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Introducing アメリカの独立系ウォッチメーカー、ジョシュ・シャピロ氏が、コレクター心をくすぐるアメリカンメイドの限定モデルを発表

シャピロ氏によると、スイス以外の国でタンタルが時計のケースに使われるのは初めてとのことだ。

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我々が知っていること

伝統的で堅苦しい時計製造の世界で、真にユニークなアイデアを出すのは容易ではないが、狭い世界で革新を起こすのはジョシュ・シャピロ(Josh Shapiro)氏にお任せしよう。ロサンゼルスの高校教師から時計職人に転身したシャピロ氏は、2019年に発表したインフィニティシリーズで、“インフィニティ・ウェーブ(infinity weave)”と呼ばれるまったく新しい旋盤彫りの文字盤パターンを時計界に紹介した。このコンセプトは、自然界に存在するフラクタル・パターンに基づいており、本質的にはバスケットのなかの目地のように、絶対的な美しさを持っている。シャピロ氏の時計を見るたびに、スイスの人気独立系時計メーカーに対抗できるアメリカの時計があることを誇りに思う。シャピロ氏が旋盤彫り文字盤の匠になるまでの道のりについては、2019年にニューヨーク時計協会で行われた彼の講演が参考になるだろう。

watch blue dial
watch black dial
watch blued hands silver dial

 シャピロ氏は旋盤加工の仕事を通じて、時計製造に使われる一般的な金属が何世紀も前から変わらないローズエンジン旋盤(複雑なカム仕掛けで幾何学模様を彫ることのできる旋盤)でどのように加工されるかを深く理解した。彼は、医療機器の世界で一般的に使用されている金属であるタンタルを使用することで、その常識を革新する機会があると考えた。タンタルは高価で美しく、希少な元素金属(第5族、原子番号73)だ。扱うのは非常に難しいが、それこそがシャピロ氏にとっての魅力になった。プレスリリースでシャピロ氏は次のように述べている。「タンタルは目立たない金属です。今、ホワイトメタルが人気ですが、それは他の金属に比べて派手ではないからです。タンタルもまた、青みがかったダークグレーという独特の美しい色をしています」

 シャピロ氏はこの素材を熟知しており、タンタル製のケースやチャプターリングを完全に自社で製造している。膨大なコストと希少性に加えて、時計製造でこの金属があまり使用されていないのには理由がある。彼は次のように説明する。「タンタルは非常に粘性がありながら、18Kゴールドのように硬くて密度が高いという不思議な性質を持っています。つまり、プラチナに似ていますが、もっと扱いづらいのです。タンタルを使うブランドはほとんどありません。なぜなら、加工がとても難しいからです。なんとか扱えるようになるまでには多くの無駄が生じますし、タンタルはすぐに工具をダメにしてしまいます」

tantalum case

 言い換えれば、シャピロ氏がタンタルを使うのは、自分の技術にこだわり、挑戦するために必要なものを備えていると知っているからだ。彼はこの素材を使いこなすことに成功し、ついに市場に出せるまでになった。インフィニティ タンタル 限定モデル(Infinity Tantalum Limited Edition)には、みっつのバリエーションがある。ひとつは、未処理のパラジウム文字盤にタンタル製チャプターリング、ブルーエナメルインク、ブルースティール針を備えたもの。次は、ブラックルテニウム文字盤にタンタル製アワーチャプターリング、ローズゴールドの針とセコンドリング、数字を備えたもの。そしてみっつめは、ネイビーブルー文字盤にタンタル製チャプターリング、ブルーエナメルインク、スティール製ポリッシュ針だ。合計で26本の時計が生産される。

我々が思うこと

 私は時計について考えるとき、結論を出す前にHODINKEE社内の時計デザイナーに感想を聞くことにしている。そのなかで次のような意見があった。「時計業界のハイメゾンは、マイクロソフトの ワードに入っているようなフォントを使わないで欲しい」。普段は何とも思わないことでも、一度頭のなかに入ってしまうと見過ごせなくなってしまう。高級時計メーカーが独自のフォントを作らない理由はない。既製のものを使うのは怠慢だが、彼らはしばしばそうする。しかし、ジョシュ・シャピロ氏は違う。それが独立系のウォッチメイキングの魅力だ。文字盤に自分の名前を入れることが多いのは、それだけ細部にまで目を通しているということだ。こだわるなら、とことんやってみようということなのだ。

 シャピロ氏のインフィニティ タンタル 限定モデルは、このような配慮を示している。この時計にはカスタムフォントが使用されている。それだけでなく、チャプターリングにはタンタルが使われている。シャピロ氏によると、ケースにタンタルが使われたのはスイス以外では初めてで、ケース以外の部分に使われたのは今回が初めてだそうだ。文字盤にはパラジウム(現在はゴールドよりも高価)が使用されており、シャピロ氏が得意とするギヨシェ模様が表現されている。この時計は素材の限界に挑戦したものであり、そこに大きな価値があるが、彼はムーブメントも見落としてはいない。

wrist shot of Shapiro's newest watch

 内部には、加工されたUWDキャリバー33.1が搭載されている。スイス製キャリバーの陰に隠れがちだが、ドイツ製のCal.33は、見た目の美しさに加え、頑丈さも兼ね備えている。シャピロ氏はこのムーブメントに装飾を施し、さらに手で面取りしたゴールドのシリアルプレートを付けて、インディーズ的タッチを加えた。

 Cal.33.1は、この時計のハイライトではない。タンタルを使ったシャピロ氏の試みがセンスのよさと新しさを兼ね備えた時計を生み出したのだ。素材の革新性に知的レベルで引かれるかどうかは別として、この時計が魅力的であることは明らかだ。(シャピロ氏が手を加えた)ムーブメントを除けば、この時計はすべてアメリカ国内で製造されている。

 インフィニティ タンタル 限定モデルは、古典的な時計製造にしっかり根差してつくられたという概念を示している。文字盤に施された豪華なギヨシェ模様がそれを証明しているが、一方で未来を見据え、珍しい素材を使用して革新をもたらすこともできている。これこそが、シャピロ氏が自信を持って提供する、独立系時計製造における巧みな二面性なのだ。

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wrist shot of tantalum LE
close-up of the subdial

基本情報

ブランド: J.N. Shapiro
モデル名: インフィニティ タンタル 限定モデル(Infinity Tantalum Limited Edition)
直径: 39mm
ケース素材: タンタル製ケース
文字盤色: 未処理のパラジウムダイヤル、ブラックルテニウムダイヤル、ネイビーブルーダイヤル
インデックス: エナメルインクで塗られたアラビア数字
夜光: なし
防水性能: 30m
ストラップ/ブレスレット: アリゲーターストラップ

view of the open caseback

ムーブメント情報

キャリバー: UWDキャリバー 33.1
機能: 時、分、秒
直径: 33mm
パワーリザーブ: 53時間
巻き上げ方式: 手巻き
振動数: 2万1600振動/時(3Hz)
石数: 19


価格 & 発売時期

価格: $33,000(約373万円)
発売時期: J.N.SHAPIROより発売中。
限定: あり。カラー構成の違う3モデルを合計で26本製造予定。

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ジョシュ・シャピロ氏は、ロサンゼルスを拠点とする独立系ウォッチメーカー。旋盤で製作する文字盤で知られている。彼の作品についてはこちらをご覧ください。