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いよいよ2025年も終わりに近づいている。関税の紆余曲折が影響を及ぼし、(おそらく特に)オークションハウスでも激動の1年だった。ご存じのとおり時計の製造年や発送元にかかわらず、39%の関税の対象となるオークションで(ヴィンテージであろうと新作であろうと)時計を購入しそれを米国に発送した場合、きわめて大きな負担を強いられることになる。これは、今週末から始まる年末のニューヨークオークションの出品物の調達にも影響を与えた。しかしどういうわけか、各オークションハウスは驚異的な時計を調達してきた。その話に入る前に、まずはジュネーブでの結果を簡単に振り返ってみよう。
これが173万5000ドル(日本円で約2億7000万円)のパテック フィリップ Ref.3970だ。 Photo courtesy Sotheby's
ジュネーブで最大の話題(もちろん、フィリップスでのスティール製のパテック フィリップ Ref.1518の落札だ)の陰に隠れて、ほかにも注目すべき結果があった。まずクリスティーズでは、2006年のパテック フィリップ サロン再オープンのために製作され、現在は分割されているパテック Ref.3970のセットが驚くほど高値で売却された。そのうちの1本、3970EP-038(プラチナ製、サーモンダイヤル)は139万7000スイスフラン(当時のレートで約2億6000万円)という驚異的な価格を達成し、Ref.3970の新たな記録を樹立した。このセット全体では合計で350万5200スイスフラン(当時のレートで約6億7000万円)、およそ435万ドル(当時のレートで約8億3000万円)を達成した。その直後、香港のフィリップスでもフルセットのきわめてシャープなRef.3971J(ゴールドダイヤル)が、バイヤーズプレミアム込みで130万ドル(当時のレートで約2億円)で落札されるという素晴らしい結果が出た。
130万ドル(当時のレートで約2億円)のパテック フィリップは多くのコレクターを驚かせたが、Ref.3970やRef.3971の価格上昇トレンドに従っている。 Photo courtesy Phillips
ジュネーブオークションに臨むにあたり、私にとって大きな疑問だったのはサザビーズによるブランド250周年を記念したブレゲのテーマ別オークションだ。きわめてマニアックで専門的であり、成功して欲しいと心から願うものだったが、現代の市場でこのようなオークションが成功するかどうか、私は少々疑問視していた。テーマ別オークションは、必ずしもよい実績を残すわけではないからだ。一部のコレクターがオークションは軟調だったと私に言ったが、そうは思わない。記録は破られ、素晴らしい時計が驚くほどの価格で落札されたのだ。
100万ドル(当時のレートで約1億5300万円)のモントレ・ア・タクト(触覚時計)はこのような外観であり、このモデルの新たな記録だ。Photo courtesy of Sotheby's
Photo courtesy of Sotheby's
Photo courtesy of Sotheby's
すべてが落札されたわけではないが、オークションをスクロールして見ると平均して時計は推定落札価格をはるかに上回り、多くの場合、数倍の価格で落札されていることがわかる。上記のモントレ・ア・タクト(触覚時計)は、ブレゲが以前は知られていなかった(実際には広く知られていなかったに過ぎないが)実験的なダブルホイール脱進機だと主張する機構を搭載していたこともあり、100万ドル(当時のレートで約1億5300万円)を超える記録的な価格で売却された。最近のブレゲの新作にインスピレーションを与えた4分間トゥールビヨンは188万スイスフラン(当時のレートで約2億8900万円)という高額で落札され、この種の時計としては記録的なものとなった。
この時計を購入したのは長年オークションに関わり、特に歴史的なブレゲの時計の収集に熱心なフランソワ-ポール・ジュルヌ(François-Paul Journe)氏だ。これは、ジョージ・ダニエルズがブレゲのために製作した振り子時計が達成した価格とまったく同じだ。以前は知られていなかったブレゲ脱進機と、同軸に取り付けられたガンギ車を備えたユニークな時計はモントレ・ア・タクト(触覚時計)の記録を破り、83万8200スイスフラン(当時のレートで約1億5900万円、推定落札価格は2万6000〜5万スイスフラン/約490万~950万円)で落札された。1990年代の特別注文による宝石をあしらったブレゲの腕時計3本(ミニッツリピーター2本とクロノグラフ1本)は、合計で130万スイスフラン(当時のレートで約2億4700万円)をわずかに超える額で売却された。しかし過去の話はこれくらいにして、次に迫るオークションに目を向けよう。
ニューヨーク開催のフィリップス時計オークション: XIII
時計オークションが私たちの趣味の枠を越え、より広い議論の対象となるとき、これが真っ先に話題に上るべきだろう。フランシス・フォード・コッポラ(Francis Ford Coppola)氏が、彼の名を冠したF.P.ジュルヌ FFCのプロトタイプを含む、数多くの自身の時計を売却した。このことはコッポラ氏の自己資金による壮大な映画『メガロポリス』が興行的に失敗し、報じられるところによると実質的に破産状態になったことが原因で一般メディアでも大きく取り上げられた。売却の対象となっているのは時計だけではない。ベリーズの彼の島や、そのほかのものも含まれている。しかし私にとってさらに興味深いのは、フランソワ-ポール・ジュルヌ氏が通常、顧客のために作られた特別な作品が市場に出ることに異を唱えるにもかかわらず、今回の売却を公に容認したことだ。そして何はともあれ、この時計がエンジニアリングと型破りな思考を驚くほど創造的に表現したものであり、多くの注目を集めるに値することは間違いない。
この時計はニューヨークのロット17としてかなり早い段階で登場し、“100万ドル以上(当時のレートで約1億5500万円)”という推定落札価格が付けられている。FFCはブランドのなかで最も入手が難しいモデルのひとつであり、より複雑なアストロノミックよりも需要が高い。しかし多くのVIPがすでに注文を済ませているため、この1本がどこに落ち着くのかきわめて興味深い。結局のところ、これは発端となった時計のひとつであり、ほとんど着用されていないように見えるものの、いくつかのユニークな特徴がある。
チタン製の針は、製品版のようなアンスラサイトではなくブラックであり、回転するミニッツリングはグレーではなくホワイトである。ブリッジはSS製であり(この構成のもうひとつの例はF.P.ジュルヌ ミュージアムのコレクションにあるのみ)、この時計はフランソワ-ポール氏自身が組み立てた数少ない時計のひとつで、ムーブメントの両側に小さな工具の痕跡が見られる。この時計は歴史、クラフツマンシップ、ポップカルチャーの興味深く珍しい融合である。この時計はブランドの現在の記録に迫り、600万ドルから800万ドル(当時のレートで約9億3000万~12億3000万円)付近に落ち着くのではないかと私は予想している(編注;現在は終了しており、約16億7000万円で落札された)。
Sincere Fine Timeのために製作されたブラックのマザーオブパール仕様のレゾナンス、そしてかつてフランシス・フォード・コッポラ氏が所有していた個体の例。
このブラックダイヤルは、実際にはブラックのマザーオブパールだ。ダイヤルを際立たせる強い直接光を当てた時計の写真を、フィリップスのウェブサイトで確認して欲しい。
このオークションは実際、ジュルヌの作品がきわめて多い。カタログにはFFCプロトタイプの直後に出品されるコッポラ氏が妻から贈られたものを含む多くのクロノメーター・レゾナンスが掲載されている。さらに2ロット後には、私がこのオークションの目玉と考えるスースクリプション トゥールビヨン レゾナンス no.17がある。これは、フィリップスのジュネーブでのDrcade Oneオークションでスースクリプション トゥールビヨン レゾナンス no.2が手数料込みで332万7000スイスフラン(当時のレートで約6億3600万円)を達成した直後の出品となる。
この個体の仕様は、ダイヤルの色などがわずかに異なる。しかしそれでもジュルヌの最高のモデル(私の謙虚な意見だが)の初期の真鍮製ムーブメントの採用例のひとつであり、200万ドル(当時のレートで約3億円)以上、おそらく300万ドル(当時のレートで約4億6000万円)近くで落札されるはずだ。また、“SS製セット”のレゾナンスもあるが、もっと大胆なものを探しているならSincere Fine Timeのために作られたブラックのマザーオブパール仕様をチェックして欲しい。このダイヤルは強い直射光の下でなければ漆黒に見えるが、光が当たるとすべての色が浮かび上がる。推定落札価格は30万ドルから60万ドル(当時のレートで約4600万~9200万円)だ。
フィリップスに出品される、フィリップ・デュフォーのデュアリティとシンプリシティのシリアルナンバー1。
これに触れるのがこんなに遅くなったのは信じがたいが、ニューヨークのフィリップスは、フィリップ・デュフォーのデュアリティとシンプリシティのシリアルナンバー1を両方出品しており、どちらも市場に初めて登場する。デュアリティは、セス・アトウッド(Seth Atwood)の閉鎖されたタイムミュージアムのコレクションにあったデュアルテンプの懐中時計にインスパイアされた野心的なプロジェクトであったが、ムーブメントの複雑さからデュフォーは計画された25本のうち10本しか製作しなかった。これはホワイトゴールド製の2本のうちの1本であり、もう1本は昨年ニューヨークで開催されたフィリップスのオークションで205万6500ドル(当時のレートで約2億9000万円)の落札額を達成している。
この個体の推定落札価格は100万ドルから200万ドル(当時のレートで約1億5500万円~3億1000万円)だ。そしてシンプリシティは37mmのローズゴールド(RG)ケースにホワイトラッカーダイヤルとブレゲ針を備えており、34mmの小型バージョンのほうが人気があるようだ。これは仕上げへの執着と、独立系市場の成長のきっかけとなった時計だ。私好みのシンプリシティではないが(私のお気に入りは彼のサテン仕上げのプラチナ製や、ギヨシェ装飾があしらわれたグレーダイヤルを備えたRG製だ)、もし私が資金を持っていたらまず買ってから考えるだろう。この個体の推定落札価格は35万ドルから70万ドル(当時のレートで約5400万~1億円)だ。
ほかにも、このオークションには手ごろなロット(巨大なオメガからクールなロンジンまで)や、高額な値がつく珍しい変わり種の時計(私はプラチナケースにダイヤモンドインデックスと一体型ブレスレットを備えた、とんでもないオメガ コンステレーション グラン リュクス、10万ドルから20万ドル/当時のレートで約1550万~3100万)がある。私はカリ・ヴティライネン オプセルヴァトワールに注目している。これは10万ドルから20万ドル(当時のレートで約1550万~3100万円)の推定落札価格が付けられており、フィリップスのDrcade Oneオークションで別の個体が38万1000スイスフラン(当時のレートで約7290万円)で売却されたあとであるため、特に注目している。
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サザビーズのロバート・オルムステッドオークションは理解不能なほど見事だ
オークションで懐中時計について書く機会はそう頻繁にあるものではなく、1回、2回、そして3回と取り上げているが、まだ表面をかじった程度にしか感じられない。ロバート・オルムステッド氏のコレクションについては、彼のオーデマ ピゲの懐中時計、“グロス ピエス”に関する過去の記事を読むことをおすすめする。これはオーデマ ピゲがこれまでに製造した最も複雑な懐中時計のひとつであり、天体図を備えた唯一のモデル、そしてその時代にトゥールビヨンを備えた唯一のモデルだ。故ロバート・オルムステッド氏は、今日の私たちが見るコレクターとは一線を画していた。集中力があり情熱的、そしてきわめて私的なコレクションで、サザビーズが出品する彼のコレクションの多くの時計はパテック フィリップのものを含め、時計製造の歴史に対する私たちの理解を完全に変えるものだ。このオークションの専門性は、ヘンリー・グレーブス(Henry Graves)やピート・フラートン(Pete Fullerton/グレーブスの孫)のオークションのような興奮は誘わないかもしれないが、私はベンが当時そうしたように、真に偉大なコレクションから購入する機会として何かを購入せざるを得ないという衝動を感じている。
オルムステッド氏のコレクションに関して、どこから始めればよいのかすらわからない。彼の情熱は懐中時計だけでなく、クロックにも向けられており、パーペチュアルカレンダー付きのデント製キャリッジクロノメーターから始めるのがよいかもしれない。このクロックは巨大(約 54.6cm×33cm、重さ約27.2kg)で、デントの特許取得済みのステープルテンプを備えたデテント脱進機、螺旋状のひげぜんまい、フュゼ・チェーン機構を特徴とする技術的な驚異だ。さらに、ロンドンのセント・メアリー・ル・ボウ教会のメロディに基づいた珍しいウィッティントンチャイム(Whittington Chimes)も搭載している。学者はこのデントのキャリッジクロックのシリーズを最高傑作のひとつと呼んでおり、私は5万ドル(日本円で約780万円)のクロックをこれほど欲しいと思ったことはない。
ムーブメントをふたつ搭載するパテック フィリップの懐中時計。
パテック フィリップのダブルムーブメント ミニッツリピーター スプリットセコンドクロノグラフ。
極薄のダブルムーブメント ミニッツリピーター。
そしてもちろん、あのパテックたちだ。これらは真に学問を変える時計であり、以前に記事で取り上げたが改めて言及しなければならない。私が“グロス ピエス”をプレビューしていた際、サザビーズのチームは私の好奇心に応え、コレクションから2本のダブルムーブメントを搭載した懐中時計と“ペーパーウェイト”クロックを見せてくれた。ダブルムーブメントが印象的だった理由はいくつかある。まずジョン・モトリー・モアヘッド(John Motley Morehead)によって依頼され、全体的なデザインは似ているものの、それぞれのゴールドダイヤルは微妙に、そして美しく異なっている。
スプリットセコンドとミニッツリピーターはパテックがこれまでに製作したなかで、6本の針がセンターに取り付けられた唯一の時計でありながら、まったく違和感がなく、私が予想していたほど大きくも厚くもない。一方、よりシンプルな極薄のダブルムーブメント ミニッツリピーターはそのサイズにおいて標準的な懐中時計と同じくらい薄く、ほかの時計と同様に、同じリューズで両方のムーブメントの巻き上げと時刻設定を行うという複雑さを感じさせない。それにもかかわらず、これらはパテック社が尋ねられるまで、同社でさえ記録を見つけられず、これまで知られていなかったものだった。これらは世界で唯一知られているパテックのダブルムーブメントの時計である。
ペーパーウェイトクロックはまさに息をのむほど美しい。元々、トーマス・エメリー(Thomas Emery/パテック フィリップが製作し、現在同社のミュージアムに所蔵されている史上初のパーペチュアルカレンダー搭載の腕時計を依頼した人物)のために製作されたもので、シルバーケースには美しい酸化した緑青が見られる。これはグレーブス氏やジェームズ・ワード・パッカード(James Ward Packard)氏のために作られた同様の時計のより印象的なバージョンであり、彼らの時計は8日間のパワーリザーブしかなかったが、エメリー氏の時計は10日間だった。これらの時計は、パテックの最新のデスククロック(小売価格130万ドル/日本円で約2億円以上)にインスピレーションを与えた。これらのうちのいくつかがパテック フィリップ・ミュージアムに行ってしまうのは残念だと私は思う。なぜなら、これらはより広い世界で流通し続けるべき収集への情熱を象徴していると考えるからだ。個人的な思い入れがあるが、30年後に私の人生が劇的に変わり、これらを購入できるかもしれないという希望を捨ててはいない。
サザビーズに出品されるパテック フィリップ製クロックウォッチのムーブメント。推定落札価格が10万ドルから20万ドル(当時のレートで約1550万~3100万円)だ。
ジェームズ・C・ペラトンの1分間トゥールビヨン。Photo courtesy Sotheby's
グッラスヒュッテ出身のハインツ・エーベルハルト(Heinz Eberhardt)によるデテント脱進機付きトゥールビヨン。Photo courtesy Sotheby's
次に、ロット35がある。控えめな小さなパテック フィリップのミニッツリピーター懐中時計だが、プレビュー中に私を本当に魅了した。私が座って写真を撮っていると、この“クロックウォッチ”のグランソヌリ機能が時間の経過を思い出させてくれた。パテックのクロックウォッチはわずか9本しか知られておらず、この1本はきわめて特別だ。ミニッツリピーターといえば、ティファニーが販売したパテックによる興味深いスプリットセコンド機構を搭載した時計がある。
ダイヤルは少し荒れているが、全体的な複雑さ、そしてケースと弓の形状は低い推定落札価格では素晴らしい買い物と言える。しかしオルムステッド氏は時計の精度をきわめて愛していたため、このオークションにあるさまざまなクロノメーターやトゥールビヨンも見ることをおすすめする。例えばペラトンは精密時計製造の歴史における重要な名前をクールに表現しており、価格も合理的だ。また、1935年にグラスヒュッテのドイツ時計学校の学生であり、有名なドイツ人時計師アルフレッド・ヘルヴィグ(Alfred Helwig)に師事したハインツ・エーベルハルト(Heinz Eberhardt)によるこのトゥールビヨンも気に入っている。ああ、そしてフロッシャムの時計もたくさんあり、それぞれが独自のストーリーを持っている。
ロレックス Ref.6100 “ドラゴン” クロワゾネ。
オルムステッドのコレクション以外にも、注目に値するきわめてクールなロレックス2本とオーデマ ピゲ1本がある。両方のロレックスは、最初の所有者の家族から出品されたものだ。1本目はイエローゴールド(YG)製のリベットブレスレットと、“ドラゴン”クロワゾネエナメルダイヤルを備えたRef.6100だ。これは、エナメル職人ネリー・リチャード(Nelly Richard)によるスポーティさとクラシックなクラフツマンシップの融合であり、前回ロレックスの“ドラゴン”がクリスティーズで売却された際には驚異的な152万5000ドル(編注;2025年5月29日の香港にて、当時のレートで約2億2000万円)を達成した。この個体の推定落札価格は、45万ドルから90万ドル(当時のレートで約7000万~1億4000万円)とやや控えめだ。
もう1本のロレックスは、Ref.6538 サブマリーナー “Big Crown James Bond”だ。最初の所有者の孫が私に連絡をくれ、この時計が50年間金庫に保管されていたことを教えてくれた。そのため着用期間が短かったため、状態がきわめてよいのだろう。オーデマ ピゲに関しては、私は最近、VZSSムーブメント(シンプリシティと同じ設計)への愛を熱弁していたが、このオークションには9時位置にストップバランスボタンを備えたRef.5051BAが出品されている。ダイヤルは少し荒れているが、このストップバランスウォッチはこれまでに約250本しか製造されておらず、オーバーサイズのケース(36mm)であるため、正直これを自分用に隠しておこうかと考えたほどだ。
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ニューヨーク開催のクリスティーズ
ユニークなフロッシャムのキャリッジクロック。Photo courtesy Christie's
またフロッシャムについて話すことになるのだろうか? いや、これは現実のことで、私の記事だ。だからそう、再びフロッシャムについて語ろう。巨大なデントのクロックと比較して、クリスティーズのユニークなフロッシャムのキャリッジクロックはきわめて小さい。しかしグラン&プチソヌリ、ワンミニッツトゥールビヨン、7日間のパワーリザーブを搭載しており、その存在感は大きい。20万ドルから40万ドル(当時のレートで約3000万~6000万円)の推定落札価格には間違いなく価値があるが、これの買い手はごく少数だろうと想像せざるを得ない。
おそらくユニークなパテック フィリップ Ref.2509。Photo courtesy Christie's
夜光が充填されたブラックダイヤルを備えたパテック Ref.2526。セルピコ・イ・ライノのサイン入り。Photo courtesy Christie's
一方、パテック カラトラバの珍しい仕様はオークションで見過ごされることはほとんどなく、クリスティーズからは2本がすぐに私の目に飛び込んできた。1本目は夜光が充填された針とインデックスを備え、ギュブランが販売・署名した、おそらくユニークピースのRef.2509だ。
これはRef.3417ほど印象的ではないが耐磁仕様のモデルで、頭のなかで思い描くカラトラバのイメージに近いため私にとってはむしろ興味深い。また、YG製ケースに夜光が充填されたブラックダイヤルと針を備え、セルピコ・イ・ライノの署名が入ったきわめてレアな仕様のRef.2526もある。推定落札価格はそれぞれ5万ドルから10万ドル(当時のレートで約770万~1540万円)、および25万ドルから45万ドル(当時のレートで約3800万~6900万円)であり、どちらも高額を達成するとは予想していないがクールな時計だ。
Photo courtesy Christie's
クリスティーズにはヴィンテージから驚くべきネオヴィンテージまで、さまざまなクロノグラフが出品されている。私はスタート/ストップ/リセット機能と、この美しいスネイル仕上げを施したダイヤルを備えているユニバーサル・ジュネーブのオーバーサイズクロノグラフのような、より落ち着いたヴィンテージ時計に固執している。基本的に通常のクロノグラフ機能はすべて上部のプッシャーで操作するが、下部のプッシャーを使用するとクロノグラフ針をリセットせずにクロノグラフの計測を停止できる。
さらに、この時計にはゴッビ・ミラノがサインしている。しかし大胆で美しいもの(いや、あの『ザ・ボールド・アンド・ザ・ビューティフル』ではない)を探しているなら、クリスティーズは大胆でカラフルなダイヤルを備えたロレックス “ビーチ”デイトナのセットや、ダイヤモンドベゼルを備えたカタログ外のバージョンを調達している。それでも十分派手でないというなら、オリジナルの“バービー”デイトナのひとつ(最近リリースされ、多くの有名人が着用しているバージョンの前)もあり、推定落札価格は25万ドルから55万ドル(当時のレートで約3800万~8400万円)だ。
Photo courtesy Christie's
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