Photos by Mark Kauzlarich
この仕事の楽しみの大半は、Watches & Wondersのような展示会を前にしたときの高揚感にある。我々はどんな時計が出るかを予想し、期待することが何よりも好きなのだ。そして、我々は……、私は実際に予測した。展示会の前にHODINKEEによる予測記事を読んでもらえれば、ジュビリーブレスレットを装着した金無垢のGMTマスターIIのイメージをご覧いただけると思う。日本時間の午前8時30分まで、この時計は実際には存在しなかったのだが、今では実在する。私がPhotoshopを触ったわけではないが、(もしかしたら今回限りかもしれないが)ほぼ正解に近いものが得られたというのはやはりうれしいものだ。
そして正直なところ、YG無垢のGMTやロレゾール(SSとYGのツートーン)のGMTは、必ずしも驚くようなものではない。むしろコレクションにあって当然の時計であり、ロレックスがすでにリリースしているとばかり思われていたのだ。だが、実際はそうではなかった。過去数年間、GMTモデルに貴金属を求めるときにはエバーローズゴールドが選ばれていた。
しかし、過去の金無垢GMT(金無垢またはツートーン)はオイスターブレスレットしか装着できなかった。つまり、今日のこの新作についてはこういう話なのだ。 ロレックスはついにジュビリーブレスレットの貴金属製GMTを作り、しかもそれがとびきりイケていた。オンラインで発表を見たときにもこれはアツいと思ったが、今日の午後に実際に手に取ってみると、まさに手は燃えるようだった。
私がこのモデルを気に入っている理由は、まさにYGのロレックスGMTマスターに期待されるものを満たしているからだ。グリーンのアクセントを多用したり、異なる2色をベゼル上で組み合わせたりと、デザインを過剰にするのは簡単だっただろう。しかし、デザイナーはあえてシンプルに徹することで、ラインナップにハンサムなアイテムを加えたのだ。
この時計の要約としては、YG素材と黒とグレーのバイカラーベゼル(これはロレックスのベゼルインサートとして、初めてグレーを使用したものだ)モデルである、といったところだろうか。いちばんの驚きは、このベゼルは特定の照明条件下ではわからないほどのバイカラーだということだ。私は、オールブラックのベゼルのほうが好みだったが、このリリースには少しも不満はない。
金無垢のバリエーションでは重厚感が感じられ、ツートーンモデルでは心地よい軽さと優れた着用感を楽しめるが、これは単にオールゴールドの重さに起因するものかもしれない。同タイミングで発表された絵文字のデイデイトのような華やかさはないが、どちらのバージョンもパーフェクトなまでのシンプルさでそれを補っている。
自分の好みはオールゴールドだと思うたびに、テーブルの反対側に置いてあるツートーンモデルが視界に入り、2度、3度と見比べてしまっている。ツートーンが195万8000円、オールゴールドが462万6600円(ともに税込)と値段には大きな差があるのだ。どうか甘い誘惑をしないで欲しい。