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トランプ大統領は、いわゆる“相互関税”をほとんどの国に対して90日間停止すると発表した。スイスの時計業界にとっては、主要輸出先であるアメリカ市場での厳しいコスト増加を回避するべく、アルプスの国の政府が交渉を行う猶予期間が与えられることとなった。大統領はトゥルース・ソーシャル(Truth Social)で、この関税措置にはスイス製品に対する31%の関税も含まれており、それが延期されると明かした。一方でアメリカに輸入される製品に対する10%の関税は維持されると、ホワイトハウスの報道官は述べた。また中国に対する高率の関税も継続される見通しである。
この延期により、スイス政府関係者には合意の可能性を模索する時間が与えられ、最大の輸出市場におけるスイス時計メーカーの売上減という懸念を回避できる見込みである。
500億ドル(日本円で約7兆3400億円)規模のスイス時計産業は、アメリカの製造業を保護する目的で課されるとされた今回の関税の影響を特に受けやすいとされていた。批評家たちは、スイスに対するいわゆる“相互関税”は非論理的であると主張しており、その理由としてアメリカには本格的な時計製造基盤が存在せず、またアメリカとスイスの貿易赤字は主に人口規模の違いによるものであることを挙げている。
アメリカの関税算定は物品の貿易に基づいて行われており、ソフトウェアやクラウドストレージ、エンターテインメントといったサービスは対象に含まれていなかった。スイスのカリン・ケラー=ズッター(Karin Keller-Sutter)大統領は、トランプ氏との水曜日の電話会談においてスイスとしての二国間貿易に関する立場およびアメリカ側の意向への対応策について意見を伝えたと、Xへの投稿で明かした。
“ごく近い将来に、解決策を見出すべく取り組めることを楽しみにしている”と、ケラー=ズッター大統領は述べた。
本件は現在進行中のニュースであり、HODINKEEではアメリカの貿易政策がスイスの時計業界および消費者価格に与える影響について、今後も随時最新情報をお届けしていく。