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Inside The Manufacture オーデマ ピゲ ロイヤル オークのダイヤル製造方法

アイコニックなタぺストリーダイヤルは、実はファーストモデルよりスターン家が設立したダイヤルメーカーが手がけている。

※本記事は2012年1月に執筆された本国版の翻訳です

 SIHHまであと10日となりましたが、今年のショーの話題はロイヤル オーク40周年記念モデルになりそうです。有名な極薄ムーブメント(フルローターを搭載したものとしては世界最薄)、素晴らしいジェンタデザイン、ステンレススティールケースの素晴らしい仕上げ、そしてこの時計が本質的なラグジュアリースポーツウォッチのカテゴリーを創造したという事実は素晴らしいものですが、見落とされがちなのが、ロイヤル オークのダイヤルのユニークなデザインです。

 極初期のロイヤル オークがイランの国王に売却された後、ル・ブラッシュに残された1000本のAシリーズはタペストリーパターンのダイヤルが特徴で、正方形と菱形のモチーフを織り込んだパターンが光を捉え、時計の“幾何学的なレリーフ”を強調しています。

 しかし、このパターンはどのようにして作られているのでしょうか? そう、オーデマ ピゲは、ロイヤル オークのダイヤル製造を、最初から全て著名なダイヤルメーカーであるスターン・クリエイションズに委託してきました。 スターンといえば、おそらく読者も聞き覚えがあるでしょう。後にパテック フィリップと呼ばれるジュネーブの小さな時計メーカーを買収したスターン家によって設立されたダイヤルメーカーです。スターン・クリエイションズの創設者であるアンリ・スターンといえば、HODINKEEでは、大きくイカしたヒゲを生やした人物として知られています。

 ロイヤル オークのダイヤル製造はまさに特別です。このパターンはアイコニックなものとなり、後にオフショアシリーズにも採用され拡大されました。 しかし、このパターンの作成には、ビュラン(彫刻に使用される鋼の切削工具)とパンタグラフというハイテクとは無縁の機械が使われています。 ビュランはシンプルなノミ(彫刻刀)で、パンタグラフは1603年にまで遡ることができる、平行四辺形のシステムを使ったコピーとトレースが可能な機械的なリンクシステムです。下のアニメーションのような働きをします。

 パンタグラフの片面にはロイヤル オークのタぺストリーパターンの特大モデルがあり、もう片面にはまっさらな真鍮製ダイヤルにビュランが向けられています。パンタグラフは左が金型に沿っていて、右側ではロイヤル オークのダイヤルに細かい模様が描かれています。

 モチーフのエングレービングには、1つのダイヤルにつき20分から50分ほどかかり、エングレービングは内側から行われます。ダイヤルのサイズを考えると、とても繊細な作業です。わずかな気の緩みがダイヤル全体をダメにしてしまうことになります。 この工程では、穏やかなカチカチという音がして、ダイヤルの中心に向かって彫刻が移動しいくにつれて、だんだんとカチカチと音がするスピードが速くなっていきます。

 ロイヤル オークのダイヤルのほとんどは前述の通り、スターン社が作っています(皆さんが知っている大好きな多くのブランドのダイヤルも作っています)。しかし、ル・ブラッシュにあるオーデマ ピゲの工場には、いくつかのパンタグラフがあり、必要に応じてサービスダイヤルを製造しています。 例えば、下写真の上のものは、オーデマ ピゲのル・ブラッシュ工場で作られたもので、2枚目の写真のものはスターン社のものです。 違いが分かりますか?

 何百年もの歴史をもつこの機械でダイヤルを削った後、塗装と仕上げが施され、最終的にロイヤル オークのケースに納められるのです。想像しただけでカッコいい!