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夏はまだまだ勢いを増すばかりで、時計業界はこの数週間、目まぐるしい動きを見せている。2次流通市場価格は3四半期連続で上昇しており、2022年以来初めて持続的な上昇を記録した。これはパンデミック後のブームと、その後の調整を経て、市場がようやく安定に向かっていることを示唆している。オークション業界では、ベテラン幹部がフィリップスからサザビーズへ移籍するという注目を集める動きがあったり、クリスティーズでカルティエの腕時計史上最高額が樹立されたりした。この記録はわずか数週間の間に2度も更新された。ここでは、時計業界における最新のビジネスニュースをいくつかご紹介する。
2次流通市場の時計価格は上昇傾向にある
モルガン・スタンレーとWatchChartsのアナリストレポートによれば、長年の下落を経て、2次流通の時計市場価格は下落基調から回復しつつあり、3四半期連続で1%以上の上昇を記録している。WatchChartsがまとめた中古時計価格指数は、ロンジン、パテック フィリップ、ゼニスを含む幅広いブランドの上昇によって牽引され、今年最初の3カ月間で前四半期比1.9%上昇したことがデータで示されている。
図表3: 2022年以降における、WatchCharts総合市場価格指数の四半期ごとの推移。
価格が長期にわたって上昇基調を示したのは、2022年以来初めてのことだ。この結果は、1次市場価格の上昇、米国の輸入時計に対する関税、そして中古高級時計市場への信頼と関心の高まりを背景に、2次流通市場価格が広範囲に回復していることを示唆している。
図表4: 2026年第1四半期におけるスイス時計ブランドの2次流通市場価格の推移(前四半期比)。
上昇は広範囲に及んでおり、1月から3月の期間に追跡対象となっている35ブランドのうち25ブランドで価格上昇が見られた。スイスの主要グループはいずれも四半期中に値上がりを記録し、リシュモンはパネライ、ヴァシュロン・コンスタンタン、カルティエを中心に1.2%上昇した。スウォッチ グループの価格はロンジン、ブランパン、オメガを含め1.5%上昇し、ゼニスやタグ・ホイヤーを含むLVMHのブランドも上昇した。スイスのグループのなかでは、、チューダーを擁するロレックス グループが1.7%上昇し、最大の値上がりを記録した。
図表8: 2026年第1四半期におけるスイス時計グループのWatchCharts価格指数の推移(前四半期比)。
前年同期比の四半期ごとの業績で見ると、パテック フィリップが最も好調なブランドとなり、2次流通市場での価格は前年から17%上昇した。そしてチューダー、カルティエ、グランドセイコー、ロレックス、オメガが上位に続いた。
図表5: 2026年第1四半期におけるスイス時計ブランドの中古市場価格推移(前年比)。
マークス氏がサザビーズへ移籍
サザビーズは、時計部門を強化するため、新設されたプライベートセールス&リテール(Private Sales & Retail)部門のグローバルヘッドに、業界のベテランであるジェームズ・マークス(James Marks)氏を迎え入れる。サザビーズによると、マークス氏は以前フィリップスに6年間在籍し、時計部門の副会長およびフィリップス・パーペチュアル(編注;同オークションハウスが展開するプライベートセールプラットフォーム)の国際責任者を務めており、今後もジュネーブを拠点とする予定だ。また元投資銀行家であり、2024年から2025年までビバーウォッチのCEOを務めた同氏は、固定価格による販売およびプライベートセールスの提供を拡大することに焦点を当て、サザビーズの時計部門の拡大を監督するとサザビーズは述べている。
ジェームズ・マークス氏。Photo courtesy Sotheby's
今年の大手オークションハウスによるパブリックオークションは好調で、サザビーズ、クリスティーズ、フィリップスでは記録的な売上を達成した。一方で3社ともプライベートセールや、フィリップス・パーペチュアルなどの小売事業を通じた取引も増加している。オークションハウスの幹部らは、非公開の会話、非公開での取引を好み、販売価格を公表したくない売り手と買い手が増えていると述べている。
マークス氏の就任は、近年サザビーズの時計部門で見られる人事異動の最新の動きとなる。2024年には、ジェフ・ヘス(Geoff Hess)氏が時計部門のグローバル責任者に就任し、さらにサム・ハインズ(Sam Hines)氏が時計部門の会長としてサザビーズに復帰した。
クリスティーズが、数週間前に樹立されたカルティエ腕時計の記録を更新―クラッシュが約3億円で落札
史上最高額を記録した1990年製のロンドン クラッシュ。
クリスティーズが5月にジュネーブで開催した“Important Watches”オークションでは、1990年製の希少な18Kゴールド製のカルティエ “ロンドン クラッシュ”が202万4956ドル(日本円で約3億2000万円)で落札され、オークション史上最高額で売却されたカルティエの腕時計となった。ケース番号80298で、1990年のロンドンの刻印が入ったこの時計は、数週間前に香港のサザビーズで約199万ドル(日本円で約3億1000万円)で落札された1987年製のクラッシュの記録を上回った。
「1991年以前に製造されたカルティエ クラッシュはきわめて特別な存在であり、市場の評価軸は変わりました」と、クリスティーズのアメリカ・ヨーロッパの時計部門責任者であるレミ・ギルマン(Remi Guillemin)氏は、オークション後のインタビューで語った。「今日の市場は、クラフツマンシップの魅力を持つものを高く評価しており、まさにこの時計はそれを体現しています」と付け加えた。
EveryWatchが販売アドバイザリーサービスを開始
時計・オークションのグローバルデータプラットフォームであるEveryWatchが、時計売却に関するアドバイザリーサービスを開始する。「高級時計を個人売買するのは、本来あるべき姿よりも難しい」と、EveryWatchの共同創業者であるジョヴァンニ・プリジガッロ(Giovanni Prigigallo)氏は述べている。EveryWatchによると、同社独自のデータに基づいて最適な出品価格や、個人売買かオークションのどちらが最良の結果をもたらすかについて、売り手にアドバイスを提供するという。
著名なコレクターであり執筆家でもあるアウロ・モンタナーリ氏(Instagramではジョン・ゴールドバーガーとして知られている)が投資家として名を連ねる同社は、このサービスに手数料はかからないとしている。代わりに、売り手は事前に審査済みのディーラーや潜在的な買い手とマッチングされ、取引成立時に相手側が固定のプラットフォーム手数料を支払う仕組みだ。
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