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Bring a Loupe 手の届くオータヴィア、マルチカラーのミドー、そして豪華なサブマリーナーなど

ウェブ上で見つけた最高の腕時計をご紹介。

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本稿は2020年3月に執筆された本国版の翻訳です。

多くの人にとって今は不安で困難な時期だ。ただ少しだけでも心の休息を取ってほしい。今週のBring a Loupeは、気分転換にぴったりの腕時計を取り揃えた。ホイヤーの初期型オータヴィアや、状態が極めていい2レジスターのブライトリングが揃っている。さらにきわめて良コンディションのスカフォグラフ300、鮮やかなミドー パワーウィンド、そして久々に見る素敵なサブマリーナーなど、ダイバーズウォッチ好きにもたまらない時計をラインナップした。


ロレックス サブマリーナー Ref.5512、1966年製
Rolex

 知らない方もいるかもしれないが、スティーブ・マックイーン(Steve McQueen)が初期のエクスプローラーIIを着用していたという話は、ヴィンテージウォッチ業界における根拠のない噂にすぎない。しかし彼がRef.5512を着用していたことは間違いない。たとえそれが今日紹介する個体ほど魅力的にエイジングしていなかったとしても。

 この個体を初めて目にした瞬間、今週のBring a Loupeに登場するにふさわしいと思った。本当に素晴らしいサブマリーナーを探し出すのは決して簡単ではなく、ほかのロレックスのスポーツモデルに比べてかなり時間がかかることが多い。自宅待機の時間を有効に使うためにも、あちこち探し回るのはやめて、この1966年製のサブマリーナーに注目して欲しい。

Rolex

 このRef.5512のダイヤルにある2行の追加テキストが示すように、このモデルはCOSC認定のCal.1570ムーブメントを搭載しており、ムーブメントの写真を見ればそれが確認できる。ロレックスのダイヤルのテキスト量に対して意見が分かれることもあるが、個人的にはサブマリーナーのデザインがいかに優れているかを示すものであり、あえて自信を持って追加されたテキストだと考えている。複雑でありながらもその魅力とアイコニックさは変わらない。さらにおもしろいのは、この追加された文字が銀色で印字されていることである。すでに多面的なデザインを持つこの時計に、さらに奥行きと魅力を加えていると思うのだ。

Rolex

 このモデルのもうひとつの魅力、そして少し意外な点は、夜光部分に使われている素材である。ほとんどの4行表示のギルトダイヤルにはラジウムが採用されているが、この時計はトリチウムという放射性がはるかに低い化合物を使用している。これはサブマリーナーのなかでも珍しいバージョンであるだけでなく、少し安心感ももたらしてくれる。ガイガーカウンター(放射線測定器)で測定した放射線量がバナナと同程度(そう、バナナも厳密には放射性物質を含んでいる)であるため、心配性の人でもこのトリチウムを使用した時計を枕元に置いて安心して眠ることができるだろう。

 トロピカルウォッチ(Tropical Watch)のヤツェク・コズベック(Jacek Kozubek)氏が、この素晴らしいサブマリーナーを5万6850ドル(当時の相場で約610万円)で掲載していた。詳細はこちらから。


ホイヤー オータヴィア Ref.2446、1962年製
Autavia

 先週、サザビーズに勤める業界内の親友を訪ねる機会があった。そしていくつかの魅力的な時計を見せてもらう前に、友人がクライアントに見せていた2本のホイヤーを私も見るよう頼んだのだ。時計は素晴らしい状態だったが、我々が特に話し込んだのは、現在のホイヤーの市場状況であった。個人的な意見として、今ほどホイヤーを購入するのに適した時期はないと思う。価格は安定しており、以前のように一時的な過熱による値上がりは見られない。手に入れやすいだけでなく注目に値するモデルが多く、次に紹介する時計もその一例である。

Autavia

 初期のオータヴィアと同時期のデイトナはよく比較されるが、実際にはまったく異なる時計だ。確かにどちらもモータースポーツと深い関わりがあり、バルジュー72を搭載しているが、オータヴィアはデザイン面でより個性的である。大きなレジスター、対照のフォント、そして大胆な夜光インデックスが特徴的で、むしろデイトナよりも活気に満ちた印象を与えるモデルだ。デイトナほど“時代を超越した”デザインではないかもしれないが、その独特な個性が魅力となっている。それでも、1960年代のオータヴィアは驚くほどよい経年変化を遂げており、今日紹介するモデルもその例外ではない。

Autavia

 これは初期のオータヴィアのなかでも私が特に気に入っているバリエーションで、第1世代のケースとダイヤル、そして第2世代の針が特徴だ。全体に夜光が塗られたドフィーヌ型の針(最初期のRef.2446で見られる)も素晴らしいが、この針は後期につくられたものであり、より耐久性が高く、時計に一層高級感を与えている。コンディションも良好だが、あまりに完璧すぎて疑心暗鬼にさせるものではない。丁寧に扱われてきた時計は一般的に、ビッグアイのレジスターやベゼルインサートで散見するような些細な傷が少しはあるものだが、この時計もその例に漏れない。最も重要なのは、針とインデックスが均一に経年変化し、UVライトを当てた際にも均一に反応することである。ブラックライトの効果をまだ知らない方には、この反応がオリジナリティを物語るものであるとお伝えしておく。

Autavia

 このオータヴィアはサザビーズのオンラインセールで出品され、3万7500スイスフラン(当時の相場で約430万円)で落札された。詳細はこちらから。


ブライトリング プレミエ Ref.782
Breitling

 もし本当に素晴らしい掘り出し物を見つけたいなら、私からのアドバイスはひとつ、徹底的に探し抜くことだ。半ば興味を引かれるような時計をeBayで見つけたら、ぜひその出品者がほかにどんなアイテムを出品しているかも確認して欲しい。リスクなく得られるものがあるはずだ。もし私が、この次に紹介するクロノグラフが出品されているセールを“まあまあだね”と判断してそこで調査を止めていたら、この素晴らしい時計には気づくことはなかっただろうし、皆さんに紹介することもなかっただろう。

 これはブライトリング プレミエのひとつで、具体的には1940年代後半に製造されたRef.782である。このエレガントなタイムピースを駆動するのは、コラムホイールで制御された14リーニュのヴィーナスCal.175だ。しかしこの時計の真の魅力はケースにある。特にこのモデルのステップラグはほかの同時期のクロノグラフにはない存在感を与えており、そのディテールをとても気に入っている。さらにダイヤルには立体的な植字インデックスが使われているため、ほかの多くの時計と一線を画しておりさらに魅力を高めている。

 先ほど話したホイヤーとは異なり、これはとてもコンディションのいい、ほぼ“新古品”のような時計だが、それが不自然に感じられるものではない。率直に言って、誰かが多額の費用をかけてまでこのブライトリング プレミエを別物のように修復する価値はないだろう。パテック フィリップのユニークピースならいざ知らず、一般的なブライトリングの場合、そこまで手をかけるメリットはない。単に良好な状態なのはほぼ手首から外され、安全な場所に保管されていたからだろう。シャープなラグの隙間に見られるパティーナ(経年による変色)が、この理論を裏付けている。

 スイスのチューリッヒにあるシューラーオークション(Schuler Auktionen)が出品したこの時計の落札価格は3800スイスフラン(当時の相場で約45万円)。詳細はこちらから。


ミドー パワーウィンド Ref.5907
Mido

 コレクションを始めて間もないころ、ディーン・コルニック(Dean Kolnick)というInstagramで知り合った友人が、たまたま仕事の関係で私の住んでいる地域に来ていたため、彼と夕食をともにした。実際に会って紹介し合ったあと、我々はすぐに彼の手首にあったヴィンテージロレックスと珍しいバリエーションのミドー パワーウィンドについて話し込んだ。そのパワーウィンドには、独特で遊び心あふれるパステルダイヤルがあしらわれていた。めったにお目にかかれないこの時計を扱うのはそのときが初めてだったが、その軽快な色使いにひと目惚れした。ヴィンテージやモダンな時計ではこのような色使いはほとんど見られないため、この時計は特別な存在だった。それ以来この時計を見るたびに、ディーンの独特なスタイルや、彼との友情をすぐに思い出させてくれる。

 だからこそeBayでこの時計を見つけたときはとてもうれしかった。こんな出品は珍しいからだ。なにより、これはブラックリングで縁取られたノンデイトのバリエーションであり、調べたところこれが一番希少なタイプだということが判明した。ダイヤルに多少の汚れはあるものの、一部の時計には欠けていることが多い針も正しいもので揃っており、時計自体がすべてオリジナルだった。もし定番とは少し違うものを探しているなら、この時計はぴったりかもしれない。

Mido

 フロリダ州マイアミを拠点とするeBayの出品者が、この時計を6499ドル(当時の相場で約70万円)で掲載していた。


エベラール スカフォグラフ300 Ref.126013-873、1965年製
Eberhard

 最後に紹介するのは、ブラックダイヤルのスポーツウォッチだ。スティール製ケースには外側に向かって美しくカーブしたラグが備わっている。スピードマスターではないが、名前はSで始まり、コレクターのあいだで熱心な支持を受けているモデルだ。そう、スカフォグラフ300である。今週のダイバーズウォッチセレクションを締めくくる際このモデルならどれでもいいと思ったが、今回は現在入手可能ななかで最高の1本を見つけた。まあ、それ以下で妥協する理由がないからだ。

 エベラールのこのダイバーズウォッチは、42mmというサイズが現代的な装着感を与えつつ、ヴィンテージウォッチ特有の魅力と雰囲気をしっかりと保っている。スポーツウォッチとしては40mmが理想的なサイズだとされているが、情報を確実に伝達する必要があるダイバーズウォッチは、水中での視認性がとくに重要だ。その点スカフォグラフ300は、日付表示機能も備えた効果的なデザインを実現している。多くのスカフォグラフ300は実用目的で使用されているため、良好なコンディションを保ったままのものを見つけるのはきわめて難しい。しかし今回はそのストレスを感じる必要はない!

Eberhard

 間違いなく、この個体は私がこれまでに見たなかで最も美しいスカフォグラフ300だ。きっとあなたもそう感じるだろう。ケースは未研磨で、ベゼルインサートには目立つ傷もなく、ダイヤルと針は完璧にパティーナしている。さらに、1965年最後の四半期に製造された、オリジナルのエンドリンク付き伸縮ブレスレットもしっかりと付いている。60年近く前のツールウォッチがこれほどの状態で残っていることはほとんどなく、だからこそ、こうした状態のものに出合ったときは見逃せない存在となるのだ。

Eberhard

 ジュネーブのダビドフブラザーズ(Davidoff Brothers)が、このエベラールを8000スイスフラン(当時の相場で約90万円)で提供していた。