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我々が知っていること
今週初め、リシャール・ミルとラファエル・“ラファ”・ナダルは、14年にわたるパートナーシップを記念した、新しいモデルRM 27-05 フライングトゥールビヨンを発表した。RM 27シリーズは、リシャール・ミルのレガシーにおいて非常に重要な柱である。最初のRM 027は、テニス界の天才ラファエル・ナダルの手首を通じて2010年に発表され、ブランドを超高性能スポーツウェアの分野に進出させた。以来、このシリーズは軽量性、堅牢性、そして非現実的と思うほどの総合的な美しさを追及し、進化を続けている。
少し時系列を振り返り、このシリーズの主な機械的偉業を考えてみることにしよう。この旅は非常に軽量な目標から始まり、RM 027は20g未満で登場した。2年後には、完全に浮遊するムーブメントを備えたRM 27-01が18.83gで登場。2015年のRM 27-02では新しいケース構造が導入され、これは2017年のRM 27-03にも引き継がれた。スペイン国旗の色で装飾されたRM 27-03は、1万GSの耐衝撃性を誇っていた。そして2020年にRM 27-04が登場。テニスにインスパイアされたムーブメントデザインを備え、1万2000GSという驚異的な衝撃に耐えることができるようになった。
それでは、22度のグランドスラム優勝者のために、次なる“第2の皮膚”のような時計をどう開発するのか? 答えは、再び軽量化に焦点を当てることである。RM 27-05は80本限定で、カーボンTPT® B.4というリシャール・ミルの新素材を使用したモノブロックケースを特徴としている。この素材は当初、フォーミュラ1に使用されており、この複合材料の特定の織り方は加工時に素材の強度対重量比を最適化する。標準的なカーボンTPT®と比較して、新しい複合材料は4%密度が高く、繊維は15%硬く、樹脂は30%耐久性が向上している。これらの特性により、ケースの部品をより薄く加工することが可能となり、剛性を犠牲にすることなく全体の軽量化を実現したのだ。
RM 27-05の重量は11.5g(ストラップを除く)と、ブランドの軽量記録を更新した。非常に薄い7.2mmの厚さで、超薄型ムーブメントを収めている。RM UP-01 フェラーリの薄型キャリバーの革新性を取り入れており、ムーブメントとケースを固定するネジは一切使用されていない。全メカニズムはモノブロックケースの裏に収まり、その上に見返し、ベゼル、クリスタルが重なっている。これらがキャリバーに圧力をかけてしっかりと固定しているのだ。スケルトナイズされたムーブメントとケースの壁からは、可能な限りあらゆる単位のミリグラムやミリメートルが削ぎ落とされている。これはRM 67-02 エクストラフラットよりも0.6mm薄いが、ムーブメントは自動巻きの67-02とは異なり手巻き式だ。
RM 27-05のムーブメントには、RM 66などでおなじみの片持ち式(フライング)トゥールビヨンを搭載。ボールベアリングが装着されたベースのおかげで、トゥールビヨンは伝統的なブリッジなしでもその役割を果たすことができる。ブリッジを取り除くことで重量は減るが、これほど多くの激しい衝撃に耐えるための耐久性はどうなのか? ケーシングとキャリバーの位置は、最大限の剛性を確保するために、背面から0.05mmの位置に6つの支点を備えている。
外観的には、この時計はケーシングがやや控えめだ。ムーブメントこそがすべてのアクションの舞台である。キャリバー全体にかかるアーチ型の構造は、RM 27-02のブリッジを思い起こさせるのだが、その結果トゥールビヨンがRM 27-05のブリッジと整列したとき、まるで叉骨(さこつ)のように見えて仕方がない。
RM 27-05は超過酷なテストを経ており、RMチームはこれを“ナダル”と呼んでおり、時計は最大300GSの垂直方向および水平方向の衝撃を受ける一連のテストをパスしている。これはかなりの衝撃だ。さらに価格も驚異的で、RM 27-05の価格は115万ドル(日本円で約1億8000万円)に設定されている。
我々の考え
ここで重要なのは、誰もが手に入れられる製品を作ることではない。目指しているのは、スーパースターアスリートのために機能する、時計製作の驚異を生み出すことである。ラファはテニスコートでフライングトゥールビヨンを装着し、快適にプレーすることができるのだ。
RM 27シリーズは超軽量スポーツウォッチの頂点に君臨しており、リリースされるたびに驚くほどの軽量化がなされている。これは批判的な人々に、その魅力の理由を思い出させるようなRMの時計である。もし、スマイリーやボンボンコレクションのような時計の皮肉や遊び心が好きでなければ、RM 27-05のような最先端ウォッチの技術的なスペックに感嘆するだけでもいいのではないだろうか。
もちろん、時計製造においてリシャール・ミルは技術的にも美的にも極端な位置にある。それは万人向けのものではなく、そうなることを意図しているわけでもない。個人的には、デザイン面で少し物議を醸すようなRMが好きだ。RMの美的感覚としては、このモデルはもう少し地味なアプローチをとっており、オリジナルのRM 027より控えめなデザインを反映している(RMが手掛けるものを控えめと呼べるならばの話だが)。
おそらく、このデザインはスペックの驚異そのものに焦点を当てるための意図的な動きなのだろうか? あるいは、14年間続いたRMラファシリーズの締めくくりとしての、ブランドの采配なのかもしれない。RMはこのパートナーシップの新たなフェーズの始まりであると述べている。月曜日に行われた全仏オープンの初戦で敗退したナダルが、この夏のオリンピックで活躍することを期待している。ラファ、私たちはまだまだ君を応援している!
基本情報
ブランド: リシャール・ミル(Richard Mille)
モデル名: RM 27-05 フライング トゥールビヨン ラファエル・ナダル(RM 27-05 Flying Tourbillon Rafael Nadal)
型番: RM 27-05
直径: 37.25mm×47.25mm
厚さ: 7.2mm
ケース素材: カーボンTPT® B.4
文字盤: スケルトン
防水性能: 10m
ストラップ/ブレスレット: ブラックテキスタイル
ムーブメント情報
キャリバー: RM27-05
機能: 時・分、フライングトゥールビヨン
直径: 32.75×28.95mm
厚さ: 2.12mm
パワーリザーブ: 約55時間
巻き上げ方式: 手巻き
振動数: 2万1600振動/時
石数: 22
価格 & 発売時期
価格: 115万ドル(日本円で約1億8000万円)
限定: あり、世界限定80本
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