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我々が知っていること
先週、リシャール・ミルはRM 65-01のラインナップにふたつの新色を追加した。2020年に初めて発表されたRM 65-01は、合計600の部品で構成されたブランドのなかで最も複雑な自動巻き(非限定)時計である。今回の新作は非常に鮮やかな卵黄色のようなイエローが120本のみの生産で、パステルブルーは定番コレクションとなる。ともにRM 27-02 ナダルのために初めて開発されたクオーツTPT®(シン・プライ・テクノロジー、NTPT®)製で、これは複数のクォーツファイバーの層からなる複合素材であり、高温に対する耐性、強度、電磁波に対する透明性から一般的に非常に高性能な用途に使用されている。
リシャール・ミルはモータースポーツに焦点を当て、非常に複雑なクロノグラフに長年注力してきた。手巻きのスプリットセコンドクロノグラフであるルノー・エ・パピ(Renaud & Papi)キャリバーを搭載したRM 004に始まり、これらの新しいRM 65-01はその系譜の最新作である。本機は自動巻きラトラパンテクロノグラフで、3万6000振動/時(5Hz)で動作する可変慣性モーメントを備えたハイビートムーブメント、Cal.RMAC4を搭載している。RM 65-01に使用されたRMAC4はヴォーシェ社から供給されており、もともとはパルミジャーニのCal.PF361の構造とレイアウトに基づいている。
私はあまり振動数について語るタイプではないが、このモデルを理解するためには振動数の知識を少し学んだほうがいい(事前にこの記事で知識をブラッシュアップして欲しい)。技術的に3万6000振動/時で動作するクロノグラフは、より一般的な2万8800振動/時の時計よりも機能的だ。3万6000振動/時で動作するムーブメントは物理的に毎時3万6000回テンプが振動することになる。これはダイヤル側で経過時間を10分の1秒単位で測定できることを意味する(クロノグラフの全体的な目標だ。ゼニスに聞いてみれば分かる)ため、2万8800振動/時で動作するクロノグラフの8分の1秒単位と比較して優れていることになる。
垂直クラッチとデュアル6のコラムホイールを装備し、スムーズなプッシャー操作を実現したこのクロノグラフは最大12時間の計測が可能だ(価格に見合う価値がある)。総パワーリザーブは約60時間で、可変慣性モーメントローターが着用者の活動に応じて巻き上げを最適化する。8時位置にあるボタンにはとてもリシャール・ミルらしく“RAPID WINDING”とラベルが付けられており、その名のとおり迅速な巻き上げができる。これは機能のための機能であり(あるいは別の時計ジャーナリストが巧みに言ったように、“問題を解決するための解決策”)、ボタンをたった125回押すだけで、ゼンマイを“急速充電(急速巻き上げ)”することが可能だ。リューズのファンクションセレクターにより、伝統的な巻き上げモード(W)から半瞬時日付表示(D)、時・分の表示設定(H)へと素早く切り替えることができる。
新しいRM 65-01の価格はどちらも38万ドル(日本円で約6060万円)。(繰り返しになるが)ブルーモデルはブランドの定番コレクションとして販売されるが、イエローモデルは120本の限定生産である。
我々の考え
本格的な夏が到来し、華やかな時計を愛用するエリート層、そしてファレル・ウィリアムスにとってもリシャール・ミルが手放せない季節となった(彼はRM UP 01を愛用しているようだ)。ファレルといえば昨年ジュピターが主催する“ジャストフレンズ(Just Phriends)”オークションにて、裏蓋に彼のサインが入ったカスタムカラーのRM 65-01が出品され、48万1250ドル(当時の相場で約6740万円)で落札された。このオークションはパリのコンセプトストア、コレットの元クリエイティブ・ディレクター、サラ・アンダルマンが企画した(コレットよ、安らかに)。コレットの美学とオークション全体の鮮やかで現代的な美学を考慮すると、このRMモデルの美学がより際立つ。
色彩はリシャール・ミルが最も得意とする分野のひとつである。このリリースは既存の65-01を単にカラーチェンジしたように見えるが、実際には製造の初期段階で、最終的にクオーツTPT®となる樹脂材料に色や色調を追加する必要があるというのを理解することが重要だ。色を変えるための化学物質がクォーツコンポジットのほかの材料と相反する場合、材料全体が損なわれる可能性がある。このカラーチェンジはおそらく長い研究開発過程の結果だろう。色を変えるためにこれほど手間をかけるブランドはほかにほとんどない。
高速巻き上げ機構は単にリューズを引き出して時計を巻き上げるのと比較して必須だろうか? そうではない。これらは大人のためのおもちゃだ。ダイヤル上の機能に対応する色分けされたボタンは多ければ多いほど楽しい。これらの時計は実際よりも技術的に見えるだろうか? そうかもしれない。私はマーケティングの言葉に惑わされても構わないと思うが、それは自分とは違う華やかなライフスタイルを垣間見るのが楽しいからだろうか? そのとおりである。
基本情報
ブランド: リシャール・ミル(Richard Mille)
モデル名: RM 65-01
直径: 44.5×49.94mm
厚さ: 16.1mm
ケース素材: クオーツTP® + クオーツTPT®
文字盤: スケルトン
夜光: あり
防水性能: 50 m
ストラップ/ブレスレット: ラバーストラップ
ムーブメント情報
キャリバー: RMAC4
機能: 時・分・スモールセコンド、日付表示、スプリットセコンドクロノグラフ(3時位置に30分積算計、9時位置に12時間積算計)、ファンクションセレクター、高速巻き上げ、可変慣性モーメントローター
直径: 31.78×29.98mm
厚さ: 8.69mm
パワーリザーブ: クロノグラフを作動させない場合、約60時間(±10%)
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 3万6000振動/時
石数: 51
価格 & 発売時期
価格: 38万ドル(日本円で約6060万円)
限定: イエローのみ世界限定120本
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