先週、ニューヨークにあるH.モーザーのブティック兼オフィスであるモーザーランドに立ち寄ってきた。そこにはかつてないほど大量のモーザーが一堂に会していた──それこそ物議を呼んだかの“スイス チーズ ウォッチ”から、昨年話題となったスタジオ・アンダードッグとの“パッションフルーツ”コラボまでだ。だが、ひとつだけ言っておかなくてはいけない。展示されている時計はすべて、段ボール製なのだ。
コラボモデルもきっちり再現……昨年のマッセナLABとのクロノグラフも含まれていた。
えっ? 段ボール!? そう、段ボールだ。H.モーザーはスイスの高級時計界において一線を画す存在であり続けてきた存在だが、このポップアップ展示も例外ではない。ブランドの名作や最新作をユニークに紹介するため、モーザーは“段ボールアーティスト”LABEGとコラボし、紙で作られたモーザーの時計を部屋中に並べたのだ。これらの“時計”はすべて実寸大で作られており、手描きのトゥールビヨンケージやミニッツトラックの緻密な再現など、その意図的なゆるさも相まって、本物と間違える心配は皆無である。このポップアップは先んじて2025年1月に香港のモーザーブティックで開催されており、その後数カ月を経てアメリカに上陸した。数日のみの短期開催だったため、この記事を読んでいるころにはすでに段ボール時計たちは次なる旅へと向かっていることだろう。次はどこに姿を表すのだろうか?
もちろん、本物の時計がひとつもなかったというと少し大げさだ。実際に現地ではいくつかのモデルをその“2.5次元”バージョンと見比べることができたが、これが最高に面白かった。私のように日常的に時計に囲まれている人間にとっても、この手描き&手作業の愉快な作品たちは水曜の午後を彩るよき“口直し”となった。さて、あなたはいくつのモデルを見分けられるだろうか? ぜひ写真をスクロールしながら、私と同じようにニヤリとしてもらえたらうれしい。
左のモデルは……たぶん本物のベンタブラックじゃない。
QRコードの手書きは、想像するだけで地獄だ。
ケースバックはさすがに展示できるレベルではない。
パッションフルーツがダブって見えてきた。
モーザー史上、最高に皮肉が効いたリリース2本。わかる人にはわかるはず。
紙の上だと、レインボーベゼルの華やかさもさすがに控えめだ。
本物がどちらか、見分けられるかな?