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Hands-On パテック フィリップのRef.6159G、永久カレンダー レトログラードデイトを実機レビュー

スモークサファイアダイヤルコレクションに、パテックが新たな1本を追加した。

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パテック フィリップが2023年にリリースしたRef.5316/50Pは、私にとって瞬く間に聖杯となった。とはいえ、購入したいという意味ではない。永久カレンダーにミニッツリピーター、トゥールビヨンを備え、現在の価格で1億5633万円(税込)ともなれば、私が買わないと聞いても驚きはないだろう。しかし、その美観、そう、スモークサファイアダイヤルは、それまでのパテックのどのモデルとも異なる急進的な変化であり、私はどうしても実物を見て写真に収めたくなった。手に取って、ほんの一瞬でも理解したくなった。知り合い全員にメッセージを送り、サロンや正規販売店にも尋ねたが、2年経った今もまだ実物には出合えていない。だがその“弟分”である新作、Ref.6159Gをついに目にすることができた。これでこのシリーズが何を目指しているのか、少しずつ読み解くことができそうだ。もし5316/50Pがこの弟と似たような時計であるなら、それはとびきり優れたタイムピースに違いない。

Patek Philippe ref. 6159G

 サファイアダイヤルはパテック フィリップにおいてまったく前例がないわけではないが、同ブランドにおいては最もまれな仕上げのひとつであることに違いない。Ref.5316/50Pが登場する以前に思い浮かぶもっとも顕著な例、というより正直なところ唯一の例といえるのがRef.5303Rおよび5304Rである。これらはサファイアダイヤルを備えたトゥールビヨン・ミニッツリピーターであり、パテックが製造するなかで唯一、トゥールビヨンが表側から見えるモデルである。

 しかしRef.5316/50Pの登場はまた異なる意味合いを持っていた。スモークサファイア仕上げによって、きわめて複雑な表示を備えながらも視認性は一切損なわれていないのだ。同じことは新作にも当てはまる。このモデルもレトログラードデイトとムーンフェイズを備えた永久カレンダー表示を採用しており、ダイヤル下にあるキャリバーの一部をかすかにのぞかせている。

Patek Philippe ref. 6159G

 目新しいアイデアというわけではないが、パテックにとってはそうなのだ。多くの人がA.ランゲ&ゾーネの“ルーメン”ダイヤルと即座に比較したが、いくつかの重要な違いがある。まず第一に、本モデルのスモークサファイアは“ルーメン”よりも濃く、ムーブメントの視認性がより抑えられている。第二に夜光が施されているのは時・分針とアワーマーカーに限られている点。しかし、このサファイアダイヤルをほんの少し暗くすることで、さまざまな光の下でも視認性が高まり、結果としてこの時計はより読み取りやすく感じられるのだ。

Patek Philippe ref. 6159G

 ここではさまざまな光の当たり方、すなわちダイヤルに直接差し込む光や、異なる角度から生まれるグラデーションを写し取ろうと試みた。いや、少なくともそういうつもりだったのだが、実際のところは、自分の限られた時間のなかでこのダイヤルと戯れるのがただ楽しかっただけだ。もっとも、写真が複数の目的を果たしてもいいではないか。下の最初の写真を見ればわかるように、この時計にはケースサイドに設けられたスタイラスプッシャーによって調整するムーブメントが、引き続き採用されている。Cal.26-330 S QRは、昨年のエングレービング入りケースを採用したレアハンドクラフツモデルに搭載されていたものと同じである。

Patek Philippe ref. 6159G
Patek Philippe ref. 6159G
Patek Philippe ref. 6159G

 要約すると、このムーブメントは、時・分・センターセコンドという3針時計と同様の表示を行う。9時位置の開口部には曜日が、3時位置には月が、12時位置にはうるう年サイクルのなかで現在が何年目であるかが表示される。同時に、8時から4時方向にかけて弧を描くように配されたレトログラード式の日付表示が、赤いポインター針によって示される。6時位置にあるムーンフェイズはモノクロームで全体の美観と調和する。そして最後に、ダイヤル越しに垣間見ることができるムーブメントについてだ。

Patek Philippe ref. 6159G

 自動巻きのCal.26-330 S QRは直径28mm、厚さ5.36mmのムーブメントであり、シースルーバックをとおしてその姿を確認できる。パテックの公表によれば、パワーリザーブは最大45時間。しかしケースバックの縁にはホブネイルパターンが施されており、これが私が最初にこの時計の写真を見たときに唯一気になった点でもあった。

Patek Philippe ref. 6159G

 Introducing記事でも述べたように、自分はホブネイルのファンではない。どうやらその点については、ティエリー・スターン(Thierry Stern)氏と意見が食い違っているようだ。それでも、パテックが近年ホブネイル(洒落て言うならクル・ド・パリ)をより頻繁に用いているのに気づいている読者もいるだろう。カラトラバのRef.6119や5226G、さらには年次カレンダー トラベルタイムのRef.5326Gにまで及んでいる。Ref.6159Gについても、この仕上げがなければもっとよかったのにと個人的には思っているが、それはあくまで好みの問題にすぎない。39.5mm×11.49mmというサイズ感で、この時計はきわめて快適な装着感を持っており、ケース仕上げはあくまで全体像のごく一部に過ぎない。

Patek Philippe ref. 6159G
Patek Philippe ref. 6159G
Patek Philippe ref. 6159G

 このような時計を見ると、将来的なコレクターズバリューについて考えずにはいられない。思い出すのはTalking Watchesでジョン・メイヤー(John Mayer)氏が語っていた言葉だ。彼は、当時のデイトナにカラーダイヤルが採用されたことがいかに突飛だったかを指摘し、もしその時点でその価値に気づけなければ、いずれ過去を振り返って“あのとき手に入れておけばよかった”と後悔することになるだろうと言っていた。同じことは、ホワイトメテオライトダイヤルを採用したGMTマスター IIにも言えるだろう。スモークサファイアダイヤルを備えたパテックの永久カレンダーが安価なはずもない。この記事執筆時点での価格は1866万円(税込)だ。しかし、それでもこの価格にためらいを見せない目利きのコレクターがいることは、容易に想像できる。

Patek Philippe ref. 6159G

詳しくはIntroducing記事、またはパテック フィリップ公式サイトご覧ください。