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How To Wear It 密かにスタイリッシュなタイメックスのイージーリーダー

派手さはない。だが、あなたのスタイルを格上げしてくれるうえに、長く愛用できるものが65ドル程度で手に入る。

Photos courtesy of Mashburn

本稿は2022年1月に執筆された本国版の翻訳です。

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以前にも告白したことがあるが、HODINKEE読者ならご存じのとおり私は時計の専門家ではない。私の趣向は私自身のものであり、何を“よし”とするかという時計界の大局的な意見に左右されることはない。だから、ロレックスのエクスプローラー Ref.1016にオメガのシーマスター、ホイヤーのオータヴィア、1960年代製のゼニス Cal.126をローテーションで使っている。しかし、そのいずれも私のなかで不動のNo.1に君臨する時計ではない。

 その栄誉に輝くのは……、タイメックスだ。

 目を丸くする人もいるかもしれないが、最後までお付き合い願いたい。
 
 私が初めてタイメックスを手にしたのは10歳のころだった。時計を持つにはまだまだ若かったが、父がクロックを収集していたので、私は時計に関してはちょっとだけ最先端を行っていた。1960年代から70年代にかけての多くの子供たちがそうであったように、私がタイメックスに抱いていたイメージは不思議なところから生まれていた。そう、テレビだ。

A person wearing a Timex Easy Reader and houndstooth blazer

 タイメックスのコマーシャルは新たな冒険の始まりのように見えた。伝説的なニュースキャスター、ジョン・キャメロン・スウェイジ(John Cameron Swayze)がブランドの象徴となり、広告ではタイメックスの親会社(U.S.Time)がいかにミサイルや政府の生産設備用の機械部品を製造しているかを語っていた。つまり……、手首にそんなテクノロジーを身につけたいと思わない人がいるだろうか、ということだ。

 タイメックスには、ジャックハンマー、高飛び込み選手、水上スキーヤー、さらには動物に至るまで、さまざまな過酷な職業に就いている人々が腕時計を実際に使用する“拷問テスト”を紹介するテレビキャンペーンもあった。タイメックスを買うという行為は、“ねえ、僕のリトルリーグの試合はまだ?”なんてことを気にするよりも、もっと大事な何かを意味していたのだ。

 そして彼らのキャッチフレーズは伝説的だった。「衝撃を受けても、時を刻み続ける」。自分もそういう時計が欲しいと思ったのを覚えている……、殴られても、へこたれない男になりたかったからだ! 今でもそう思っている。

 その時計の品質は、マーケティング担当者の理想を現実のものとした(ラス・アルバンは、このフレーズで広く知られるオグルヴィ・アンド・メイザー社の重役である)。良心的な価格を維持しつつ正確な時間を刻むという、期待されたとおりの働きをしたのだ。

A collection of Timex Easy Readers on a watch roll up

 1960年代に製造された同社の時計の内部構造とムーブメントを見ると、実に質実剛健なマシンであることがわかる。無骨でシンプル、ほとんど軍用とも言えるデザインで宝石や仕上げの類は一切ない。そのため耐久性に優れ、(もちろん)メンテナンスも簡単だった。

 タイメックスは、過去に類を見ない時計だった。タイメックスにはもともといくつかのデザインがあったが、その数はあまり多くはなく、あらゆるところからヒントを得ていた。ゼニスのようなタイメックスもあれば、ロレックスのようなタイメックスもあった。また手巻き、自動巻き、クォーツなど、さまざまな種類の時計があった。考えてみれば、当時におけるスウォッチのようなものだったかもしれない。楽しく、遊び心にあふれ、自由奔放とまではいかないが……、当時、時計は計時に対してもう少しシリアスだった。しかしスウォッチ同様、タイメックスも安くて陽気で、専門的な時計に比べればそれほどデリケートではなかった。

A Timex taken apart

 もうひとつクールだったのは、タイメックスがどこにでも売っていたことだ。伝統的な宝飾店以外の小売店でもタイメックスが売られていたので、レクソールドラッグ(レクソールは何でも扱っている!)でも大きなデパートでも、そのあいだにあるどんな店でもタイメックスを見つけることができた。一時は、売れた時計の3本に1本はタイメックスだったという。このエピソードは、タイメックスの質と信頼性、そして流通の力を物語っている。

 私は若い頃からずっとタイメックスを身につけていた。90年代には、インディゴのアイアンマンを持っていた。もちろん私はマーベルのヒーローではないが、アイアンマンの時計を持つのは好きだった。あらゆるものごとの時間が計れたのだ! 水中でどれだけ息を止められるか、コーヒーを淹れるのに何分かかるか、私の子供が冷蔵庫からパイを取ってくるのに何分かかるか、など。

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 結局、普段使いの時計はタイメックスから乗り換えることにした(ほかのコラムを読んでいただければわかるだろう)。しかし、2007年にシド・マッシュバーンの1号店をオープンしたとき、どうしても手に入れたい時計があった。タイメックスのイージーリーダーだ。シンプルで、簡潔で、エレガント。初日から陳列ケースに並べ、14年経った今でも取り扱っている。派手さはないが、気品がある。そして何にでも似合う。何にでも合わせられる!

 その一例を挙げよう。 レザーストラップを合わせれば、ブラックタイにも合う控えめでエレガントなスタイルに仕上がる。しかし、まったく同じ時計がシンプルなセーターとジーンズにもマッチする。洗練された雰囲気が一段と高まるのだ。

 あるいは逆に、イージーリーダーにもっとカジュアルなNATOストラップをつけてみよう。セーターとジーンズにぴったり? でも、少しドレスアップしたほうが、よりクールに見えると思う。ドレッシーな服装にカジュアルウォッチという組み合わせは、それ自体がスタイルメーカーとなる。野球帽をかぶるほど極端ではなくても、時計はあなたにとってルックの一部であり、予想外の方法でそれを身につけることができるという自信を示すものなのだ。

A person wearing a Timex Easy Reader

 イージーリーダーが好きなのと同じ理由で、私はNATOが好きだ。陽気なストライプでテンションを上げたり、静かなオリーブやネイビーで雰囲気を抑えたりもできる。会話を弾ませ、笑顔を生み出すNATOの力をあなどるなかれ。

 私はまさにどんな男性にもタイメックスをおすすめしたい。一生の友だ。タイメックスは「衝撃を受けても、時を刻み(ticking)続ける」、私が子供のころは「衝撃を受けても、イカして(KICKIN)る」とよく言ったものだ。これはルイ・ラモール(Louie L’amour)の格言、「彼は自分がいつ鞭打たれたのかまったく知らなかった、だから鞭打たれることもなかった」にちなんだものだ。

シド・マッシュバーン氏はデザイナーであり、アトランタ、ワシントンD.C.、ダラス、ヒューストン、ロサンゼルスの5ヵ所に展開するメンズウェアショップの経営者でもある。オンラインはこちら。彼のコラムの全アーカイブを読むには、こちらをクリック。

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