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クイック解説
ショパールから、ミッレ ミリア クラシック クロノグラフの日本限定モデル「ジャパン レーシング ホワイト」が発表された。日本の伝統的なレーシングカラーを着想源に、ポーセリンホワイトのダイヤルと赤いアクセントを組み合わせた限定100本の新作で、日本国内のみの販売となる。
ショパールは1988年以来、イタリアのクラシックカーレース、ミッレ ミリアのワールドスポンサー&オフィシャルタイムキーパーを務めている。同年に誕生した時計コレクションでは、クルマの計器や車体、レーシングカルチャーをデザインに取り入れてきた。今回のテーマもその延長線上にあり、国ごとの車体カラーで参加国を識別していた時代のレーシングカラーのうち、日本を象徴する白と赤を採用している。
ダイヤルは、磁器を思わせるポーセリンホワイトのラッカー仕上げ。ブラックで縁取ったアラビア数字のインデックスと黒い目盛りを配し、センターのクロノグラフ秒針やミッレ ミリアのアローロゴには赤を用いる。4時と5時のあいだに設けた日付窓も白地に赤い数字という配色だ。インデックスとロジウム仕上げの時・分針にはグレードX1のスーパールミノバを塗布する。3時位置にスモールセコンド、6時位置に12時間積算計、9時位置に30分積算計を備え、それぞれのインダイヤルには同心円状のスネイル仕上げが施されている。
ケースは直径40.5mm、厚さは約12.88mm。素材にはリサイクル材を80%使用したショパール独自の合金、ルーセントスティール™を採用する。ベゼル、リューズ、溶接ラグはポリッシュ仕上げ、ケースサイドはサテン仕上げとした。リューズにはステアリングホイールのモチーフを刻み、プッシャーにはクルマのペダルから着想を得たローレット加工を施している。風防は反射防止加工を施したグラスボックス型のサファイアクリスタル製。防水性能は50mを確保する。
搭載するのは、COSCのクロノメーター認定を取得した自動巻きクロノグラフムーブメントだ。振動数は2万8800振動/時。約54時間のパワーリザーブと、時刻合わせの際に秒針を止めるストップセコンド機能を備える。シースルーバックには、チェッカーフラッグと日本国旗を交差させたモチーフが描かれている。ストラップは、赤いステッチを入れたパンチング加工のブラックカーフ製だ。そこにルーセントスティール™製のピンバックルを組み合わせる。価格は169万4000円だ。
ファースト・インプレッション
フィアット 1100 TV ザガート。(photograph by Masaharu Wada)
つい先日、日本限定モデル、ミッレ ミリア クラシック クロノグラフ ジャパン レーシング ホワイトのローンチイベントが開催された。本作が属するミッレ ミリア コレクションは、1988年に誕生した。その後、1990年代にミッレ ミリアを通じてショイフレ家と、名門カロッツェリアを率いるザガート家が出会い、両家の交流は時計づくりのコラボレーションへと発展した。そうした背景もあり、イベント会場の入り口には、1956年のミッレ ミリアに出走した「フィアット 1100 TV ザガート」が展示され、日本限定モデルの発表に花を添えた。ザガートの現CEO、アンドレア・ザガート氏の父であるエリオ・ザガート博士も、かつて所有した歴史的な車両だ。
国際的なモーターレースにおいて、各国には歴史的に割り当てられた“レーシングカラー”(イギリスはグリーン、ドイツはシルバーなど)が存在する。今回発表された日本限定モデルは、日本の伝統的なレーシングカラーであるホワイトをテーマにしている。特筆すべきは、ダイヤルに施されたポーセリンホワイトのラッカー仕上げだ。この深い艶と美しい質感を持つホワイトをベースに、日の丸を思わせる赤のアクセントが絶妙なコントラストを生み出し、エレガントでありながら力強い印象を与えている。
カール‐フリッツ・ショイフレ氏が身に着けていたミッレ ミリア クラシック クロノグラフ ジャパン レーシング ホワイト。(photograph by Masaharu Wada)
会場では、本作のローンチに合わせて来日したカール‐フリッツ・ショイフレ氏が、この日本限定モデルについてプレゼンテーションを実施。ミッレ ミリアの精神をどのように捉え、腕時計という限られた空間に表現するかを説明した。
興味深かったのは、彼が紹介した父であり、ショパール共同社長を務めるカール‐フリードリッヒ・ショイフレ氏とのエピソードだ。幼いころ、なぜリューズにはステアリングホイールを思わせる意匠が、プッシャーにはローレット加工が施されているのかと父に尋ねたところ、デザインに一定の制約を設けることが各モデルを結びつけるうえで重要だと教えられたという。変えられる部分を見極めるために守るべきものを明確にする。その考え方があるからこそ、国ごとのカラーをまとってもミッレ ミリアコレクションとしての一貫性が保たれるのだろう。
なお、直径40.5mmのケース、ルーセントスティール™、グラスボックス風防は、いずれも2023年のコレクション刷新に伴って採用されたものだ。本作でも受け継がれるこの構成は、クラシックな意匠を現代の素材と仕立てで楽しむというコレクションの方向性をよく表している。
そしてこの限定モデルで最も注目すべきなのは、やはりポーセリンホワイトのラッカーダイヤルだ。カール‐フリッツ氏もこの点に触れ、実物のダイヤルの質感は写真で見る印象とは異なるため、ぜひ手に取って確かめてほしいと強調していた。
実機を事前に見ることができたが、彼の言葉どおり、そのダイヤルはラッカー特有の柔らかな表情をたたえていた。ケースについても同様のことが言える。ケースに用いられているルーセントスティール™は再溶解によって純度を高め、優れた輝きと耐摩耗性を備え、ホワイトゴールドを思わせる色合いを実現しているが、実機を見ないとそのニュアンスを理解するのは難しいかもしれない。
個人的に興味を引かれるのは、溶接ラグ(Welded Lugs)だ。一般的に、ゴールドなどの貴金属ケースでは、別体のラグをケースへ溶接するこの伝統的な製法が用いられてきた。一方、現代のステンレススティール製ケースでは、鍛造やCNC加工によってケースとラグを一体で成形・切削する製法が一般的だ。そんななか、本作ではルーセントスティール™製ケースに、あえて別体のラグを溶接する構造を採用している。
ひと目では気づきにくく、見る人によってはそれほど重要なディテールには映らないかもしれない。だが、ケースに溶接されたラグは、まるでケースからそのまま伸びているかのようになめらかにつながり、その仕立ての美しさが際立つ。今回のプレゼンテーションでは、この溶接加工を自社内で行っていることも紹介されていた。完成した時計だけを見ていては気づきにくい工程にまで、自ら手をかける。その姿勢こそ、ショパールのクラフツマンシップを象徴するものだろう。ミッレ ミリア クラシック クロノグラフは、こうした目立たない部分への異常なまでのこだわりと手間によって、スポーツウォッチの枠にとどまらない高級感を備えている。そこに、この時計の大きな魅力があるのだ。
基本情報
ブランド: ショパール(Chopard)
モデル名: ミッレ ミリア クラシック クロノグラフ ジャパン レーシング ホワイト
型番: 168619-3022
直径: 40.5mm
厚さ: 12.88mm
ケース素材: ルーセントスティール™
文字盤色: ポーセリンホワイトのラッカー仕上げ
インデックス: ブラックで縁取りをしたアラビア数字
夜光: アラビア数字のインデックス、ロジウム仕上げのバトン型時・分針にグレード X1 スーパールミノバ®コーティング
防水性能: 50m
ストラップ/ブレスレット: レッドステッチを施したパンチング加工のブラックカーフスキンストラップ、ルーセントスティール™製ピンバックル
ムーブメント情報
キャリバー: ETA32.211
機能: 時・分表示、3時位置にスモールセコンド、4-5時位置に日付表示、クロノグラフ(6時位置に12時間積算計、9時位置に30分積算計、センタークロノグラフ秒針)、ストップセコンド機能
直径: 28.6mm
パワーリザーブ: 54時間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 37
クロノメーター認定: COSC(スイス公式クロノメーター検定局)認定
価格&発売時期
価格: 169万4000円(税込)
発売時期: 販売中
限定:日本限定100本(日本国内のみで販売)
詳細は、ショパール公式サイトをクリック。
特に表記のない画像は、Photographs by Kyosuke Sato
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