo courtesy Antiquorum

 どのオークションハウスもカタログにノーチラスを1本か2本は載せているが、アンティコルムのトップ2ロットは、50周年を迎えるこのモデルからだ。ひとつ目はユニークなRef.3700/13で、スイス・ルガーノのSomazziを通じて注文されたものだ。各インデックスに3列のダイヤモンドをあしらったピンクダイヤルは特別注文されたものであり、唯一の個体として知られている。入札開始価格は100万スイスフラン(日本円で約2億円)からだ。そこまでの価格になることは想像できるが、かなり強気な開始価格であり、彼らはその額でも需要があることを確信しているのだろう。希少ではあるが少し落ち着いた印象のノーチラス(私が着けるならこちらだが)は、グリーンのダイヤルとダイヤモンドベゼルを備えたSS製のRef.5711/1300A-001だ。推定落札価格は30万~45万スイスフラン(日本円で約6000万~9000万円)となっている。

Manta Ray

Photo courtesy Antiquorum

AP

Photo courtesy Antiquorum

AP

Photo courtesy Antiquorum

 しかし、人々がアンティコルムのオークションに来る理由はそれだけではない。個性的なもの、掘り出し物といったお買い得な1本を求めているのだ。ここで私が皆さんの狙い目を明かしてしまうことになる(その点は申し訳ない)。ジルベール・アルベールのデザインではないが、パテック フィリップのアワーグラス Ref.1593(サービスダイヤルだが、その分お得に手に入る)や、“マンタレイ”(少し小ぶりだが、それでも楽しい)はどうだろうか? 通常はブランドと結びつかないような形のオーデマ ピゲも多数出品されており、チョコレートは2本(VZSSムーブメント搭載のラージサイズのYG製と、K2001ムーブメント搭載のスモールサイズのWG製)も出品されているほか、1950年代の希少なプラチナ製Ref.5008 “タンク”もある。

UN

Photo courtesy Antiquorum

Photo courtesy Antiquorum.

Photo courtesy Antiquorum

Photo courtesy Antiquorum.

Photo courtesy Antiquorum

 もっと突飛なものがいいなら、今日に至るまでユリス・ナルダンで最も複雑だと言われている時計はどうだろうか? 単なる懐中時計ではなく、クロックウォッチ(要するに“グランドファーザークロック”のように時を告げる時計)であり、グランドソヌリ、プチソヌリ、サイレント、ミニッツリピーター、瞬時日送り式永久カレンダー、そしてムーンフェイズを備えている。これは本当にクールで、開始価格は3万スイスフラン(日本円で約600万円)からとなっており、信じられないほどの歴史的逸品としてはかなりリーズナブルだ。もう少し予算を足せば、プラチナ製のカルティエのジャンピングアワー式懐中時計に入札できる。縁にサファイアのバンドがあしらわれたものは、現存するもののなかでは唯一の個体だ。またクロワゾネダイヤルを備えているIWCは、市場に出回るほかのものほどインパクトのあるものではないが、こちらもなかなか良い個体だ(実物を見たことはない)。

Photo courtesy Antiquorum.

Photo courtesy Antiquorum

Photo courtesy Antiquorum.

Photo courtesy Antiquorum

 ダイバーズウォッチも手に入る。序盤には、交換針のついたヴィンテージのブランパン フィフティ ファゾムスが出品されるが、これも当時の純正品を見つけるよりもずっと安く手に入るだろう。次いで、さらに大胆な雰囲気のフィフティ ファゾムス 1000も登場する。ウォルサムがダイバーズウォッチを作っていたことをご存じだろうか? それを覚えている人は多くないだろう。しかしセイコー Ref.6159-7000“ツナ” Ref.6159-7010の良さを忘れる人はいない。

 そしてクロノグラフもある。私は2024年にここできわめて素晴らしいユニバーサル・ジュネーブのユニ・コンパックスを購入したが、ほかにも多くのモデルがお買い得な価格で落札された。なかには、7万~12万スイスフラン(日本円で約1400万~2400万円)のブラックダイヤルを備えている37mmという大振りなロレックス Ref.3330のような、かなりハイエンドなクロノグラフもある(しかしブラックダイヤルのロレックスクロノグラフについては友人に助言を求める必要がある)。18KPG製のパルスメーターダイヤルを備えているパテック フィリップ Ref.1579が5万スイスフラン(日本円で約1000万円)から始まる理由が気になるなら、それは部分的にリプリントされているからだ(そしていくらかの摩耗が見られる)。素晴らしい個体(ダブルネーム)は、2019年に16万2500スイスフラン(当時のレートで約1700万円)で落札されている。

Movado
Mido
Longines

 私のおすすめはカタログで、このサーモンカラーに焼けたパルスメーターダイヤルとブレゲ数字を備えたモバード M90のような時計を見つけることだ。開始価格は8000スイスフラン(日本円で約160万円)からだ(リッチ・フォードン、入札しようと思っていたのに、君と私のチャンスを台無しにしてしまって申し訳ない)。手ごろな価格のクロノグラフコレクターなら、ボーゲル社製ケースを持つミドーのマルチセンタークロノは必須アイテムであり、これは2000スイスフラン(日本円で約40万円)から始まる。あるいは、大金をかけずとも素晴らしいヴィンテージの雰囲気を持つこのYG製のエベラール プレエクストラ・フォルトを手に入れるか、このオーバーサイズのパイロットクロノグラフについて少し調べてみるのもいいだろう。追加されたブラックダイヤルは状態が悪いし、それほど珍しい時計ではないが、クールな時計だ。こういった時計こそが、アンティコルムの醍醐味なのである。