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Photos by Mark Kauzlarich
多くの時計愛好家がそうであるように、私も数多くのG-SHOCKを所有している。そのなかにはHODINKEEによるすべてのリリースも始め、私が同社に入社する以前に購入したものも含まれている。ざっと見積もって、11本か12本というところだろうか。正直、何本あるか分からない。タンスの引き出しにしまい込んで、いつの間にか増えていることが多い。私のウィッシュリストも、同じくらいには長い。毎年、無限とも思える数の型数が発表され、それぞれがまったく違うので、私のブランド別ウィッシュリストのトップが別のG-SHOCKに取って代わられることもしばしばだ。
比較的手ごろな値段で“新しい時計”を手に入れたいと思ったとき、私はG-SHOCKのリストに目をとおし、ひとつひとつを消していく。言い訳をするつもりはない。しかし、今年の初めにG-SHOCKがGM-B2100AD-2AJFとGMW-B5000D-2JFという2本の新しいフルメタルモデルを発表したとき、G-SHOCKコレクションにもうひとつG-SHOCKを加える時が来たと感じた。
今、フルメタルのG-SHOCKが欲しくてたまらない。ここ1年ほど、しばらく前に買い逃したGMW-B5000TCF-2JR(ブルーとグレーの迷彩チタン)をeBayで探していた。この時計は、GMW-B5000TVB-1JR(コッパーとブラックの迷彩)とGMW-B5000TCC-1JR(回路基板パターン、正確にはサーキットボード柄)と並んで、本当にクールな時計のトリオのひとつだった。しかし、それぞれ20万円前後と、私が“新しい時計を買う”ために使う数百ドルよりもはるかに“本格的な腕時計代”の領域に入り込んでいた。今に至るまで、私は10万円前後もするマッドマスターという選択肢を避けてきた。しかしそれは多くのバリエーションのうち、どれがいいか決められなかったからでもある。それもむべなるかな。マッドマスターは本格的なスペックの時計だからだ。しかしスティール製の新しいGM-B2100AD-2AJRとGMW-B5000D-2JRの価格は8万8000円(税込)と8万4700円(税込)で、私が精神的に正当化できるG-SHOCKのプレミアム価格のちょうど頂点にあると感じた。問題は、どちらが優れているかということだった。
私の記憶では、私はG-SHOCKの長年のファンであり、GA-2100を初めて“カシオークと呼んだ人間”だった。変な話だが、それ以前にG-SHOCKという時計を所有していた記憶がない。GA-2100はそれ自体がアイコンとなり、そのValue Propositionの地位やデザインの素晴らしさについて、次から次へとストーリーが生まれた。私が2020年にHODINKEE Shopでフリーカメラマンとして稼いだ99ドルの資金で初めて買った時計でもある。多くの人がこの時計をメタルケースとブレスレットに改造したが、2022年にGM-B2100が登場し、どうやら彼らが望んでいたものを手に入れたようだ。私も欲しかったが、少しだけ納得がいかなかった。
GM-B2100は確かにクールだった。しかしちょっと奇妙に見えた。ケースは信じられないほど高度に磨き上げられ、プラスチックに樹脂のように加工した金属をコーティングした時計のように見えた。安っぽく見えるのではないかと心配になった。
新しいGM-B2100AD-2AJF(基本的には変わらないが、文字盤が大胆なブルーになっている)を箱から取り出したとき、縦49.8×横44.4×厚さ12.8mmのSS製ケースとブレスレットの重さに驚いた。事前にスペックを確認していたら、手首に装着したブルーメタルの“GM-B2100”の165gという重量に対して、心の準備ができていたかもしれない。オーデマ・ピゲのRef.16202(少なくともプラチナ製で約250g)より軽いとはいえ、このSS製のGM-B2100がブラックベイ フィフティ-エイト(145g)よりも重いのには面食らった。新しい素材であっても、この時計はG-SHOCKに期待される耐衝撃性、タフソーラーによる充電、200m防水、そして節電のためにニュートラルポジションにセットされ、暗闇から取り出すと正しい時刻に“巻き上がる”アナログ時・分針を備えている。
今、私の隣のテーブルの上に置いてあるそれを見て、もう1度手に取ったとしてそれほどしっかりとした時計に感じられるかと聞かれると分からない。私にとっては、そこが逆に魅力なのだ。超軽量素材について私が何を理解しているかにかかわらず、私の脳の一部は重厚さを品質およびプレミアム価格と同一視せずにはいられないのだ。手に取ってみると、1万5950円(税込)の樹脂製のGA-2100から8万8000円(税込)のメタル製にステップアップすることは、非常に理にかなったことだと分かる。
しかし近寄って見てみると、その高級感は少し薄れてしまう。ブルーの文字盤は目を引くが、今にして思えば、ロイヤル オーク “ジャンボ”を思わせるスティールとブルーの組み合わせに引かれてしまった私には、少しばかり鼻についてしまうかもしれない。確かにこれはオーデマ ピゲのコピーやオマージュを狙ったものではないが、ポリッシュ仕上げのケースだけでも十分に派手で、私が着用したときに時計界隈以外の友人からいくつか指摘を受けたし、ブルーの文字盤もそれほど目立ちはしなかった。「それって、ほかの時計みたいに見えるってこと?」。そうかもしれないし、違うかもしれない。しかし、どうやら一部の人々から見るとちょっとやりすぎに感じるようだ。
価格面での上昇は見た目だけでなく、アップグレードされたこの時計にはいくつかの機能も追加されている。GA-2100とは異なり、カシオのアプリとBluetooth接続することで、自動時刻修正、簡単な時計設定、約300の世界時間都市からの選択、時刻と場所の設定、より便利なリマインダーの設定、さらにはスマートフォンの追跡機能まで利用できる。私はさっそくボタンを押すたびに鳴るピピッという音をオフにする機能を使っている。どのモードに設定されているかは、9時位置の小さなパワーリザーブ風インジケーターで確認でき、ワールドタイム表示、アラーム、100分の1秒ストップウォッチなどのデジタル表示も備えている。しかしディスプレイはかなり小さく、これまで私はGA-2100を主に時間表示のためだけに使い、ほかのデジタルに関連する機能はすべて埃をかぶったままにしてきた。
次にブレスレットについてだ。読みやすさを考慮し、GM-B2100AD-2AJFとGMW-B5000D-2JF両方のフルメタルブレスレットについての私の考えをひとつの項目にまとめようと思う。というのも、実際に違いがあるのかどうかが分からないからだ。ブレスレットの上部と側面の主表面はわずかにサテン仕上げが施され、ベゼルと調和すると同時に、時計のファセットに見られる鏡面とは対照的なコントラストをなしている。サテンブラッシングは非常に繊細で、ブレスレットに施されたディンプル部のミラーポリッシュによって強調されている。
表向きはラグ穴の代わりにあるネジでブレスレットを時計から外すことができるが、その次に何するべきかは分からない。G-SHOCKを改造している人はたくさんのアイデアを持っていると思うが、私はブレスレットがケースとうまく一体化し、接続部を軽く押すだけで調整できることに満足した。リンクの両側にあるバネ棒型のピンを同時に押すだけで、簡単にリンクが外れる。私の7.25インチ(約18.4mm)の手首に合わせるために、4つのリンクを無理なく外すことができるほど、この時計には十分なリンクが付属していた。
GM-B2100AD-2AJFが私の目に少し平凡に映った最後の点は、デュアルLEDライトの存在だった。これはオリジナルのGA-2100に搭載された照明機能と同じものだが、あの照明がどれほど期待外れだったかを今の今まで忘れていた。文字盤とデジタル表示の両方を明るく照らすが、従来のG-SHOCKのバックライト表示と比べると見劣りする。もう一方の時計にもう1点加点したことで、(正式なレビューに入る前に)この戦いにおける私の方向性が見えてきただろう。
先に紹介した時計が他ブランドの別モデルに少し似ていたところで、GMW-B5000D-2JFが“クラシック”なG-SHOCK 以外の何ものでもないことに異論はないだろう。初代G-SHOCKであるDW-5000Cのデザインを踏襲しているが、今作ではケースとバンドの樹脂をスティールに置き換えている。このクラシックなスタイリングに引かれて、過去にフルメタルのモデルをいくつか検討したことがある。マッドマスターのような時計も好きだが、これはG-SHOCKのもっとも純粋な姿だ。
サイズは縦49.3×横43.2×厚さ13mmとほぼ同じだ。ふたつの時計のケースバックを並べて見ると、もはや見分けがつかないだろう(下の画像を参照して欲しい)。ソーラー充電や多くの計時機能など、ほかの多くのスペックに変更はない(詳しくは記事の下部を確認してくれ)。デジタル表示が大きくなったことで、日付を確認したり、アラームをセットしたり、ストップウォッチを使ったりする機会が増えた。“GA-2100”では無視していた機能だ。
さらに、GMW-B5000D-2JFにはマルチバンド6の電波受信機能も搭載されている。G-SHOCKでは珍しくない機能だが、まだ知らない人にとっては魅力的なものだろう。時計に内蔵された耐衝撃性を備えた小さなアンテナは、電波と同期して(窓の近くであれば屋内でも)時刻修正をおこなってくれる。アメリカでは、コロラド州フォート・コリンズのWWVBがその電波を発信している。地域については、G-SHOCKのウェブサイトで確認可能だ。まあしかし、さまざまな意味で、このふたつのどちらを選ぶかは個人の好みによるだろう。
文字盤のアイコニックなレンガ模様(ブルーのアクセントが入っている)と、より高級感のあるバックライト付きディスプレイを見れば、GMW-B5000D-2JFが私にとってよりよい選択肢であることに疑いの余地はない。残念ながら私には無制限の予算があるわけではないので、時計の買い物に関しては、いくつかのルールやガイドラインを自分に課している。自分のコレクションのギャップを埋めてくれそうなものを吟味するだけでなく、そのブランドがもっとも象徴するものは何かということもよく考えるようにしている。41mm径のケースを買うくらいなら、ロイヤル オーク “ジャンボ”を買うのを我慢するのと同じだ。“GA-2100”のデザインはG-SHOCKのなかでも斬新で、2本の針がメカニカルな雰囲気を醸し出している。しかし、GMW-B5000D-2JRのほうがG-SHOCKらしさを感じる。鏡面仕上げのスチールケースは大胆すぎるというなら、PVD加工を施したGMW-B5000BPC-1JFもある。
どちらの時計が勝つのか? 今にして思えば、私はすべての選択肢を十分注意深く見ていなかったような気がする。なぜなら、もしかしたらメタル製の“カシオーク”が私にふさわしい世界線もあっただろうからだ。GM-B2100PC-1AJFやGM-B2100BPC-1AJF、あるいは“フルメタルポリクロマティック”は、この時計が少し“鼻につく”という私の不満を解決してくれる可能性がある。それぞれの時計には異なる文字盤カラーとケースのコーティングが施され、オーデマ ピゲが見せる美学に偏ることなく、ブランドの製品にちょっとしたバラエティを加えている。しかし正確には、私の資金を多く割いたG-SHOCKの勝ちである。この記事を書き終わるまでに、GMW-B5000TCF-2JRとGW-5000U-1JFの“スクリューバック式オリジン”を注文し、さらに私がレビューしたふたつのモデルをオーダーした。私のG-SHOCKが不可解なほど増殖すると言ったのはご存じだろうか? 結局のところ、私にもその一端があるのかもしれないと思い始めている。
G-SHOCK GM-B2100AD-2AJF。縦49.8×横44.4×厚さ12.8mmのSSケース、200m防水、スクリューバック。Bluetooth対応でスマートフォンとの同期が可能。アナログ表示による時・分にデジタル表示、高輝度ダブルLEDライト、ワールドタイム(38タイムゾーン)、1/100秒ストップウォッチ、カウントダウンタイマー、時刻アラーム、曜日・日付フルオートカレンダー(2099年まで)、針退避機能、12/24時間表示切替機能、6カ国語表示。クォーツ式のソーラームーブメント、ソーラー充電で7カ月(充電後、光にさらさずに通常使用した場合の駆動期間)、パワーセーブモードで18カ月。ステンレススティール製ブレスレット、3つ折りクラスプ付。価格:8万8000円(税込)
G-SHOCK GMW-B5000D-2JF。縦49.3×横43.2×厚さ13mmのSSケース、200m防水、スクリューバック。Bluetooth 対応でスマートフォンとの同期が可能。電波修正機能付き(マルチバンド6)。フルオートLEDバックライト付きデジタル表示(スーパーイルミネーター)、39都市から選べる5本のワールドタイム、1/100秒ストップウォッチ、カウントダウンタイマー、5本の時刻アラーム、曜日・日付フルオートカレンダー(2099年まで)、12/24時間表示切替機能、6カ国語表示。クォーツ式のソーラームーブメント、ソーラー充電で10カ月(充電後、光にさらさずに通常使用した場合の駆動期間)、パワーセーブモードで22カ月。ステンレススティール製ブレスレット、3つ折りクラスプ付。価格:8万4700円(税込)
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