ADVERTISEMENT
環境配慮を標榜する時計ブランドは年々増加傾向にあり、パネライはそのなかでもパイオニア的立ち位置にある。同社はLaboratorio di Ideeという研究施設を所有しており、LAB-ID銘が与えられたルミノール カーボテックは50年間の動作保証が付いたオイルフリー・ムーブメントを搭載し、外装にも最新のカーボテックを採用するなどして話題を集めた。もともとはこうした先進素材や技術の開発を主な役割としていたが、今年にはeLAB-IDという時計全体の98.6%がリサイクル素材で形成された、エコチタンケースのサブマーシブルを発表するなど、近年はサステナブルな方向に舵を切っているように見える。
そして、同じく2021年のWatches & Wondersで発表された新作がルミノール マリーナ eSteelである。この時計は重量比で58.4%のパーツにリサイクル由来の素材を用いたとされており、サステナブル・ウォッチとしては大本命的な1本だ。特にケースと文字盤にはリサイクルベースの新合金eSteelが使われており、こうした例は業界全体でも少なく、ムーブメントと並んで重要なパーツ(見栄えという意味では最も大切かもしれない)に環境配慮がなされていることはとても意義あることだと思う。ただし、その素材が高級時計として成立しているかどうかということは、ウォッチラバーには同じくらい関心のあることだ。今回は、パネライのアンバサダーでもあり、パネリスティとして旅の相棒として愛用する、ジェレミー・ジャウンシー氏へのインタビューをとおして、パネライの新たな魅力を一考したい。
ジェレミー・ジャウンシー氏。旅行コンサル会社であるBeautiful Destinationsの創設者で、WWF(世界自然保護基金)のアンバサダーを務める。Instagramでは多数のフォロワーを抱えるインフルエンサーとしても活躍。腕元には愛用のルミノール 8デイズ GMT(PAM00233)が。
パネライとはどのようにして出会いましたか?
最初に知ったのは20代前半のころです。私のビジネスパートナーのひとりが、父親から譲り受けたパネライを見せてくれたのが出会いでした。以来、パネライの時計を所有することを熱望していて、実際に手に入れてからは多くのパネリスティの方々とつながることができました。
あなたは旅をライフワークとしていますが、旅行中にする時計の重要性について教えて下さい。
私は最大の情熱を旅に注いでいます。旅行と観光は世界の善の力だと感じるからです。そうして訪れた場所では多くの人とつながることができるものですが、私にとってはパネライを腕にしていることで、他のパネライファンやオーナーたちとの接点を作る最善の方法となるわけです。目的地に着いて自分のパネライを現地時間に合わせることは、最初に行うルーティンになっています。この時計は丈夫でとても見やすいため、旅先の環境にもよくなじんでくれますよ。
パネライはここ数年、サステナビリティへ大きなウェイトを置いています。そんなブランドとのパートナーシップをどのように感じていますか?
旅の相棒としてもそうですが、家族のように思っているブランドなのでとてもエキサイティングに感じていますし、一緒に活動できてとても幸せです。僕らのパートナーシップでは、なぜ環境に配慮すべきなのかを人々に示すような刺激的で感動的なストーリーがお届けできると思います。パネライのようなブランドの力があれば、文化に影響を与えること、人々に影響を与えるような持続可能な素晴らしいストーリーを語ること、そしてそのような商品を作りキャンペーンを展開することなど、多くの役割を果たせるはずです。
環境配慮ということについて、知っておくべきことは何でしょうか?
私が身を置く旅行業界では、世界の温室効果ガスの5〜8%を排出している状況があります。今日、あなたは自分の旅行によるカーボンフットプリントを計算して知ることが可能になっています。ということは、それを減らすための何かをできるということを意味するのです。持続可能な旅行についての意識を高めてもらうことで、その方法に則った新しい経験を積むべき段階にあると考えています。
一方で、日常生活においては3つの柱があります。1つめは移動手段について。現在では電気自動車もあれば、飛行機の代わりに電車で遠くまで行くことが可能です。2つめは、商品やサービスの消費について理解するということ。例えば今日きている服はどこでどのように作られていますか? テクノロジーのアップデート、つまりスマートフォンを半年ごとに新機種に変えたりしていないでしょうか? 最後に、自分の二酸化炭素排出量を測定して、削減するための行動をとるということがあります。
インタビューのなかでラグジュアリービジネスが環境配慮に果たす役割について聞かれたジェレミー氏は、「大きなチャンスがあると思います」と断言した。これには僕もまったく同感で、むしろこの産業が率先して果たすべきものだと思う。日本ではサステナブルにおいても、リサイクル素材というと安価なものであったりセカンドハンド的イメージが根強い気がする。しかし、このルミノール マリーナ eSteelのように、通常のスティールと遜色ないクオリティをリサイクル素材で実現するには従来以上のコスト、研究開発が必要となって当然。高級時計において、そこにまつわるストーリーをいかに発見し、語っていくかはますますその必要性が問われてくると思う。サステナブルは地球環境にとって重要なテーマであるのはもちろんのこと、ジェレミー氏が旅行において提案していることと同じく、既存の時計(もちろんそれ以外も)産業を構築している仕組みのリプレイスを行うための、ビジネスにおける重要事項でもあるのだ。
話題の記事
WATCH OF THE WEEK アシンメトリーのよさを教えてくれた素晴らしきドイツ時計
Bring a Loupe RAFの由来を持つロレックス エクスプローラー、スクロールラグのパテック カラトラバ、そして“ジーザー”なオーデマ ピゲなど
Four + One 俳優である作家であり、コメディアンでもあるランドール・パーク氏は70年代の時計を愛している