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ときどき、私たちはプレスリリースを通じて初めて目にする時計があるが、多くの場合は皆さんと同じようにソーシャルメディアでそれを見る。タイメックスの新しいジェームスブランド(The James Brand)とのコラボレーションもそうだった。事前の通知はなかったが、そのデザイン、機能性、そして手ごろな価格に目を奪われた。幸運なことに、私の世界では記事にそれ以上の理由は必要ない。
ジェームスブランドはこれまで関心の範囲外にあった。新しいアクセサリーの趣味に簡単に引き込まれるタイプとしては、幸運にも“Everyday Carry(EDC、日常的に持ち歩く小物や道具に熱中すること)”を回避してきた。2012年にオレゴン州ポートランドで設立されたこの会社を調べてみると、彼らのナイフやその他のアイテムには、今回のタイメックスにも反映されたよく考えぬかれた控えめなデザインが見られる。ナイフやマネークリップ、ペンなど、彼らの製品を深く掘り下げすぎて商品を買いたくなる衝動に駆られず、話題に集中しなければならない。今はただ、時計のためにここにいる。幸いにもこの時計はそれだけで十分に際立っている。
チタンは徐々に手ごろな価格の時計の素材として選ばれるようになった。かつては高級素材とされていたが、今では以前よりも身近になっている。長いあいだ、チタン製の時計にはあまり引かれなかったし、今でもスティールの重厚感を好んでいる。ただし多くの要件を満たしながら、つけやすくて耐久性のある時計をデザインする場合、チタンは理にかなっている。これがタイメックスとジェームスブランドが目指したものだと思う。しかし彼らはさらに1歩進んで、非常にリーズナブルな価格でグレード5チタンを採用したのだ。
この時計のケースは41mm径×11.5mm厚で、マットグレーのチタン製ケース、20mmのラグ幅、200mの防水性能を持つ。厚くなりすぎず、非常に標準的なケースサイズで多くの人々に受け入れられやすい。確かにチタンは少し軽量な素材だが、この時計の重さは120gで、私の持っているシチズン プロマスター スーパー チタニウム ダイバーズ(111g)ほど軽くは感じない。だがそれは必ずしも悪いことではない。先ほど述べたように、重量はしばしば高級感と結びつくため、この時計はそのバランスをうまく保ちながら、それでもチューダーのブラックベイ 58(145g)よりも軽い。
特に印象的だったのは、チタン製ブレスレットの軽さと頑丈さだ。この価格帯(749ドル、日本円で約11万7000円)ではブレスレットの許容範囲が広く、軽いケース素材と相まって安っぽく感じることがある。しかしこちらのブレスレットは、しっかりとしたフィット感と信頼性の高いクラスプを備えながらも、手首にぴったりと沿い快適な装着感を提供していた。
確かにブレスレットのデザインは特に独創的ではないが、それに注力するのは無駄な努力だ。最初の印象では、ベル&ロスのブレスレットに似ているように見えたが、それは悪いことではない。一部の人にとっては、20mmのラグ幅からクラスプまでテーパーがかっていないことがマイナスかもしれない。ただ繰り返しになるが、私はまったく気にならなかった。
この時点で、新しいタイメックスに対して少し物足りなさを感じているように聞こえるかもしれないので、ここでリセットさせてほしい。私はこの時計を本当に大好きだ。全体像を振り返ると、この時計は私にとって“ゴルディロックス”のような理想的なバランスを保っていると感じる。チタン製の時計でありながら軽すぎず、一方で素材のよさを感じられるほどに軽量だ。サイズも大きすぎないし、このGMTは価格に対してはかなり印象的だと思う。しかし、まだこの時計のふたつの際立った特徴であるデザインとムーブメントについて触れていない。
新しいタイメックス×ジェームスブランド GMTの全体的なデザインは、またしても静かな成功を収めている。ジェームスブランドがよく使用する大胆なライムグリーンの色を、ブランド名“JAMESº”のºを模したベゼル上の夜光 ポイントなどに使用。それ以外は、時計はマットグレーのチタンケースに合ったモノクロテーマを保っている。6時位置のロゴはホワイトで表現され、ベゼルはグレーとブラックで(昼夜の時間である)6時と18時で分けられており、またダイヤルはブラックにホワイトのインデックスを組み合わせている。
いくつか調整を試みたかった(あるいは少なくともやってみた)点もあるが、749ドル(日本円で約11万7000円)で完璧な時計を期待するべきではない(それではチューダーやロレックスは商売上がったりになるだろう)。ベゼルの色の組み合わせは美しいが、実物や写真では純粋なブラックに見えることが多かった。この時計は“ペプシ”や“バットマン”としては機能しなかったかもしれないが、ベゼルの色使いが重要なのであれば、もっとコントラストを強くしてもよかったかもしれない。
同様に、ベゼル自体もGMTベゼルではなく、120クリックの逆回転防止ダイバーズベゼルである。これはコスト削減のためだと思うが、それで問題ない。一部の人たちと違い、私はGMTベゼルをあまり使わないので、代わりにGMT針と時間表示機能でタイムゾーンを管理している。幸いなことにベゼルをぶつけてしまっても(実際かなり頻繁に起こることがわかった。12時位置の円形マークが少しずれてイライラした)、それでも固定の24時間スケールが見返しリングの周りにある。インデックスと針に施されたスーパールミノバは24時間スケールを照らすには少し弱いと感じたが、秒針とGMT針に余光塗料が塗布されているので、暗闇でもGMTとして十分に使用できる。
タイメックスが採用した最大の成功は、ミヨタ 9075という“フライヤー”GMTムーブメントを搭載したことだ。私はGMTやトラベルタイムウォッチの大ファン(同僚でGMTの王様であるジェームズ・ステイシーにはおよばないが)だが、気づいたことがひとつある。GMT針を独立して設定する“コーラー”GMT、つまり時間を調整する際にGMT針を設定する必要があるものは、私のコレクションに長く残ることが少ないのだ。
私の普段使いの時計はロレックス GMTマスター IIであり、ほかの時計を比較する際には常にそれを基準にしている。いくつかの点で、このタイメックスの時計はロレックスを上回る。わずかに薄く、価格が10分の1以下でありながら、素材の面ではより“プレミアム”だと感じる人もいるかもしれない。GMTムーブメントを搭載し、ロレックスと同様にリューズを1段引き出して時針を前後に設定することで新しいタイムゾーンに対応しつつ、GMT針でホームタイムを追跡できる。確かにケースと同様に、ムーブメントの仕上げはロレックスやチューダー、さらにはロンジンのスピリット Zulu Timeほどの高級感はない。パワーリザーブは約40時間であり、精度は日差-10~+30秒だ。しかし、この価格なら文句はない。
ブレスレットにはクイックリリース機能が付いており、さらにはピンバックルタイプのラバーストラップも付属。タイメックス×ジェームスブランド GMTには多くの魅力がある。ただ残念なことにこのモデルは限定版で、1000本だけに個別のシリアルナンバーが入っている(これもプレミアム感を与える要素のひとつだ)。もし私のように頻繁に旅行し、シンプルで手ごろな価格かつ信頼性のある時計を求めるのなら、この時計をすぐに手に入れるべきだと思う。私のコレクションのなかでもきっと頻繁に出番があることだろう。私が出合ったなかで最高の1000ドル以下の(もしかしたら2500ドル以下かもしれない)GMTだと言っても過言ではない。
タイメックス×ジェームス・ブランド GMT。Ref.TWG065500。直径41mm、厚さ11.5mmのグレード5チタンマットケース、ラグ幅20mm、200m防水。ブラック文字盤にプリントと植字のインデックス、インデックスと針にスーパールミノバ。時・分・センターセコンド、“フライヤー”または“トゥルー”GMT。120クリックの逆回転防止GMTベゼル。約40時間パワーリザーブを備えた“トゥルー”GMTのMiyota 9075自動巻きムーブメント。バタフライクラスプ付きクイックリリースチタンブレスレット、ピンバックル付きラバーストラップ付属。世界限定1000本(シリアルナンバー入り)。749ドル(日本円で約11万7000円)
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