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ニューヨークで開催されたフィリップス時計オークション: XIIIでの早朝の活発な入札の結果、フランシス・フォード・コッポラ(Francis Ford Coppola)氏個人のF.P.ジュルヌ FFCプロトタイプが、手数料込みで最終価格1075万5000ドル(オークション開催時のレートで約16億7000万円)で落札された。今回このプロトタイプは、2024年にジュネーブのフィリップスで、同じ構成で黒い針とスティール製ブリッジを備えた2本のうちの1本が記録した732万スイスフラン(当時のレートで約12億7700万円)という金額を越え、F.P.ジュルヌの腕時計における最高落札最高額を塗り替えた。最初の1本は彼自身の個人コレクションに残っているが、F.P.ジュルヌが製作した2番目の腕時計がこれまでの記録保持者だった。しかしウォッチメイキングとポップカルチャーである映画界を結ぶストーリーラインの集結により、迅速な入札が行われ、約11分後には記録的な落札となった。また、これは独立時計師による時計の史上最高落札額も樹立した。
「おお、すごい。おお、すごい」と、オーレル・バックス(Aurel Bacs)氏はこのロットを紹介した。会場は記録的な結果に期待が膨らんでいるようで、直前のロットであるF.P.ジュルヌ オクタ・カレンダー ブラックレーベル(60万ドル/当時のレートで約9300万円以上で落札)に対しても活発でありながらも軽妙な入札が行われていた。
FFCの入札は最低入札額の100万ドル(当時のレートで約1億5500万円)から始まり、電話入札者による2ラウンドで300万ドル(当時のレートで4億6600万円)、そして500万ドル(当時のレートで約7億7600万円)へと跳ね上がった。入札額の増額が緩やかになったのは700万ドル(当時のレートで約10億8700万円)付近からで、一時はこの時計が前回の記録を破れないのではないかという雰囲気もあった。しかし4人の電話入札者が最後まで粘り、フィリップスのイザベラ・プロイア(Isabella Proia)氏とアレックス・ゴトブ(Alex Ghotb)氏のあいだで最終的な競り合いが行われた。ゴトブ氏は一時退席したものの、870万ドル(当時のレートで約13億5100万円)で再参入、そして再び競り合いを活発化させ、ハンマープライス900万ドル(当時のレートで約13億9800万円)で落札を勝ち取った。バイヤーズプレミアムを含めた最終価格は1075万5000ドル(当時のレートで約16億7000万円)であった。
イザベラ・プロイア氏。
左側のアレックス・ゴトブ氏。
このF.P.ジュルヌのプロトタイプには、複数の追い風が吹いていた。まず、このモデルは同ブランドのトップVIPたちのあいだで、より複雑なアストロノミックを上回る人気を誇っている。満席で後方には立ち見が出るほどの会場にいた少なくとも2名が、自身のFFCモデルを着用していた。
しかしながらすべての入札は電話越しで行われ、ジュルヌのコレクターたち(予約された2列の席にいた)はその様子を自分の携帯電話で記録することしかできなかった。また、これはF.P.ジュルヌの時計のなかで、ジュルヌ自身の想像から生まれたデザインではない唯一の時計だ。これはコッポラ氏との友情を象徴するものである。そして最後に、この時計は厳密には唯一無二ではないものの、ジュルヌ自身の手によって製作されており、プロトタイプ以外には存在しない工具の痕跡が残っている。
この構成のもうひとつの例は、フランソワ-ポール(François-Paul)氏とそのチームが引き続き熱心に作品を収集している、ジュネーブのF.P.ジュルヌ ミュージアムに展示される可能性が高い。コッポラ氏個人のクロノメーター・レゾナンス(このブランドへの愛とフランソワ-ポール・ジュルヌとの関係に火をつけた時計)は次のロットとして出品され、手数料込みで58万4200ドル(当時のレートで約9000万円)で落札された。ジュルヌ氏もコッポラ氏も会場には出席していなかったが、モントル ジュルヌ アメリカの責任者であるピエール・アリミ(Pierre Halimi)氏は、今回の売却はここ数年におけるジュルヌの価値の大幅な上昇を象徴していると述べた。
「最初から(ジュルヌ氏は)『フランシス、もし困ったことがあったらその時計を売ってください』と言っていたようです」とアリミ氏は語った。「1985年、コッポラ氏が『地獄の黙示録』の資金を調達するために『ゴッドファーザー』のオスカー像を売らなければならなかったと語るビデオを見ました。彼は私に“もし私が『メガロポリス』の資金として2億ドルを費やさなければならなかったとしても、私は2億ドルを費やしただろう”と言いました」と彼は語った。
フランシス・フォード・コッポラ氏所有のFFC プロトタイプと、クロノメーター・レゾナンス。
なぜこの時計がジュルヌの2番目の腕時計の記録を破ったのかについて、アリミ氏は「もし15/93(F.P.ジュルヌの2番目の腕時計)が今日オークションに出ていたとしたら、600万スイスフラン(当時のレートで約10億4700万円)になると思いますか? いいえ、はるかに高額になるでしょう」と述べた。フィリップスの副会長兼米州責任者のポール・ブトロス(Paul Boutros)氏は「あのオークション以来、市場は上昇し、関心度は大幅に高まっています。そんなに昔のことではないにもかかわらずです」と語った。アリミ氏はさらに次のように付け加えた。「もちろん15/93のほうが高くなるべきですから、この結果には違和感があります。しかし同時にコッポラ氏の要素が加わったのです。コッポラ氏はたったひとりしかいません。それが魅力を増しているのです。これはこのモデルを生み出した時計であり、コッポラ自身のもの。これは所有すべき1本でしょう」
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