ADVERTISEMENT
クイック解説
2022年の新作コレクションを確認するとわかるように、いまやグランドセイコーのラインナップは、スポーツウォッチはもちろん、コンプリケーションやジュエリーウォッチまで守備範囲を広げている。
とはいえ、コレクションの中軸となっているのは、これまでグランドセイコーが培ってきた不文律のデザインコードであることに間違いないだろう。ジャンルを問わず、「名品」と呼ばれるプロダクトの多くは時代や流行を超越したタイムレスな魅力を備えているわけだが、とりわけ腕時計における完成度とは、細部の作り込みや仕上げのレベルはもちろん、デザインのよし悪しやバランスに委ねられる部分が大きい。グランドセイコーの歴代モデルのなかでも1967年に発表された44GSは、日本特有の美意識を原点として独自に編み出したデザイン文法「セイコースタイル」を確立した記念碑的な1本として、今もなお後続のモデルに絶大な影響を与え続けている。
さて、本題に入ろう。ここで紹介する2021年に発売された髙島屋創業190周年記念限定モデル 44GS 現代デザイン SBGA459は、44GSの文脈に沿ったスタイリングを踏襲しつつ、近年グランドセイコーが注力している日本の美意識を反映させた質感のあるダイヤルを全面に打ち出している。
これについては、時計業界のアカデミー賞にもなぞらえられるGPHG(ジュネーブ時計グランプリ)にて、昨年栄えあるメンズウォッチ部門賞を受賞したCal.9SA5搭載メカニカルモデルのSLGH005、そして2022年の新作であるCal.9RA2を搭載したスプリングドライブモデルのSLGA009と比較してみるとわかりやすい。この2モデルに共通する白樺林をモチーフにして生まれた独特の質感を持つダイヤルは、44GSの時代では存在しなかったものであり、現代の匠たちが紡ぎ出した“美の結晶”だと言っても過言ではない。
木目のような凹凸感のある白樺ダイヤルの仕上げに対して、SBGA459はパウダーのようなザラつきのあるテクスチャを表現しており、より落ち着いた印象を受ける。それでいて、しっかりと光を反射するため、実用性はもとより“目で楽しめる仕上げ”だと言えるだろう。
限定モデルである証として、自動巻きスプリングドライブで最もベーシックなムーブメントにあたるCal.9R65が覗くサファイアクリスタル製の裏蓋には、グランドセイコーのシンボルマークである獅子の紋章と「LIMITED EDITION」の文字がプリントされている。SBGA459の価格は64万9000円(税込)、112本限定だ。
ファースト・インプレッション
実機を手にして改めて気がついた点について述べていこう。ヘリテージコレクションに属する44GS 現代デザインのケースサイズは、直径40mm×厚さ12.1mmの程よいボリュームがあり、手元に主張を与えてくれる。グランドセイコーのお家芸であるザラツ研磨は、44GS特有の直線と曲線で織りなすケースフォルムを強調する役割を果たしているが、この妙技はブレスレットの存在感を高めるためにも欠かせない。
腕時計の外装におけるブレスレットの重要性は極めて高い。なぜなら、これひとつで時計全体の印象が決定付けられるデザイン全体の生命線だと言えるからだ。SBGA459の場合、ブレスレットの幅をやや細めの19mmに設定することで、美しいケースの形状を際立たせている。
このようなすばらしいプロポーションは、初代44GSが1960年代に確立させたグランドセイコーのデザイン文法「セイコースタイル」の延長線にあるものだ。「セイコースタイル」とは、人々の心を動かす“燦然と輝く腕時計”というコンセプトに基づき、みっつのデザイン方針と9つのデザイン要素によって成り立つ(その詳細は本稿では割愛するが、詳しくはこちらの記事にまとまっている。読んでもらえるとより理解が深まると思う)。平面を主体にデザインすることで生まれる光と陰のグラデーションは、日本らしい感性が行き届いた独特の美を紡ぎ出す。44GS 現代デザインのために、ケース一体型のラグに合わせて設計したブレスレットは実用と美観を両立する。筆者もそうだが、この絶妙なバランスに心地よさを覚える方も多いと思う。
次にグランドセイコーの60周年に誕生した新たなデザイン「エボリューション9 コレクション」から生まれたブレスレットにもフォーカスを当ててみよう。同コレクションに内包されるSLGH005とSLGA009はともに、SBGA459と同じく40mm径であるが、ケース厚はSLGH005が11.8mm、SLGA009は11.7mmと0.1mm違う。Cal.9SA5、9RA2の両ムーブメントの薄型化がケースの薄型化にも繋がったのだが、ムーブメントの位置をできるだけ裏蓋側に近づける、つまり低重心にすることで腕に乗せたときのぐらつきが抑えられたこと、ブレスレット幅を従来より太くして重さを分散させたこと、ブレスレットを厚くして時計本体との重量バランスを取ったこと、そしてコマのピッチを短くしてフィット感を上げたことで装着感が向上している。即ち、新型ケースに合わせた形状の見直しにより、言うなればブレスレットも「エボリューション9 スタイル」として進化したのだ。
着用感についての感想を述べると、ステンレススティール製の時計だけあって、3本ともに少なからず重量感があることは否めないが、腕馴染みのよさを求めて計算されたケースとラグの曲線、あるいはブレスレットの構造はストレスを見事に軽減してくれる。率直に言うと、この3者のあいだに実用面での優劣は存在しないと思うが、改めて注目すべき点は、同じ40mm径の時計でありながらブレスレット幅が大きく異なるということだ。このデザインバランスの違いが、つけたとき印象に大きな違いをも垂らしている。ブレスレット幅が22mmもあるSLGH005とSLGA009はその太めのブレスレット、そしてシャープなラグとのバランスが相まって、スポーティな雰囲気を時計に与えている。一方で、太いラグに19mm幅のブレスレットを合わせるSBGA459は力強くも、どこかクラシカルな雰囲気を感じさせる。手元をスマートに演出するならSBGA459の方がいいかもしれない。
甲乙つけ難いこれらの時計から自身が納得できる選択をするなら、やはり実際に腕に乗せてみるのがいちばんいい。玉川髙島屋 本館6階 時計売り場では、2022年6月8日(水)から6月21日(火)までの期間、「グランドセイコー新作フェア」を開催する。このフェアでは髙島屋創業190周年記念限定モデルであるSBGA459を目玉に、話題の白樺モデルであるSLGH005とSLGA009もラインナップ。1967年の44GSをベースに確立されたデザイン文法「セイコースタイル」に基づくSBGA459、そしてそのスタイルを継承・進化させた「エボリューション9 スタイル」に基づくSLGA009とSLGH005の違いを実機を手にしながら比較することができるのだ。だからこそ、これらの時計を一度に品定めできるまたとないチャンスを逃す手はない。
6月8日(水)から6月14日(火)の期間中は、本館1階 T-ステージ1にて「エボリューション9 コレクション」の新作や、グランドセイコー クロノグラフ15周年記念限定モデルのSBGC249(6月上旬発売予定)、エボリューション9 コレクションに加わった新たなGMTウオッチSBGE285やSBGE283(7月上旬発売予定)、そしてスプリングドライブCal.9RA5を搭載した初の200mダイバーズであるSLGA015(8月上旬発売予定)のサンプルも用意され、先行予約を受け付ける。このほかにもアーカイブ展示として、初代グランドセイコーを復刻したSBGW260、44GS 現代デザインの人気モデルSBGA375、SBGA373などが一堂に集う予定だ。
【グランドセイコー新作フェア】
■期間: 2022年6月8日(水)→ 21日(火) まで
■購入特典: グランドセイコーを購入すると先着でオリジナルグッズをプレゼント
■場所: 6月8日(水)→ 14日(火)までは玉川髙島屋 本館1階 T-ステージ1、6月15日(水)→ 21日(火)までは玉川髙島屋 本館6階 時計売り場にて
■TEL: 03-3709-3111(代表)
基本情報
ブランド: グランドセイコー(Grand Seiko)
モデル名: 髙島屋創業190周年記念限定モデル 44GS現代デザイン
型番: SBGA459
直径: 40mm
厚さ: 12.3mm
ケース素材: ステンレススティール
文字盤色: シルバー
インデックス: アプライドバー
夜光: なし
防水性能: 10気圧
ストラップ/ブレスレット: SSブレスレット、ワンプッシュ三つ折れ方式クラスプ
ムーブメント情報
キャリバー: 9R65
機能: 時・分表示、センターセコンド、秒針停止機能、パワーリザーブインジケーター
パワーリザーブ: 約72時間(約3日間、最大巻上時)
巻き上げ方式: 自動巻きスプリングドライブ
石数: 30
追加情報: 平均月差±15秒(日差±1秒相当)
価格 & 発売時期
価格: 64万9000円(税込)
発売時期: 発売中
限定: 髙島屋限定112本
詳細は、玉川髙島屋公式サイトをクリック。
Photographs:Keita Takahashi Words:Tsuneyuki Tokano