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Business News リシュモン決算、米国市場は好調維持 中東は戦争の影響で減速

リシュモン会長のヨハン・ルパート氏は、ジャガー・ルクルトの売却を検討したことは一度もなかったと語った。

リシュモンが発表した年次決算と経営陣のコメントからは、物価の上昇やイランとの紛争による経済的影響にもかかわらず、このスイスのラグジュアリーコングロマリットが展開する時計・ジュエリー事業において、米国市場での堅調な勢いが続いていることがうかがえた。一方で、中東、特にアラブ首長国連邦の情勢が緊迫化した2月下旬以降、売上が減少している。

リシュモン会長のヨハン・ルパート氏。

 「ときに信じがたいことですが、米国経済は、各指標を見る限り、依然として多くの国々より良好な状況にあります」。リシュモンのヨハン・ルパート会長は、同社の年次決算発表後のメディア向け電話会議でそう語った。リシュモンによれば、3月期決算において、アメリカ地域の売上高は前年同期比で17%増加。為替変動の影響を除いたベースでも、時計・ジュエリーの両部門で2桁成長を記録したという。またカルティエ、ヴァン クリーフ&アーペル、IWC、ジャガー・ルクルト、A.ランゲ&ゾーネなどを傘下に収める同社は、第4四半期におけるアメリカ地域の売上が前年同期比18%増だったことも明らかにした。

 「今後については、とりわけ中東情勢の展開に関連して、不確実性が続く可能性が高い」とルパート氏は述べた。

 米国での売上は堅調に推移したものの、アラブ首長国連邦(UAE)、特にドバイで販売を展開するリシュモンのブランドは、戦争の影響により売上と来店客数が減少した。アブダビでは回復の兆しが見られる一方、「ドバイでは消費マインドが慎重になっていますし、外国人居住者の割合も高いです。さらに理解しなければならないのは、観光需要がほぼゼロになってしまったということです」とルパート氏は述べた。

 リシュモンの決算報告によると、第4四半期の全体売上高は為替変動の影響を除いて13%増の54億ユーロ(日本円で約9900億円)となった。一方、中東地域の売上高は同期間に3%減少した。しかしこの減少分は、アジア太平洋地域と中国市場の好調な実績によって補われた。両地域の売上は第4四半期に14%増加し、日本市場の売上は前年同期比で28%増と大きく伸びた。

 リシュモンの売上高が市場予想を上回ったことは、地政学的な緊張が続くなかでも、多くの市場で時計・ジュエリー需要が底堅いことを示している。

 一方で、同社のスペシャリスト ウォッチメーカーズ部門の売上高は4%減少した。原材料費の高騰と為替相場の不利な変動が、利益率を圧迫したためだ。もっとも、為替変動の影響を除いた同部門の時計売上高は通年で1%増、第4四半期では2%増となっている。なお、この部門の数字にはカルティエおよびヴァン クリーフ&アーペルの実績は含まれていない。

 ルパート氏は、リシュモンがジャガー・ルクルトの売却を検討しているとの報道を明確に否定した。これは、同社がボーム&メルシエをイタリアのダミアーニ・グループに売却することで合意し、この取引が今夏に完了予定と報じられたことを受けて広がっていた憶測に対するものだ。

 リシュモンがジャガー・ルクルトの売却を検討しているというメディアの報道について、ルパート氏は「そんなことは、そもそも検討したことすらありません」。さらに彼は「そんな話は信じないでください」と付け加えている。

ルパート氏をはじめとするスイス企業の経営陣は、関税問題を巡る対立が続くなか、昨年ホワイトハウスを訪問していた。

 リシュモンは年度後半において、ジャガー・ルクルト、ヴァシュロン・コンスタンタン、そしてA.ランゲ&ゾーネなどの時計ブランドが好調だったと説明した。背景には、各ブランドによる新作投入があったという。

 またルパート氏は米連邦最高裁が関税措置を違法と判断したことを受け、米政府に対して関税還付を申請するかどうかについて、現時点ではまだ決定していないと述べた。リシュモンは、米国の関税措置によるコスト負担を約3億ユーロ(日本円で約550億円)と見積もっている。経営陣によれば、関税還付を申請するかどうかについては、今月末までに判断する必要があるという。