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フィレンツェで年に2回開催されるメンズウェアのファッションウィーク「ピッティ・ウオモ」が、2年間の閉鎖と渡航制限を経て、この6月にようやく復活を遂げた。しかし、ファッションとテーラーの関係者は、この懐かしい集まりに何を語っているのだろうか。あるファッションエディターは私にこう言った。「プレッピーが戻ってきた。見てよ、この色彩を!」
トスカーナの太陽の下で、このような困難な時代を乗り越えてきたのだから、プレップカラーが戻ってきたのも当然といえば当然だろう。アーティスト、マーク・マジオーリ(Mark Maggiori)氏がヴィンテージのロレックス プレジデントとジュリヴァ ヘリテージ(Giuliva Heritage)のスーツを着ていたように、70年代への楽しい快楽主義的な影響もあったし、90年代の気楽なスウォッチもたくさんあった。しかし、ニューヨークのテーラー、チェイス・ウィナー(Chase Winner)氏やシャイエン・ムニョス(Chayenne Muńoz)氏が身につけていたような、ジャズ・エイジのアールデコ調のブローバの時計は、まったく別の黄金時代を物語っていたのである。
楽しんでいたのは若いテーラーたちだけではない。ベテランのテキスタイルデザイナー、ガイ・ヒルズ(Guy Hills)氏がユンハンスのマックス・ビルで我々を驚かせてくれた。奇抜な色使いとテクスチャーで有名な彼が、抑制の効いたインダストリアル・デザインのクラシックな1本を身につけているのは、実に楽しいことだ。同様に、地味で真面目なテーラーの巨匠、ヴァレンティノ・リッチ(Valentino Ricci)氏も、オーバーサイズのサントス ドゥ カルティエで独自の道を切り開き、彼の厳格でダークなテーラリングにマッチしていたが、クラシックから大胆な路線へと向かっていたようだ。