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パネライの特徴が最大限に表れた“ピーク・パネライ”としか言いようのない驚くべきモデルが登場した。それは巨大で、過剰につくり込まれた派手な時計である。私がパネライの時計に引かれる理由はこの時計にはないものの、それでも新しいサブマーシブル エルックス LAB-ID(Ref.PAM01800)は非常にクールだ。新しい49mmサイズ×21.9mm厚のサブマーシブルは、ブルーTi-Ceramitech™(ブルーティセラミック)製のケース、ベゼル、裏蓋を持っている。しかし内部(さらにダイヤルをとおして見える部分)が衝撃的だ。Cal.P.9010/ELムーブメントには6つの香箱があり、約3日間のパワーリザーブを実現。さらに機械式のマイクロ発電機で文字盤のインデックス(およびベゼルの夜光ピップ)を30分間発光させるのだ。
シンプルに見えて非常に複雑な時計であり、その機能は4つの特許によって支えられている。8時位置にあるプッシャープロテクションシステムを開けると、4つの香箱からパワーを解放し、機械エネルギーを電気に変換するマイクロジェネレーターに接続するボタンにアクセスできる。通常は光で充電される夜光塗料の部分が、この場合はボタンを押すことでLEDにより照らされる。
また、針やベゼルなどの可動部分を照らすこともできるのだが(ベゼル内のLEDのうち、60個すべてを1度に点灯させるのではなく、15個だけを点灯させる)、当然のことながら複雑な技である。このシステムには特製コイル、磁石、ステーターを使用しており、アクティブな電子部品は含まれていない。また6時位置にリニア“パワーライト”リザーブインジケーターと、9時位置にスモールセコンドを配置。30分のパワーを使い果たした場合でも、インデックスと時針にはスーパールミノバ® X2、分針とベゼルのドットにはスーパールミノバ® X1が施されているため暗闇でも視認性を確保できる。
このマイクロジェネレーターシステムは、ジェームズ・ステイシーが2019年に執筆したドゥ・ベトゥーン DB28GS “グランブルー”を思い出させるが、実際はパネライのほうが遥かに大胆である。これはおそらく外部の光を吸収してコントラストを高める黒いダイヤル(カーボンナノチューブで覆われている)のおかげでもある。軽量なセラマイズドチタンケースを持つこれは、スティールよりも44%軽く、従来のセラミックより10倍の破壊靭性を誇る。この時計は世界限定150本で、3年間で毎年50本ずつ販売予定。価格は1666万5000円(税込)だ。しかし、このアイデアは突然出てきたものではない。
1966年にパネライは、暗い環境でも技術装置を照らすことができる放射性物質を含まない新素材を“エルックス”と名付けた。これは“エレクトロルミネッセンス(電界発光)”の略である。彼らは均一な発光面を持つエレクトロルミネッセンスパネルをさまざまなサイズで提供。耐衝撃性に優れるだけでなく、バッテリーで動作するほどエネルギー効率も高かった。
この技術は、イタリア海軍の指揮管制センターの照明パネルから、軍艦のデッキに設置されたヘリコプター着陸用の発光通路や標識に至るまで、多くの用途に使われている。“アイデアの工房(Laboratorio di Idee)”が、家族経営のオフィチーネ・パネライ工房からこれらのアイデアを受け継ぎ、機械式のまま商業用時計に昇華させたことは、最近のパネライのなかでも最もクールなことのひとつだ。
誰もが言うだろうから先に言っておく。これは“巨大な時計”のサイズの限界を押し広げている。パネライにとってもそうだ。この時計は、私が今までにつけたなかで最も厚い時計であるMB&FのHM-11(約23mm)には及ばないものの、その座をほぼ奪い取るほどである。49mm×21.9mmサイズを日常的につけるには幅と厚みがありすぎるか? ほぼ間違いなくそうだ。この時計ブランドに特例を与える数少ない例のひとつか? 確実にそうだ。もしこのサイズの時計をつくるなら、そのケーススペースをしっかりと活用する必要がある。パネライはそれを完璧に、そしてそれ以上にやってのけた。ムーブメントに6つの香箱を持つなんて、まさに驚異的だ。しかしブルーTi-Ceramitech™製のケースのおかげで、装着感は比較的良好である。
主な特徴である切り替え可能なライトは、日中で使う懐中電灯ほど眩しいわけではないが、確実に役割を果たしてくれる。例えばマディソン・アベニューにあるパネライ旗艦店(私がこの時計を撮影した場所)といった、考え抜かれて照明が置かれたブティックでは、エルックスが点灯しているかどうか確認するためにダイヤルを覆わないと分からないことがあった。そのため時計と一緒に30分を過ごし終わるころには、6時位置のパワーリザーブ表示がまるでバッテリーが切れかけているように見えるストライプのスライダーで完全に閉じられていることに気付いた。しまった、ライトをつけっぱなしにしていた。
ただ手を加えなくても点灯し続ける機械式ライトのアイデアは気に入っている。子供の頃に持っていたタイメックス インディグロへのノスタルジーから、ダイビング中にボタンを押し続けるのは不便かもしれない。これはライトを点灯させるボタンのカバーがある。下の写真では、そのボタンを裏蓋側から見ることができる(正直に言うと、カバーを外した状態の写真を撮るのを忘れてしまった)。またブルーTi-Ceramitech™製ケースもよく見える。ケースに関して唯一気になるのは、そのテクスチャーのせいで、私が見たサンプルにはすでにいくつかの傷がついているように見えたことだ。この素材が経年劣化にどう耐えるのか気になるところであるが、比較的新しい素材であるため時間が経たないとわからない。
新しいサブマーシブル エルックスはかなり高価だ。しかし最近の新作リリースには少し退屈を感じていた。多くのブランドがまったく新しいことをするのに欠けているように思える。正直なところ、パネライからこんなに斬新なアイデアが出てくるとは思っていなかったが、この成果を挙げた彼らには賛辞を送りたい。
基本情報
ブランド: パネライ(Panerai)
モデル名: サブマーシブル エルックス LAB-ID(Submersible Elux LAB-ID)
型番: PAM01800
直径: 49mm
厚さ: 21.6mm
ケース素材: サテン仕上げのブルーTi-Ceramitech™
文字盤: ブラック(光を吸収するカーボンナノチューブで覆われている)
インデックス: マイクロ発電機による機械式LED
夜光: あり、機械式LEDとスーパールミノバ® X2
防水性能: 500m
ストラップ/ブレスレット: カウッチュー アコーディオン ブルーストラップ(26mmから22mmへとテーパーがかっている)
ムーブメント情報
キャリバー: P.9010/EL
機能: 時・分・スモールセコンド、パワーライトリザーブインジケーター、潜水時間の計算、正確な時刻合わせのためのストップセコンド
直径: 13¾リーニュ
厚さ: 10.9mm
パワーリザーブ: 時刻表示は約3日間(30分間の必要に応じたパワーライト機能)
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時
石数: 55
クロノメーター: なし
追加情報: サファイアクリスタル、特許取得済みのプッシャープロテクションシステム、6つの香箱(内4つはLEDライト専用、内ふたつは時刻表示専用)
価格 & 発売時期
価格: 1666万5000円(税込)
発売時期:すぐに
限定: 世界限定150本、3年間で毎年50本ずつの販売予定
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パネライについての詳細は、ブランドの公式ウェブサイトをご覧ください。