2024年にロレックス サブマリーナー 5513について書くことは、現代の文化がスマートフォンで画面をスワイプするよりも速く進むなか、レッド・ツェッペリン IVや『ゴッドファーザー PART II』、あるいは『オッペンハイマー』についてレビューするようなものだ。非常に優れたシンプルなダイバーズウォッチについては、すでに多くのことが語られてきたように思える。しかし、時には(レッド・ツェッペリン IVに収録される)“ブラック・ドッグ”が本当に素晴らしいということを思い出す価値がある。
それがまさにロレックス サブマリーナー 5513について書きたかった理由だ。この時計はまったくもって最高なのだ。
文字盤の色が違うだけの“新作”を追いかけるのは楽しいし、実際にワクワクすることもある。しかしマーケットが低調で、価格の上昇に対する不満が当たり前になっている時期(特に今)には、コッポラやノーランのオスカーノミネート(ただし『メガロポリス(原題:Megalopolis)』は除く)が当たり前とされるように、史上最も長い歴史を持つダイバーズのひとつには非常に魅力的なものがある。
10年前、ジョン・メイヤー(John Mayer)が5513を8000ドル以下で買えるヴィンテージロレックスのなかで“最高の買い物”のひとつと称した。それ以来、相場はメイヤーのギターリフのように上下を繰り返し、相対的には“最高の買い物”と感じられるようになった。市場については最後に触れることにして、主に5513そのものについて語りたい。
特定のモデルについて、すでにReference Pointsを掲載している場合、言い尽くしたように感じることもある。
全ロレックス サブマリーナーの系譜を理解したいなら、ヴィンテージサブのリファレンスをすべて網羅したReference Points記事を参照して欲しい。
“よくやった、みんな。ついにやったぞ。サブマリーナーについて1万505文字も書いた。これを超えてみろ”とReference Pointsのタイトルは挑発する。しかし、5513についてはまだ語るべきことがたくさんある。
Reference Pointsが教えてくれるように、ロレックスは1962年から1989年まで5513を製造していた。これはほとんどの飼い猫よりも長い寿命である。そして飼い猫のように、特定の5513はそれほど珍しくも特別でもない(冗談だよマーマレード、愛してるよ私のかわいい三毛猫)が、5513がディスコンになってから時間が経つにつれて、良好なコンディションを見つけるのが難しくなっている。希少性以上に、状態こそがヴィンテージサブを際立たせる要素なのだ。
ロレックスはサブマリーナー 5512から3年後の1962年に、サブマリーナー 5513を導入した。主な違いは内部にあり、5513にはCOSC認定クロノメータームーブメントが搭載されていない。5512は生産開始から数年後、クロノメーター認定ムーブメントを使用するようになり、ダイヤルの6時位置にはそれを示す“Superlative Chronometer”と表記されていた。5512にはプレミアムがついていたが、時計自体はそれ以外同じである。クラウンガードを初めて採用したサブマリーナーのリファレンスとして、これらは次に続く60年間のモデルの基礎を築いた。素材が変わり、ケースが頑丈になり、ブレスレットがより丈夫になったが、5512や5513は基本的に現代の124060と同じである。
これらの時計が最初に購入された当時は違いがあったかもしれないが、現在ではクロノメーター(5512)とノンクロノメーター(5513)の違いはそれほど重要ではない。好みの問題として、クロノメーターのほうが好ましいと考えるコレクターもいれば、5513ダイヤルのシンプルな2行のテキストが好きなコレクターもいるだろう(私は主に後者だ。クロノメーターファンの皆さん、怒らないでくれ)。
「確かに5512のほうが希少ですが、ほとんどの人はちょっとした個性を持つ、見た目のいいサブマリーナーを求めています」と、Wind Vintageの副社長兼シニア・スペシャリストであるチャーリー・ダン(Charlie Dunne)氏は言った。よく5512は5513に対して20本に1本の割合で見つかると言われているが、これはあくまで推定に過ぎない。参考までに、EveryWatchによれば、現在セカンダリーマーケットで137本のRef.5512が販売されているのに対し、Ref.5513は764本が販売されているという。
いずれにせよ、状態の悪い5512よりも良好なコンディションの5513のほうが常に価値がある。
「私にとって5513は、最高峰のスポーツロレックスのひとつです」とフラテッロエディターのマイク・ストックトン(Mike Stockton)氏は付け加えた。「私の父はダイビング用に使い込まれた60年代の個体を着用していたので、ずっと5512を好んできましたが、私は5513を深く尊敬しています」。これが示すように、どちらのリファレンスを好むかはほとんど個人的な好みに過ぎない。
2行表記対4行表記という議論は、デテント脱進機と同じくらい古い。そのほかの点では5512と5513は同じ時計だ。40mm径×14mm厚で日付はなし、200mの防水性能に、回転ベゼル、ブラックダイヤルを備えている。ノンデイトの5512と5513はしばしば一緒に議論され、数年後に導入されたサブマリーナーデイトのRef.1680と区別される。
ここでは、約30年間にわたって“万人向け”サブとされた5513に焦点を当てよう。ダイヤルの種類について簡単に触れ、なぜコレクターが特定のダイヤルを好むのかを説明し、次にオイスターブレスレットの進化とケースの状態について議論。最後に市場動向と5513の収集についての考察で締めくくろう。
大まかに言って、5513には3つの世代がある。
- ギルトダイヤル、1962年〜1967年頃
- マットダイヤル、1967年〜1984年頃
- 艶ありダイヤル、1984年〜1989年
これらのなかには、ダイヤルのプリント、夜光塗料のプロット(インデックス)、クラウンガードの形状に基づくほぼ無限のバリエーションが存在する。ミルサブやエクスプローラーダイヤルのような希少なモデルは、言うまでもなくヴィンテージロレックスのサブコレクションにおいて頂点に位置する。この記事では5513のすべてのバリエーションについて詳しく掘り下げることはしない(それはすでに行われているから)。私たちのReference Pointsのほかに、5513mattedial.comは10種類(!)のマットダイヤルバリエーションについて学ぶのに素晴らしいリソースである。
各ダイヤルタイプについて詳細に掘り下げる代わりに特定のコレクターにインタビューをして、なぜ特定のダイヤルタイプ(ギルト、マット、艶あり)が彼らのお気に入りなのかを説明してもらった。
ギルトダイヤル
多くのブランドと同様、ロレックスも1960年代初頭にスポーツウォッチ用のギルトダイヤルを製造していた。サブも例外ではない。これらのダイヤルは、文字盤素地の金属を露出させる手間のかかるプロセスで作られていた。この技術はダイヤルの表面下にある真鍮の素地を露出させるため、ゴールドレターやゴールドインデックスが生じることが多い。さらにラッカーが追加され、黒いダイヤルに“艶のある”光沢仕上げが施されることになる。
ロレックスはこのギルト加工を用いて、1960年代後半まで5513(および5512)のダイヤルを製造していた。今日でもコレクターたちはギルトダイヤルを愛している。なぜなら、その深みと豊かさ、そして塗料では再現できないメタリックなテキストがあるからだ。ギルトサブが高いプレミアム価格で取引されていることがその証拠である。年配のコレクターのなかには、このギルトダイヤルこそが本物のヴィンテージであり、それ以降のものは彼らの感覚にはあまりにモダンすぎると語る人もいる。
「ギルトサブマリーナーが特に好きなのは、それが大胆なツールウォッチでありながらも美しい繊細さを併せ持っているからです」と、コレクターでありギルト5513の所有者でもあるジェフ・ビンストック(Jeff Binstock)氏は言った。「60年代初頭のサブマリーナーは、大胆で美しい光沢のある文字盤に、繊細なゴールドレターが浮き彫りになっています。ただそれらは脆く、熱や湿気にさらされることでひび割れや剥離を経験したケースが少なくありません」。そのため、収集価値のある良コンディションのギルトサブを見つけることは本当にまれだ。
これらのギルトダイヤルは、まさに別の時代の古いヴィンテージウォッチのように感じられる。その深みのある艶やかな黒に匹敵するものは、それ以降に作られたものではなかなか見つからない。
マットダイヤル
60年代後半になると、ロレックスはギルトダイヤルからマットダイヤルへと移行し始めた。
サブマリーナー 5512に関する彼の素晴らしい記事のなかで、ダン氏はパッド印刷(またはタンポグラフィー)技術が実際にはドイツの産業家によって時計のダイヤル用に発明され、1968年までにマットダイヤルを大量生産するためのプロセスが開発されたと説明している。そのため1960年代後半にロレックスなどのブランドが、ギルトダイヤルからマットダイヤルに移行したのも不思議ではない。パッド印刷はすぐにさまざまな用途に使用されるようになったが、もともとは時計のために発明されたものであった。
ストックトン氏はマキシマットの5513を所有しており、これが最高の時計だと感じている。
「ロレックスが、80年代になってもマットダイヤルと美しいドーム型のトロピック風防を使ったこの古風な時計を製造していたことは、時代錯誤のように感じます。風防の下にある、大きくて温かみのあるトリチウム夜光塗料のプロットが大好きです。初期モデルもいいですが、私は夜光塗料が多く使われているほうが好みです」
ストックトン氏が言及しているのは、ロレックスが70年代後半に製造し始めた“マキシ”ダイヤルのことだ。このダイヤルは通常よりも夜光塗料プロットが大きく、時計をさらに大振りに感じさせる。この大きな夜光塗料のプロットは、実際に腕につけたときも時計を大きく感じさせることがある。
彼の言うとおり、その古いドーム型のプラスチック風防越しに、すべての夜光塗料のプロットを見渡せるのはとても魅力的だ。ダンも同意している。
「ギルトダイヤルのロレックスに勝るものはない」とダン氏は認めた。「しかしマットダイヤルはギルトダイヤルよりも価値が低いでしょうか。そんなことはありません」。シャープなプリントとテクスチャのある表面が、マットダイヤル独自の個性を生み出している。特にギルトダイヤルがマットダイヤルに対してプレミアム価格を持つことを考えると、マットダイヤルには大きな価値がある。
マットダイヤルのサブマリーナーは、多くの意味でサブマリーナーそのものだ。派手でもなく希少でもなく、見せびらかすようなものでもない。ただ素晴らしいヴィンテージのダイバーズウォッチだ。それがまさにロレックスがこのマットダイヤルの5513をほぼ20年にわたって製造していた理由なのだ。
艶ありダイヤル(ホワイトゴールドの縁付き)
そして80年代半ば、ロレックスは夜光塗料のプロットにWGの縁取りを施した艶ありダイヤルへと移行した。これは、ダイバーズウォッチがツールからラグジュアリーへと転換し始めた最初の兆候である。80年代の過剰さが完全に到来し、信頼性の高い古いサブマリーナーでさえその流れに抗えなかった。夜光塗料のプロットも、機能的な特徴からステートメントへと変わったのである。
「このダイヤルの組み合わせは、長く続いたツールウォッチが初めてラグジュアリーに転換する瞬間を象徴しています」。そう話すのは、写真で紹介した艶あり5513を貸してくれたプライベートコレクターである。彼は明るい日光のもとでダイヤルとWGの縁取りが美しき輝き、そして低光量の環境ではツールウォッチとしての落ち着いたDNAになると指摘した。この個体は5513の最終製造年のもので、トリチウム夜光塗料が依然として明るい白を保っているのが見て取れる。初期の個体ではクリーミーな経年変化が見られることがあり、モダンな艶ありダイヤルとのクールな対比を生み出している。
これまで、これらのよりモダンな艶ありダイヤルは、悪い意味で少し贅沢すぎると感じていた。しかし、特に古い5513のケースと組み合わせると、この最後の世代の5513の外観に慣れてきた。まるでジョージ・クルーニー(George Clooney)が最後の数本の黒髪にしがみついているかのように、5513もまだそのツールウォッチとしての起源をわずかに保っている。まだそこにあり、常に魅力的だが、すぐに最初の5桁のモデルが登場し、サブをほぼ完全に現代的な時計にするだろう。
私はマットダイヤルのほうが好みかもしれないが、この後期の艶ありダイヤルには現代的な魅力もあれば価値もある。まだ“真の”ヴィンテージウォッチのようには感じられないかもしれないが、いずれそうなるだろう。
ロレックス サブマリーナーは新旧を問わず、一般的にオイスターブレスレットが付属しており、それは時計の一部のようになじんでいる。ヴィンテージオイスターブレスレットの装着感や違いについてはあまり語られることがないので、5513で見られるブレスレットの種類について詳しく見てみよう。一般的にサブマリーナーには以下の3世代のブレスレットが存在する。
- 1960年代初頭: リベットブレスレット(7206、6636、C&I製米国市場向けブレス、そのほかの国内市場ブレスレット)
- 1960年代後半~1970年代: 巻き込みブレスレット(9315)
- 1980年代: ハードブレスレット(93150)
スイスの著名ブレスレットメーカー、ゲイ・フレアー社が主なサプライヤーであり、ロレックスは1998年にこの会社を完全買収した。特定の市場に輸入される時計の関税を削減するため、ロレックスはアメリカ、イギリス(W.A.B.)、メキシコなどの国内サプライヤーにも委託した。最も注目すべきはアメリカのメーカーC&I(クロムウェル インターナショナル)。クラスプにC&Iのロゴが刻印されているため簡単に識別できる。
初代リベットブレスレットは、中空の折りたたみリンクを繋ぐ、外縁にあるリベットのことを指し、通常ストレッチとノンストレッチのバリエーションがある。現代のロレックスブレスレットに慣れている人にとっては、このヴィンテージブレスレットの軽さや頼りなさにショックを受けるかもしれない。しかし、多くの人々、私も含めてその装着感を愛している。ブレスレットは無駄のないクラスプ(フリップロックもグライドロックもなしで問題ない!)に向かって美しくテーパーし、手首に溶け込むような装着感を提供する。
「手首の細いコレクターは、その軽さからリベットブレスレットを好むことが多いです」とダン氏。サブマリーナーはヴィンテージロレックスの基準では大型だが、薄くてほぼ無重量のブレスレットでその重量のバランスを取っている。初期の“ビッグロゴ”リベットブレスレットは、クラスプに大きなロゴが刻印されていることから名付けられ、ほかの有名なロレックスリファレンスにも使われており、プレミアム価格がついている。
ブレスレットのコードはクラスプの内側に刻印されている。初期のほうではバッチと生産年もクラスプに刻印されていた。70年代になると、ロレックスはアルファベットが年を、数字が月を表すシステムを使用し始める。インターネット上にはこれらのコード表が多数あるが、例えばBob's Watchesのコード表を見ると、“G6”と刻印されたブレスレットは1982年6月の製造であることがわかる。
70年代に入ると、ロレックスは巻き込みブレスレット(サブマリーナーでは280のエンドリンクを持つ9315)に移行した。こちらのブレスレットはもう少し重量感がある。5513にとっては絶妙なバランスのブレスレットで、古すぎず新しすぎない。腕にとてもスリムにフィットしながらも、チャラチャラ音がするリベットブレスレットよりも少しだけ頑丈である。
さらに80年代に入ると、今度はハードブレスレット(サブマリーナーでは580のエンドリンクを持つ93150)を作り始めた。この頃には、ロレックスは確実に堅牢な時代に突入していた。ほぼ現代に匹敵するブレスレットの感触を備えており、マットダイヤルと艶ありダイヤルで見つけることができる。
どのブレスレットが手首に最もよくなじむかは議論の余地があり、私自身もそうしてきた。前述したように、巻きブレスは私にとって絶妙なバランスを持っているが、ヴィンテージのツールウォッチを頑丈なハードブレスレット(フリップロックも含む)でつけることにも実用性がある。ヴィンテージの魅力は少し減るし装着すると少し厚みを感じるが、どこかに引っかける心配が少ない。私にとっては、ハードブレスレットを装着したマットダイヤルの5513が、ヴィンテージの魅力と装着感のバランスをうまく取っており、ヴィンテージロレックスの魅力を引き立てていると感じる。これは収集のしやすさよりも装着感に関するものだが、あらゆるヴィンテージウォッチのなかで、ヴィンテージサブを実際につけるべきだと思っている。
ちなみにヴィンテージのサブマリーナーを探すのが楽しい理由のひとつとして、人々が実際に時計を使用していたためにコンディションが異なる点にある。
オイスターブレスレットの特定のタイプに対する個人的な好みを超えて、時計に合ったブレスレットを見つけることが重要だ。例えば、初期のギルトダイヤルならリベットブレスを合わせるべきだ。私にとって、ギルトダイヤルにハードブレスを合わせるのは妙に見えてしまう。後期のマットや艶ありダイヤルには、後年に登場したブレスレットを合わせるべきだ。そしてもしあなたがディーラーなら、正しいブレスレットを装着したサブを提供して欲しい。
サブマリーナーのケースについてもっと話したかったが、予想以上に長くなってしまったので、ここでいくつかの考えを共有するに留めておく。
- まず、オリジナルのラインとエッジが残っている5513のケースを探すことは重要だが、これらのオイスターケースは頑丈につくられており、例えば、デイトナやエクスプローラーよりも耐久性があり、少しの研磨なら耐えられる。もちろんシャープなケースにはプレミアムがつくものの1、2回の研磨ですぐさま価値を下げることはない。
- 次に、ケースの魅力の多くはラグの面取りにある。ほかにも注目すべきディテールがいくつかある(例えばクラウンガードやベゼルリングのノッチなど)が、サブマリーナーのケースの美しさの多くは面取りだ。ヴィンテージサブマリーナーのケースを何本か見れば、そのバリエーションがいかに多いかがわかるはず。これは一部は研磨の影響だが、一部は製造時の違いによるものだ。オリジナルの面取りは大きくて太いが、後年になると細くなる傾向がある。肝心なのは、時計全体のバランスが“しっくりくる”ケースを見つけること。ダイヤルに使用感があるのに、ケースだけが新品のようにシャープだというのはちょっといただけない。
さらに詳しいロレックスオイスターケースの状態については、また別の機会に深く掘り下げて話すことにしよう。
「ヴィンテージサブを所有したいと思っている人にとって、今は本当にいい時期です」とダン氏は言った。私が話をした誰もがそれに同意していた。ヴィンテージロレックス市場はここ数年低迷しているが、ヴィンテージサブマリーナー市場が完全に崩壊すると考えるのは、マイクロソフトに逆張りするようなものだ。サブマリーナーは時計収集において最も信頼できる投資対象である。
データもそれを裏付けている。ブルームバーグ・サブダイヤル・ウオッチ・インデックスによれば、過去12カ月で5513の平均価格は11.8%下落し、取引量は29%減少している。
すでに述べたように、このたったひとつのリファレンスには数多くのバリエーションがあるため、単一の平均価格では全体像を捉えることはできない。EveryWatchがこの記事のために行った分析によれば、過去3年間でダイヤル種類が平均販売価格に与える影響は次の通りだ。
- アンダーライン(ギルト): +3万5600ドル(日本円で約575万2000円)
- マットダイヤル: +1400ドル(日本円で約22万6000円)
- 艶あり(WGS)ダイヤル: -1200ドル(日本円で約19万4000円)
つまり、マットダイヤルは全体の5513よりも平均で1400ドル高く売れたことになる。マット5513は3種類のダイヤルタイプのなかで最も長い製造期間を持つため、これには納得がいく。この差異は、特別なエクスプローラーダイヤルやミルサブに触れていないが、ヴィンテージサブまたは5513だけを収集することに一生を費やしても飽きることがないということを示している。
ただ過去数年間でヴィンテージロレックス市場が低迷していることは確かだ。一般的な認識として、大物コレクターがこぞって初期のギルトサブが必要だと感じたのは、もはや“2018年ではない”ということだ。それはそれで問題ない。ロレックスは5513をほぼ30年間製造し、人々は過去30年間にわたってそれを購入してきた。さらに30年後も、5513は変わらず典型的なダイバーズウォッチであり続けるだろう。
単なる市場価格以上のものであるロレックス サブマリーナー 5513は、最初の時計としても、5番目の時計としても、最後の時計としても素晴らしい。市場が5513についてどう評価しようとも、シンプルなノンクロノメーターのサブマリーナーとして、ロレックスが30年間にわたって製造したこの時計には、ある種の常人的な魅力があり、それは数値化できないのだ。
さて、これから『ゴッドファーザー PART II』を観ようと思う。
ロレックス サブマリーナーとRef.5513の収集に関する洞察を提供してくれたチャーリー・ダン氏、マイク・ストックトン氏、コレクターのジェイソン(@dudleydad23)氏、そしてジェフ・ビンストックに感謝する。