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いかにも典型的な理由ばかりだけれど、私は以前、9月が大好きだった。学校へ戻るワクワク感、セーター日和の天気、スープの季節であること。しかし、最近では、自分の年齢や文化的背景の変化により、秋の新鮮な気分を味わうことが難しくなってきた。9月はまだ夏なのだ。
しかし今、人々がフルタイムでオフィスに戻り、あるいはハイブリッド型のワークスタイルに落ち着き、秋の平穏がわずかに戻ってきたように感じられる。マンハッタンほどのビジネス街はどこを探しても見当たらないけれど、フリースベストを着た金融マンを見かけないのは久しぶりだ。こんなにも彼らが恋しく思えるとは考えたこともなかった。サラダに行列を作ったり、シティサイクルを無謀にも運転したりと、元気を取り戻しているようだ。彼らがかつてのセプテンバー気分をまた運んできてくれた。しかし、サラリーマンに混じって、夏の最後の一滴を絞り出そうと励む一般市民もいる。まだ強い日差しに顔を向け、短パンとタンクトップ姿で歩道を埋め尽くし、太陽が輝きを失う前にできる限り日焼けをしようとするのだ。
この「終わり」と「始まり」の重なりを祝うため、私たちはミッドタウンの街角で、人々がどのように過ごしているのか、そして何を身につけているのか、腕元にスポットライトを当てて観察した。4年前だったら、手に余るほどの、道行く数多の投資銀行家たちに声をかけていただろう。いまはどうだ。たくさんの人に、色とりどりの時計が混在している。知っているものもあれば、知らないものもある。派手なものから、平凡なものまで。しかし、そのすべてがいまこの街にいることの放つ奇妙なエネルギーをとらえているという共通点を持つ。暑く、気だるく、興奮もありつつ慎重で、そしてありがたい。消えたり目立ったりと、人ごみに紛れるのもいいものだ。
これは、時計というよりも、時間についての物語である。あるとき、ニューヨークの賑やかで退屈な通りで、一見何の変哲もない一日を撮影しようと試みた。けれども、写真にはレベルやレイヤーがみられ、都市生活をとても興味深いものにする相互作用があるのは歴然である。ある時計にはストーリーがあり、またある時計はただ時間を知らせるだけのものである。どちらもよさがあり、リアルだ。
あなた自身がミッドタウンの角にいたとしたら、通行人の手首を確認するのには苦労するだろう。ここでは、我々の集めたスナップショットを掲載している。満足に仕上がっているだろうか? 会話の断片は、すべてを物語ることができているだろうか?
この写真には、見るべきものにあふれている。彼の笑顔や、建物の形状に映える外壁の影の角度など。この瞬間が、あなたにも聞こえてくるのではないだろうか。ベルが鳴る音、タクシーのクラクション、そして集中すれば時計の音も聞こえてきそうな、この瞬間が。
この写真を撮るのにどのくらいかかったのだろう? 被写体は何度、自分の言ったこと、言わなかったことについて考えただろう? 彼らは自分の時計に新たな価値を見出したのだろうか? それとも、「これじゃダメだ」と気後れしたのだろうか? そもそも、撮られていることに気づいていたのだろうか?
通常の生活に戻ったり、新しい領域を開拓したりすると、時間の感覚が変わる。寝室からリビングまで3分だった通勤時間が、40分になる。読書の時間が戻ってきたことが嬉しいのかもしれないし、朝の日差しのなかでじっとしていることが恋しいのかもしれない。おそらく両方だろう。
ここでは、オフィスに向かう人、オフィスから帰る人を演じる、セントラルキャスティング出身の人々を紹介する。その日、彼らにとって時間の流れは早すぎたのか、それとも、遅すぎたのか?
街の中心部に戻ってくるのは、いい気分だし、不思議な感じもする。自分の時間が、以前ほど自分のものであるように感じない。でも、毎日のように100人以上の人と一緒に電車を降り、うつろな目で歩く人たちと歩調を合わせることを思い出すと、私はそれと引き換えに、私は自分の時間を手に入れたのだ。この物語に登場する誰もが、何らかの形で前に進み、二度と戻れない時間を過ごしていたことだけは確かだ。
Interview captions collected by Sinna Nasseri.
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